（岩井勇気）なんか、そう。喧嘩みたいな。些細なことだったと思うんですけど。その時に、この皐月が「結局、岩井さんは『岩井さんのことが大好きな私が好き』なんですよね？」って言ってきて。「だったら私の『好き』がなくなったら、岩井さんも好きじゃなくなるってことだよね？」って言ってきたのね。そう言われて……で、俺は「ああ、その通りだった」ってちょっと思ったわけ。
（澤部佑）岩井のことを……？
（岩井勇気）だから、俺のことをめちゃくちゃ好きな皐月が好きっていうことで。「じゃあ、私が好きじゃなくなったら、岩井さんは私のこと好きじゃないんですよね？」っていう風に言われて。「その通りだ」って思って。いや、なんかそれを自覚して。「たしかに言う通りだ」ってなってさ。だから自分のことが好きな皐月が俺は好きだと思って付き合ってた。じゃあ、皐月が俺のこと好きじゃなくなったら、俺ってどうなんだろう？ってその時に本気で考えて。言われて、「はっ！」ってなってさ。でもなんかこう……うーん。その時に結構、考えたんだけど。でも皐月が俺のこと好きだろうが、そうじゃなくなろうが、もう好きになってるなと思ったの。その時に。ちょっと真剣にね。
で、それと同時に「皐月は俺のことを人として対等に向き合っていたのに、俺はそうじゃなかったんだ」ってなったんだよね。で、初めてその時に対等に向き合って考えて、「ああ、好きだな」と思ったわけ。「なんだよ、俺の方がよっぽど子供なんじゃん」って思ったんだよね。だから「ごめん。1人の女性として、俺は皐月のことが好きだわ」って言ったの。その時に。今年の半ばぐらいにね。
（澤部佑）おおっ、前までだったら、考えられないんだろう？ そんなのは。
（岩井勇気）考えられないかもしれない。
（澤部佑）たぶんね、前までの岩井だったらね。自分の好きに当てはまってるから、好きなだけで……っていうね。前までだったら。
（岩井勇気）なんか、そう。理屈で考えてたかもしれない。
（澤部佑）なるほどね。それがなくなって、それを超えてくる……。
「理屈じゃないんだ」と気づく
（岩井勇気）なんか、理屈じゃないんだってその時、なったんだよな。理屈をずっと考えてたんだけど。考え抜いた結果、「もう、これは違うな」ってなってね。で、「本当に理屈じゃなくて好きなんだ」って、なったんだよな……。
（澤部佑）「なんだよな」って……みつをみたいになって（笑）。理屈じゃなく？
（岩井勇気）理屈じゃなく、好きなんだなあ……（笑）。
（澤部佑）「いわをゆうき」（笑）。書を級に書かないでくださいよ（笑）。
（岩井勇気）それで、先月だよね。
（澤部佑）おお、またちょっと進んで先月？
（岩井勇気）先月。なんか2人で話してる時に、話の流れでね、「こうやって付き合ってるけど、やっぱりいつか世間に公になった時に、きっと厳しい目で見られるだろうな」って言って。「その時、どうしたらいいんだろうな？」みたいな話をしたわけ。で、そんな風に話していて、その時にやっぱり俺も考え抜いたんだけど。いろいろ、どうしたらいいか？て。この関係を。なんか、公になった時に厳しい目で見られる。じゃあ、もういろいろ考えて。結構考えて。「いや、これはもう、二つしかない。別れるか、責任を取って納得してもらうには、結婚するか。この二つしかないな」って俺は思ったの。でも、皐月には俺は「結婚」とか言えなかったんだよね。
（澤部佑）その二択ってなった時に、選択肢としては浮かんだけど、言えなかったんだ？
（岩井勇気）言えなかったね。
（澤部佑）言える感じではなかった？
（岩井勇気）相手の人生を決めちゃうことになるわけじゃん。この選択って。まだいろいろ、あの子の世界は広がっていくと思うし。で、奥森皐月として、1人の人としてちゃんと仕事をしたいはずなんだよね。あの人って。
（澤部佑）目標、夢があってやってるわけだからね。
（岩井勇気）そう。そこに、やっぱり結婚ってなると違うバイアスがかかっちゃうんじゃないかと思ったんだよね。俺は。活動する上でね。だから、そんなことを考えたら……「いや、俺には言えないわ」って思ったの。たぶんでも、その中にも、なんか自分の保身とかもたぶん入ってると思うんだけど。
（澤部佑）ああ、世間にどう見られるか、とか？
（岩井勇気）とかも入ってると思うんだけど。でも一番は「向こうのことを考えたらやっぱり言えない。結婚を突きつけるのはちょっと酷すぎるわ」っていう風に俺、思ってたから。
（澤部佑）真剣に考えたからこそのね。
（岩井勇気）「だとしたら、もう別れるしかないのかもな……」って思っていた時に皐月が「じゃあ、結婚しちゃう？」って言ったの。その時に俺は「いや、かっこいい！」って思ったね。
（澤部佑）えっ、なに？ 2人でそれをしゃべってる時に、急にポンって言ってきたの？
（岩井勇気）俺はすごい考えて、「ああ、これやばい。別れるしかないのかな……」と思ってたら「じゃあ、結婚しちゃう？」って言ってきた時に「うわっ、かっこいいわ！」って思って。「なんだよ、この人。めっちゃ肝、据わってるじゃん！」て思って。あのね、俺はあの人がどれだけ賢いか、いろいろ考えてるかっていうのを知ってるから。自分が今、結婚っていう選択することでどうなるかっていうのはわかってるはずなんだよね。俺が考えてることも、たぶん頭に浮かんでるはずなんだよ。その上で「結婚しちゃう？」って言えるってすごすぎるって俺は思って。「かっこよすぎるな！」ってその時に思ったんだよね。だから、俺もそれに応えないとって思って。「結婚しちゃう？」って言われたから、「えっ、あっ、ええっ……あ、俺も、うん。思ってた……」って。
（澤部佑）ダサッ！ ダサ坊！ おい！ チェリーボーイめ！ ダサいな！ なんだ、こいつ！
（岩井勇気）「あっ、うん、ああ……お、俺も思ってた。思ってた。結婚しようって。結婚しようかって……」って（笑）。
（澤部佑）おい！ 引き出されるんじゃないよ！ 乗っかって！
（岩井勇気）それはね、俺も思ったね。「ダセえ……言われてるじゃん！」って（笑）。
（澤部佑）もう、向こうからなんだね。本当に。いわゆる、プロポーズみたいなのは？
（岩井勇気）そう。俺ももう、面食らったし。「なんか言わなきゃ」と思ったんだけど、「あっ、えっ、うっ……お、俺も思ってた。結婚しようって……」って。
（澤部佑）それ、ちゃんとその後に聞いたか？ その対応で、もう嫌われてる可能性、あるからな？（笑）。
（岩井勇気）フハハハハハハハッ！ いや、あれはちょっとダサかったなー。
（澤部佑）ブワーッて冷めている可能性、あるからね。それで。
（岩井勇気）うん。結構ダサかったと思うよ。
（澤部佑）蛙化現象じゃないけども……（笑）。「あっ、えっ、うん。ああ……」って？ でもそれぐらい、すごい彼女のね、なにかが。
（岩井勇気）あの日はなんか、すごかったな。
（澤部佑）じゃあ、そんな勢いっていう感じじゃないんだね？
（岩井勇気）じゃないね。いろいろ考えて。で、俺も結局でもその「かっこいいな。肝、据わっているな。1本、筋通ってるな」っていうところがきっかけになったっていうのもあるかもしれないな。
かっこいい、肝の据わっている人
（澤部佑）かっこいい、尊敬できるっていう？ それはもうだから、彼女はもう考えてたのかね？ 岩井とそういう話を2人でする前から、ある程度決めてたのかね。もう、気持ちは。
（岩井勇気）なんか……そうだね。両親と仲良くさせてもらってるっていう時から、そういう風に思ってたのかもしれないね。で、結婚を決めたわけなんだけど。その後、向こうの両親にも「結婚します」って言いに行ってね。で、お父さんの方はさ、「いや、どうせ結婚するんだったら、後でも一緒なんだから。今、結婚した方がいいですよ」って。
（澤部佑）お父さんが？
（岩井勇気）うん。なんか言っていて。
（澤部佑）俺だったら、言えないな……。
（岩井勇気）で、そう。結婚することになりました。
（澤部佑）そこで、結婚？ はー、すげえな……。今もなんかずっと「うわっ、結婚したじゃん」と思って俺は聞いてたからね。ドラマを見てるような感じだったな。今。
（岩井勇気）そうね。なんか、いろいろ気づかされたね。
（澤部佑）だから、そう。それがすごいね。やっぱり奥さんがさ……岩井のことを気づかさせてあげられる人間っていうのが、もういないと思ってたからさ。俺は。それを変えられるっていうかさ。もう岩井勇気という人間ががっつり固まっていたじゃん？ 考えが、ガチガチにさ。それを溶かす、変える人っていうのはなかなか現れないと思っちゃってたからね。
（岩井勇気）何回もはっとさせられることがあるんだって思ってさ。すごいなと思ったんだよね。
（澤部佑）そうか。すごいね。
（岩井勇気）そういうことなんですよね。
（澤部佑）それで結婚か。めでたいね。そうか。
＜書き起こしおわり＞
