みうらじゅんさんが2023年12月29日放送のNHKラジオ第一『しごとをあそぼ〜高橋Pのラジオ』にゲスト出演。リスナーから届いた「ダメ出しをされると人格否定された気になり、感情的になってしまう」というお仕事の悩みについて回答していました。
(高橋弘樹)最後、「新しい環境に慣れない」というお悩み。35歳の方。「先月、転職したばかりです。ムダな緊張は取れてきたものの、まだ環境にも仕事にも完全には慣れていません。お二人は新しい環境で仕事をする時、心がけていることはありますか?」。
(みうらじゅん)でもね、日常だって慣れたから、飽きたりしてるじゃないですか。でもね、探しようによってはね、微妙に変わってるんですよね。日常って。まず、やっぱり昨日よりは今日、老けてるわけですよ。1日、1日。気がついてないだけで。で、「新しい環境になかなか慣れない」っていうのはドキドキもするし、わくわくもすること、あるじゃないですか。
(高橋弘樹)本当はそっちもありますよね。
(みうらじゅん)慣れたら、つまらない。飽きるっていうのが人間には備わってるじゃないですか。だからこれ、いい時なんですよね。慣れないうちがいい時なんだけど。実は日常でも、慣れてると思ってるものが、まだ見たこともない現象を起こしてることがあるから。それを日々、発見していれば「この時だけがドキドキする、ハラハラする」とかっていうのから逃れることができるかもしれないなと思ったんですけどね。
(高橋弘樹)それはいいですね。「慣れてない」っていうのはそもそも「飽きてない」っていうことなんだと。
(みうらじゅん)そうです。慣れてないっていうのは、飽きていないことですから。
(高橋弘樹)ああ、そうか。飽きたら、それこそ苦痛ですもんね。
「慣れていない」=「飽きていない」
(みうらじゅん)飽きたのが一番、苦痛じゃないですか。もうやめるか、別れるしかないじゃないですか。やっぱりね、別れの原因で一番きついのは「飽きた」ですよ。だからうまいこと、「好きじゃなくなった」とか言うけど。本当は飽きてるんでしょう?
(高橋弘樹)本当は、飽きているんですか?(笑)。
(みうらじゅん)あれ、ダメでしょう? 「飽きる」は一番、言っちゃいけない言葉でしょう? 「あきる」って使っていいのは「あきる野団地」ぐらいですよ。
(高橋弘樹)あきる野団地はOKですか?(笑)。
(みうらじゅん)あそこぐらいです。「飽きる」は言っちゃいけないのかもしれない。「飽きる」って言った瞬間、人って飽きるんですよ。言葉にすると、たぶん耳から入って、もう1回脳が「本当だ! 飽きたんだ!」って思うんですよ。
(高橋弘樹)やっぱり言霊って、あるんですね。
(みうらじゅん)あると思います。特に日本語は、あります。
(高橋弘樹)そうか。じゃあ、この人も「慣れてない」って思わずに「ああ、飽きてない。まだ今日も飽きてない」っていう風に出社した方がいいのか。「まだドキドキするな」って。
(みうらじゅん)「今日も飽きてない。飽きる暇なし」っていうことですから。「飽きる暇なし」ってするのが人生、暇なしの一番いいことですからね。
(高橋弘樹)ああ、飽きないことが大事?
(みうらじゅん)飽きないこと。だからそのためには日々、やっぱり些細なことでも発見していくのが飽きないのひとつの原因だもんね。で、その時に妙に自分で驚いてみせる。自分を洗脳するためにね。
(高橋弘樹)ちょっと大げさに?
(みうらじゅん)「小指、めっちゃ爪伸びてる!」とか、めっちゃ言ってみるみたいなことは大切だと思うんですよね。自分を騙していくにはね。
(高橋弘樹)いやー、なんか今日、みうらさんのお話を聞いていて、改めて(仕事で一緒になった)18年、19年前に無意識ですけど、たぶんみうらさんの考えとかにすごい惹かれてたんだなっていうのがわかりました。やっぱり、どうかしてますよ。
(みうらじゅん)マジですか? それは「DS」って呼んでるやつですね。
(高橋弘樹)DS(笑)。みうらさんの言葉で「どうかしてる(Douka Shiteru)」っていうね。
(みうらじゅん)DSですね。
「DS(どうかしてる)」
(高橋弘樹)DSだよ、本当に。なんか初心を思い出した気がしました。
(みうらじゅん)ありがとうございます。
仕事ってもっと面白くなりませんか?
映像ディレクター#高橋P こと #高橋弘樹 と#ゆるキャラ #マイブーム の生みの親#みうらじゅん が
仕事を面白くする方法を考えてみた!
働く人のお悩み相談も!1月5日(金)まで!https://t.co/pD3tOiknmD pic.twitter.com/4zNYBuiTlw
— らじる (@nhk_radiru) December 29, 2023
<書き起こしおわり>