（宇多丸）それはつまり、オープニングがまず……あのオープニング、素晴らしい。僕、「オープニング、5億点」って言いましたけども。まあ、全部が素晴らしいんだけども。全部の出だし、アバンですけども。あそこで「日本国憲法が施行されました」っていうので、それを開いてるところで見える文字が「華族の廃止」っていうところ。そこがアップになっているので。今、そのおっしゃっていることっていうのを実は、予感させているというか。改めて、見ている人にも「いずれ、そうなる」っていうことがわかるわけで。
（宇垣美里）そう。もう「くぅーっ！」っていう感じなんですけども。
「いずれ、そうなる」を予感させるオープニング
ハマりすぎてこのために平日の朝起きてると言っても過言ではない #虎に翼
涼子様のお着物コーディネートが素敵すぎてこれも楽しみのひとつ。さすが華族。NHKさんこれインスタで特集するだけでも結構イイと思うんですけどどうでしょ。 pic.twitter.com/2oUkXp9GRr— 鮭 (@meqane21) April 16, 2024
（宇多丸）だしさ、これは放課後ポッドキャストの中でも言いましたけども。でも同時に、もちろんすごく楽しいドラマでもあって。笑えるところがいっぱいあって。途中途中でかかる音楽が結構、マカロニウエスタン調っていうか。『荒野の用心棒』とかみたいな。だからやっぱり、決闘に行くじゃないけど。やっぱそういう、威勢よく戦いに行く感じもちゃんとすごく面白いし。あと、僕がすごく不思議がっていた聖橋……明治大学ですから、御茶ノ水の。
（宇垣美里）待ち合わせに使うような橋。
（宇多丸）聖橋なのか、御茶ノ水あたりのあれ。引きの画とか、どうやってんのかな？っていうのもあれ、教えてもらったんですけども。どこかにあるんだって。ああいう場所が今。で、あれは元々、四谷にあった橋を移設してっていう。
（宇垣美里）じゃあ、本当のその橋を使って？
（宇多丸）そう。だからまさにあのお掘の川沿いのあそこの感じになっているらしいんですよ。というようこととかね。
（宇垣美里）ねえ。雰囲気もすごくいいですよね。
（宇多丸）よかったし。で、メールもちょっと抜粋して読みますけども。「朝ドラジャンキーな母親のもとで育ったので、朝ドラを見る習慣が体に拭えないほどついており、本作の『虎に翼』はこの時点で少なくとも朝ドラ史上に残る傑作だと思っています。今、この傑作をリアルタイムで見れるのに見ないのはマジで損と思える作品を宇多丸さんが見始めていただいて……」って。これは要するに僕、朝ドラを見る習慣が近年、全くなかったんでっていう話について書いていただいたりとか。あと、こちらの方はよねさんというね、さっきおっしゃったスーツを着てね、マニッシュに決めてらっしゃる方。
（宇垣美里）男装をして。なぜなら、彼女は別に男性になりたいわけじゃなくて。女性だと思われたくないんですよ。という意味で、たぶんあの服装を選んでるんだと思うんです。
（宇多丸）で、その服装に対して、さっき言ったように司法試験の最後の面接でどうこう言われて。そこはもう絶対に自分を曲げなかったというよねさん。そのよねさんが初期のシーンでカフェで、訳知りのマスターが「事情を知りたいかい？」って話しかけてくるけれども。そういうところで勝手にマスターが話しちゃうんじゃなくて。要するに、第3の登場人物がバックボーンを話してしまうことに対して、この方はすごく嫌だそうなんですけども。「この『虎に翼』ではそれを甘んじて聞くのではなく、伊藤沙莉さん演じる主人公・猪爪寅子さんが『いや、いいです。彼女のことを別の誰かから聞くのは違うと思うので』と毅然と断っていて。こういう作りを見て、この作品は信頼できるなと思った」とか。
あとはこちらの方。「第1週で母親と新しい振り袖を作るから甘味処で待ち合わせる時、寅子がすれ違う街の様々な年代の女性たち。その女性たちが泣いていたり、悲しそうに歩いていたり、年配の女性が重そうな荷物を背負っていたり。この細やかな演出を見て、私はこのドラマの誠実さを感じました」とか。すいません。皆さん抜粋になっちゃってるけども。こちらの方。面白いなと思ったのは「今回の『虎に翼』、いつもの朝ドラと違う点。それは子供時代がないっていうことです」という。たしかにね！
（宇垣美里）だって女学校の3年生か4年生ぐらいからスタートでしたもんね。
（宇多丸）「通常の朝ドラでは主人公の子供時代を子役で1週から2週、放送することがほとんどです。その子役は後に主人公の子供の役になるというのもよくあるパターン。でも子供時代をなくし、寅子の行動そのものに集約しているというのも新しいと思います」という。まあ、子供時代は明らかに重要な話ではないわけですからね。
（宇垣美里）だって学生時代ですら、こんなシュンッて終わっちゃって。つまり、この先にもっと地獄が待ってるっていうことだと思うから。
（宇多丸）そう。文字通り「地獄」というワードを使っておりましたけどね。だからこそ、マカロニウエスタンを鳴らして。とにかく戦闘開始っていうね、ことではあるんだろうけども。
（宇垣美里）頑張ってほしい。「負けるな！」って思いながら。
（宇多丸）でもね、周りの素晴らしい人々みたいなのも。
（宇垣美里）あと、ちゃんと優しい男の人もたくさんいるんですよね。
寅子の周りの優しい男たち
（宇多丸）最初わかってなかったりとか、あれだったとしても、ちゃんと男性にも変化とか学びとか反省の余地はあって。それもちゃんと、そのプロセスを踏んでいて。勝手に反省していたりするんじゃなくて。「あんた、こうでしょう？」「そういえば、そうですね……」みたいなのとか。あとは本当に最初にね、轟。
（宇垣美里）はい！ 轟はいいよ！
（宇多丸）彼はたぶん、だから最初は狭い、男子だけのところで勉強してきて。そういう教育でしたから。そんなもん、（宇多丸の出身校の）巣鴨学園だったそうなんだから。そういうところに隔離されて、言っちゃえば性差別なことをガンガン言われるわけよ。
（宇垣美里）「男子たるもの」っていうことですよね。
（宇多丸）そう。でも、彼はすごく最終的なとってもね、いいんだけどさ。やっぱりあのさ、「自分が男らしさとか言っていた美点って、別に性差は関係なかったな」みたいなことをすごく素直に言うじゃないですか。
（宇垣美里）彼はかっこいい。
（宇多丸）ねえ。いいんですよね。ことさらにきれいごとを言ってるわけでもなくて。
（宇垣美里）気づいただけなんですよね。
（宇多丸）なんかその感じがね、いいですね。
? #トラつばプレイバック ?
花岡を中心にクラス全体が歓迎ムードの中、１人例外が…。
「笑止！…男と女が分かりあえるはずがないだろ」
轟の発言を、花岡が「口を慎みたまえ」と制してくれました?#朝ドラ #虎に翼#伊藤沙莉 #土居志央梨 #桜井ユキ #平岩紙 #ハ・ヨンス #岩田剛典 #戸塚純貴 pic.twitter.com/pIlkfiSwby
— 朝ドラ「虎に翼」公式 (@asadora_nhk) April 21, 2024
（宇垣美里）あと優三さんね。優三はいいよ！ 優三さん……書生さんで、一緒に住んでいる。
（宇多丸）ああ、仲野太賀さん。
（宇垣美里）ずっとね、試験を頑張っているんですけど、お腹が弱くて。緊張してお腹が痛くなっちゃうっていう。だからつまり、ああいった試験って、寅ちゃんは生理が当たってしまって、非常につらい状況で試験を受けなきゃいけなかったんですけど。一方の優三さんだって、お腹が痛いっていう。だからつまり、体調が弱い人っていうか。なんていうのかな？ 全員が健康なわけじゃないからねっていうところにも私は目を配ってるような気がしていて。一発の試験って、そういう弊害があるよな、みたいな感じにも見ていてなりましたね。
（宇多丸）本当だよね。あとはさ、ガンちゃん（岩田剛典）がいい演技してるなとか、いろいろあるんだけども。
（宇垣美里）ガンちゃんね！
（宇多丸）「コブラよ……」とか、いろいろあるんだけれども。
（宇垣美里）ガンちゃん、ちょっと笑っちゃうんだよな、私（笑）。
（オープニング終了の音楽が流れる）
（宇多丸）ああ、時間だ（笑）。ということで、本日のメニュー紹介です（笑）。
＜書き起こしおわり＞
