みうらじゅんさんがTBSラジオ『日曜天国』に出演。安住紳一郎さんとともに番組スタッフが調査した2017年赤坂Since Go調査マップを見ながら、2017年のSince事情を話し合っていました。
(安住紳一郎)さて、今日はそんな中でも前回もお話しいただきましたSince(シンス)ブームですよね。
(みうらじゅん)これは、びっくりしました。今回調査をちゃんと赤坂でしていただいたという。これ、はじめてのことなんですよ。自らこういう話を持っていって嫌がられたことはたくさんあるけども、用意してもらった。シンスについて。これははじめてなんで、そろそろ本格的なシンスブームが来ているということを肌で感じますね。
(安住紳一郎)そうですか。よく、お店などの看板で「○○年から創業しています」というので「Since」っていうのがあると思いますが。それを街中で見つけて、そしてそれをポケモンGOのように集めていくという?
(みうらじゅん)そうですね。これはほぼタダですからね。行為は。
(安住紳一郎)(笑)。赤坂の各地を番組のスタッフがシンス探しをいたしまして。結構数があったんですが。ありますか? 一覧表が。
(みうらじゅん)ちょっと見てください。これ、もらったやつ。
(安住紳一郎)やっぱり探すと結構あるんですね。
日曜天国 赤坂Since GOマップ
TBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国 SINCE 2005」 #nichiten
【赤坂 SINCE GO MAP 】 pic.twitter.com/unTtVYNT1W— TBSラジオ 安住紳一郎の日曜天国 (@nichiten954) 2017年2月26日
(みうらじゅん)俺ね、銀座はシンスが多っす。多いけど……まあ、シンスの場合は「多いっす」って言うんで。シンスだから。シンスは銀座に多いっすけど。たぶん、本当に3本の指に入るぐらいシンスが多いのは赤坂だと僕、前から睨んでいたんですよ。だから、ここがTBSですよね。このへんね。この上に向かってと、下に向かっての広がりがまたありますよね。まあ、「TBSを中心に」と言っても過言ではないこのシンス体系ですよね。
(安住紳一郎)純粋に商店街がそういう風に開けているという?
(みうらじゅん)あ、そうですね。そりゃそうですけど。でも、TBSでシンスって言ったら長いでしょう?
(安住紳一郎)そうですね。
(みうらじゅん)かなり行っている……誰も答えられないじゃないですか。これは打ってないからですよね。TBSにシンスを。フジテレビは私と同い年だと思います。あんまり言わないですね?
(安住紳一郎)言わないですね。
(みうらじゅん)そこは奥ゆかしいんですかね?
(安住紳一郎)そうですね。たしかにでも何年か……60周年っていうような感じは薄々とは意識していますけども。
(みうらじゅん)じゃあ、俺と同じぐらいですね。たぶんね。
(安住紳一郎)そうですね。
(みうらじゅん)あの、シンスには言う人と言わない人がいるっていうことがここでよくわかるわけじゃないですか。この赤坂界隈、ワーッとシンスがある店を調べてもらったところに点々とありますけども。他にもいっぱい店はあるわけじゃないですか。赤坂に。でも、シンスを打っていない。で、この方達は打っている。この差がなんなのか?っていうことが、ものすごく知りたいっていうか。注目に値する点じゃないですかね。
(安住紳一郎)あとは、なんとなく「うちは古くからやっていますよ」ということをお客さんへの信用につなげたいという意味での表記もありますが。もう、いまはその域を超えているんですよね。
(みうらじゅん)超えていますね。あの、シンスって夏のセミと同じで、同じところに固まることが多いんですよ。
(安住紳一郎)(笑)
(中澤有美子)へー!
(みうらじゅん)ということは、誰かがシンスを言いだした時、隣の人が「えっ、あの人、言い出したけど、私のところの方が古いんちゃうかな?」とかいう比較三原則が出るんですよ、そこで。かならず比較が出るので、「そんなことで看板出さはったらうち、なんか老舗ちゃうみたいやんか?」っていうことで隣も打って。「えっ、そんなのうちだって、そんなこと言うけど20年ぐらいやっていますよ」ということで、やっぱり連鎖反応が。シンス連鎖反応みたいなのがあって。で、あるところで途切れるんですよね。また、それは。
(安住紳一郎)ええ。
銀座にはシンスが多い
(みうらじゅん)銀座は、和光の方のところから、向かい側にデパートがありますよね。三越。三越と和光のやつをまっすぐ、晴海通りじゃない方、銀杏通りに行くとデパートの方側は一切シンスがないんですよ。こっち側は、木村屋さんのパンからずーっと本屋さんから、ずーっとシンスが出るシンス街道があるんですよ。
(安住・中澤)へー!
(みうらじゅん)で、またちょっと途切れたら、ラーメン屋さんがボン!って出したり。でも、こっち側のデパートの方には一切ないっていうのに……その、やっぱり日陰と日向の何かがあるんじゃないか? とも踏んだんですけどね。
(安住紳一郎)そうですか(笑)。その、三越側は大型の百貨店が多いからじゃないですか?
(みうらじゅん)そうですね。たぶん。三越が言わない限り……ですよね。
(安住紳一郎)(笑)。そうですね。三越と……。
(みうらじゅん)三越もでも言えば、黙っちゃいませんよ。
(中澤有美子)周りもね。
(みうらじゅん)そんなこと言ったら、ソニービルだってなんか今度新しいのに変わるのかもしれないけど。あそこも相当古いですからね。
(安住紳一郎)そうですよね。「呉服屋の時代からの年号、出しちゃうぞ!」なんて。
(みうらじゅん)そうなんですよね。
(安住紳一郎)さて、今日はみうらじゅんさんに「街へ出よ、シンスGO!」というテーマでお話しいただきます。まずは一気にご紹介します。「街へ出よ、シンスGO!」、その1。シンスの上にも30年。その2、沈黙はシンスなり。その3、シンスを審査する。以上の3つです。ひとつ目は、シンスの上にも30年。
(みうらじゅん)まあ、これは古い考えですね。昭和の人間の考えですけど、やっぱりシンスの上にも30年ぐらいやっていないとシンスは言えないだろうというのは昭和の考えでした。で、いまはやっぱり20年になってますかね。
(安住紳一郎)へー。
(みうらじゅん)バス料金が老人は昔はもう60(才)ぐらいで安くなっていたのに、いまはもう70ぐらいになっているように。ここらへんは、時代とともに変わっていると僕は思うんですけど。まあ、これは昭和の考えですけど、いまはもう20年。シンスの上にも20年やってもらわないと、シンスを出す意味はあるのかな?っていう疑問はありますね。
(安住紳一郎)シンス1998ぐらい?
(みうらじゅん)ここね、調べていただいた……シンス。これは赤坂のお店、ミットネスさんですかね? シンス2017。出ました! 最新ス(最シンス)!
(安住紳一郎)はー!
(中澤有美子)最シンス(笑)。
(みうらじゅん)これ、どうします? もう最シンスの考えは。そもそも、シンスっていうのは「以来」っていう意味なんですよ。この概念がもう、崩れ去っているというか。「今年以来」ってなんなんですか?
(中澤有美子)そうですよね(笑)。ニューオープンの感覚ですね。
(みうらじゅん)ねえ。そういう使われ方をしだしているんですよ。
(安住紳一郎)開店ですよね。
(みうらじゅん)開店。オープンっていう意味ですよね。オープンとシンスは違いますけども……。
(安住紳一郎)2017が出ましたか!
(みうらじゅん)ええ。出ました。本当の最シンス、出ましたね。
(安住紳一郎)やっぱりもう、概念が変わってますよね。
シンスの概念が変わった
(みうらじゅん)完璧に変わっていると思います。これはやっぱり80年代に僕、流行ったもんだと思うんですよ。で、先月もタイに行ったんですけど。まあ、当然タイでもシンサー(審査)してきているんですけど、全くないんですよ。1シンスもない。これ、どういうことですか?っていうことで。まあ、アジア圏に結構行ったんですけど、ほぼないんですよ。で、外資系のものには入っている場合はありますけども、現地は古すぎて、もう古いことがいいことじゃないんですよ。古いことがいいっていうことは、なんか1回高度成長をした証だと思うんですよね。で、まあ言えばおごった気持ち。ここに80年代のあのバブルの調子に乗ったのが入りまして。そこらへんからシンス、シンスとお声が上がったんじゃないか? と思うんですけどね。
(安住紳一郎)ああー。古いことはいいことだと思わない文化だと、当然シンスは根付かないし。
(みうらじゅん)根付かないですね。ええ。
(安住紳一郎)そしてでも、日本のはすでにシンス2017を名乗るような、すでに創業が古いよという自慢ではない形態に入ってきた。
(みうらじゅん)うん。その後に、僕報告で聞いたんですけど、「Since20XX」と書いた未来シンスまで出てるんですよ。これ、どういうことなんだ?っていう……。
(安住・中澤)(笑)
(みうらじゅん)「XX」って! ええ。出てました。「XX」で看板に出しているところが。
(安住紳一郎)へー! 「20XX」。
(みうらじゅん)どこからやって来たんだ?っていうことですよね。まず、聞きたいのはね。
(安住紳一郎)特命リサーチみたいなことなのかな?
(中澤有美子)どこから来たんですかね?(笑)。
(安住紳一郎)どこから。ねえ。さあ、そして2つ目ですけど、今度は沈黙はシンスなりということですね。
(みうらじゅん)これ、どんな意味で僕、言ったんですかね?
(安住・中澤)(爆笑)
(みうらじゅん)覚えてないっていうか、何なのかな?って思って。不思議に思っていたんですけど。
(安住紳一郎)そうですか?(笑)。じゃあもう、あれですね。旗振り役のみうらさんがわからないということは、もう誰にもわからないんで、飛ばしましょうね。
(みうらじゅん)まあ、格言みたいに言いたかったんでしょうね。たぶんね。
(安住紳一郎)その時のノリで言っちゃったんでしょうね(笑)。
(みうらじゅん)すいません(笑)。
(安住紳一郎)さあ、では飛ばしまして、3つ目ですね。シンスを審査(シンサー)する。
(みうらじゅん)そうですね。その「20XX」のようなものがいいのか? 悪いのか? このシンスを審査っていうのが出てきてもいいのではないかと。
(中澤有美子)審査員?
(みうらじゅん)シンスの審査員ですよね。
(安住紳一郎)公共広告機構みたいな?
(みうらじゅん)そうです。そうです。適正なのかな?っていうことなんですけども。と、なるとやっぱりシンスの上にも20年なりのルールがやっぱりある。あってこそ、審査するわけですから。そこを、俺1人で決めていいものか?っていうところはありますよね。いろいろ事情があるシンスもあるかもしれませんしね。
(安住紳一郎)そうですね。特に古いのは本当?っていうのがありますよね。赤坂でも有名な酒屋さん。江戸時代からやっている四方(よも)。四方はシンス……?
(みうらじゅん)Since1624なんですよ。
(安住紳一郎)1624!
四方 Since1624
(みうらじゅん)これ、安住さんと同時みうらじゅん賞。同期ですよ。
(安住紳一郎)ああっ!(笑)。
(みうらじゅん)四方さんも去年授賞しましたから。去年。16○○って、江戸時代ですよね。ということは当然、昔は「創業」って言っていた。たぶん、何代目かは「創業」って言っていた時に、ある息子さんかなんかが「シンスの方がいいんじゃないか?」というアイデアが出たに違いないんですよね。昔はシンスでやっているわけじゃないですから。
(安住紳一郎)江戸時代からやっていたらすごいですよね。
(みうらじゅん)すごすぎますからね。それは。なにか、最シンスに乗ろうっていうことだったんじゃないでしょうか?
(安住紳一郎)あとは、赤坂で「Since1592」っていうのもあるんですね。バティチっていう……。
(みうらじゅん)1592ってどれですか? あ、これだ! これ、すごいっすね! ワインバー。
(安住紳一郎)ワインバー。
(みうらじゅん)ぱ、パティーチ? これは、なんなんですかね? ワインの生まれた年なんでしょうね。お店じゃないですよね。たぶん。こんな頃からワインを仕入れてないですからね。江戸時代ぐらいにワインが誕生したんでしょうね。
(安住紳一郎)そのワインをモチーフにお店を出しているんで、そのワインのできた年っていうか、ワインの蔵元ができたシンスをそのままお店に?
(みうらじゅん)他力シンスですよね。まあ、言えば。この場合は。
(安住・中澤)(笑)
(みうらじゅん)と、シンサーは審査しますけどね。
(安住紳一郎)そうですね(笑)。他力シンスですよね、これは。たまにありますもんね。
(みうらじゅん)たまにあります。ワインはやっぱり「寝かす」とか言いますもんね。やっぱりシンスは寝かした方がいいんですよ。シンスが古い方が高いわけですもんね。ワインも。だから、こういうワインとちょっと80年代にガーッ!っと来た人たちがよくお使いになるということも、薄々匂いがしてきますけど。はい。
(安住紳一郎)さあ、そして1人電通と名を取るみうらさんらしく、シンスの概念が、そして崩壊がよくわかるという曲をお作りになったんですね?
(みうらじゅん)ああ、そうです。これを聞いてもらって、これを基本として審査していくということで。プロモビデオまで作って、一時渋谷ですごく頻繁に流れていたらしいんですけど……「誰だ?」っていう話で。まあ、まずそこの方がシンスよりも……一応MJ Sinceって僕、名乗っていたんですけど。「MJ」っていうのは「みうらじゅん」なんですけど。ラッパーでデビューしたんですよ。これ。でも、そこがもう「?」だったみたいで、シンスには覚束なかったというか。
(安住紳一郎)そうですか(笑)。『君のSince』。それではお聞きいただきたいと思います。
みうらじゅん&SHINCO『君のSince』
(安住紳一郎)シンスのことがこれで全てわかってしまうくらいの。
(みうらじゅん)こんな短い曲でわかってしまうということですね。
(安住紳一郎)『君のSince』をお聞きいただきました。
(中澤有美子)みうらじゅんさんのお聞きいただいております『君のSince』というこの曲はインターネットでの配信限定でリリースされていますので、ぜひご覧になってみてください。
(みうらじゅん)あ、ぜひとも。全く俺にラップセンスがないっていうことがわかっていただけると思いますが。
(安住紳一郎)いや、楽しいですよ(笑)。
(みうらじゅん)ああ、そうですか? 楽しかったらいいですもんね。なんでもね。
(中澤有美子)味わうほどに、美味しい歌詞になっていると思います。また、いとうせいこうさんとのイベント『ザ・スライドショー』が映画になりました。
(みうらじゅん)あ、いいまやっとりますわ。
(中澤有美子)『ザ・スライドショーがやってくる!「レジェンド仲良し」の秘密』。
(みうらじゅん)新宿ピカデリーでやっていますので。4時の回と夜の回しかありませんので。もはや。もう、2本に絞られてますので。
(中澤有美子)大人な時間ですね(笑)。詳しくはみうらじゅんさんのホームページでもご覧になれます。
(安住紳一郎)そうですね。スライドショーのファンの方、たくさんいらっしゃいますから。これが映画になったという。
(みうらじゅん)そうですね。もういま、2公演しかやっていませんので。早めに。たぶん、今週中に終わってしまうと思いますので。早めに見ていただければ、うれしいです。
<書き起こしおわり>