宇多丸 RHYMESTER・17年ぶりの武道館公演を振り返る

宇多丸 RHYMESTER・17年ぶりの武道館公演を振り返る アフター6ジャンクション

宇多丸さんが2024年2月18日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション2』の中でRHYMESTERの17年ぶりの武道館を振り返っていました。

(宇多丸)はい。ということで月曜日です。よろしくします。アフター6ジャンクション2。

(宇垣美里)宇多丸さんっ! フゥーッ!(拍手)。

(宇多丸)あ、いやいや……。ここだけ聞きたら「一体、何事なんだ?」っていうね。

(宇垣美里)いや、もうありがとうございました! 本当に!

(宇多丸)いや、いらっしゃいませというかね、よくお越しいただきましたということで。

(宇垣美里)いや、もうなんか、もう魂が洗われました。魂が洗われたし、みんなであのコール&レスポンスで「RHYMESTER! No.1!」とかっていうのも楽しかったけども。でも「私たちは、素晴らしい!」っていうのがもう本当に言った後で「俺たち全員、素晴らしいんだぜ!」っていう気持ちになって。

(宇多丸)あれね。すいませんね。RHYMESTERの先週の金曜日の武道館ライブの話をしていまして。

(宇垣美里)ああ、そうです。すいません。先走ってしまいました。

「俺たちは! 素晴らしい!」コール&レスポンス

(宇多丸)ありがとうございます。いや、そうなんです。言っていただいてすごい嬉しい。あのコール&レスポンスって、なにか変わった日本語ならではのコール&レスポンスしたいなっていつも、いろんなことをライブ中にいろいろ試したりして。いろいろボツったどうでもいいやつとかもあるんですよ。「応えようがねえだろ」みたいな。「どうですか?」みたいなのもあるんだけど。みんながざわつくみたいなのもあるんだけども。あれはね、だから「RHYMESTER! King of Stage! RHYMESTER! No.1!」ってやって。で、「Hip Hop! No.1!」って。要するに、ヒップホップという文化を称えるというところから、でもたとえば音楽フェスとかの時はヒップヒップだけを称えるのも……っていうのもあって。それで「音楽は! 素晴らしい!」って言いだして。で、最近ですね。ここ1年ぐらいかな? ツアーを回っていて「俺たちは!」っていうのを入れるようになった。要するに会場全体で、お互いね、こうやっていく。で、なんかそれがすごく、やっぱりその「自己肯定感が上がる」っていう風に言っていただく方がすごくいっぱいいてですね。「ああ、これはよかったな」って思って。やってる本人がもう自己肯定感、最悪になっていますからね。

(宇垣美里)なんで、なんで?(笑)。

(宇多丸)すごいですよ。さっきもだって、宇多丸分室を録っていたんですけども。もう、例の愚痴と説教がもうかまされ、かまされ……武道館が終わって、皆さんのメールをいっぱいいただいて。それを読んでるうちにだいぶもう、上がってきたんです。皆さん、ありがとうございます。「本か?」ってぐらいいただいていて。正直、放送前に読み切ることができないぐらい、いっぱいいただいていて。本当にありがとうございます。放送内でご紹介できるところ、限られますがね。いや、それを読んでるうちに「ああ、なんだ。結構喜んでいただいていて、よかったわ」って。

(宇垣美里)めちゃくちゃ楽しかったですよ!

(宇多丸)さっき、だってその分室の第一声が「穴があったら入りたい」ですからね?

(宇垣美里)なんでだよ(笑)。

(宇多丸)いや、やっぱりやったやった本人はいろいろと「ああすればよかった、こうすればよかった」っていうのが出てくるんですよ。これはね。

(宇垣美里)そんなのもう、諸手を上げて。「やあやあやあ!」みたいな感じで登場していただいた方がいいぐらいですよ。

(宇多丸)あのね、終わった直後はいろいろ、アドレナリンが出ていて。その感じもあるんですけど。だんだん冷静になってくると、いや、本当に……大は、なんだろうな? たとえば「ここでこういう風に動けばよかった」とか「ここでこういう風に重ねればよかった」とか。「ああ、声が枯れちゃった」とか。声が枯れちゃったっていうのが一番の問題だよね。もう、恥ずかしい。「こっ恥ずかしい! もう、なにやってんだ、この野郎? バカじゃねえの、お前?」みたいな。しかも、体はすごい動いて。全然元気だったんですよ。全然元気だったんだけど、その「さっ、わっ、げーっ!」の「げーっ!」だけワーッと生声でやるっていうイキり仕草をついついやってしまって。あれ、10代とか若い時ならいいんですけど、ついついやってしまって。あそこで声をやっちゃって。

で、「ああ、もう声が枯れたし。あーあ、恥ずかしい……」みたいな。あとは本当に細かい話。「ここの部分で右、向けばよかった」とか「左を向けばよかった」とか。そういうことも結構、ウジウジウジウジ考えてしまったりするんです。で、もう今日のその宇多丸分室。この前に収録したその第一声は「いや、本当に穴があったら入りたいっす。本当に、どうも申し訳ありゃっせんしたっ……」みたいな。しかも今日、まさに2月19日はこの裏でね、今頃もまだやってるんですかね? さすがにもう終わったか。BADHOPの東京ドーム公演。またヒップホップ史上初めての東京ドーム公演ですから。本当に成功を祈ってやまないです。あと、結構スタッフがかぶってるんで。もちろん成功を祈ってやまないと同時に「まあ、もうみんな、忘れたよね。武道館のことは」って。

(宇垣美里)そんなことないんですって!

(宇多丸)まあ、忘れてくれたなら、穴に入る必要はなくなったから比較的いいかもしれないとか、いろんなことを思ってたんですけど。

(宇垣美里)もうずっとねぶって、反芻してますよ。あの買った帽子をかぶって。あとも、今日は靴下も履いてきました。

(宇多丸)ありがとうございます。隠れたおしゃれ、RHYMESTERソックスで。

(宇垣美里)でも、ちょっと結構売り切れちゃっていて。プンスカです。

(宇多丸)ああ、グッズがね。すいません。ちょっと至らぬところがあって。ということで皆さんからいただいたメール、ちょっと全部はご紹介しきれないんですけども。ごくごく一部をご紹介しつつ、実際に武道館どうだったのかというお話をちょろりとさせていただきます。すいませんね。

(宇垣美里)フゥーッ!

(宇多丸)穴に入る必要もないのかな? ちょっとはイキッてもいいのかな? 俺がやったんだぞ、この野郎! 武道館、大成功だぞ!

(宇垣美里)イエーッ! アフター!

(宇多丸)シックス!

(宇多丸・宇垣)ジャンクション、2!

(宇多丸)ねえ。そんなにね、売れてないアーティストが武道館を成功させるの、大変なんですから。17年ぶり、大変なんです。そんなに売れてない人がやるのはこれ、大変なんですよ!

(宇垣美里)なんでちょっと赤いの?(笑)。

(中略)

(宇多丸)アフター6ジャンクション2、パーソナリティーは私……すいません。恥ずかしながら先週金曜日、武道館公演を無事終えました、ラップグループRHYMESTERの宇多丸でございます。そして……。

(宇垣美里)一番盛り上がっていた自信があります。月曜パートナーの宇垣美里です!

(宇多丸)メールでも「あの騒いでいたのは宇垣さんですか?」っていうので、ちょいちょい目撃情報、ありましたよ?

(宇垣美里)でも別に私、1人で騒いでないもん。

(宇多丸)曜日パートナーの皆さん、お越しいただきまして。

(宇垣美里)私の隣の山本さんも相当騒いでたし。その横で宇内ちゃんも騒いでました。ただNスタ組は後で遅れて来たので席が遠かったけども。

(宇多丸)いや、本当に嬉しい限りで。皆さんがね、もちろんお客さんもそうだし。いつもの仲間たちが……というか、我々の長年の。我々、武道館は17年ぶりなんですけど。ある意味、その17年前の武道館を終えた後にウィークエンド・シャッフルを本格的に始めてるんで。ある意味、終わった後に……これ、ちょっと話が飛びますけど。終わった後に関係者挨拶。関係者挨拶っていってもちょっと、関係者がものすごい数、いたんで。ものすごい数に膨れ上がっていたんで。

(宇垣美里)もう1回、ライブできるぐらいいましたね。

(宇多丸)そうそう。本当にそれ、言ってた。「こいつら相手にもう1回、できるな」って。それぐらいいらっしゃって。でもそれが、なんていうのかな? この17年間の私どもの活動の、なんていうかな? ひとつ、成果というか。皆さんとこういう関係ができたから、もう1回武道館ができるようになっているんだよな、みたいな。だって、ウィークエンド・シャッフルをやっていない自分って、もう想像ができないから。なので、ちゃんとなんていうか、違うところまで来れているっていうのはありがたいことだなと思ったし。それはひとえに、皆さんもそうですし。聞いていただいてる皆さんのおかげ……こうやってね、なんかすごいライブ後の挨拶っぽくて、なんかね、嫌だね。きれいになっちゃってる感じが嫌だ、嫌だ。

(宇垣美里)「改めて」ですよ。

(宇多丸)じゃあ、メールを。

(宇垣美里)そう。メールもこんなに。皆さん、目は通すけれども。でもちょっと全部はね、放送でのご紹介はちょっとできないんで……。

(宇多丸)放課後ポッドキャストでもご紹介しますが、それにしたってこれ、全部読んでいたら……Amazon Audibleですよ、もう。Amazon Audibleのコンテンツですよ。これを全部読んだら。

(宇垣美里)後ろになればなるほどね、字が細かくなる。

(宇多丸)そう。もうね、諦めて級数を細かくしたっていう。「文庫か?」っていう級数で。じゃあ、ちょっと代表的なところを。

(宇垣美里)じゃあラジオネーム「猫太郎先生」さんからいただきました。「宇多丸さん、こんばんは。猫太郎先生と申します。現在、26歳です。武道館ライブの感想をお伝えしたく、初めてメールいたします。RHYMESTERのライブは初めてで、ドキドキしながら参戦しましたが、会場が暗くなった瞬間からテンションMAX!」。わかる! 「歌って踊って大声で騒いで、あっという間の3時間。これがキング・オブ・ステージかと発表されました。RHYMESTERというレジェンドがレジェンドでい続けてくれること。憧れの存在であり続けてくれること。それだけで、後に続く者たちにとって希望だなと思いました。私はアーティストでも何でもない、ただの一市民に過ぎませんが、RHYMESTERのようなかっこいい大人になれるよう、頑張りたいと思います。本当に楽しかったです。ありがとうございました」。わかるよぉーっ!

(宇多丸)ありがたい、もったいない言葉でございます。ありがとうございます。とか、もういろんな……すごくでも、僕らのライブって本当になんか結構さ、ヒップポップ濃度が高い、こわちい人が多いのかな?っていうイメージをまだお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが。本当に老若男女っていうか。

(宇垣美里)そうですね。年齢層も幅広く。

年齢層が幅広い客席

(宇多丸)ぱっと見たら、もちろん今はもうお子さん連れも多いから。もう何世代にもわたってるし。もうどの感じの誰っていうのはあんまりわかんない。パッと見た感じね。これ、僕らがCKB、クレイジー・ケン・バンドのライブに初めて行った時に「ああ、かっけー!」って。つまりその、これだけもう全員バラバラで。でもなんかみんな、すごくいいバイブスっていう。「こういうアーティストになっていきたいな」って思った、まさにそれでもあるし。

(宇垣美里)まさしくですよ。

(宇多丸)横山剣さんとね、スモーキー・テツニさん。クレイジー・ケン・バンドのお二人も出ていただいて。

(宇垣美里)『肉体関係』。あれはもしかしたら、子供はちょっと……。

(宇多丸)そうなんですよね。そうそう。だから『肉体関係』はやったのに、ちょっと『こてつくん』をやりきれなかったのはちょっと悔やまれて。それはね、すまん! あのね、よく考えたらこんだけ余力があるんだったら……声は枯れているけども。こんだけ体が動くんだったら、『こてつくん』をやればいいじゃないかっていう。これはね、ひとつ思って。これは……申し訳ありゃっせんしたっ!

(宇垣美里)たしかに。お子さんは喜んだかもしれないですね。私も喜んだし(笑)。

(宇多丸)そうなんですよ。そういう反省……反省の話をしてる場合じゃないね。

(宇垣美里)だってそんなことを言ったら、全曲やってほしいじゃないですか。

(宇多丸)申し訳ございません。今回は一応、『Open The Window』というニューアルバムの流れで、アルバムに参加していたアーティスト全員集合。だから、ちょっとしたフェス感というかな。そういう感じも。ただ、フェスとは言いながらやっぱり時間も限られてますから。我々も構成を練りに練り。普段のツアーとはまたちょっと違った、特に冒頭しばらくですね。要するにバンバンバンバンッ!って豪華なアーティストが次から次へと展開していくっていうのを目論んだわけですよ。

(宇垣美里)もうクラクラしました。

(宇多丸)あと、やっぱりね、盛り上がっていただくのはすごく嬉しくて。やっぱオープニングって一番、気持ちが上がるところじゃないですか。で、今回一番の大仕掛けはその武道館の舞台全体がLEDでバーッと包まれていて。前回のね、非常に質素なトラス。俺たちのね、トラス精神。そのトラス精神はすっかり失ってしまった。もうLED時代。トラスを自分の手で組んでいた時代がもう過去のようだ。

(宇垣美里)そ、そうなんですか?

(宇多丸)まあ、それは嘘なんですけども。で、ガーッとせり上がってきて。後にはね、SOIL&”PIMP”SESSIONSがバンドセット丸ごとせり上がってくる。そこでまず、RHYMESTERの3人がガーッて下から上がってくるという演出は17年前の武道館とある意味、同じなんです。で、そこから、ちょっと押しちゃいました。ちょっと押したのは俺たちがわがままを言ったからではなく、本当に準備がね、大変でね。当日ね。だって俺さ、そうなんだよ。なんで声が枯れているか?ってさ、本番前に3時間、リハをやってんのよ? そうなんだよ。そう! 3時間、リハ!

(宇垣美里)誰に怒っているのよ(笑)。

本番前3時間のリハーサル

(宇多丸)岸くん……岸社長に(笑)。で、そのリハが終わった時点で俺、「もう疲れた」っつって(笑)。で、もうあんまり疲れたからって、ご飯も食べて。あ、ちなみにケータリングはムルグアールマサラ。てめえでプロデュースしたカレーをてめえで食べて。「ああ、美味しい!」って。もう高速増殖炉。で、元気をつけて。それでも元気がつかない。「疲れちゃった」って。で、いつもだったら「プロドリンク」っつってビールを飲んでいるんですけども。ビールだけでも元気が足りないからってエナジードリンクも。だからビール、エナジードリンク、ビール、エナジードリンクって。その結果、あの元気なおじさんが出現っていう。

(宇垣美里)ちょっともう、ハイじゃないですか(笑)。

(宇多丸)で、それはいいんだけども。舞台上でちょろっと言いましたけども。Dさんが「トイレに行きたい」って登場するなり言いだして。

(宇垣美里)そりゃあその2つを飲んだら、だいたいの人は行きたくなりますよ?

(宇多丸)ただ、よくあることであるんです。直前にトイレみたいなのはDもJINもよくやることであるんですよ。私はね、そこはもう準備万端の大人ですから。もうそこで「あのね、この今の1時間余りはどうやって使うべきか、わかるだろう? ここで出るってわかってるんだから、ここまでにお前のタンクを空にしとくんだよ!」って思うんだけど。でも、「まあ、いってらっしゃい。出物腫れ物はしょうがないもんね」って。ただ今回ばっかりはDが結構直前に「あ、やっぱ……」言い出した時に「嘘だろう?」って思った。そしたら、Dも行ったんだけども。イントロが始まっちゃって。要するに、連携がうまくいかなかったんでしょうね。「デンデーン♪」っつって。それでDが「行けなかった」って帰ってきて。「最悪、途中で出るかも……」って。で、俺も「まあ、しょうがない……」って。で、上がってきた結果があの、ドヤですよ。だからこの瞬間……逆によかったんだよ。後は野となれ山となれ。出ちゃったんだから、しょうがない。あとは途中でトイレに行こうと、何しようと、ねえ。

(宇垣美里)そんなアナザーストーリーが。

(宇多丸)でも始まったら「いやー、引っ込むんだね!」なんてね。気合で引っ込ませて。それでいろいろとね、Reiちゃんが出てきたり。

(宇垣美里)おしゃれだったー。かっこよかったー!

(宇多丸)最高だよね。で、MASTA SIMONが出てきて。という流れの中で、ポンポンポンッと行ってさあ、問題の岡村靖幸さん。岡村さんからメールが入っていまして。「すごく楽しかったです。最高でしたね。ただ、『出禁』というワードのみがネットで独り歩きしてるので、ちゃんと月曜日に話してください」っていうのが来ていてですね(笑)。

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