小沢健二と麒麟川島 ライブ『Ozawa Kenji So kakkoii 宇宙 Shows』を語る

小沢健二と麒麟川島 ライブ『Ozawa Kenji So kakkoii 宇宙 Shows』を語る 土曜日のエウレカ

小沢健二さんが2023年9月30日放送のTOKYO FM『土曜日のエウレカ』に出演。麒麟川島さんが選曲した『薫る(労働と学業)』を聞きながら、その曲が最後に演奏された東京ガーデンシアターで行われたライブ『Ozawa Kenji So kakkoii 宇宙 Shows』の模様を振り返っていました。

(川島明)で、初めてですよ。これ、小沢さんのライブも生で見させていただいたのは。映像とかでは見てましたけども。私、本当になぜかというと、まあ小沢さんを愛しすぎるがあまり、「会いたくない」というレベルまで行っていて。なにか、小沢さんがちょっとミスしたら……そんな小沢さんを見たくないっていう。好きすぎるあまりのね。ただ、直々に小沢さんから「ライブ、来ませんか?」とお誘いがあったんで、行かせていただいて。やっぱり生で聞く小沢健二というのがすごすぎて。

(小沢健二)ああ、よかったです。あれ、有明ガーデンシアターですよね。

(川島明)そうです、そうです。はい。

(小沢健二)あの日、すごい良かったです。

(川島明)ポーッとしまして。一応、お招きいただいたので関係者のパスみたいなのを渡してもらったんですけど。そのパス、いまだに自分の部屋の一番いいところに貼っておりまして。なんか「しんどいな」と思った時にはそれを見てですね、あの空間を思い出してるんです。

(小沢健二)よかったです。僕、パスも自分で作るので(笑)。

関係者パスも自分で作る

(川島明)いや、だからすごいですよね。あの「楽しませよう」という……グッズひとつ取っても、ライブでこれを持ってると、みんな楽しいよというものを提案されたり。

(小沢健二)そうなんです。だから「お客さんが来るんだったら、このパスもなにか特別なものにしてさ……」とか。でも、今どきは本当にIllustratorというソフトでやっちゃえば、もう3分でできることだから。

(川島明)いや、でもなんか素敵な空間で。「ここにいる人みんなが小沢さんを好きなんだ」っていう空間に行けたのが……。

(小沢健二)なんかでも僕、本当にライブに来るお客さんを……おべっかじゃないですけども。本当にすごい、なんていうか、自信があって。すごい信頼してるんですよね。それで、なんかもう申し訳なくなるっていうか。それで実際にお会いしたりすると、「すごいことをやってる人なんだ」とかってなっちゃって。「すいません……」って。川島さんに来てもらうなんて、申し訳ないみたいな(笑)。それは結構、本当にみんなそうで。なんか、僕の音楽って昔から割と面倒くさいから。特に歌詞とかも面倒くさいから。ある程度、そういう面倒くさいことについてきてくれる人じゃないと、あんまり好きにならないみたいなのもたぶんあって。

(川島明)そうですかね? まあ、理解しようと歌詞を見ることはめちゃくちゃあるんですけど。まず先に「好き」が勝っちゃうので。それがやっぱり、たまらないですね。

(小沢健二)ああ、すごい。ありがとうございます。

(川島明)その会場もすごかったです。いつもおっしゃるじゃないですか。終わる時に。「日常に帰ろう」って言ってくれますけど。やっぱり、魔法の空間なんだなという感じはしましたね。

(小沢健二)そうですね。でもやっぱり、人って関係でできるみたいなところがあって。それで、ああやって有明に8000人とか入っていて。結構、みんな顔がガン!って来ていて。その中で、そういうのがあるから曲を書いたり、歌詞を書いたりできるっていうのもあるし。それに対してだからできることとかもあって。本当に、なんていうか関係で僕が作ってもらえているというか。なんかだから、そうですね。本当にいつもライブは嬉しいんです。

(川島明)でですね、ちょっと今日、せっかく小沢さんが来てるんで。スタッフさんに私の思い出深い曲を1曲、選べと言われたんですけども。「1曲って……」っていうのは自分の中では、あるんですが。その、ライブに行かせていただいて、すごい全部の曲が大好きなんですけど。この曲がかかった時に「ああ、もうこれ、永遠に終わらんといてほしいな」と本当に思ったんですよ。ずっと構成的にもこれ、「うわっ、もうこれ、最後まで……人生、これ聞いていたいな」と思えたその曲をちょっとリクエストさせていただきます。アルバム『So kakkoii 宇宙』のラストに収録されてる曲。『薫る(労働と学業)』です。

小沢健二『薫る(労働と学業)』

(小沢健二)でもこれ、『薫る』を選んでくださったっていうのはもう、めちゃくちゃ嬉しくて。

(川島明)ああ、そうですか。いえいえ。

(小沢健二)なんか、そういうのが……なんつったらいいんだろう? さっき言ったように、「リスナーの人、すげえな!」って思っちゃうんですよね。やっぱり長く聞いてたらさ、『ぼくらが旅に出る理由』がいいとか。やっぱり、長く聞いてた愛着とか、自分の人生と織りなす、何ていうのかな? 気持ちよさがやっぱりあったらいいなと思うし。長く聞けるものを作ろうとも思っていたので。で、今、『LIFE』が聞かれて。曲が今も聞かれるっていうのは年齢関係なく、すごい最高によかったと思うし。そう思うんですけど……やっぱり今、作ったものも聞いてもらいたいって言うと変だけど。今、作ったやつもやっぱりそういう同じ気持ちっていうか。

なんか、ドーンと貫くやつが作れたなと思ってやってたわけで。『So kakkoii 宇宙』にしても。それで、だから川島さん、本当に長く聞いてくださっていて、深く理解した上で一番新しいアルバムの一番最後の曲を選んでくれるっていうのが、そういうがさっき言っていた、恐れ多いっていうか、申し訳ないっていうか。「本当にありがとう!」って思っちゃって。その、ノスタルジアってすごい素晴らしいし、いいんだけど、そうじゃなくて。なんか、「ああ、こういう風になってきたんだ。こういう風に一緒に生きてるんだ」っていうことを感じてくださったり。で、それを感じてもらう自信があるから、これを、『薫る』をライブの最後に持ってこれるっていうか。「最後はやっぱり『ラブリー』で大団円だよ」みたいなことは思わない人たちなんじゃないかと思って。

(川島明)いや、ほんまにそうですね。これはもう、『薫る』で未来に向けてぱっと終わったっていうところが……そのライブを見た方はわかると思うけれども。その『薫る』の一瞬、匂わせがある瞬間があったり。で、最後に「待ってました!」っていうところに持っていく構成があったんですけど。それも含め、ほんで家に帰って一番初めに聞いたのがこの曲やったんですよ。『薫る』。

狙った意図がきちんと伝わる

(小沢健二)だからそういうのが本当にレベルが高いっていうか。「本当にありがとう!」と思うし。そういう風にわかってくれるんじゃないかと思いながら、曲順というか、構成っていうか、それを組むんですよ。で、それを狙って作って、それがちゃんと伝わることの喜びはもうなんか、代えがたいものがあります。

(川島明)いや、100倍ありがとうですよ。こちらの方が。

<書き起こしおわり>

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