町山智浩さんが2021年2月16日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で枡野浩一さんと内田かずひろさんの共著『みんなふつうで、みんなへん。』を紹介。内田かずひろさんの個展などについても話していました。
(町山智浩)今日はちょっとプレゼントがあるんですけれども。小学生向けの絵本なんですけれども。『みんなふつうで、みんなへん。』という絵本を5冊、プレゼントします。これはね、僕のもう30年以上の友達の歌人、枡野浩一さん。
(山里亮太)面白い方なのよ。僕も何度かご一緒したことあるんですけどね。
(町山智浩)ああ、そうですか。まあ、変な人ですよ(笑)。この本のタイトル通り、『みんなふつうで、みんなへん。』の「変」な人なんですけども。その枡野浩一さんと、絵を書いたのは絵本作家で漫画家の内田かずひろさん。この2人の共著なんですね。
(山里亮太)ああ、素敵な絵! 味のある……。
(町山智浩)はい。非常にほのぼのした絵で。それで『みんなふつうで、みんなへん。』っていうのは、「みんな変なんだ。みんな勘違いしてるところあるんだ」っていうことで。たとえば、この1人の男の子は虹のふもと……要するに下、地面についているところはどんな風になってるのか、それを見たくて、それをたしかめに行こうとする子がいたり。
(赤江珠緒)ああ、いいですね。
(町山智浩)まあ、そういう子たちの話を集めた絵本なんですけれども。これを5冊、プレゼントします。
(赤江珠緒)あら! ありがとうございます。
(町山智浩)でね、この内田かずひろさん、この絵本の発行に際して、個展をします。内田さんはね、『ロダンのココロ』という犬の主人公にした4コマ漫画を朝日新聞で7年間も連載していた人なんですよ。
(赤江珠緒)へー!
(町山智浩)それで、明日から1週間、個展があります。場所は東京新宿区荒木町……だから四谷三丁目のところですね。荒木町22-38にある「コーヒー&ギャラリー ゑいじう」というところで明日から1週間、個展がありますので、ぜひ行ってください。
(赤江珠緒)はい。
(町山智浩)で、なぜ今日、この内田さんの本『みんなふつうで、みんなへん。』をプレゼントしてご紹介するかっていうと、この内田かずひろさんという人はホームレスになっちゃったんですよ。
(赤江珠緒)ええっ?
(町山智浩)アパートが取り壊しになるまで、転居する準備をしなきゃならなかったんですけど、お金もなくて。それで今、ホームレス状態になって、知り合いの方の家に泊まってる状態だそうです。
(山里亮太)ああ、今?
(町山智浩)今です。それで、区役所で生活保護を申請しようとしたらしたら、個展をやるということで。「個展をやるようならば、生活保護はもらえません」みたいなことを言われて断られちゃったそうなんですよ。
(赤江珠緒)ええっ? どうして? そうなの?
(山里亮太)「余裕がある」っていう風に捉えられるのかな?
(町山智浩)そういう風に見られるみたいなんですよね。で、「ちょっとおかしいんじゃないか?」っていうことで、みんなで抗議をしようみたいな話にもなっているようですが。
現在、ホームレス状態に
とうとうホームレスになってしまった|内田かずひろ @rodacoco #note https://t.co/xryezhxEMa
衝撃的な内容。生活保護を受けたら創作の仕事も諦めなければならないというのは制度のほうがおかしいと思う。
— 杉江松恋@『お帰りなさい、博麗霊夢』とらのあな委託中 (@from41tohomania) February 12, 2021
(町山智浩)ただ、漫画家で、朝日新聞で7年も連載をしていたという人がお金がなくなってホームレスになっちゃうなんて、みんな「ええっ?」って思うと思うんですよ。
(山里亮太)たしかに。
(町山智浩)でもね、漫画さんや小説家やミュージシャンや、あとは芸人さん。その大部分は食えていないですよ。今。コロナもそうだし。コロナでチャチャッと稼ぐことができなくなったし。特に漫画家も……漫画家なんてみんな、お金持ちになってると思ってるでしょうけれども。今、単行本が2万部売れないっていう状況になってきて。それでアシスタントなんか雇っていたら一銭も残りませんから。アニメ化とかされてなければ食えないです。
(赤江珠緒)ああ、そうですか……。
(町山智浩)「そういう人生を選んだり、その後の人生設計をしてなかったから自業自得だ」って言う人もいるんですね。でもね、そういう人生設計が得意な人ばっかりだったら、世の中に漫画も音楽もないですよ。この世には。芸人さんもいないですよ。
(赤江珠緒)本当、そうですよね。
(町山智浩)そういうことが苦手だから、やっているんですよ。そういうのが上手い……変に金儲けの上手い芸人とか、嫌じゃないですか。そんなの(笑)。
(山里亮太)ああっ、刺さったー!
(町山智浩)そんな芸術家とか、嫌じゃない? ねえ。将来設計がキチッとしている芸術家とか、嫌じゃん?
(山里亮太)たしかに。そういうのと対極にいるから。
(町山智浩)そう。それなのに、そういうことがあると「自業自得だ」とか言うんですけども。まあ、そういう人ばっかりだったら世の中だから何も……笑いもなければ音楽もなくなっちゃいますからね。僕なんかも実はそういうのがすごく苦手で。たとえば原稿を書いたり仕事をすると、いちいち請求書を書いたりしなきゃいけないんですよ。で、そういうのってマネージャーがいないから、自分でやらなきゃなんないんだけど、それが本当に苦痛で。送れないんですよ。
(赤江珠緒)ああーっ!
(町山智浩)だから僕、今までにもう100万円ぐらい、それで失ってますよ。請求書を送れなくて(笑)。
(赤江珠緒)町山さんもそんな感じがするな。本当に。
(山里亮太)たしかに。
(町山智浩)本当にダメなんですよ。
(山里亮太)芸人にもそういう人、多いです。
(町山智浩)だからまあ、ぜひこの内田かずひろの個展にも行っていただきたい。支援をしていただきたいと思います。
内田かずひろ個展
明日からです、在廊してます
よろしくお願いします⚾内田かずひろ個展
マンガ家デビュー30周年+1(ワン)『みんなふつうで、みんなへん。』
⚾とき
2/17(水)~2/25(木)
11:00~19:00
⚾ところ
「コーヒー&ギャラリー ゑいじう」
新宿区荒木町22−38
TEL 03-3356-0098https://t.co/Tm2gH0acwC pic.twitter.com/C5D25qHrFW— 内田かずひろ@『みんなふつうで、みんなへん。』枡野浩一・文/あかね書房 1月発売 (@rodacoco) February 16, 2021
<書き起こしおわり>