ハライチ澤部 三代目・千代谷のロケ弁包装紙ポエムを語る

ハライチ澤部 三代目・千代谷のロケ弁包装紙ポエムを語る ハライチのターン

ハライチ澤部さんが2023年9月14日放送のTBSラジオ『ハライチのターン!』の中で『ぽかぽか』のロケ弁 三代目・千代谷のお弁当についてトーク。味もさることながら、包装紙に書かれた自伝的ポエムに夢中になってしまった話を紹介していました。

(澤部佑)お昼の生放送『ぽかぽか』が始まって結構経ちますけど。それのおかげでというか毎日、いわゆるロケ弁。お弁当をいただくじゃないですか。楽屋に入れていただいて。まあ、食べない日とかもあったよね。『ぽかぽか』が始まる前はさ、そういうロケ弁がないお仕事もあってね。

(岩井勇気)全然ありましたよ。

(澤部佑)最近はもう毎日、いただいていて。その中で岩井さん、昨日ね。収録日の前日の月曜日。昨日の『ぽかぽか』に出たお弁当、岩井さんも食べてますよね? もちろんね。

(岩井勇気)なんか、生姜焼きみたいなの、食べましたよ。

(澤部佑)おおっ! そのお店が三代目・千代谷さんっていうお店なんだけど。私はこの業界、結構いますけども、そのお弁当をはじめて見て、いただいて。で、めちゃくちゃ美味しかったんですよ。

(岩井勇気)美味かったね。

(澤部佑)その日はシャケ、生姜焼き、鶏の照り焼きの3種類があって、選べるようになっていて。俺は鶏の照り焼き弁当俺はもらってさ、食べてたの。そしたら弁当が2段になっていて。その全体をのしみたいな紙でくるんであって。で、その紙を取って、俺は食べてたのね。そしたらその紙の裏に文字がバーッて書いてあってさ。だいたいそういうのってさ、メニューの紹介とか。使ってる具材の産地の情報とか。「真心込めて作りました」みたいなやつなんだけど。それをバッてみたら、なんか物語が書いてあってね。

(岩井勇気)物語? 俺、それは読んでないわ。

(澤部佑)俺、それを今、持ってきたんだけどさ。俺が食べた、その鶏の照り焼きの紙、こう書いてあったの。「大人になれた気がした日曜の夜」って。

(岩井勇気)なんだ、それ?

(澤部佑)「お酒を飲むのが大好きな父。日曜日の夜に必ず行く父の行きつけの焼き鶏屋。千代谷が小学生の頃……」って。これ、主人公というか、お弁当屋さんね。「三代目・千代谷」という名前だからね。お弁当屋さん。

(岩井勇気)「千代谷」っていう主人公として書いてるんだ?

(澤部佑)まあ、そうだね。主人なのか。「千代谷が小学生の頃、日曜日の少年野球の練習が終わると夕方には父の背中を追いかけ、焼き鶏屋にくっついて行った。座敷に座る近所のおじちゃんたちに瓶ビールを注いでまいり、お小遣いをもらったりもした。しばらくしてから父と一緒に足のつかないカウンターの椅子に座り、壁にあるブラウン管のテレビを見ながら、父の晩酌に付き合った。お腹をすかせた小学生の千代谷に恰幅のいい大将がいつも作ってくれたのが、鶏の照り焼き。甘辛いタレに炭火で焼いた大きな鶏肉。少し焦げた皮はパリッとして、噛むと柔らかい鶏肉がとても美味しかった。肉汁とタレのついたご飯と照り焼きを一緒に食べるのが大好きで、何度もおかわりした。炭火で香ばしく焼いた肉厚な鶏の照り焼きをお召し上がりください」って。俺、それを見て「うわーっ!」ってなって。ノスタルジックな気持ちにすごいなって。で、しかもこの、幼少期に食べた鶏肉。鶏の照り焼き。そこに着想を得たというか。それをまたこのお弁当屋をやっている今に生かして、出して……とか。

(岩井勇気)俺、そういうの、ちょっと嫌になっちゃうな。

(澤部佑)お前はハマらなさそうだな。

(岩井勇気)なんか居酒屋のトイレとかに書いてある時あるじゃん? ない?

(澤部佑)ああ、あるね(笑)。

(岩井勇気)なんかちょっとしたノスタルジーを感じるようになさ、エッセイみたいなの、書いてあるじゃん? 「うるせえ!」ってなるね。

(澤部佑)お前はそうか。たしかにお前はそっちのタイプだな。俺はもうジーン……ってなって。なるじゃん?

(岩井勇気)「味に上乗せしてくるな」って思っちゃうんだよ。

(澤部佑)俺はそれで上乗せになっちゃうの。「千代谷さん、これ食べてたんだ」みたいな。それで「うわっ」ってなったら、もうシャケと生姜焼きの方も見たくて仕方ないの。

(岩井勇気)まあ、あったもんな。

『ぽかぽか』生放送中も気になる千代谷の連載

(澤部佑)それでもう生放送が始まって。生放送中もずっと気が気じゃないのよ。「千代谷……千代谷の連載、見なきゃ」ってなっていて。で、生放送が終わって、バッと戻って。次の仕事までちょっと時間がある。もう1個なら弁当、食えるな。時間的にも、胃袋的にも、もう1個いけるぞってなって。「うーん、よし! シャケを食べよう!」ってなって、シャケを食べたのよ。

(岩井勇気)行ったね。

(澤部佑)シャケの物語、行きますね。

(岩井勇気)うわっ、シャケの物語もあるじゃん。

(澤部佑)「片思いの七輪の味」。

(岩井勇気)うるせえな……。

(澤部佑)「中学時代の千代谷はこれといって目指す学力も体力もなく、ごく普通の中学生だった」。

(岩井勇気)一人称が「千代谷」のところが嫌なんだよな。

(澤部佑)「幼なじみは近所の横丁にある魚屋の娘。彼女は学力テストも上位で、学校のマドンナ的な存在。千代谷は彼女が好きだった」って。「うわっ、千代谷の連載、甘酸っぱいバージョンもあるの!?」ってなって(笑)。俺、もうここでのめり込むね。

(岩井勇気)いやいや、メシなんだから……。

(澤部佑)「彼女は学校が終わると家の魚屋を手伝っていた。ある日、店先に仕入れ先から大量に魚が届いていた。彼女が大変そうだったので、一緒に荷下ろしを手伝っていると、『2人がこの店を継いでくれたらな』と店の奥から頭に手ぬぐいを巻いた彼女のお父さんが冗談交じりにこう言った。まだ中学生の千代谷は何も言えず、彼女は恥ずかしそうに家に入ってしまった。おじさんが『手伝ってくれたお礼に』と古い七輪とボロボロのうちわで焼いた焼ジャケを食べさせてくれた。いつも食べるシャケとは違う美味しさがあった。炭火でこんがりと焼いた魚屋さんの焼ジャケをお召し上がりください」っていう。いやー、恋愛模様も描いてくれてるじゃん!

(岩井勇気)いらないなー。

(澤部佑)冷めてるなー!

(岩井勇気)そんなの書かれたら、もうそのシャケとポテトサラダ、いっぺんに食っちゃう!

(澤部佑)うわっ! 最悪だな! 悪魔の所業だよ?

(岩井勇気)全部のおかず、いっぺんに食っちゃう。

(澤部佑)うわっ、千代谷さんの思いを踏みにじるね! 俺はもう「うわーっ、この2人が結婚してたらいいな……。俺が今、食べている焼ジャケも結婚して、義理のお父さんの魚屋さんのシャケを使って焼いてくれていたらいいな」って。

(岩井勇気)嘘なんだろ? その話。思い出だけで3種類、作るわけないんだから。

(澤部佑)それで岩井さん、もう1個あるんだよ。もう1個。

(岩井勇気)思い出で3種類、作らないだろう? 売れるやつで作るんだから。

(澤部佑)生姜焼き。生姜焼きはもうさ、シャケを見てさ、生姜焼きのを見たくなっちゃうじゃん?

(岩井勇気)俺、生姜焼き、最初に食ったよ。

(澤部佑)食べたでしょう?

(岩井勇気)俺、それは目に入らなかったわ。

(澤部佑)でも俺はもう、お腹いっぱいだからさ。食べるわけにはいかないから……気づいたら、ゴミ箱あさってたよ(笑)。

(岩井勇気)フハハハハハハハハッ!

ゴミ箱をあさって生姜焼き弁当の紙をサルベージ

(澤部佑)たぶん、岩井のかな? 「生姜焼きの紙!」って探して。「大人になれた気がした日曜日の夜」。

(岩井勇気)うぜえ……。

(澤部佑)「お酒を飲むのが大好きな父。日曜日の夜に必ず行く……」あ、これ、鶏の照り焼きのを読んじゃいました(笑)。

(岩井勇気)おい! なんか似てるなって思ったんだよ。やめろよ……。

(澤部佑)「料理をしない父の得意料理。千代谷が思春期の頃、休日に気まぐれに作る父の料理が楽しみだった。普段は全く料理をしない父が生姜焼きを作る後ろ姿はまるで一流の料理人になったかのように見えた。聞けば父は昭和39年に開催された東京オリンピックに向けてビルや道路の建設ラッシュの最中に、建設現場で働く1人だったようだ。重労働の日々の楽しみはつかの間の休憩のひとつのお弁当。とある銀座のお店から届く生姜焼き弁当は、働く者の英気を養うにはぴったりだった。そんな過去の思い出話をしながら、近くの八百屋で買った生姜をすり、何の変哲もない豚肉をじっくりと炭火で焼いていた父が大好きだった。今では家庭料理の定番の生姜焼きを千代谷家ならではの味付けで、冷めても美味しい炭火でお召し上がりください」。これでもう、なんか俺はもうフィニッシュというかさ。この最後の……お弁当の話もなんか、出てきてるし。「これ、父親の料理の味なんだ!」みたいな。父親があんまり作らないけど、たまに作ってくれるその父親の味を再現してるんだ、みたいな。

(岩井勇気)なんか美味しくなさそうじゃん。

(澤部佑)こいつ……。

(岩井勇気)だって、思い出補正のやつでしょう?

(澤部佑)いや、たまに作ってくれる父親の料理っていうのがさ。

(岩井勇気)たまにしか作らない人の料理でしょう? だって(笑)。

(澤部佑)こいつ、やばいな。

(岩井勇気)やばくないよ?

(澤部佑)千代谷のルーツが全て詰まってるんだよ。この一文に。「はー!」ってなって。

(岩井勇気)他の弁当屋にそれ、見せてやりたいよ。

(澤部佑)「うるせえな」って?

(岩井勇気)うん(笑)。

(澤部佑)「思い出補正で味を高めようとしてやがる」って?

(岩井勇気)「俺たちはもう弁当の味だけでやっているんだよ!」って。

(澤部佑)俺は「千代谷さんのルーツがここに全て詰まってるんだ! うわーっ!」ってなって。ここで、気づくんですね。一番端っこにちっちゃい文字で「物語はフィクションです」って書いてあって(笑)。

(岩井勇気)やっぱり嘘じゃねえかよ。なんなんだよ?

(澤部佑)岩井さん、さすがですね! 全部嘘だったんですね!

(岩井勇気)売れるやつを作ってるに決まってるんだからよ。じゃあ、なんなの? これ。

「物語はフィクションです」

(澤部佑)だから俺もそうなったよ。弁当を2個食べて、腹がパンパンの状態で。「なんなの、これ? 話、違うじゃん! 俺の千代谷、どうするんだ?」って。俺の脳内でもう千代谷さん、完成しちゃってたから。「いや、でも待て? こうも考えられるぞ?」って。千代谷さんのこういういい話を全部、聞いたその店で働いている若いのが、「ちょっと、千代谷さん、待ってくださいよ! エモッ! 載せましょうよ? バズりますよ? 千代谷さん! めっちゃいいじゃないですか!」って。

でも千代谷さんは「いや、いいよ。恥ずかしい。勘弁してよ。いいよ」「いや、載せましょう、絶対! じゃあ、もうフィクションのことにしましょう? フィクションっていうことならいいですよね、千代谷さん! 恥ずかしくないでしょう?」「うーん……まあ、勝手にしろ。参ったな」って。というところで今、俺の中では落ち着いている(笑)。というところで今、千代谷をとどめているというね。

(岩井勇気)別にそんないいエッセイでもないよ。ベタベタで。

(澤部佑)めちゃくちゃいいじゃん!

(岩井勇気)ChatGPTで書いたんだろ?

(澤部佑)ただ、千代谷さんのお弁当、ネットで見たらまだまだ種類がありますから。まだまだ、ちょっとね。お弁当を見たらね(笑)。

<書き起こしおわり>

ハライチ岩井 九段下いちのやの海苔弁を語る
ハライチの岩井さんが2021年5月6日放送のTBSラジオ『ハライチのターン!』の中で九段下にあるいちのやの海苔弁を紹介。その魅力を澤部さんと話していました。
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