安住紳一郎 陸上・田中希実選手、サニブラウン選手へのインタビューを語る

安住紳一郎 陸上・田中希実選手、サニブラウン選手へのインタビューを語る 安住紳一郎の日曜天国

安住紳一郎さんが2024年5月19日放送のTBSラジオ『日曜天国』の中で陸上の田中希実選手、サニブラウン選手にインタビューした際の模様を話していました。

(安住紳一郎)昨日、仕事で田中希実さんにお会いしてきて。一度、お話を聞いてみたかったので、すごく興奮しましたし、充実した1日になりました。田中希実さん、皆さん、知ってますか? 知ってますよね。

(中澤有美子)ねえ。陸上選手の。

(安住紳一郎)そうですね。田中希実さん。もう小柄な選手で。身長が153センチ、体重41キロっていう風にプロフィールには書いてありましたけれども。24歳だったと思いますけれども。ヨーロッパとかアフリカ系の選手に混じって、強気のレースをね、1500メートルなどでは展開していて。本当に、田中選手がレースを引っ張るみたいな、そういう展開もありますもんね。

(中澤有美子)そうですよね。頼もしいですよね。

(安住紳一郎)800メートル、1500メートルは「中距離」と呼ばれるカテゴリーなんですけれども。皆さんね、お詳しいと思いますけれど。一番、陸上できついと言われていて。当然アジア人、日本人がなかなかそこに入っていくことができない種目と言われていますが。東京オリンピックの1500メートルの決勝が日本人選手、96年ぶりって言ってましたもんね。100年間、なし得ていないっていうね。人見絹枝さん以来。もう、ほぼ歴史上の人物ですからね。人見記念陸上とか、ありますからね。それで100年ぶりに出場して、8位ですか。素晴らしい結果を出して……ということで。またね、もうゴールしてから選手がバタバタ倒れる中で「絶対に倒れない」みたいな強い意志を感じてね。そして、競技場に一礼してゆっくりとこう、レーンを去る姿、皆さんも印象にあると思いますけども。

(安住紳一郎)インタビューもね、少しこう考えて言葉を絞り出すように。田中選手のインタビューもなかなか含みというか。そこになにかいろいろな感情が入っていて。私も田中選手のインタビュー、好きなんですけれど。「一度、お会いしたいな。お話を聞いてみたいな」と思ってたんですが昨日、仕事でインタビューすることができまして。とてもお話できて嬉しかったなという時間でした。田中さんはすごく本を読むのが大好きで。「走る作家になりたい」っていうぐらいで。「好き」っていうレベルじゃなくて、本当に職業がほぼ視野に入ってるような方なんですよね。

なので、海外なんかに遠征に行っても、遠征先で練習が終わると本屋さんとか、古本屋さんとかに行ったりして。児童文学、ファンタジーの世界の作品が好きっていうか、もうたぶん研究されてるんだと思いますね。なんで、ファンタジーっていうことで。なんとなくファンタジーっていうとね、「子供向け」っていう印象ありますけれども。ファンタジー文学っていう、きちんと確立された分野がありまして。「とにかくそれが自分は好きなんだ」っていう風におっしゃってました。なのでやっぱりファンタジーが好きっていうことで私、朝の番組をやってるんですけども。私に会うなり「朝の番組のシマエナガっていうあの鳥はどういう設定なんですか?」みたいな、そういう話になって。「さすがファンタジー好き」と思いましたけどね。

(中澤有美子)へー!

ファンタジー好きな田中希実選手にシマエナガの設定を聞かれる

(安住紳一郎)あとは、これも聞いてびっくりしましたけど。小学校の時、運動会では全然活躍ができなかったっていう。トップアスリートに話を聞きますと、たまにこういう種類の話を聞くことがあるんですけども。「嘘だろう?」と思いますよね。

(中澤有美子)本当に。信じられないですよ。

(安住紳一郎)小学校の時、いくら長距離選手だとはいえ、小学校の運動会で全く活躍できなかったっていう。「本当なのかな?」と思ったんですけど。「100メートルで20秒を切ることがなかった」って言ってましたね。小学校の時は。皆さんも小学校の時の100メートル、なんとなくわかりますよね? 女の子だと、普通にクラスで速い子でたぶん17秒とか6秒ぐらいで走りますよね。陸上が得意な子だったら、たぶん15秒とかね。私も男子選手で13秒とか、普通に6年生が出してた記憶がありますよね。「ええっ?」と思ったんですけど。「いや、本当に運動会、100メートルで20秒を切ることなかったですよ。ただ、20秒を切ることはなかったんですが、その100メートルのスピードでゴールしてからも延々、走ることができました」って言っていて。「そうなんだ」と思って。「それは長距離の適性、ありますね」っていう感じですよね。

その表現の仕方っていうか、なんかあんまり聞かないエピソードじゃないですか。「いや、運動会では活躍全くできずに。100メートル走っても、やっぱり下から数えた方が早くて。でも、ゴールした後も同じペースでずっと走れました」っていう。あんまり聞かないエピソードだから、なんかもう興味津々ですよね。

(中澤有美子)本当ですね(笑)。

(安住紳一郎)うん。「ああ、そうですか! で、どれぐらいですか?」「延々走れました」みたいな。やっぱり得意・不得意っていうのかな? 自分の向いているものっていうのは、あるんだなっていう風に思って。思わず笑ってしまいましたけど。あとは、本が好きだった。小学校の時から好きだったっていうんで。小学校何年生って言ってましたかね? 下校……学校から家に帰る時にランドセルを背負って。で、二宮金次郎みたいに本を読みながら家に帰ってたんですって。とにかく、本を読みたかった。そしたら、学校の先生から注意された。で、注意されたんだけれども、ずっとは見てないだろうと思ってまたそのスタイルをしばらくやっていたら、本格的に学校から注意されて。

それでもう、そのスタイルは取れないっていうことになって。「どうしたらいいか? 学校から家までとにかく早く帰って。それで家で本を読むようにしたらいいんじゃないか?っていうことで、学校から家までを走って帰るようにしたんです。ランドセルを背負って。ただ、闇雲に走っても疲れちゃうだけでうまくいかなくて。そこでペースを守って家まで帰ることを徹底したら効率よく帰ることができたんで、家でたくさん本を読むことができたんです」って言っていて。もう本当に長距離ランナーっていう感じですよね。あんまり小学校1年生とか2年生でペースを守って走るっていう、そこに落ち着かないですよね?

(中澤有美子)そうですね! へー!(笑)。

(安住紳一郎)「へー!」っていう。もう、本当に長距離の申し子なんだなっていう。まあ、中距離もやってらっしゃいますけどね。

(中澤有美子)そしてそして、何の目的かっていうと「本を読むため」なんだ。へー!

家で本を読むためにペース配分して走って帰宅

(安住紳一郎)そうなんですよ。早く家に帰って本を読みたいがためにペース配分して。最も最も効率よく家に帰る手段を編み出していたっていう風におっしゃってました。そして、どこで水筒の水を飲んだらいいのか?っていうのも全部、計算してたんですって。小学生で。水筒の水をね。だから闇雲に飲んじゃ、ダメなんですよ。だから……本当に言ってました。「ここのお店の前でお水をちょっと飲む。ここの公園の前でお水をちょっと飲む。ここのベンチでちょっと腰をかける」とか言っていて。なんか、そういうのが決まってたんですって。やっぱり、考え方がアスリートっていうか、うん。

(中澤有美子)研究者ですね!

(安住紳一郎)研究者っていうか。そうですね。思いました。本当に、長距離に向いてるんだなって(笑)。

(中澤有美子)そうですね。じわじわと。

(安住紳一郎)来ますよね。

(中澤有美子)いやー、頭が下がりますね。

(安住紳一郎)『ゴールデングランプリ陸上』という陸上大会が今日、千駄ヶ谷の国立競技場で行われますけれども。10年くらい前までは『スーパー陸上』という名前で呼ばれていましたが。『セイコースーパー陸上』っていう風に呼ばれてましたけれども。10年くらい前から『セイコーゴールデングランプリ陸上』と名前が変わりましたが。「ワンデー」と呼ばれる1日で完結する陸上大会ということで。カテゴリーがいろいろあるんですが。世界的にもトップのカテゴリーにランク付けされる……17って言っていたかな? 世界で17の大会が指定されているワンデーの最上位大会ということで。有力選手が集まって今日、行われます。TBSテレビでも2時30分から地上波の方で放送がありますので。田中選手が1500メートルに出ますので、ぜひご覧いただけたらという風に思います。

(中澤有美子)そうですね。

(安住紳一郎)もうね、パリオリンピック確実視されてますけれども。今日1日で田中希実選手、サニブラウン・アブデル・ハキーム選手、北口榛花選手も出ますんでね。ちょっと天気もいいんでね、当日券少し余っていて。3000円くらいで入れるということなので。興味ありましたらぜひ、お近くの方、行ってみてはいかがでしょうか? サニブラウン選手も今シーズン、調子がいいっていうことで。私もサニブラウン選手ともお話をさせていただきましたけれど。やっぱり、あるんですね。その年その年の。「春先から普段は出ないようなタイムが出てるので。夏になると必ずいいタイムが出るんじゃないかっていう風に思っています。選手始めてから最も調子がいいシーズンです」。なんていう風にね。当然、そのリップサービスもあるんでしょうけれども、おっしゃってました。「9秒台、狙っている」っていうね。そんなお話、してましたし。どうですか? 陸上にそんなに詳しくない私から聞く陸上の話は?

(中澤有美子)とても、いいですね。

(安住紳一郎)そうですね。うん(笑)。私、スポーツを担当してないんですけど。ちょっとね、インタビューの仕事とかがあると単発で受ける時があって。ドキドキしながらね、インタビューに行くんですけれども。どちらかというと、陸上っていうよりもその人の陸上選手のサイドトークとか。陸上大会の運営側の苦悩とか、そっちの方から入っていくっていう、ちょっと変わったリポーターなんですよね。

(中澤有美子)そのアプローチ、すごく好きです。みんな、そうだと思います。

(安住紳一郎)いやいや、それは中澤さん、毒されてる。

(中澤有美子)ああ、そう?(笑)。

サイドトーク中心の安住式インタビュー

(安住紳一郎)私、だって3年前の東京オリンピックをやった時に、東京オリンピックの放映権とアメリカの放送局がいかにバックヤードで幅を利かせているか?っていう、その話だもんね。

(中澤有美子)そうでしたね(笑)。IDが何枚発行されているかとか(笑)。

(安住紳一郎)IDが何枚発行されて、こうなってこうなって。トイレが少なくてっていうね。そんな話ばっかり。あと、放送局ごとにどの種目を取るか?っていうね、裏側。

(中澤有美子)お金の話と(笑)。

(安住紳一郎)お金の話とか。そんなことばっかり。申し訳ない。いや、もう仕方ないのよ。全然、陸上とか詳しくないから。田中選手のその小学校のエピソードが一番、印象に残ってるの(笑)。

(中澤有美子)うん。すごくグッと来ます(笑)。

(安住紳一郎)そうですか? 本当はね、もうちょっと1500とか5000のね。「世界陸上のブタペストでこういう作戦だったんだ」っていう、そういう話を聞かなきゃいけないけれど。うん。聞けないから(笑)。

(中澤有美子)しょうがない(笑)。

(安住紳一郎)しょうがないのよ(笑)。

(中澤有美子)それはまた、得意な人がいるから。

(安住紳一郎)そうそう。いいんです、いいんです。私も「恥ずかしいな」と思いながらやってるけれども。でも、呼ばれたんだから一生懸命やりたいなと思って。私ができるやり方で、やってみた。

(中澤有美子)特性を生かして(笑)。

(安住紳一郎)特性を生かしてね。そうそう。得意、不得意ね。田中希実さんは長距離に特化した選手だけども、私はこういうサイドトークに特化したっていう。あんまりメイン料理じゃないの。サイドメニューが美味しい料理店として、名を馳せているから。「名を馳せている」って偉そうだね? サイドメニューが専門。小鉢が美味しい料理店だから。

(中澤有美子)アハハハハハハハハッ! いいじゃない(笑)。

(安住紳一郎)いいんです。いいんです、いいんです。ただね、私たちのこの世界の中ではやっぱり報道とか、スポーツっていうね、しっかりした軸のはっきりしたものをやっている人たちがたくさんいますからね。邪魔をしないようにっていうことで。そうなんですよ。小鉢専門。なんかこう、お弁当箱に小鉢が8つぐらい入ってくるっていう。

(中澤有美子)豪華。

(安住紳一郎)豪華ね。いいですね。うんうん。なんだか、言い訳ばっかりしてる。サニブラウン選手はスタートがなんか去年の11月に急に、なんか降ってわいて。スタートのことが降ってわいたんですって。「そんなことがあるんだ」と思いましたけども。サニブラウン選手、25歳くらいですが。「これまでずっとスタート、苦労してたんですけど。スタートのコツが突然、なんか11月に降ってわいた」っていう風にね、おっしゃってました。「そういうことがあるんだな」って思って。「ちょっと、私にもわかるように説明してくださいますか?」って思い切って言ってみたんです。そしたら、関係者は失笑してましたよね。あの光景、忘れられない。でも、失笑されましたけども、食い下がって聞いたらですね、サニブラウンさんも「そうですね」って言って全部教えてくれて。その結果、関係者がさ、ちょっと下を向いてたよね。「やった!」と思ったよ(笑)。

(中澤有美子)本当ですよ。

スタートのコツをサニブラウン選手から聞き出す

(安住紳一郎)なんかね、「スタートして1歩目、2歩目、3歩目、4歩目ってこう、車のマニュアルのギアを上げるみたいな感じで。1歩目はロー。2歩目はセカンド。3歩目はサード。1本目はこう、ゼロからスタートするんで力強く、とにかく立ち上がる。で、セカンドはその力を推進力に変えて。で、3歩目はもうスピードがついてるから、そのスピードを殺さずに……みたいな、そういう要はその1歩ずつ走り方をちょっと変えなきゃいけないんだけど。それがスムーズにギアチェンジができるようになって。これまではなんかローからセカンドに入れる時にこう、ガガガッて引っかかっていたような感じなんですけど。それがスムーズにロー、セカンド、サードってパンパンパンってシフトが変えられるようになったんです」って言っていて。「すごいわかりやすいな!」と思って。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)そういうことをやってるんだなと思って。それで実際、そのスタートがすごくうまくいってるんで。この間の5月6日か5日にあったバハマでのリレーの大会、ありましたでしょう? 。で、サニブラウン選手は決勝はちょっと太ももに違和感があったんで、出てないんですけども。予選はサニブラウン選手が出て、すごいタイムを叩き出してるんですけど。その時に一走をやってるんですって。スタート。第一走で。その第一走をやったのって高校生の時以来、2回目なんですって。でもやっぱりコーチが「サニブラウンは今年、すごくスタートがいいから」っていうことで一走に抜擢されて。そしてきちんと結果を出してるっていう。なのですごくね、今日の大会もいい記録が出るんじゃないかって、ご本人もおっしゃってました。楽しみですよね。やり投げの北口榛花選手のお話も聞けて。パリオリンピックで確実に活躍されるであろう3人ですからね。楽しみですよね。

(中澤有美子)そうですね。はい。注目するところができて嬉しいです。

(安住紳一郎)そうですよね。ちょっとそういう風に見ると、今日の大会も、パリオリンピックも、もっとちょっとね、興味持って見られるんじゃないかなという風に思います。スポーツの小鉢でした(笑)。あと3年前、東京オリンピックの担当だったんですけど。ちょうど国立競技場の向かいにあったそのプレハブの放送センターですね。あそこの前、通ってきたんですけど。もうすっかりなくなっていて。「神宮の森」っていうようなおしゃれな空間に変わっていて。「ここにプレハブが建っていて。アメリカの放送局に意地悪されながら、ここに2週間通ったんだな」とか思ったりして。綺麗になっていて。

(中澤有美子)そうですね。腰を痛めたりして。

(安住紳一郎)そう。長い階段でね。そうなんですよね。そんなことも思い出しながらですけれども。番組の宣伝になって申し訳ありませんが今日、2時30分からTBSテレビ。地上波の方で陸上大会が放送されますんで、よかったらご覧になってください。

<書き起こしおわり>

安住紳一郎 東京五輪中継の舞台裏を語る
安住紳一郎さんが2021年8月1日放送のTBSラジオ『日曜天国』の中で東京オリンピックのテレビ、ラジオ中継の舞台裏についてトーク。中継を行う体制やシステムなどについて、裏話を交えながら話していました。
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