みうらじゅんさんが2024年6月16日放送のTBSラジオ『日曜天国』の中で滋賀県のお寺のアルフォートお供え文化についてトーク。アルフォート独特の青を「アルフォートブルー」と呼び、今後はその研究をしていきたいと話していました。
(安住紳一郎)そして三つ目ですが。そこがいいのよマイブーム、おしまいは滋賀県とアルフォート。
(みうらじゅん)ああ、そうですね。これね、見仏記っていうのを6年ぶりに始めたんですよ。今ね、noteっていう、パソコンにあるところで連載をやってるんですけども。いとうさんと久しぶりに滋賀県のお寺を回ったんですけど。そのお寺って、観光バスがあまり行かないようなところなんですよね。滋賀県は観音の里って言われてるんですけども。僕らの頃は週に1回、観光バス……観音の里観光バスっていうの出てたんですけど。今、出てないんですよ。だからタクシーで行くと、すごいお金かかったりして結構不便なんですけど。ちょっと案内人の人をつけて、訪ねさせてもらったんですけど。そこってやっぱりほとんどのお寺が無住のお寺っていうか。「無住状態」って呼んでるんですけど。無重力じゃなくて、住職がおられないっていう無住状態で。
(安住紳一郎)じゃあ、地域の皆さん方が交代で?
(みうらじゅん)守っておられるんですよ。で、僕らがその見仏で見に行くと、もう本当に寂れたところなんですけども。行くと、地域の近所の人がブワーッて、なんかお祭りがある時のように集まってきて、お堂を開けてくださるんですよ。で、僕らが見仏をしてる間、なんかお祭りみたいにブワーッ騒いだりする……演技をされているのか、知らないけど。なんか賑やかな感じになるんです。で、僕らが帰るとスーッと雲の子を散らしたようにおられなくなって。
(安住紳一郎)それはみうらじゅんさんが来たから、みんな喜んでるんじゃなくて?
(みうらじゅん)たぶん、あれは接待じゃないでしょうかね。
(安住紳一郎)ああ、旅人が寄ってくれたっていうことで、嬉しくて。みんなで少し、おしゃべりをして。
(みうらじゅん)その時にね、仏さんのお供え物を出されるんですけど。それが、アルフォートなんですよ。しかもそれは大袋のアルフォートで。小袋ならまだしも、大袋のアルフォートを村の方が仏さんの前にボンと置かれて。しばらくじっと、それで見てるんですけど。まあ、そのアルフォート仏さん……これ、あんまり知られてないと思うんですけど。仏さん、あれは基本的に食べてませんからね。で、袋も開けられないですから。で、その村の人がアルフォートをくれるんですよ。
(安住紳一郎)ああ、供えて?
大袋のアルフォートを供える滋賀県のお寺
(みうらじゅん)まあ、おすそ分けですかね。僕、アルフォートってそんなにしっかり食べたことなかったもんで、「ああ、これか」と思って。でも、よくテレビの楽屋とかにアルフォート、置いてあるじゃないですか。
(安住紳一郎)小袋の、個包装されて。
(みうらじゅん)それを大袋で見たもんで、驚いて。それを出してタクシーの回ってくれた、運転してくれた人にもあげようと思って。タクシーの人が横のところに飴とか置いているところ、あるじゃないですか。あそこにザーッて出したんですけど。まあ、今のように暑い日ではなかったんすけど、やっぱり日が差し込んだんでしょうね。アルフォート、開けたらすっかり上の部分が水になっていて。
(安住紳一郎)ああ、チョコの部分が溶けていて。
(みうらじゅん)だから「これはやっぱり仏の前に捧げるもんなんだな」っていうことで。その時に滋賀県で見たアルフォートのパッケージの色がね、一応「アルフォートブルー」って呼んでんですけども。目に痛いぐらい、鮮明でね。
(安住紳一郎)いい色ですよね(笑)。
(みうらじゅん)北野ブルーとは言いますけど、アルフォートブルーもあるわけですよ。いい色ですよね、あれ。何とも言えない……。
(安住紳一郎)ミルクチョコ版の薄い水色を見た後に、またあれを見るとね。
なんとも言えないアルフォートブルー
(みうらじゅん)違いますよね。あれが本当目に痛くて。あれを今……毎日、絵は書いているんですけども。でもあの色は、なかなか出ないんですよ。ほら、銀色のパッケージっていうか。あれに刷ってありますから、テカりも出るんでしょうね。デ・キリコ展っていうのを上野の美術館で見たんですけども、あの人も結構ブルーを使っていて。僕、最近ではもうアルフォートブルーからずっとブルーのことばっかり気になって。それで絵を見たんですけど、アルフォートブルーよりは、ダメでしたね。デ・キリコの方が。やっぱりアルフォートの方が……。
(安住紳一郎)そうですよね。
(中澤有美子)そうなんですか(笑)。
(安住紳一郎)たしかに、いや。うん。やっぱりテカりもあってね。箱の方のアルフォートは特にね。
(みうらじゅん)あの、ほら。ミルクをこうやっている、絵の有名な人がいるじゃないすか。ええと、なんでしたっけ?
(安住紳一郎)フェルメールですか?
(みうらじゅん)フェルメール! あれもブルーがいいんですよね。フェルメールブルー。でも、アルフォートの方が勝っていると思います。
(安住紳一郎)私、ニベアブルーが結構好きなんですよ。
(みうらじゅん)ああ、わかります。ニベアブルーも近いですよね。アルフォートブルーに。たしかに。
(安住紳一郎)でも最近、ニベアブルー少し色を抑えたんですよ。
(みうらじゅん)そうだ。僕も最近、買いました。前はもっと色、深みがありましたよね?
(安住紳一郎)ちょっと色がアルフォートブルー寄りでしたよね。今、ちょっとなんか、うん。パステルっぽい感じの色になってますよね。
ニベアブルー
(みうらじゅん)また今度、来た時に発表しますね。アルフォートブルーが世の中にどれだけあるのか。今日から調べ始めます。
(安住紳一郎)ぜひ、ブルーの世界を。
(みうらじゅん)はい。それを1年間かけて、やらせていただきます。
(安住紳一郎)いいですよね、みうらじゅんさん。話してるとね、突然何か新しくビジネスがわいた瞬間を私たち、目撃することがありまして。
(中澤有美子)すごい嬉しい!(笑)。
(みうらじゅん)「ビジネス」って……(笑)。
(中澤有美子)居合わせた(笑)。
(安住紳一郎)居合わせたよね? 「アルフォートブルー」って(笑)。
(みうらじゅん)まあ、アルフォートブルーを頂点として、そこにブルーヒエラルキーを並べてみることを1回、やってみたいですよね。このスタジオでね。
(安住紳一郎)そうですね(笑)。
(みうらじゅん)じゃあ、ぜひ協力もしてください。お願いします。
(安住紳一郎)ちょっと気持ちがこう、やっぱり……。
アルフォートブルーを頂点としたブルー研究
(みうらじゅん)高揚してきますよね。前にSINCEをここでやってくれたじゃないですか。そこで、赤坂の四方さんがみうらじゅん賞をもらったんですよ。SINCEがここの界隈で一番古いっていうことで。
(安住紳一郎)江戸時代からやっているから(笑)。
(みうらじゅん)江戸時代からやられていたということで。
(安住紳一郎)でもブルーの世界、おもしろいかもしれない。いろいろとね、ブルーを売りにしているところを。ポカリスエットさんとか、いろいろありますよね。
(みうらじゅん)そうですね。「ブルーな気持ち」もありますもんね。「その気持ちは、アルフォートぐらいなのか?」って言いたいですよね。「いや、そこまでは……」って。
(安住紳一郎)そこまでは行ってない(笑)。
(みうらじゅん)「じゃあ、大丈夫か」ぐらい。あるかもしれませんよね。
(中澤有美子)アハハハハハハハハッ!
<書き起こしおわり>