町山智浩 2016年第88回アカデミー賞直前予想

町山智浩 2016年第88回アカデミー賞直前予想 たまむすび

映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で、2016年2月28日に開催される第88回アカデミー賞の直前予想を話していました。

(町山智浩)ということで、本題に行きます。アカデミー賞です。

(赤江珠緒)本当。アカデミー賞、近いですもんね。

(町山智浩)はい。アカデミー賞、音楽、もう始まってないかな?

(山里亮太)曲がかかってきました。

(町山智浩)アカデミー賞ですね、第88回がですね、2月28日にアメリカで行われるんですけども。いまかかっている音楽は『ヘイトフル・エイト』という、今週公開かな?日本で。クウェンティン・タランティーノ監督のですね、西部劇の音楽なんですけども。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)これもアカデミーオリジナル作曲賞をたぶん、決定だろうと。本命だと思います。はい。これはね、エンリオ・モリコーネという昔、マカロニウエスタンっていうイタリア製西部劇がすごく流行った60年代に大作曲家だった人。現在87才の新作ですね。この音楽は。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、まあ完全にマカロニウエスタンの音楽で懐かしいんですけど。まあ、87才ですごい!ってことで、今回この人がアカデミー賞だろうと思います。

(赤江珠緒)ああ、そうですか。

アカデミー賞の特徴

(町山智浩)はい。で、どんどん言っていきたいんですけど。アカデミー賞っていうのはまず前提としてですね、他の映画賞と違って、アカデミー協会というのがありまして。ハリウッドで働く人たちの中で選ばれるんですけども。その人たち、6000人ぐらいいるんですが、その人たちの投票で選ばれる賞です。

(赤江珠緒)だから、仲間内で選ばれるんですもんね?

(町山智浩)仲間内です。映画を作っている人だけで選ぶんですよ。だからね、ある程度予想ができちゃうんです。っていうのは、それぞれの職業ごとに組合があるんですよ。別々の。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)俳優組合とか、監督組合とか、それぞれあるので。それぞれの賞がもう事前に発表されちゃうんですね。だから、その賞に投票している組合員はアカデミー会員でもあるので。大抵ね。ダブっているから、だいたいその結果を見ると、だいたい予測できるんで。そこから予測していく感じなんですけどね。はい。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)で、今回のアカデミー賞の授賞式、僕もカビラさんと一緒にやりますんで(笑)。あ、斎藤工くんも一緒ですよ。

(赤江珠緒)へー!あ、そうですか。だって映画、たくさん見られてますもんね。斎藤さんもね。

(町山智浩)僕ね、斎藤工くんと並んで立つの、嫌なんですよ。

(赤江珠緒)(笑)。いや、もうそんな心配はいいじゃないですか。町山さん。

(町山智浩)僕の頭がね、ちょうど斎藤工くんの股間のあたりぐらいまでしか届かないですよ。

(赤江珠緒)そんなことはないですから(笑)。

(町山智浩)そんな低くねえか?(笑)。

(山里亮太)斎藤工さん、3メートルぐらいあるじゃないですか。そしたら(笑)。

(町山智浩)すごくね、やりづらくて困るんですけどね。今度、すごいのを履いていこうかと思いますけどね。デビッド・ボウイが昔、履いていたみたいな。ロンドンブーツかなんか履いていこうと思いますが。それはいいんですが(笑)。

(山里亮太)(笑)

(町山智浩)アカデミー賞っていうのは、だからそういう風にして投票されることはされるんですけど。今回、ちょっと大変な事態になるだろうなと思うんですね。アカデミー賞が。

(赤江珠緒)ん?

(町山智浩)いつも、すごくみんなタキシードを着て、おしゃれにやるじゃないですか。ショウビジネスっていう感じで。

(赤江珠緒)そうですね。うん。

今回のいちばんの見もの『マッドマックス』

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(赤江珠緒)『マッドマックス』。はい。

(町山智浩)おそらく今回、最もたくさんの賞をとると思います。『マッドマックス』が。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)だからこれ、『マッドマックス』ですから裸で白塗りの野獣のようなやつらがアカデミー賞を乗っ取ることになるでしょうね。

(赤江珠緒)えっ?あんな感じで登場する?

(町山智浩)あんな感じでやらないと、だってぜんぜん雰囲気が違いますからね。

(赤江珠緒)(笑)。まあ、そうですけど・・・

(町山智浩)『タキシードにドレスで』とか言ってる場合じゃなくて。ねえ。車で暴走したり爆発したりしないとならないだろうなと思いますけども。

(山里亮太)あの棒でピョンピョンピョンピョン跳びながら(笑)。

(町山智浩)そうそう(笑)。ピョンピョンピョンピョン跳びながらやんないとなんないと思うんですけど。っていうのは今回ね、『マッドマックス』が最もたくさんの賞をとるだろうと予測されるんですよ。

(山里亮太)へー!面白かったもんなー!

(町山智浩)でね、どうしてそんなことになっているか?って言うと、まずですね、編集賞は確実にとります。『マッドマックス』が。っていうのは、『マッドマックス』って、撮影した映像素材が全部で480時間以上あったんですって。

(山里亮太)おおー、すげえ。

(町山智浩)これ、ぶっ続けで一睡もしないで見続けても、丸20日間かかるのかな?実際に、ただ見るだけで3ヶ月かかったらしいですよ。撮ったものを。

(赤江珠緒)ええーっ!?普通は?平均はどれぐらいなんですか?

(町山智浩)平均はね、たとえばジョン・フォードとかクリント・イーストウッド、スティーブン・スピルバーグといったすごい監督たちは、ほとんど撮った分と上映時間が変わらないんですよ。

(赤江珠緒)ええーっ!?

(町山智浩)ほとんど、テイクをたくさん撮らないで。一発でOKでやっちゃうんで。そういう人たちもいます。

(赤江珠緒)ああー、なるほど。

(町山智浩)はい。撮った分をただそのままつなげば映画になる人たちもいるんですけども。

(赤江珠緒)ええ。じゃあ、480時間はもう膨大ですね。

(町山智浩)480時間も撮ってそれを2時間に縮めたんで。240分の1ぐらいにしなきゃならなかったんですね。

(赤江珠緒)うんうんうん。

(町山智浩)でも、それでもどうしても足りなくて。どうしたと思います?2時間に収めるのに。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)まずアクション以外の部分は撮ったけれども全部捨てたんですよ。

(赤江珠緒)全部捨てたんだ(笑)。

(町山智浩)で、しかもそれでも詰まらないから、アクションの間でフィルムとフィルムの間を全部抜いていったんです。

(山里亮太)えっ?どういうことですか?

(町山智浩)コマ落としになるんですよ。

(赤江珠緒)はあはあはあ。

(町山智浩)早送りと同じ状態になります。

(赤江珠緒)詰めていって?

(町山智浩)それで、2時間に収めたんですよ。

(山里亮太)かなり強引な方法で?

(町山智浩)そう。だからものすごいアクションが詰まっているんですけど。これ、大変だった。これで編集賞はとるでしょう。これだけ大変だったから。でも、早送りなのに、音は普通じゃないですか。あの映画。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)車が爆発したり、しゃべったりするのは。画面は早送りなのに。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)これ、シンクロさせるの大変だったんですよ。だから。

(赤江珠緒)はー!

(町山智浩)動きは全部早いのに、声だけは普通に聞こえるんですよ。音とかは。

(赤江珠緒)そうか。だからよりスピード感も出るんだ。

(町山智浩)すごい出るんですけど。だからこれね、録音賞とか、サウンドデザインみたいな音の賞も、たぶんこれがとりますね。『マッドマックス』が。

(山里亮太)そうか。とんでもない苦労がみんなわかるから。

(町山智浩)そうなんですよ。で、またあと、めちゃくちゃな変なセットがあるからこれで美術賞ね。セットデザイン賞をとるでしょうね。で、あとめちゃくちゃなヘアスタイルの人と、めちゃくちゃなメイクアップの人が出てきますから、メイクアップ賞もとるでしょうね。

(赤江珠緒)そうかー。

(町山智浩)で、しかもアクションがやっぱりCG・コンピューターグラフィックスを使わないで、本当に車をぶつけ合って爆発させているんで。これで視覚効果賞もとるでしょうね。

(赤江珠緒)おおー!とりますね。『マッドマックス』。

(町山智浩)だからすごい。ドッととっちゃうんですよ。『マッドマックス』が。だからハリウッドをあの裸軍団がね、乗っ取る形になるだろうと思いますけどね(笑)。はい。というね、結構アカデミー賞史上はね、大変なことになるんですが。あと、各部門賞を言っていきますと、助演女優賞からいきますね。

(赤江珠緒)はい。

助演女優賞

(町山智浩)助演女優賞はね、これ、僕まだ紹介してなくて。来週紹介しようと思うんですけども。『リリーのすべて』という映画に出ていたアリシア・ヴィキャンデルちゃんがとると思うんですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、この子はね、前に『エクス・マキナ』っていう映画を『たまむすび』で紹介しましたけども。あれで出ている、美少女ロボットの役を演じていた子なんですよ。

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(赤江珠緒)あ、アンドロイドみたいな。

(町山智浩)アンドロイドです。で、主人公がネットでオナニー用のビデオを検索していたら、そのデータから作られた美少女ロボットっていう、とんでもない設定でしたけど(笑)。その子が出ているんですけど、その『リリーのすべて』っていうのは実在の人物で、世界ではじめて性同一性障害で男性から女性に性転換手術を受けた実在の人物の奥さんを演じてるんですね。このアリシア・ヴィキャンデルっていう人が。

(赤江珠緒)はー。あ、旦那さんが女性に変わられたと。

(町山智浩)そうなんです。で、旦那さんは女性になっちゃったにもかかわらず、ずっと一途に愛し続ける奥さんの役なんですね。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)はい。しかもすごいヌードになってますけど。で、もうすごい演技なんで。まあ、これはもう・・・だって、ものすごい辛いじゃないですか。愛している夫がね、女性になっちゃうんですよ?

(赤江珠緒)ねえ!

(町山智浩)それでも愛し続けるんですよ。一途に。っていう、かなり厳しい役をやって。まあこの『リリーのすべて』っていう映画。リリーっていうのは旦那さんが女性になった時の名前なんですね。

(赤江珠緒)ああー。

(町山智浩)はい。で、まあこのアリシア・ヴィキャンデルちゃんがとるだろうと思います。すでにね、俳優組合賞はとっています。彼女は。で、これについてはまた来週、説明します。

(赤江珠緒)はい。

助演男優賞

(町山智浩)で、助演男優賞。助演男優賞はこれは、シルベスター・スタローン大先生でしょう!

(赤江珠緒)おっ!来ましたか!

(町山智浩)『クリード チャンプを継ぐ男』。シルベスター・スタローンですよ。

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(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)で、この人、すでにゴールデングローブ賞もとっているんですけど。この人をとらせないわけにはいかないと思うんですよ。この人、ハリウッドでアカデミー賞に縁のない男たちの親分ですよ。シュワルツェネッガーとか、ジェット・リーとか、ウェズリー・スナイプスとか、ドルフ・ラングレンとか、ジェイソン・ステイサムとか。もう、数え上げるとキリがないんですけどね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)そういうアカデミー賞に入れない感じ。だから、会場の外にあるパブかなんかに集まっているような人たちの親分ですからね。

(赤江珠緒)あ、そうですか。そうか。スタローン、とってないんだ。

(町山智浩)スタローン、とってないんですよ。だからこれはちょっと、スタローンにとらせないと。たぶん、そのパブに集まっているそのアカデミー賞に縁のないやつらが殴りこみをかけてきますからね!

(山里亮太)いま言ったメンツが(笑)。

(赤江珠緒)でも、いままでの『ロッキー』シリーズでも、とれてないんですか?

(町山智浩)『ロッキー』シリーズでもとれてないんですよ。『ロッキー』シリーズとかね、脚本賞とかとってもよかったのに、とってないんですね。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)でもあれ、作品賞をとってますね(笑)。だからね、ギリギリで避けていかれちゃっている人なんですよ。で、いままで実は『コップランド』っていうすごいいい映画で作品賞をとると思ったんですけど、とれなかったんですよね。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)だから今度こそはちょっととらせてあげたいというね、感じで。まあ、この人がとったら、もうあの『エクスペンダブルズ』のやつらが酒盛りで大変だと思いますけどね(笑)。

(赤江珠緒)そうですよね(笑)。

主演女優賞

(町山智浩)大変な事態になっていると思いますけども(笑)。あとですね、主演女優賞。主演女優賞はね、これは、前に紹介した『ルーム(部屋)』っていう映画。前に紹介しましたね。女の子が・・・

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(赤江珠緒)怖いやつね。ホラーになるっていう・・・

(町山智浩)えっ?

(山里亮太)違う違う違う。あの、ずっと閉じ込められてるやつ。

(赤江珠緒)ああ、閉じ込められてるやつか。

(町山智浩)そうそう。女子大生が拉致されて、拉致したやつに子供を産まされちゃって。で、子供をその部屋の中でずっと育てて。子供には、『部屋の外の世界はない』っていう風に教えるっていう話ですよ。『ルーム』って。

(赤江珠緒)うんうんうん。

(町山智浩)あれでまあ、ド新人なんですけど、拉致されちゃう女の子でお母さんになる役を演じたブリー・ラーソンっていう・・・この子がまだね、20代ですけども。この人が、たぶん主演女優賞だろうと。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、もうすでにこの人もね、俳優組合賞をとっているんですけどね。で、その対抗は、これもまた今度紹介しますけども。シアーシャ・ローナンっていう女の子がいてですね。この子が『ブルックリン』っていう、これも素晴らしい映画に主演してまして。そっちの映画はね、アイルランドからアメリカに移住した女の子が、最初は何も知らないんだけど、どんどん成長して。1人の立派な女性になっていくまでをわずか1時間半ぐらいの映画で描いていて。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)撮影期間は実際、1ヶ月半ぐらいしかないのに、本当に1人の少女が立派な大人の女性になるっていうのを短い撮影期間で演じきってますからね。このシアーシャ・ローナンちゃんはすごかったんで。まあ、この2人で・・・でも、ブリー・ラーソンの方が強烈な演技なんで。もう拉致監禁っていうね。しかも、そこから立ち直っていく話なんですよ。すごく難しいのを演じきっているんで。まあ、ド新人ですけど、主演女優賞、いくだろうと。で、『ルーム』は日本公開が決定してますね。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)前に話した時は『部屋』って紹介していました。日本語タイトルが決まってなくて(笑)。

(赤江珠緒)そのまんまでした(笑)。

主演男優賞

(町山智浩)で、あとね、主演男優賞。これはね・・・やっぱりディカプリオにあげないと(笑)。

(山里亮太)おおっ、ついに!

(町山智浩)これはちょっと、ディカプリオ、本当に何をするかわからないっていう感じになってますから(笑)。『レヴェナント』で熊に襲われて食われて。本当に食われて、体の一部を何ヶ所か食われて。

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(赤江珠緒)そうか。で、埋められちゃって。

(町山智浩)埋められちゃって。で、自分を埋めたやつに復讐しに行くっていう役ですけども。まあ、それに賞を与えなかったら、本当に復讐しに来ますからね!

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)大変なことになるだろうと思うんですけども。

(赤江珠緒)ねえ。ディカプリオさんもずっと縁遠かったですもんね。

(町山智浩)はい。で、この人本当、いままで何度も『引退する!引退する!』って。賞をとれないたびにディカプーは『引退するぞ!引退するぞ!』っていう、その辞める辞める詐欺みたいな・・・

(赤江・山里)(笑)

(町山智浩)あの、『辞める』っつって後ろを向いて去って行くと、みんなが止めると思っているような、ちょっと悲しいところがあるんでね。この人ね。

(赤江珠緒)へー!

(山里亮太)そうか。しかも止めないんだもんな。みんなが意外と。

(町山智浩)ねえ。今度は本当に辞めちゃうんじゃないか?っていうね。結構ギリギリの崖っぷちにいるんで。なんかもう、これはまあ、賞をみんながとらせて上げるだろうと。

(赤江珠緒)あ、そうですか。

(町山智浩)はい。だって、なんて言っても仲間なんですよ。みんな、投票する人は。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)ねえ。俳優たちがいっぱいいるんで。これ、とれなかったら・・・だってディカプリオは身の回りをくるくる見渡すことになるじゃないですか。『お前か?お前が入れなかったのか?』みたいなね。そういう世界なんで。まあ、これ以上は、『このへんでやめといたるか?』みたいな感じだと思いますね。ハリウッドの方は(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)(笑)。もう許してやるか。もうとらしてやろうと。

(町山智浩)許してやるかみたいな感じでディカプリオがとるだろうと。で、他の候補はちょっと考えられないですね。

(赤江珠緒)ふーん!あ、そんなに?はい。

(町山智浩)これでとれなかったら本当に大変な事態になると思います。はい(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)ということで主演男優賞はディカプリオだと思いますね。で、主演女優賞も主演男優賞も今回、結構決まりに近いんですよ。結構動かない感じで。もう本命で。いちばんね、わからないのは作品賞なんですね。

(赤江珠緒)はい。作品賞。

作品賞

(町山智浩)作品賞がいちばんわからないです。作品賞、今回ノミネートされている映画はみんな紹介してますけど。『ブルックリン』はまだ紹介してないですけど。他はね、『ブリッジ・オブ・スパイ』があがってますね。スピルバーグのね。

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(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)あと、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』ね。あと『オデッセイ』。マット・デイモンが火星でディスコで裸で踊る映画ですね。

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(赤江珠緒)いやいやいや(笑)。

(町山智浩)間違ってないですけど。あと、『マネー・ショート』。これ、先週紹介しましたね。『世紀の空売り』の映画化。

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(赤江珠緒)リーマンショックの真実がわかるというね。

(町山智浩)そうなんです。はい。それと『スポットライト』。これも随分前に紹介したんですが。ボストンの新聞社がカトリックの教会の神父による少年たちへの性的いたずらを初めて描いたという実話をもとにした映画『スポットライト』。

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(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)それと『ルーム』ですね。あと『レヴェナント』。ディカプリオが熊に食われる映画っていう(笑)。簡単に言ってますけども。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)これがまあ、作品賞なんですけども。これがわからないんですよ。今回。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)わからない。一応ね、ハリウッドの制作者組合賞っていうのはすでに発表されて。それは『マネー・ショート』なんですよ。

(赤江珠緒)『マネー・ショート』がとったんですか。

(町山智浩)はい。で、制作者組合賞っていうのは毎回、8割ぐらいがアカデミー作品賞とダブるんですね。

(赤江珠緒)ええ、ええ。へー。

(町山智浩)だから今回も『マネー・ショート』なのかな?と思うんですけども。それ以外の組合賞は『スポットライト』が独占してるんですよ。

(赤江珠緒)はー。

(町山智浩)で、じゃあこの2つなのかな?と思うと、先日はね、イギリスでイギリスアカデミー賞が発表されたんですけど。そっちは作品賞、『レヴェナント』がとっているんですね。

(赤江珠緒)へー。

(町山智浩)で、『レヴェナント』はゴールデングローブもとってますから。するともう、この3つで戦う感じになってきてるんですよ。

(赤江珠緒)ああー、そうですか。これ、じゃあ町山さんが個人的に作品賞をつけるとしたら、ずばり?

(町山智浩)今回、作品賞は『マッドマックス』がとったらいいなと僕は思っているんですよね。

(赤江珠緒)ああ、町山さんは『マッドマックス』。

(町山智浩)はい。こんなものがとること自体がおかしいじゃないですか。すごく(笑)。

(赤江珠緒)(笑)。『マッドマックス』ね。作品賞でね。

(町山智浩)ねえ。だってアカデミー作品賞とかだったら、親が子供を連れて行ったりしなきゃなんないじゃないですか。それで『マッドマックス』に連れて行ったりすると、おかしいなと思ってるんですけど(笑)。

(赤江・山里)(笑)

(町山智浩)ただ、『マッドマックス』はすごく各部門でたくさん票を集めているんで。それぞれの技術者の人たちが票を入れると、もしかしたら作品賞を取るかもしれないですね。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)っていう感じで、今回ぜんぜん読めない感じなんですけど。ただ、まあ何がとるかな?という風にね、予測だと『スポットライト』がとる可能性が高いんですよ。

(赤江珠緒)ほー!

(町山智浩)これね、いろんな俳優がいっぱい出てるんで。その、俳優がたくさん出ている映画っていうのは『アンサンブル映画』っていうんですけども。そういう映画が賞をとることが多いんですよ。アカデミー賞って。

(赤江珠緒)ああ、そうか。関係がね。

監督賞

(町山智浩)ジンクス的にはね。俳優の人が投票するからね。まあそんな感じですけど、僕は『マッドマックス』にとらせたいんですが(笑)。で、あと監督賞。監督賞は2年連続でもしかしたらイニャリトゥがとるかもしれないと言われてるんですよ。

(山里亮太)はー。イニャリトゥ。

(町山智浩)はい。『バードマン』で去年とって、今年も熊に食われる映画『レヴェナント』で。『レヴェナント』って覚えられなくてね(笑)。

(赤江珠緒)『熊に食われた』って言ってますが(笑)。

(町山智浩)熊に食われる映画でとるかもしれないって言われてるんですけど。その、アカデミー賞を2年連続で1人の監督が独占したことって、過去にはジョン・フォードとですね、あともう1人。ジョセフ・マンキーウィッツって2人しかいないんですよ。大巨匠。

(赤江珠緒)はー。ええ、ええ。

(町山智浩)そこまでの大巨匠になってないだろ?と思うんですね。イニャリトゥさんは。

(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)で、今回僕がアカデミー賞の監督賞をとらせたいのは、やっぱり『マッドマックス』のジョージ・ミラー監督なんですよ。

(赤江珠緒)(笑)。『マッドマックス』推しがすごいですね、町山さん(笑)。

(町山智浩)いや、ジョージ・ミラー監督、74才かなんかで。こんなバカげた映画をとってるんですよ。で、だいたい480時間も撮るってどう考えても予算オーバーしてるし。現場でノリノリで撮りすぎちゃったとしか思えないわけですよ。

(赤江珠緒)本当ですよね(笑)。

(町山智浩)勢いで撮ったんだけども、よく考えたら2時間にしなきゃなんないと。じゃあコマ抜こうか!ってそれ、デタラメですよ。それ、やり方が。

(山里亮太)(笑)

(町山智浩)そういう勢いで撮った素晴らしい監督で70才すぎてますからね。で、もうこれ、尊敬を集めてますし。ジョージ・ミラー監督にぜひね、監督賞をとってほしいという感じで。監督賞っていうのは結構それでとる場合もあるんですよ。

(赤江珠緒)あ、そうなんですね。

(山里亮太)『この監督、好きだな!』っていうね。

(町山智浩)そうそう。『この人はすごいな!』っていう形でとる場合があるんで。ちょっとまあ、ジョージ・ミラーに期待したいっていう感じなんですけどね。はい。で、時間が来ちゃったから。まだたくさんあるんだけどね(笑)。すいませんです。

(赤江珠緒)いえいえ。いやー、そうですね。

(町山智浩)あと、まあ最優秀ドキュメンタリー賞はね、エイミー・ワインハウスっていうイギリスのソウル歌手の死を描いたドキュメンタリー『AMY』がとるだろうと思いますけども。エイミー・ワインハウス、いまかけられたらかけてください。はい。

(赤江珠緒)あ、かかりました。

(町山智浩)これもまた紹介します。はい。で、後はオリジナル主題歌賞はレディ・ガガだと思います。はい。

(赤江珠緒)そうですか。

(山里亮太)どんぐらい的中するのか?

(町山智浩)まあ、時間がなかったですね。はい。どのぐらい当たるか、みんな見ててください。

(赤江珠緒)はい。いよいよ今月29日に迫った第88回アカデミー賞について大予想を伺いました。3月2日水曜日は町山さんのトークライブもございますのでね。そちらはユーロライブのホームページ、ご確認ください。町山さん、ありがとうございました。

(山里亮太)ありがとうございました。

(町山智浩)はい。どもでした。

追加のアカデミー賞予想

この翌週の『たまむすび』でも、アカデミー賞受賞作品の追加予想をしていました。

(赤江珠緒)町山さん、先週はね、アカデミー賞の大予想がまた盛り上がって。

(山里亮太)まだまだ伝えたいことがあると。

(町山智浩)あれからですね、ノミネートされている作品、全部見ました。

(赤江珠緒)ええーっ!すごい!今日、ちょっとぐったりされいてる?町山さん。

(町山智浩)ちょっと、さっきまでかかっていたんで。はい(笑)。

(赤江珠緒)ああー、そうですか!

(町山智浩)あのね、短編とかもあるんですよ。いっぱい。短編アニメーションとか、短編ドキュメンタリーとか、普通の短編映画とかそういうのもあって。それも全部見ましたんで(笑)。

(赤江珠緒)ええー!すごいな。

(町山智浩)もう、大変でしたね。でも、しょうがないですよ。解説するから。基本的に、僕、アカデミー賞の授賞式の中継番組に出るんですけども。全部見てる人、僕しかいないんですよ。そこの現場に。

(赤江珠緒)そうか。えっ、全部だと結局・・・何作品ぐらいになるんです?

(町山智浩)いや、ものすごいですよ。短編まで入れると。で、要するに『この映画、なんですか?』って聞かれるわけですよ。そこで。だから、『これはこういう映画です』とか、『どういう役ですか?』『こういう役です』とか言わなきゃなんないんで。いつも全部見てるんですけど、結構大変なんですよ。本数が多いんで(笑)。

(山里亮太)いま、見たてだからホカホカですよ。情報が。

(町山智浩)はい。で、先週全部ノミネーション作品とか説明できなかったんで。予想をしてるんですけどね。続きを今日やりますけども。今回、前回もお話したんですけども。アカデミー作品賞がもう、どれになるかわからないっていう状態なんですね。で、ディカプリオが熊にくわれて寒さの中でがんばる『レヴェナント:蘇りし者』がまあ、とりそうなんですけども。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)それと、前に話した『スポットライト』っていうボストンの新聞記者がカトリックの神父による少年たちへのレイプ事件を暴いた映画と、『マネーショート』っていう『世紀の空売り』の映画化で。2008年の金融危機の時に大儲けした人たちの話ですね。

(赤江珠緒)リーマン・ショックの。はい。

(町山智浩)リーマン・ショックの裏で大儲けした人たちですけど。この3つが戦っている状態なんですが、僕はあえて、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』がとるといいなという、かなり希望で言いましたけど(笑)。

(赤江珠緒)ちょっと先週も推してましたよ。『マッドマックス』をね。

(山里亮太)あの会場にウォーボーイズが来るんじゃないか?っていうね。

(町山智浩)そうそうそう。あれがとったら結構すごいなと思って。授賞式がめちゃくちゃになって面白いなと思うんですけど。ただ、技術賞はたぶん『マッドマックス』がほとんど独占しますからね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)前も言いましたけど、とにかく480時間撮ったのを2時間にまとめたっていう、無理やりな映画ですからね。

(赤江珠緒)すごいですね。編集マンが本当に泣いたと。

(町山智浩)これはとるだろうと。これ、奥さんが編集者なんですね。ジョージ・ミラー監督の。これ、奥さんじゃないと付き合わないですよ。480時間見るの。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)他の人、見ないですよ。嫌だから。そんなもの(笑)。これは、カミさんじゃないとやらないと思いましたけどね。はい。で、ただ技術賞の中でも、撮影賞は今回は『レヴェナント』のエマニュエル・ルベツキさんがとるだろうと思います。この人は、前も話しましたけど、『ゼロ・グラビティ』の撮影もやっていて、それでアカデミー賞をとって。で、『バードマン』もこの人が撮影でアカデミー賞をとっていて。これで3年連続アカデミー賞になるでしょうね。ルベツキさんのね。

(赤江珠緒)ああー、すごいですね。うん。

(町山智浩)はい。で、毎回違うことをやっているんですけど。今回はとにかくディカプリオと一緒にですね、真冬のロッキー山脈とか氷河の中で零下20度の中を転げまわって撮影してますから。まあ、大変だったで賞でしょうね(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

長編アニメーション賞

(町山智浩)そういうことだと思います。で、あと長編アニメーションはですね、日本からスタジオジブリの『思い出のマーニー』がノミネートされてるんですね。

(赤江珠緒)あ、『思い出のマーニー』が。へー。

(町山智浩)はい。ただ、今回はやっぱり『インサイド・ヘッド』だろうと思います。

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(赤江珠緒)ああー!頭の中のね。怒りとか、うれしいとか。

(山里亮太)感情がね。

(町山智浩)はい。まあ、ああいう頭の中の話で、あれだけ感動させる映画に作るっていうのもすごいし。で、しかも監督の娘さんの実話っていうところも面白いしですね。まあとにかく、すごくよく出来ているんで、『インサイド・ヘッド』がとるでしょうね。長編アニメーションはね。

(赤江珠緒)うん。

主題歌賞

(町山智浩)で、次に主題歌賞なんですけども。これ、ちょっと聞いてもらえますか?レディ・ガガさんの歌でですね、『Til It Happens To You』っていう歌なんですが。

(町山智浩)これがたぶんアカデミー賞をとるだろうと思いますね。主題歌賞では。

(赤江珠緒)へー。レディ・ガガさん。

(町山智浩)この歌はですね、『The Hunting Ground』っていうドキュメンタリー映画の主題歌なんですよ。で、『The Hunting Ground』っていうのは『狩場』っていう意味なんですけども。これは実際にアメリカであった、ノースカロライナ大学で女の子がレイプされた事件のドキュメンタリーなんですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、アメリカはドラッグとか、あと日本はもうなくなっちゃったですけど、一気飲みがまだあるんですよ。アメリカの大学って。日本はバカバカしいから止めたじゃないですか。『一気!一気!一気!』っていうのを。

(赤江珠緒)たしかに。もったいないですしね。またね。

(町山智浩)ねえ。死人が出たりしたから。アメリカはいまだにやっていて。で、それをやって泥酔しているところをレイプされたりする女子大生が多いんですね。で、そういう問題を描いたドキュメンタリーですけど。このレディ・ガガの歌はこれ、監督が自分で作詞した歌でですね。これは、『レイプっていうのは自分に起こるまで、それが起こるなんて思いもよらないんだ』っていう歌なんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、そこからどうやって立ち直っていけるか?っていうことを歌っている歌で。レディ・ガガ自身がですね、レイプされた経験があってですね。だから非常に切実な歌になっていますね。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)だからまあ、これは他は勝てないだろうと。他は『007 スペクター』とかの主題歌もあがってますけどね。まあ、これはちょっと勝てないと思いますね。レディ・ガガには。まあ、レディ・ガガすごいなと思いますけどね。いつもね。

(赤江珠緒)この曲を作る時に、その告白をされたんですか?もっと前から知られていることだったんですか?

(町山智浩)あ、レディ・ガガは前から言ってます。自分の。この人、全部言う人なんですよ。なにもかも。いじめみたいなことの経験とかも言ってましたしね。虐待もあったみたいですけど。いろいろ心に傷があって、要するに自分じゃないレディ・ガガっていうキャラクターになっていった人ですよね。

(赤江珠緒)ああー、そうだったんだ。

(町山智浩)はい。だからデビッド・ボウイの影響をすごく受けている人ですけどね。そういう意味で。別のキャラクターを作ることで演じていくっていう人ですけど。まあ、このアカデミー授賞式ではレディ・ガガの歌がちょっと圧巻だろうと思いますけどね。

(赤江珠緒)うん。

長編ドキュメンタリー賞

(町山智浩)で、次にですね、長編ドキュメンタリー賞ですけど、これですね、僕が前に『たまむすび』で紹介した『ルック・オブ・サイレンス』とですね、『ニーナ・シモン 魂の歌』がノミネートされてますね。

https://miyearnzzlabo.com/archives/25394
https://miyearnzzlabo.com/archives/25275

(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)はい。『ルック・オブ・サイレンス』はインドネシアで、メガネの検眼をする人が、検眼をしながら虐殺をした人たちを追い詰めていくっていうドキュメンタリー。

(赤江珠緒)いや、これはもう・・・はい。

(町山智浩)はい。あれ、まあすごかったですけど。それと、ニーナ・シモンさんは1960年代の黒人の開放運動の中で、彼女が歌っていったんだけども、それでまあ崩壊していったことを描いたドキュメンタリーでした。で、これは日本でいま見れるんですよ。Netflixで。だからぜひ、ご覧になってもらいたいと思いますけども。ただ、今回受賞するのはね、『AMY』っていうドキュメンタリーだと思います。これ、ちょっと歌をかけてもらえます?エイミー・ワインハウスです。

(町山智浩)このエイミー・ワインハウスさんは2011年に27才で亡くなったんですよ。酒の過剰摂取でですね。で、いまアデルがすごい人気ですよね?日本でもアメリカでも。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)ただ、エイミー・ワインハウスさんが生きていたら、わかんなかったですよね。アデル人気っていうのも。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)アデルさん、歌は上手いんですけど。エイミー・ワインハウスは魂を歌っているんですよ。この人の歌は、辛い辛い恋愛の歌が多いんですよ。エイミー・ワインハウスっていう人はね。で、まあ上手く生きられない。その、どうしても麻薬をやってしまうとか。恋愛をするとどうしても自分が傷ついてしまうっていう歌を歌っていて。本当にもう、なんて言うか、自分の魂が張り裂けるようなことを歌っていた人なんで。それはアデルとちょっと違うんですよ。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)アデルさん、いま大金持ちだしね。旦那ね(笑)。ハッピーですけど。あの人は。エイミー・ワインハウスさんは悪い男につかまってですね、悪い旦那に麻薬を教えられて、グチャグチャになっていって。それで、みんなに無理やり別れさせられたんだけどもやっぱりダメで。そのまま死んでいった人なんですけどね。

(赤江珠緒)27才でお亡くなりになったと。

(町山智浩)27才ですよ。この人、麻薬でおかしくならなければ、『007』の主題歌を歌うことは決まっていたんですよ。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)この人の声っていうのは『007』の歌を歌うために生まれてきたような声なんですよ。ソウルフルでね。でもね、倒れちゃったんですけどね。で、そのエイミー・ワインハウスがどうしてこんなに崩壊して死んでしまったのか?っていうのを描くドキュメンタリーが『AMY』っていう映画で。たぶんこれが、長編ドキュメンタリー賞だろうなと思いますね。

(赤江珠緒)悲しすぎる歌姫ですな。

(町山智浩)そうなんですよ。たぶん歌はみんな聞いたことがあるんだけど。どうして、こういう歌を歌っていたのか?っていう背景を知らなかったと思うので。これを見ると、『あっ、全部自分のことを歌っていたんだ!』ってことがわかるんですよ。

(赤江珠緒)そうかー。いや、この『AMY』はね、見ていないんですけど。でもいま、山ちゃんと言っていた『ルック・オブ・サイレンス』は我々見てね。これ、ドキュメンタリーとして凄まじかったですよ。

(町山智浩)これもすごいんですけどね。これ、今回ドキュメンタリー、どれも結構すごいんでね。難しいところなんですけど。エイミー・ワインハウス人気というのがあるので。アカデミー賞の会員の中にね。はい。だからこれは行くだろうと思いますね。これ、監督はイスラム教徒のインド系イギリス人の人でですね。今回、アニメーションの短編アニメーション部門でもね、ピクサーの『サンジェイのスーパーチーム』っていうのがたぶんアカデミー賞をとるだろうと言われているんですが。それもね、アメリカ生まれのインド系の人が作ったアニメなんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、それはその、アメリカで育っているからアメコミが好きで、スーパーマンとかが好きで、日本のアニメが好きで・・・っていう主人公っていうか、それを作った監督自身がですね、それと、子供の頃から親に教えられたヒンズー教の神々が混じっていくっていうアニメなんです。それ。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)だからいま、アカデミー賞は白人ばっかりがノミネートされていておかしい!っていう問題になっているんですけど。ウィル・スミスとかが怒っちゃっていて。ボイコットする!とか言ってるんですけども。でもやっぱり、すごくさっき言ったみたいに、よく見ると混じってますよ。すごく。

(赤江珠緒)ああ、そうなんですか。うん。

(町山智浩)はい。だって今回、『レヴァナント』のイニャリトゥ監督がアカデミー賞、2度監督賞をですね、2年連続で取りそうですけど。あの人、メキシコ人ですからね。

(赤江珠緒)ああー。

外国語映画賞

(町山智浩)で、カメラマンのルベツキさんもメキシコ人だし。だからね、やっぱり変わっていってはいるんですよ。そのへんは。今回、たまたまアフリカ系の人が少なかったってことだと思いますけども。そうじゃない人種の人は入ってきてるんでね。はい。という感じで。で、だいたい全部門・・・あ、あと外国語映画賞だ。外国語映画賞はこれは『サウルの息子』で決まりでしょうね。

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(赤江珠緒)ああー、『たまむすび』でもご紹介いただいた。

(山里亮太)これ、見に行きましたよ。これ、すっごい映画でしたね。

(赤江珠緒)アウシュヴィッツの話ですね。

(町山智浩)見ました?すごいですよね。

(山里亮太)恐ろしかったー!はい。あれは。

(町山智浩)これね、僕が今週の日曜日にどこでやるのかは忘れたですけど、トークショーをやりますんで。『サウルの息子』の上映後の。

(赤江珠緒)ああ、そうですか。

(山里亮太)それはなにかで調べればわかりますね。

(町山智浩)どこでやるか、忘れちゃった。はい(笑)。有楽町だと思います。夕方かなんかの回だと思いますけども。これ、実は同じ題材の、ユダヤ人の人がナチにユダヤ人虐殺の手伝いをやらされたって話って、これが初めてじゃなくて、過去にも何本も映画があるんですね。で、その中でどうしてこれだけがすごく成功というか、強烈だったか?ってことを詳しく話したいと思います。時間も場所も忘れてますけども(笑)。

(赤江珠緒)はい(笑)。

(町山智浩)後で僕、Twitterかブログで告知します(笑)。

(赤江珠緒)はい。わかりました。

(町山智浩)すいません(笑)。というところで、アカデミー賞授賞式。来週月曜日の昼に生放送で夜にまた再放送しますので。よろしくお願いします。解説しますんで。

(赤江珠緒)いやー、ちょっと楽しみになってきましたね。こうなるとね。いろいろ紹介していただいた映画がほとんど入っているので。

(町山智浩)今回、とにかく作品賞がわからないですからね。はい。で、どんなものかはたまむすびの過去のを聞いてもらってください。

(赤江珠緒)はい。

<書き起こしおわり>
https://miyearnzzlabo.com/archives/36341

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