宇多丸 NHK朝ドラ『虎に翼』の魅力を語る

大島育宙 NHK朝ドラ『虎に翼』を語る アフター6ジャンクション

宇多丸さんが2024年5月13日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で宇垣美里さんの激推しを聞いてNHK朝ドラ『虎に翼』を見始めたことについてトーク。最新話まで追いついてすっかりハマってしまった宇多丸さんが宇垣さんと『虎に翼』の魅力を話していました。

(宇多丸)あのですね、先週、放課後ポッドキャストの中で話したんですけども。

(宇垣美里)聞きましたよ。

(宇多丸)先週月曜日のオープニングでもお話しましたNHKの朝の連続テレビ小説。今、やっている『虎に翼』。宇垣さん、本当に熱くプレゼンしてくださって。

(宇垣美里)すいません。言葉足らずで。

(宇多丸)いや、とんでもない、とんでもない。それでいろんな方からも評判を聞いてですね、「これは見なきゃ」ということで。先週末、一気に。ほとんど。

(宇垣美里)一気見、できますでしょう?

(宇多丸)今、5週目というところまで僕はU-NEXTのNHKパックで見たんですけど。ちょうどその5週目が第1章・完っていうかね。

(宇垣美里)「学生時代」と大きくくくってということですね。

(宇多丸)ちょうどそういう感じだったんで。ひと区切りとしても良かったですし。いや、もう本当に皆さんからの評判……メールのあれなんかもたくさんいただいていて。今日、話すであろうというのを見越してね。というような感じなんで。ぜひ、その感想も言いたいですし……。

(宇垣美里)嬉しい!

(宇多丸)いやいや、私ごときはあれなんですけど。でも本当に、ありがとうございます。やっぱりね、宇垣さんのプレゼンで見ると、間違いないですから。これはね。

(宇垣美里)いや、もう本当にいい作品なんですよ!

(宇多丸)というか皆さん、ここに至るまでにもう1時間、話してますけど。相当ね、やらかしてますけども(笑)。

(宇垣美里)ものすごい……「涼子さまが本当に好きで!」とか(笑)。

(宇多丸)とかもあるしね。いろんなディテールのことについて……本当に皆さんからメールをいただいてるし。土曜日かな? 『マイゲーム・マイライフ』のイベントをやったんです。で、リスナーの方と直接サインをしながら話をする機会があって。そこで、いろいろ教えてもらったこともあったりして。

(宇垣美里)ああ、そうなんですか? あら、行きたかったわ!

(宇多丸)そうなんです。宇内さん、『龍が如く8』の中のマッチングアプリのLINE早押し、これがもう本当に半端ないっていう。全く水にシャシャシャシャッ!って。

(宇垣美里)強いんだなー(笑)。

(宇多丸)俺がちょっと引きましたからね。あのマッチングアプリのくだりは。「これでね、セクシー写真が送られてくるんすね!」って(笑)。

(宇垣美里)アハハハハハハハハッ! やりこんでら(笑)。

(宇多丸)「ないないない……どこがお嬢様なんだよ!」みたいなと言いながら、やっていたんですけども。そんな感じでですね、ちょっと『虎に翼』の話をしたいので。

(宇垣美里)やったー! アフター!

(宇多丸)シックス!

(宇多丸・宇垣)ジャンクション、2!

(宇多丸)ああ、びっくりした……。

(中略)

(宇多丸)宇垣さん、やっぱり皆さん、『虎に翼』をご覧になってる方も多いようですし。ちょっとね、全部は読み切れないんで抜粋していきますけどね。たとえばこちらの方。「高校の教員をしております。授業と部活、放送部で『虎に翼』の話を熱く語っています。先週の朝ドラの放送でトンチキ服発言がありました。あの場面、宇垣さんはどんな思いで見ていたのかと伺いたくメールいたしました」。

(宇垣美里)「私があの物語の中に入ることができたら、あんなやつぶん殴ってやるのに!」と思いながら見ておりましたよ。

(宇多丸)司法試験を受けるという時に、その最後の面接のところで……というか、明らかにその女性ゆえの、ある種不当に厳しい線引きで筆記もしかりですが。

(宇垣美里)確実に色眼鏡といいますか。

(宇多丸)おっしゃった通りですよ。それで僕ね、ちょっとすいません。このメールのことは置いておいて。先週、おっしゃっていた現代日本でも女性である分、医学部入試で(得点などが)差し引かれて落とされるみたいな話がありましたけども。あそこで俺も「この件は逮捕者が出ないとおかしい」って言っていましたけども。要はその件をあの場面で具体的に打っていると思いました。要するに、この話ってもちろん時代は戦前から戦後にかけて話ですけども。「これは今の話をしようとしてるんだ」と思いました。

「これは今の話をしようとしている」(宇多丸)

(宇多丸)いろんな、今の日本にいまだに残る性差別であったり。もちろんあと、民族差別もそうですし。あとは、司法の問題というのかな? たとえば自白偏重主義。こんなのは全然、戦後の今に至るまでずっと続いてきているものだし。司法がどっちかっていうと検察寄りに立っているっていう。そもそもね、法廷の構図が今とは違うけど。裁判官と検察官が上に立っているみたいな。そういう、今に全く持ち越されてる問題を今の問題として提示しようとしてると思いました。

(宇垣美里)本当にそうなんですよ。なのでトンチキ服……トンチキ服って、どこがトンチキ服ですか!っていう。

(宇多丸)ちゃんとしていましたよね?

(宇垣美里)「私が本当のトンチキ服を見せてやりますよ!」みたいな(笑)。

(宇多丸)宇垣さんとかトミヤマユキコさんが着ているものと一緒にされちゃあね、これは。

(宇垣美里)そう思うぐらい……でもあれって全然、今もあることで。

「私が本当のトンチキ服を見せてやりますよ!」(宇垣)

宇垣美里 トミヤマユキコとのファッション(トンチキ服)トークショーを語る
宇垣美里さんが2023年11月6日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でTOKYO FASHION CROSSINGでトミヤマユキコさんと行ったファッショントークショー「私たちは着たい服を着る!」について話していました。

(宇多丸)たとえば、そういう面接とか。

(宇垣美里)でも、私が就活していたのって10年前ぐらいのことですけれども。その時、私はテレビ局しか受けてないから何を着ていてもよかったけども。でも、他のたとえばもっとお堅いところに就職したいっていう人は絶対、パンツスーツはダメとか。

(宇多丸)パンツスーツがダメ?

(宇垣美里)ちょっとそれだと、なんというかもうちょっと活発な方がいいと思われる……たとえば、その広告業界とかだったらいいけど。でも、こっちの業界だとちょっと、みたいなのっていうのが。

(宇多丸)「スカートを履きなさい」みたいな?

(宇垣美里)そうは言われないですよ? ただ、「その方がいいらしいよ」っていうのはやっぱり、まことしやかに言われるし。で、やっぱり就活をするこっちは必死だから。そうやって「ああ、やばい。この日はスカートじゃないとダメなんだった」みたい感じことを言ってる友達の話をずっと横で聞いてて。「キモッ」って思ってましたけど。

(宇多丸)でもね、その適応せざるを得ない立場の人のことは責められないし。

(宇垣美里)もちろん、だから彼女たちがそう言われるから。たぶんそうらしいからって、そうするっていうのはもっともだと思うけど。でも、本当はそんなこと……何を着ていたって受かるべきだし。もちろん、そのTPOという言葉がありますから。その場にふさわしい服は必要だと思うけど。でもパンツスーツとスカートは変わらん。スーツなら。

(宇多丸)たしかに、そこぐらいは……とは思いますけどね。

(宇垣美里)今、どうなっているかはわかりませんけれども。少なくとも10年前は……だからあれ、決して昔の話ではなかった。そう思いながら、「うわあ、嫌だ……」と思いながら見てましたし。その後、伊藤沙莉さんが劇中、彼女自身がその勝ち取ったものについてすごく怒りを発散させるシーンがあるんですけれども。「一番賢い女性と言ってもいいんじゃないでしょうか?」って記者から言われた時に……。

(宇多丸)ああ、要するに女性初の弁護士になった3人を迎えて記者会見……みたいなところでね。

(宇垣美里)「はて?」って。その後から続く彼女が一息で、その彼女が抱いている怒りについてただただ、すごく冷静にお話をするシーンがあるんですけれども。私はもう、本当に聞いて泣けてしまって。というのは、あの怒りって決して昔のことではなくって。今も同じで。その怒りって、私が今も抱いてるもので。100年前のことを描いているのに、それは今の話でもあって。それが私はものすごく恥ずかしくて。100年前にこうやって道を切り開いた人に「本当にごめんなさい。まだ同じことを言ってるんですわ」って気持ちになったし。

(宇多丸)だからこそ今、作って見られているわけだけれども。

どんどん戦線離脱していく仲間たち

(宇垣美里)うろこが剥がれていくように、一緒に戦っていた友人たちがどんどんどんどん脱落していくわけですよ。でもそれって、その脱落理由は今もあるんですよね? 家庭の事情、出身、お金とか、そういうものでどんどん志半ばで倒れていく人たち。そんな人たちが私の同期にもいた。同級生にもいたって思うし。なんかたぶん、まだあることで。でもそれについて一番恵まれてる、そしてその恵まれているということを自覚してる寅ちゃん。主人公がその「恵まれているからこそ、ここにいる」っていうことを自覚した上で怒ってるところが私はすごく、好きでしたね。

(宇多丸)そこでね、やっぱり第1章・完でもあるから、ずっと非常に冷笑的に見ているのかなって思っていた新聞記者が、そこはちゃんと記事にしていたりとかね。ちゃんと……ただね、第1章・完にして、もう死屍累々じゃないですか。「えっ、ここに来るまでで、こんな?」みたいな。だから本当に最初、ズラリと並んでいた仲間たちが戦線離脱をせざるを得ないっていう。思ったよりもそこがハードで。

(宇垣美里)きついですよ。

(宇多丸)で、その「ハードで」っていう意味では、ひょっとしたらこれからさらにね、戦争真っ盛りになってきて。

(宇垣美里)ねえ。ヒャンちゃん……朝鮮のあの女の子はどうなるんだろう? この後、どんなつらい思いをするだろう?っていうこととか。

(宇垣美里)あと、華族……涼子さま。大好きなんですけど。

(宇多丸)私、ちょっとどっちかっていうと宇垣さんが重なって見えましたけどもね。なんとなく。

(宇垣美里)いえいえ。その、涼子さまがあんなにつらい思いをして、不本意な、でも、大事なものを守るために選んだ道ってでも、あと10年後は……っていうのを歴史的にわかっているので。

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