高橋芳朗さんが2024年3月20日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション2』の中でLE SSERAFIMのEP『Easy』からタイトル曲『Easy』を紹介。「静謐で浮遊感のあるトラップ」と表現し、ティナーシェやアリアナ・グランデの楽曲と聞き比べをしていました。
(高橋芳朗)じゃあ次はLE SSERAFIMに行ってみようかと思います。LE SSERAFIMも簡単にちょっとプロフィールを紹介しましょうか。LE SSERAFIMはBTSが所属する事務所HYBEから2022年にデビューしたK-POPのガールグループです。メンバーはチェウォン、ユンジン、ウンチェ、日本人のサクラとカズハの5人。去年リリースしたファーストアルバム『UNFORGIVEN』が全米チャートで6位にランクインするヒットを記録してます。来月4月にはアメリカ最大規模のフェス、Coachellaへの出演が決定してますね。
Coachellaの単独ステージに出演するK-POPのガールグループはBLACKPINKに続いて史上2組目となっております。LE SSERAFIMは通算3作目のEP『Easy』を2月19日にリリースしました。こちらはアメリカのアルバムチャートで初登場8位。シングルのタイトル曲の『Easy』がシングルチャートの99位にランクインしました。これ、全米シングルチャートのランクインはLE SSERAFIMにとって初めてで、K-POPグループとしては史上8組目の快挙になっております。
で、LE SSERAFIMは結構、欧米のダンスミュージックのトレンドに敏感な反応を示してきたグループで。主なところではレゲトンだったり、ジャージークラブだったり、2ステップなんかを取り入れてきて。そういう成果や積み重ねが好調なチャートアクションに続いてるところもあると思うんですけど。今回のEPも現行のR&Bの動向を強く意識した内容になってます。基本的には。で、まずタイトル曲の『Easy』なんですけど。この曲のサウンドはですね、静謐で浮遊感のあるトラップですね。
トラップは現行ヒップホップの主流のサウンドですけど。比較対象としてよく引き合いに出されてるのがLAのR&Bシンガーのティナーシェの楽曲だったりします。彼女は結構先鋭的なサウンドを積極的に取り入れてくるスタイルに定評があるんですけど。ちょっとここで彼女が2021年にリリースした『Bouncin』っていう曲を聞いてもらいましょうか。
Tinashe『Bouncin』
(高橋芳朗)はい。ティナーシェの2021年の作品『Bouncin』を聞いていただいております。この流れでLE SSERAFIMの『Easy』を聞いてみたいと思います。この『Bouncin』とのマッシュアップが出回っていたりもしますので。
(宇多丸)ああ、似ているっていうことで。ちなみに歌詞はLE SSERAFIM、今回は英語詞っていうこと?
(高橋芳朗)韓国語を交えてるのもあるし、英語バージョンも両方あるんですけど。これから聞いてもらうのは英語バージョンです。では、聞いてください。LE SSERAFIMで『Easy』です。
LE SSERAFIM『EASY』
(高橋芳朗)はい。LE SSERAFIM『EASY』、英語バージョンで聞いていただいております。
(宇多丸)宇内さんが「K-POPがR&Bの影響を受けたっていうよりも、もう全部がK-POP的に聞こえる」っていう風に……。
(宇内梨沙)先にK-POPがもはやこの楽曲を出していたんじゃないかな?って思うぐらい、1曲目に聞いたこの『Bouncin』がK-POPっぽいなって思っちゃいました。
(宇多丸)でもさ、その相互影響は正直、どっちが先とかもう、わかんないなっているところもあるんじゃない?
(高橋芳朗)その部分もあるでしょうし。あとLE SSERAFIMは非常に取り入れ方が上手いですね。
(宇多丸)まあね。K-POPはとにかく、そこは本当に取り入れて、独自のものにするっていうので発展してきてるからね。それはね。
(高橋芳朗)で、LE SSERAFIMのスタッフがトレンドのサウンドに関して熱心にリサーチしていることの裏付けに、これから聞いてもらう曲はなると思うんですけども。さっき紹介したアリアナ・グランデの新作のタイトル曲『eternal sunshine』が『Easy』によく似てるんですよ。じゃあ、ちょっと聞いてみましょうか。アリアナ・グランデで『eternal sunshine 』です。
Ariana Grande『eternal sunshine』
(高橋芳朗)はい。アリアナ・グランデ『eternal sunshine』です。
(宇多丸)でも宇内さん、聞いていて「これはやっぱりアリアナだ」って。
(宇内梨沙)やっぱり同じようなメロディーでも、アリアナ・グランデの声を聞くと「アリアナの曲だな」っていう風になるのが唯一無二の声だなとも思って。
(宇多丸)やっぱりスーパースターの違いですかね。そこは。単独でバンッて出るのは。
(高橋芳朗)しかしこういう静謐なアンビエントなトラップサウンドとウィスパリングボイスの相性っていうのはもう抜群ですね。
(宇多丸)まあ、さっきから言っているジャネット・ジャクソン的なというかね。
(高橋芳朗)アリーヤとかね。
(宇多丸)でも、浮遊感はあるんだけど、ちゃんとそのソウルなあれもあるっていうか。アリアナ・グランデはね、ガチ歌いすれば、ぶっとく歌おうと思えばいけるっていう、その強みもあるから。
<書き起こしおわり>