みうらじゅんさんが2023年4月4日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で自身のトレードマークとなっているサングラスは野坂昭如さんの影響であると話していました。
(みうらじゅん)五木寛之さんの『風に吹かれて』っていうのがすごい好きで。他の小説もいっぱい読んでたんですけども。五木さんと、あとは野坂さんかな。野坂昭如さんが好きで……たぶんこのサングラスは野坂昭如さんの影響だと思うんですよ。今、考えたら。
(宇多丸)ああ、そうですか。
(みうらじゅん)後にボブ・ディランっていうのもあったんですけど。はじめは確実に野坂さんになりたかったんですよ。
(宇多丸)野坂さんってだって、たしかに最初の方が濃いメガネしてましたもんね。あの頃の方がね。
サングラスの作家=野坂昭如
(みうらじゅん)そうでしょう? 割とサングラスの作家って言ったら、僕らの頃はもう絶対、野坂さんだったですから。それで俺、後ね、『11PM』っていう番組で1回、野坂さんにお会いしたことあったんですよ。大阪イレブンか何かでね。「大島渚を考える」っていう回があって。僕、「大島渚」っていうバンドをやっていたので。
(宇多丸)ああ、そうか。
(みうらじゅん)で、大島監督もおられて。
(宇多丸)えっ、それって事件というか。あれがあった後なんですか?
(みうらじゅん)どの事件ですか? ああ、あのぶん殴り事件? いい大人の事件でしょう? それも、ありました。
(宇多丸)その後。
(みうらじゅん)「ああいう人になりたいな」って思って、ずっと野坂さんに憧れていたんだけども。その時に、重鎮たちが結構いてね。
(宇多丸)結構だって、当時なんかタバコ吸っているんじゃないですか?
(みうらじゅん)そうですよ。タバコ吸って、野坂さんなんかウイスキー飲んで、椅子から何回も桂三枝さんみたいに転げ落ちたりなんかして。で、その時に俺と鴻上尚史さんの2人がゲストで。なんかちょっと言うと「うるさい!」とか言われて。東京からわざわざ行っているし、頑張らなきゃってこっちも思ってるんだけども。
なんか言うとすぐに「うるさい! 黙ってろ!」とかって言ってくるから。「いや、でもこれはどうにかしなきゃ……」と思って。それで1回、鴻上さんなんかボコボコに言われたんだよね。で、「ちょっと待ってくださいよ。僕らはね、大島渚を考えるっていうので来ているわけですよ!」ってちょっとムキになって言ったんですよ。
(宇多丸)ああ、えらい。言うべき、言うべき。
(みうらじゅん)そしたら野坂さんが「お前みたいな黒いメガネをかけているやつのこと、聞いてねえんだよ!」って言って。自分もかけているのにさ……。
(宇多丸)フハハハハハハハハッ!
(みうらじゅん)俺、でもね、それを今、考えたら最高に振ってくれたギャグかもしれないなって思って。俺、その時にボケられなかったんですよ。悪いことしたなと思って……。
(宇多丸)いや、どうですかね(笑)。でも、そこで突っ込み返したら、ご本人はどういうあれで言っているのか、わからないですけどね。面白いなー(笑)。
(みうらじゅん)たぶん野坂さん、作家でサングラスって言ったら……だから、『エロ事師たち』とか、あんなの大好きだったんで。よく読んでいました。
(宇多丸)でも共演しているのはすごいですね。
(みうらじゅん)1回だけ、お会いしましたね。それで「黒メガネのお前のことなんか聞いてねえんだ」って言われて。オチもつけていただいて。
(宇多丸)まさか、黒メガネの伝統が今、こうやって受け継がれているとはね。
(みうらじゅん)伝統がありました。
受け継がれるサングラスの伝統
(宇多丸)「なんだ、お前!」みたいな。「お前、待ってろ!」っていうことかもしれないですね。
(みうらじゅん)やっぱりなんか、ルックスから入るきらいがあるんですよ。俺。作家も。ミュージシャンとも同じなんですけども。その作品云々より、聞いたり、読んだりしてる前は、その人の写真とか。かっこいいか、かっこ悪いか、自分の琴線に触れるかで、読み始めたような気がするから。
(宇多丸)それはわかりますよ。やっぱり、それこそ若い頃の筒井康隆さんなんか、めちゃくちゃかっこいいからね。そういうので。
(みうらじゅん)だからそういうところの流れも、ザシタレ(雑誌タレント)の流れになってくるんだろうなって。
(宇多丸)ザシタレの流れ(笑)。
(みうらじゅん)キャラ立ちをしている人っていうことが大きかったような気がします。
(宇多丸)たしかに。だから我々、ガワから作っていく側ですもんね。やっぱり、自らをアイコン化していますもんね。明らかにね。もう打ちに行ってますもんね。
(みうらじゅん)ええ。
<書き起こしおわり>