星野源 あてもない散歩の途中で聞いたMichael Jackson『Man In The Mirror』の素晴らしさを語る

星野源 あてもない散歩の途中で聞いたMichael Jackson『Man In The Mirror』の素晴らしさを語る 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんが2023年10月3日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で久しぶりにあてもなく散歩をしたことについてトーク。途中でマイケル・ジャクソンのアルバム『Bad』を聞きながら海を目指して歩いていく中で、『Man In The Mirror』がかかった瞬間に「飛ぶぞ!」と感じたことを話していました。

(星野源)いや、なんか涼しくなりましたね。涼しくなったはなったけど、今日はなんかちょっとあったかくて、いい感じでしたよね。東京、かなりいい感じの天気だったんですけど。かつ、ちょっと雲もあってですね、気持ちいい昼間だったんですよ。で、今日はちょっと散歩をしまして。今年はあれなんですよ。今年1年、もうずっと家の中にいて。作曲とかね、制作をずっとしていたんですよ。で、前もちょっとお話しましたけども、この数年というか、去年とかは割と、セーブして。割とゆったり、1曲をじっくりちゃんと作ろうみたいな。そういう風にしていきたいっていうような時期だったんですよね。去年も、一昨年もかな?

なので、1曲を時間かけて作るみたいなのがちょっと続いたのもあって。今年はですね、自分を追い込んでみようということもあって、いろんな曲を同時に作っていたんですよ。その前はこの番組とか、オールナイトニッポン全体のジングルをワーッと作ったりする時期があって。からの、今出ている新曲の『生命体』とか。あとはNetflixの若林さんとの2人の番組『LIGHTHOUSE』の曲をワーッと書いたり。あと、日村さんの誕生日ソング。そういうのを書いたりとか。あとはサマソニですね。この間、あったサマソニで僕がプロデュースさせてもらったステージで、いろんなミュージシャンと一緒にやる『Memories』って曲とか。なんかそういうのを全部、同時にやっていたんですよ。

そういうのもあって、ずっと家の中にいて。なんて言うんですかね? ちゃんと自分を追い込もうみたいな感じだったんで、あんまり逃げ場を作らないようにしてたのもあって。なので今年、全然外に出てないですよ。散歩とかもあんまり行ってなくて。なので、もうほぼ家の中でパソコンの画面を見てるみたいな。家か、あとはその作業場ね。作業場に行って、もうパソコンを見てるみたいな。ずっと打ち込んだりとか、ギターを弾いたりとか。そういう時間がすごい長かったんですよね。

で、今年の夏はめっちゃ暑かったけど、あんまり外に出ないのもあって。夏とか、季節を全然感じてなかったんですよ。で、また今は全然、ちょっと物作り時間に入っていてですね。また、ちょっと家の中にずっといるなと思って。で、ちょっと外に出た方がいいんじゃないか?って。今まで、結構もう追い込むっていうか、逃げないようにずっとしていたんで。果たしてこれは……自分が「ああ、これはいいな」なんていうものは作れたけれども。もしかしたら、ちょっと息抜きというか。自分を……窓を開けて、ちょっと風通し良くするみたいな時間ももしかしたら必要だったのかな、とか。

で、あんまりね、映画を見に行ったりとか、買い物に行ったりとか。本当はそういうのもやってもよかったのかな、なんてちょっと思っていたんですよ。だからちょっと、今日は天気もいいし。かつ、そんなに暑すぎないぞ、なんて思って。「散歩に行ってみよう」と思って、ちょっと散歩に出たんですね。で、普段は僕は外に行く時はリュックを背負っているんですけども。でも、そういうのも持たず、AirPodsだけを持って。で、とにかく歩いてみようと。

それで「すげえ気持ちいいな」なんて思いながら、歩いていたんですよ。で、もう結構、1時間ぐらい歩いたんすでよね。1時間ぐらい歩いて。なんか、「どこかよくわかんないところに行きたいな」と思い始めて。なんか、その散歩も目的がある散歩じゃなくて、その時、その時でもうとにかく思いついた方向に行く、みたいなのをやったんですよ。そしたら、それがすごい楽しくて。「ああ、ここにこんなのがあるんだ」「こんなところに、壁画が……」みたいな、なんかそういう発見をしたりするのがすごく楽しくて。

あてもない散歩を楽しむ

(星野源)「いや、そもそもちょっと行ったことがないところに行きたいわ」と思って。「なんか海とか、行ってみようかな」と思って。で、海をちょっと調べてみたの。「近い海って、どこ?」って思ったら一応、近い海があったんですけど。でも、「なんか車とかには乗りたくねえな」と思って。それで「歩いて行ってみようかな?」と思って。そしたら、2時間ぐらいかかるってなって(笑)。結構、頑張って歩いて2時間ぐらいかかると。それで「よし、行ってみよう」と思って。で、「そんなに地図アプリとかを見ないで海を目指してみよう」と思って、それで延々と歩いていったわけですよ。

で、それがすごい楽しくて。やっぱり、行ったことのない地域ってあるじゃないですか。そこに行くっていうのがこんなに楽しいっていうか、気持ちがいいんだなって。まあ、天気も良かったっていうのもあるんですけど。「気持ちいいわー」と思って。で、なんかよくわかんない謎のコンビニのようなものに入ってみたりとか(笑)。コンビニなんだけど、見たがことないみたいな。おそらくその地元の商店なんだと思うんだけども。そこにちょっと入って、お水を買ってみたりとか。そういうことをやっていって。

で、「ちょっと音楽を聞こう」と思って、AirPodsでね、ランダムに音楽をずっと聞いてたんですよ。で、延々と歩いている中で、時間があるから。割とね、なんか最近は音楽をやっている身だし、音楽好きとはいえ、なんか目的の曲を聞くことが多くなったなと。でも、とにかく今日は歩いてるんで、アルバムとかをずっと通して聞いて。「ああ、このアルバム、こんな曲あったんだ」みたいな。それで昔の曲とかを聞いたりして、そういう発見があったりしたんですけど。

で、なんか久しぶりにマイケル・ジャクソンを聞いてみようかなと思って。「マイケル、いいわー」なんて思いながら聞いてたんですけど。僕が割とよく聞くのは、70年代とか80年代前半とか、そういうのを中心に聞くことが多かったんですよ。この数年。ジャクソンファイブからソロになって数年みたいなのをよく聞いてたんですよ。割とシンセサイザーとかがそんなに入る前っていうか。ドラムの音とかも生音が中心みたいな頃を割と好んで聞いてたんですね。

でも、リアルタイムで言うと僕が小学2年生ぐらいの時にたぶん『Bad』なんすよ。『Bad』ってクインシー・ジョーンズが全体の音作り、プロデュースをやってますけど。割とシンセとかが入ってきたり、エレクトリックなビートの音とか、そういうのが入ってきてるのが、めちゃめちゃリアルタイムだったんですよ。小学生の時。でも、なんかリアルタイムすぎて、当たり前のようにあって。で、大人になってから、それこそ『Bad』とか『Smooth Criminal』は聞くけども、アルバム全体っていうのをそういえば久しく聞いてなかったな、なんて思って。で、『Bad』をかけながら歩いていったわけです。

アルバム『Bad』を通しで聞く

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(星野源)で、僕は今、シンセサイザーをね、集めているっていうか、使うのが好きだし。どんどん買っていってるんですよね。買っていって。僕は元々、シンセサイザーがもう既にめちゃめちゃ音がいっぱい出て。なんかいろんな音がいっぱい出て、デジタルみたいな時にシンセサイザーを知ったので、なんかよくわかんなかったんですよ。ボタンが多すぎて。あと、いっぱい音が出すぎて。プリセットとかも何百とかあるみたいな。だから、わかんなすぎて敬遠してたんです。昔は。それで生音の音ばっかり作っていたんですけど、でも、打ち込みをやり始めてから……あ、その打ち込みの前からか。『YELLOW DANCER』ぐらいから、アナログシンセサイザーというのを使い始めて。「なんていい音なんだ!」って思って。

で、そこから自分で買っていくと、アナログシンセサイザーからデジタルシンセサイザーへ行く意味がわかるっていうか。ここが不安定だから、ここをもうちょっと成長させたいみたいな、エンジニアの人の気持ちがわかっていくようになるんです。そうすると、デジタルシンセサイザーを……あれだけちっちゃい頃、難しすぎて。あと、デジタルだし、なんかちょっとぬくもりを感じなかったようなデジタルシンセサイザーにぬくもりを感じるようになってきて。人間味みたいなものを感じるようになってきて。すごい自分でその当時の実機とかを……80年代後半とか、90年代になってからの実機とかを買っていくと、「なんて人間的なんだ」みたいなことを思うようになってきて。

かつ、マジで自分のリアルタイムの音なんで、もう体に染み込みまくってるわけですよ。で、シンセサイザーの音って時代の音だなって思うので、やっぱりすごく体になじんでいた。プラス、自分で買っていく中で、さらに血肉化していってる状態でそういう音が満載の『Bad』をアルバム全体を聞いた時にですね、もう楽しくてしょうがなくなっちゃって。それで、名曲がいっぱい入ってるんですけど。その中で『Man In The Mirror』っていう曲があるんですよ。

で、無目的に歩いていく中で、遠くの方に橋が見えたわけ。で、橋が……結構、もう2時間ぐらい歩いてるわけですよ。で、橋があるから、ちょっとそこの上が気持ちいいだろうなと思って、そこを目指したわけ。そしたら『Man In The Mirror』がちょうどね、そこでかかって。で、その橋を登って上に行ったら、ちょうど海が見えたわけ。で、そのちょうど海が見えたところで『Man In The Mirror』の一番盛り上がる転調のところに差し掛かったわけですよ。で、あれはゴスペルなので、ゴスペル隊のコーラスがブワーッて入るところで。そこでちょうどブワーッて海が見えたんですよ。もう、気持ちを過ぎて。2週連続になるんですが、「飛ぶぞ!」っていう状態になったわけです。

先週はハッシュドポテトを食べて「飛ぶぞ!」だったんですけど、今日は海を見て「飛ぶぞ!」状態になって。しかも誰もいない……車しか通ってないような。歩道はあるんですけど、誰もいなかったんで、そこで絶唱をするっていう(笑)。すごい気持ちよくて。「いや、俺はこんなのを小学2年生で聞いていたら、そりゃゴスペル好きになるわ!」って思って。なんか、そういう自分が曲を好きになる……そのジャンルを好きになる原体験みたいなものを同時に意識……発見できたような気がして、非常に気持ち良かったです。

なんで、今日の1曲目はちょっと、そんなことを思いながら。実はこれ、夜にも非常に合う曲ですから。結構ね、ラジオを深夜、散歩しながら聞いたりする人もいるじゃないですか。そういうのも気持ちいいかなと思いますし。僕が無目的に歩いて、まさに海がブワーッて見えたことをぜひ、想像しながら聞くとより気持ちがいいと思います。それでは、聞いてください。マイケル・ジャクソンで『Man In The Mirror』。

Michael Jackson『Man In The Mirror』

(星野源)お送りしたのはマイケル・ジャクソンで『Man In The Mirror』でした。最高ですね。東京都中野区30歳の方。「僕もランニングやウォーキングが大好きです。特にスマホや荷物を持たず、ふらっと出かけて気になった道を進みます。僕は以前、後先考えずに進んで迷子になりかけたことがあるんですが、源さんは迷子になりませんでしたか?」。今日はね、迷子にはならなかったんだけど。スマホはね、持っていたんで。でも全く、人気がゼロになって。あと車もない。あと商店も何もないみたいなところに差し掛かって。そこから20分ぐらい、それが続いた時があって。「ああ、俺はなんか異世界に来たかもしれない。帰れないかもしれない」みたいな。まあ、でもスマホがあるから別にそれは大丈夫なんだが。

やっぱりなんか、タクシーアプリみたいなのを入れてないんですよ。だから「タクシーも呼べないな」なんて思った時に「あっ、帰れないかもしれない……」と思ったのはちょっと楽しかったですね。やっぱりなかなかね、都内に住んでると、いつでもどこでも何かしらのあれでタクシーが通っている場所にいることが多いんで。それがでも今日、すごい楽しかったですね。そんなわけで、今日もね、ちょっとマイケルから始まりましたけれども。

あれです。『LIGHTHOUSE』の曲の話とか、解説っていうか。実はリリースしてから、あんまりその話をできてないので。今日は『解答者』っていう曲をやります。これもですね、だから80年代後半かな? 90年代か。90年代のシンセサイザーを、実際その時の実機を使って録ったりしている曲なので。その曲をちょっと解説したりとか。あとは再来週、スペシャルウィークなんですよ。なんか早いよね。スペシャルウィークね。なんで、そのスペシャルウィークのお知らせありますので。今日も3時までよろしくお願いします。星野源のオールナイトニッポン!

<書き起こしおわり>

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