トミヤマユキコさんが2023年7月18日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で自身が選ぶ2023年上半期のおすすめ漫画作品を3作品、チョイス。はるな檸檬さんの『ファッション!!』を紹介していました。
(宇垣美里)はい。『後ハッピーマニア』でした。
(トミヤマユキコ)じゃあ、次に行きますね。はるな檸檬先生の『ファッション!!』でございますね。
(宇垣美里)これも、ホラー! 怖いの!
ファッション業界を描く怖い作品
(トミヤマユキコ)そう。タイトルは『ファッション!!』なんだけども、これは怖い話だと思ってください。で、今、月1連載をされているんですけど。タイトル『ファッション!!』なので、その名の通りなんですがファッション業界が舞台になっていて。なんて説明したらいいのかな? とにかくジャンくんっていう若きデザイナーの青年で、日本にたぶん留学をして、ファッションの勉強をしながら実際に洋服をを作っていて。で、めちゃくちゃ才能はあるので、若くしてステップアップしていくんですけど……ファッションの業界ってやっぱり1人でのし上がっていくっていうことはとても難しくて。いろいろな人に手助けをしてもらいながら、助けを借りながら出世していかなあかんということがあってですね。
で、これを手助けするのが、今はテレビの電飾の仕事をしている新道さんっていう人がいて。この人、すごいファッションオタクなんですよ。で、やっぱりファッションの業界もめちゃくちゃ夢見てるところもあって。デザイナーとかじゃないんだけど、おしゃれが大好きで、ファッションが大好きで。その業界で何かしたいみたいな気持ちを持っていた人がジャンくんと出会ってしまってこれ、もう一度、自分の夢をジャンくんと一緒に叶えられんじゃないか?って思って。ここまでだとスポ根っぽいんですけど……ジャンくんがすごい複雑なパーソナリティーを持っていましてですね!
(宇垣美里)ジャンくんも怖いんですけど、私は今、4巻まで出ていましたっけ? 普通に新道さんのことが怖くなってきています。
(トミヤマユキコ)ああ、そうですね。ちょっと猪突猛進すぎて「大丈夫か?」っていう。
(宇垣美里)この人もこの人で怖いっていうか。
(トミヤマユキコ)さっきのダイヤモンドの功罪問題なんですが。ものすごい能力を持っているが、問題がちょっとあるかもしれない人と、ちょっと問題があるかもしれないと気がつきながらも、ダイヤモンドを見てしまったサポーターたちの止まれなさみたいなものが描かれていて。かつ、はるな先生はやっぱりものすごいたぶん取材をされているので。ファッション業界のことを何も知らなくても読み始めて大丈夫です。で、1から本当に全部わかると言っても過言ではないぐらい。「ファッション業界ってこうなっているんだ」とか、「こういう風にデザイナー以外の人が動いていかなくちゃいけないんだ」とか。
特に、お金にまつわるリスクの高さ! 「こんなに借金を背負わないと服って作れないのか!」とか。「売れた後も回収までに結構、時間がかかるんだな」とか。「たしかに、ここでトンズラされたらやばいぞ」とか。あとは借金をしなきゃいけない時もあるし……みたいなのとか。その成功というのも、単にみんながファンになってくれて、ちょっとずつ洋服が売れて成功するっていうんじゃなくて、やる時にやらないと。お金を入れる時に入れないと、次がないっていうこの……かなりリスキー。マジで資本主義!
(吉川きっちょむ)ギャンブル性、高いっすね。
ファッション業界のお金の怖さ
(トミヤマユキコ)その怖さもある。ジャンくんという人が持ってるパーソナリティーの危うさと、ファッション業界が持っているすごく危うい地盤の感じ。でも、そこでやっぱりきら星のように輝く人がいるので。みんな、そこを目指さずにはいられないっていうその欲望の動かしがたさみたいなものが渾然一体となって……なんでみんなこれ、読まないの? 本当にもうホラー。納涼。怖いんですよ。マジで。
(宇垣美里)震え上がりながら読むしかない作品です。
(吉川きっちょむ)ぜひ、ゾクゾクしながら(笑)。
(トミヤマユキコ)なんで洋服の話を読んでいるのに、こんなに怖いのかな?って読む作品。とてもよくできている作品なので、ぜひおすすめでございます。じゃあ、次に行きますか。田沼朝さんの『いやはや熱海くん』。今日、ここにいるみんなが読んでいて、好きだと。
(宇垣美里)みんな大好き。
(つづ井)大好き!
(トミヤマユキコ)なので、さっそくみんなでしゃべりたいけど、一応内容だけ言っておきますね。
<書き起こしおわり>