星野源さんが2023年10月3日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中でEP『LIGHTHOUSE』の『解答者』についてトーク。歌詞の中に出てくる「『ありのままでいい』 そうね 黙ってくれるかな」などについて話していました。
(星野源)そんなわけで、EP『LIGHTHOUSE』の『解答者』をちょっとかけていきたいんですけど。感想メールをもらっております。ラジオネーム「橋本パンダ」。「『解答者』、聞きました。特に印象に残った歌詞は『見栄を包む 笑みに見せる 壊れかけてる 心の隅』です。私は以前、仕事の業務内容と人間関係に悩み、仕事をお休みしていた時期がありました。ギリギリまで強がって笑顔でいたら、心が疲れてしまいました。その頃を思い出し、この歌詞が刺さりました。源さんも似たような状況があったんでしょうか? 教えてください」。でもなんかその、誰でもありますよね。やっぱり。なんか、とりあえず笑っておくみたいなこととかって、どんな人にもたぶんあると思うんですよね。
「見栄を包む 笑みに見せる 壊れかけてる 心の隅」
それはなんか、ちっちゃい頃とかでも。小学生とかさ。小学生の時とか、そんなのの連続っていうかさ。なんかスシャーッて心が傷ついてるんだけど「エヘヘ」って言っておくみたいなのって、あるじゃん? なんか怒るみたいなところから……もっと小さい時の何かあったらとにかく癇癪を起こすっていうか、怒っちゃうみたいなところからの、そういうのを隠さないといけなくなってくる感じみたいなね。そういうの、あるよなってあるよなっていうのと。
あと、その「見栄(みえ)」っていう言葉をクルッと反転すると「笑み(えみ)」になるので。なんかその言葉の近さが面白いなって。で、なんか日本語ってやっぱり面白いなと思うのは、そういう風に相反する言葉っていうのがすごく似ていたり、文字を入れ替えるとその両方、どっちかになるみたいなのが本当に面白いので。そういう思いをちょっと超えましたね。
東京都ラジオネーム「ただいま雨宿り中」。「『解答者』の歌詞の『”ありのままでいい” そうね 黙ってくれるかな いつかは わかることができるのかな』。『LIGHTHOUSE』#2のエンディングで初めて聞いた時、手を変え品を変え、社会から発せられる『ありのままでいい』のメッセージに嫌気がさしている自分と、そのメッセージを素直に受け止められるようになりたいと思っている自分の両方を包み込んでくれているように勝手ながら感じて、言葉の鋭さと優しさに心臓が一気に締め付けられました」と。ありがたいですね。嬉しい感想ですね、これは。
「『ありのままでいい』 そうね 黙ってくれるかな」
(星野源)そうですね。僕がそもそも、何ていうか……「ありのままでいい」っていうのは本当にそう思うし、それはそうなんですけど。うーん。なんていうか、ありのままではいられないでしょう?(笑)。なんていうか……「いられねえっつーの」っていう感じがするんですよ。だからその、「そんなの、いられないないじゃん」っていうか。ありのままでいられる人なんて、いないじゃん。完全にありのままでいたら、社会不適合者とされて、刑務所に入ったりとか、仲間外れになったりとか、やばい人って言われたりしちゃうんだから。
人間、やっぱりどうしても「社会」っていう枠組みの中に入るために、なにかしらを我慢してるし。で、その動物的な本能みたいなものを我慢するってことを選んだ種族だと思うんで。やっぱり「ありのままでいい」は難しいんですよ。で、その「ありのままでいい」っていうのを「ありのままでいいっていうのは、難しいよね」って文脈で言ってるのってめっちゃ少ないから。でも、やっぱりそれを素晴らしいものとして「どうだ!」みたいなのは……いや、無理よっていう(笑)。
で、やっぱりそこが、ありのままでいられない人が……それこそ『アナと雪の女王』の『レット・イット・ゴー~ありのままで~』はそうじゃなかった歴史というものがずっとあって。それを、自分を奮い立たせるために歌っているという流れだから、あれは感動するのであって。で、あれは「1人を選ぶ」っていう決意をアナがしたところで歌ってるから感動するのであって。
(星野源)で、「それが普通ですよね」みたいな感じで来られると、「いや、違うよ!」みたいな風に思うっていう。なんか、そんな思いですね。そんな思いを込めました。そんな感じで、ちょっと聞いていただこうかしら。Netflixで大好評配信中でございます。『LIGHTHOUSE』の2話、#2のエンディング曲、書き下ろしでございます。星野源『解答者』。
星野源『解答者』
<書き起こしおわり>