町山智浩・河崎実が語る『地球防衛未亡人』ほか河崎作品の魅力

町山智浩・河崎実が語る『地球防衛未亡人』ほか河崎作品の魅力 たまむすび

町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』に河崎実さんとゲスト出演。河崎監督の最新作『地球防衛未亡人』をはじめ、多種多彩な河崎作品の魅力を話していました。

(赤江珠緒)それではスタジオには、映画評論家の町山智浩さんです。改めましてこんにちは。

(町山智浩)はい、よろしくお願いします。

(赤江珠緒)お願いします。そして今日のスペシャルゲスト。映画監督の河崎実さんです。はじめまして。

(河崎実)どうも。はじめまして。

(赤江珠緒)よろしくお願いします。

(河崎実)アカデミー賞なんかほしくないよ!

(町山智浩)ほしいとかほしくないとか言う話じゃないでしょ!本当にもう(笑)。

(赤江珠緒)何万光年も・・・

(山里亮太)離れているという(笑)。

(町山智浩)長いんですよ、河崎監督とは。

(河崎実)そうですね。

(赤江珠緒)え?いつぐらいから?

(河崎実)30年前だよね。学生の頃。

(赤江珠緒)えっ?なにがきっかけですか?

(町山智浩)ええと、この人が『イキナリ若大将』っていう自主映画を撮って、上映をしてたころですね。

(河崎実)そうですね。僕が若大将。加山さんになりきって。

(赤江珠緒)あ、ご本人が。

(町山智浩)そう。加山さんの若大将シリーズのパロディー映画を彼が自主制作してて。その頃からですね。僕、婚姻届出す時に、名前書くじゃないですか。第三者の。証人、河崎さんなんですよ(笑)。

(赤江珠緒)えー!そんな。

(河崎実)いやいや、横にいただけなんです。たまたま。で、『今日提出だから。監督、これに押してくれ』『俺でいいのかよ?』『いいよ』って。適当なんだよ!

(赤江珠緒)(笑)。本当、適当だな。町山さん。

(町山智浩)長いんで。30年ですよ、もう。

(山里亮太)親友じゃないですか。

(河崎実)親友じゃないです(笑)。10年ぐらい会ってないもん。

(町山智浩)会ってないですね。でも、なんにも変わってないですよ。この人。

(山里亮太)なんかそんな感じ、する(笑)。

(赤江珠緒)なんか同じ匂いがプンプンするんですけど(笑)。

(河崎実)オタクですよ、オタク。

(山里亮太)効果音が『キャッキャキャッキャ』なのよ。

(町山智浩)どういう映画を撮ってきたかっていうのを説明すると河崎監督がどういう映画監督かってわかると思うんですけど。

(赤江珠緒)まずですね、河崎監督の簡単なプロフィール。ご本人のホームページから抜粋させていただきますので、まずこちらをご紹介します。河崎実監督は1958年。東京にお生まれです。明治大学在学中より、8ミリ映画を制作され、卒業後はCMプロデューサーとなるが、84年に森田健作の復活プロデューサーをつとめたのを機にフリーに。

(山里亮太)あの、もうここで引っかかっちゃうんですけど・・・監督、すいません。森田健作復活プロデューサーっていうのは、いったい?

(河崎実)あのね、森田さんがね、一時まったく売れなくなっちゃって。そん時、俺がね、森田さんの『おれは男だ!』っていうドラマが大好きで、手紙書いたんですよ。本人に。で、本人から手紙来て、よし、やろう!とか言って。それで森田さんが盛り上がって、タレントとして復活して。で、参議院議員になったんですよ。いま、千葉知事でしょ?

(町山智浩)森田知事にとっての、『親切な人』ですね!

(一同)(笑)

(山里亮太)なんですか?不透明なお金とか、貸してないですね、知事に?

(河崎実)大丈夫。本当、大好きでね。それがきっかけでね、結局映画とか、ずっとね。

(赤江珠緒)そうですか。で、87年の処女作『地球防衛少女イコちゃん』以後、テレビや映画製作を中心にあらゆるジャンルで活躍されまして、数々の映画を世に送り出しました。『日本以外全部沈没』は大ヒット。日本一C調な明るいキャラクターでラジオDJやライターなどマルチな活動もこなしまして、日本が世界に誇る、どこに出しても恥ずかしいB級バカ映画の巨匠と呼ばれるまでに。これ、これでいいんですかね?

(町山智浩)どこに出しても恥ずかしい。

(河崎実)いいんですよ。これ、なべやかんがつけてくれたんです。

(赤江珠緒)そうですか(笑)。

(河崎実)俺、海外行くじゃないですか。映画祭とかで。もう、バカ受けなんですよ。とにかく。要するに、誰が聞いてもわかるタイトルだから。まあ『いかレスラー』とかさ

(町山智浩)いかレスラーっていうタイトルのを2004年に撮ってるんですけど。これ、どういう話ですか?

(河崎実)イカがレスラーになるんですよ。

(一同)(笑)

(河崎実)あの、不治の病になったレスラーが引退寸前になって。それで自分を肉体改造するんですよ。パキスタンのフンザに行って。で、イカになって帰ってくるっていうね。

(赤江珠緒)いやいや・・・(笑)。そこ、スラッと言えるあらすじじゃないんですけど(笑)。

(山里亮太)ホップ・ステップ・ジャンプの、ステップがないのよ、いま。

(河崎実)まあその、いきなりっていうのがね。僕の持ち味なの。

(町山智浩)そう。この人は昔から。いきなりっていうのがキーワードなんですよ。とにかく説明がないんですよ。

(河崎実)説明がない。まあ、『コアラ課長』っていう映画もあるんだけど。コアラが課長なんですよ。いきなり。

(町山智浩)会社の課長をコアラがやってる。

(河崎実)で、みんな誰もツッコまないんですよ。

(町山智浩)『コアラじゃおかしいじゃないか!』って言わない。なぜコアラなんですか?

(河崎実)コアラはね、円谷英二監督がね。特撮の巨匠。円谷監督が好きな動物、コアラだったんですよ。

(町山智浩)それだけの理由なの?

(河崎実)それだけ。

(山里亮太)思うんですけど、コアラと課長をくっつけようってなるのは、どういった発想からなんですか?

(河崎実)やっぱりね、カメラ付き携帯とかね、何かと何かを足すとすごいものが生まれるんですよ。

(赤江・山里)ああ!

(河崎実)だから昔ね、早朝ソープって知ってますか?

(赤江珠緒)知りません!

(町山智浩)いきなり、なんの話してんだよ(笑)。

(河崎実)あの、ソープが早朝やることはあり得なかったんですよ!昭和時代に。いま、5時からやっているはずなんだけど。

(町山智浩)それ、風営法のせいだから!

(河崎実)早朝ソープっていうのは大ヒットしたんですよ。『早朝』っていう爽やかな響きと、『ソープ』っていう・・・

(町山智浩)昼の時間なんだから!

(山里亮太)ここでね、いまわかった!ああ、町山さんの親友だなって。

(赤江珠緒)本当ですよ(笑)。親友だよ、もう間違いなく。

(町山智浩)頑なに否定してますから(笑)。

(山里亮太)自分のさ、素晴らしい映画の生まれたきっかけをいうのにさ、たとえ話が早朝ソープだから(笑)。

(河崎実)それでいいんですよ。

(町山智浩)あとね、『かにゴールキーパー』っていうのは?

(河崎実)これはね、ワールドカップの時、あったでしょ?2006年の。あの時に、カニをね、ゴールキーパーに入れると、横に動くじゃないですか。だから、絶対に強いはずだ!ってね。

(町山智浩)これで90分の映画にするの、大変じゃない?

(河崎実)でも、そのカニをスカウトするのが藤岡弘、さんなの。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)仮面ライダーの。熱く?どんな感じで?藤岡さん、どんな感じでした?

(河崎実)これはね、伏線があってね。一応カニがね、巨大化して、海から上がってくるんですよ。カニだから、バイトするんですね。

(山里亮太)だから、バイトする!?

(河崎実)人間社会に溶けこむために。バーテンやってんの。バーテンを、カニが。だから横に動いてるじゃないですか。

(赤江珠緒)あ、カウンターだと動きやすいし。

(河崎実)そう。それを見たJリーグの監督の藤岡弘、が『君はイケる!君、ゴールキーパーやらないか!?』っていう。それだけの映画ですよ。

(町山智浩)(笑)。普通これさ、5分のコントだから。テレビで。これを90分にするんですか!?

(赤江・山里)すごい!

(山里亮太)90分。にする内容、あるんですか?

(河崎実)あるんだよ。でも、出オチって言われてるけどね。

(町山智浩)出オチなんで(笑)。

(河崎実)ピエール瀧さんに会ったの。この間ね。ラジオで。『監督の映画、全部知ってますけど、1本も見たことないです!』って(笑)。

(一同)(笑)

(町山智浩)タイトルだけでもう、わかっちゃう。

(赤江珠緒)最初のタイトルで。

(河崎実)見てほしいんだけどね。

(町山智浩)わかっちゃうから。『日本以外全部沈没』っていうのは?これは『日本沈没』の?

(河崎実)これはよかった。大ヒットしたんですね。あの、日本沈没、あったでしょ?草彅くんの。TBSで作った大作映画。あの裏で、日本以外全部沈没するっていうね、ネタなんですよ。

(町山智浩)同時公開なの?

(河崎実)同時公開。で、外国人がね、何十億人も日本に全部来ちゃうんですよ。だから外国人の価値が下がるんですよ。だからトム・クルーズが寿司屋とかやってるんですよ(笑)。

(町山智浩)あ、外国人が多すぎて。日本に全世界の人が来ちゃうから。

(河崎実)これはなんとね、小松左京先生の親友の筒井康隆先生の原作、ちゃんとあるんですよ。

(赤江珠緒)日本以外全部沈没が?

(町山智浩)あります。でも短編小説なんで、90分にできないよ!これ、普通。

(河崎実)これも10ページだったの。

(山里亮太)10ページのものを?

(町山智浩)10ページの小説を90分の映画にしてるから(笑)。

(山里亮太)だいたい90分の映画って、文庫本1冊。分厚いのぐらい。

(河崎実)でも、映画って尺なんですよ。尺が問題なんですよ。

(町山智浩)長さのことですね。

(河崎実)70分、80分以上とかね。それでみんな苦労してるんですよ。

(町山智浩)しないよ、普通!普通、入らなくて苦労するんだけど、伸ばすために苦労してるのは河崎さんだけだよ!

(赤江珠緒)なんかそれ、薄めるための。初めて聞きましたけど。

(河崎実)大丈夫。だって俺の映画、レイトショーばっかだからさ。9時からやるでしょ?したら、2時間だったら11時になっちゃうじゃないですか。だから電車がないんですよ。

(町山智浩)ああ、だから短い方がいい。

(河崎実)絶対90分以内。

(赤江珠緒)そんな見る人のことまで考えていただいて(笑)。

(山里亮太)電車のことまで考えながら作っているっていう。

(河崎実)本当ですよ、だから。

(町山智浩)これ、『ヅラ刑事』っていうのはなんですか?

(河崎実)あ、先週、モト冬樹さんが来てくれたでしょ?これはね、モトさんが刑事なんだけどね、ヅラをかぶってるんですけど。そのヅラを投げて敵を倒すっていうんですよ。ウルトラセブンってあったじゃないですか。あの、アイスラッガーっていう頭を飛んでね。凶器になっている。あれをヅラが凶器っていう映画ですよ(笑)。

(赤江珠緒)そんなうれしそうに言われても(笑)。

(町山智浩)ヅラって当たっても痛くないでしょ!?

(赤江珠緒)そう。ソフトじゃないですか。ヅラは。

(河崎実)いや、打撃の特殊なヅラなんですよ。重いの。

(町山智浩)当たると痛いわけ?

(河崎実)特訓するんですよ、だから。当たると痛いんですよ。打撃技だから。

(山里亮太)それはやっぱり、アイスラッガーみたいにしてヅラを投げたいっていう、そこだけで始まったんですか?

(河崎実)そうなんですよね。モトヅラッガーっていう名前つけだんで。元に戻るから。
(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)本来の、ハゲている状態のモトさんに戻るから。攻撃することによって。

(河崎実)最初ね、松山千春とね、綾小路きみまろさんにオファーしようとしたんですけどね。

(一同)(笑)

(河崎実)これね、さすがに怒られるなと思ってね。モトさんが電話したら『いいですよ』って。

(町山智浩)あ、本当に。堀紘一さんとかね、いますけどね。

(河崎実)ヅラネタはヤバいんですよ。面白すぎて。

(山里亮太)生放送で、ひょっとして出しちゃいけない名前出た時、ビクッとしますから。この人はまだカミングアウトしてねーんじゃねーかな?って。

(町山智浩)あ、そっか。みんな知ってるのに、本人がカミングアウトしてないだけですね(笑)。

(山里亮太)それがいちばん質悪い(笑)。

(町山智浩)あと、河崎さんのビデオ映画のシリーズで、『飛び出せ!全裸学園』。『全裸女社長漫遊記』。『全裸女料理人VS裸のおんなドラゴン』ってありますけど、これは一体なんでしょう?

(河崎実)これはVシネマだからね。やっぱりお色気ものを撮ったわけですよ。これはだからテリー伊藤さんの弟子で高橋がなりっていて。

(山里亮太)はい。ソフトオンデマンドの。

(河崎実)そうそうそう。あの会社を作る前に、『ちょっとなんかいい企画ないか?』ってテリーさんに言われて。『じゃあなんかやりましょう』っつって。でもAVじゃないからね。これ、AVじゃないんですよ。普通の青春ドラマで、主人公の女子生徒だけ全裸っていう。

(赤江・山里)(笑)

(町山智浩)別にでもそれは明るい青春ものやってるんだけど、たまたま全裸みたいな。

(河崎実)そのまま続いてくんですよ。なんのツッコミどころもなく。

(町山智浩)『お前、全裸じゃねーか!』って誰も言わないの?

(河崎実)言わないの。むしろ先生が『我々の若い頃はこんな人、いなかったよ!』とか言って。

(町山智浩)さわやかな話はずっと続いていく?別にその全裸自体はなんの話にもからんでこない?

(河崎実)必然性はあるんですよ、一応。一応、主人公は女子高生で、ピッチャーが彼氏なんですよね。で、そのピッチャーが体にボールを受けちゃって、投げられないの。ピッチャーがね。それでその女子高生に土下座して、『俺のために一肌脱いでくれ!』って言うんですよね(笑)。

(町山智浩)したら、勘違いして。

(河崎実)そう。女子高生が全裸で投げるの。

(町山智浩)一肌脱いで、って言われて全裸になっちゃう(笑)。

(河崎実)そのまま甲子園に行くっていう話なの。

(赤江珠緒)(笑)。たしかに青春っぽいストーリーではありますけどね。一肌脱いでくれから。

(河崎実)さわやかな映画。

(町山智浩)これ、見たくなりました?

(山里亮太)見たい!

(町山智浩)本当?山ちゃん見たいって言ってる!

(河崎実)これは絶版なんで、もう・・・VHSだから無理です。

(赤江・山里)えーっ!?

(町山智浩)いいことですね、はい。

(赤江・山里)(笑)

(町山智浩)それでね、新作がすごいんですよ。壇蜜さん主演の、『地球防衛未亡人』っていうのが新作ですね。

(河崎実)やってることが同じだよ。さっきのイカとレスラーと。地球防衛で緊張させて、未亡人。

(町山智浩)未亡人へつなげるという。

(河崎実)早朝ソープと同じですよ!

(赤江珠緒)なるほど。出ました。早朝ソープ理論が出ました(笑)。

(山里亮太)赤江さん、復唱しないの!

(河崎実)赤江さんから早朝ソープって言葉が出た。

(町山智浩)ちょっと萌えてる人がいると思いますけど(笑)。これ、なんで壇蜜さんを?

(赤江珠緒)拝見しましたよ。もう、『壇隊員』って言いたいがための。起用ですか?監督。

(河崎実)違う違う。これはね、3.11あったでしょ?俺も社会派の監督だからね。こんな映画なんかやっている場合じゃない!と思ったんですよ。映画を作ってるんだけど。やっぱりその、いまの東電とかね、そういうのメッチャクチャじゃないですか。笑い飛ばすしかないんじゃないか?って思ってるんで。で、怪獣が出てくるんだけど、その怪獣がね、使用済み核燃料を食べるんですよ。

(町山智浩)あ、はいはい。

(河崎実)いいことでしょ?で、怪獣がデカくなっちゃうっていう。それをどう倒すか?っていう構想を考えたんですよ。その怪獣、いっぱい食うじゃないですか。核燃料を。で、怪獣、ウンコをしたくなるはずじゃないですか。タイトルが『怪獣のウンコ』っていうタイトルだったんですよ。

(町山智浩)最初は?

(河崎実)それをね、いわゆるいまをときめくアイドルたちにオファーしたんですよ。AKBとかそういう人たちに。全部断られたんですよね。

(町山智浩)当然ですね。

(赤江珠緒)そうでしょうね。

(河崎実)で、壇蜜さんに話したら、あの感じで。『喜んでやらせていただきます』って。タイトルを変えたんです、だから。『怪獣のウンコ』なんて無理に決まってるから。だから地球防衛軍にね、未亡人が入って。仇とるために。

(町山智浩)あ、旦那の仇とか。

(河崎実)その怪獣にね、旦那を殺されたんですよ。壇蜜が。で、仇をとるために未亡人が防衛軍に入るっていうね。どうかしている話(笑)。

(赤江珠緒)どうかしている話ですね。

(山里亮太)でもえらいもんでね、ここまでいろんな説明を受けてるから、どうかしているっていう免疫、できてきた。監督ならこれぐらいするだろうっていう。短時間で思いましたよ。

(赤江珠緒)たしかにこの作品は社会派だって。いますごく納得しながら。

(河崎実)そうでしょう?

(町山智浩)どこが社会派やねん!

(河崎実)ポリティカル・フィクションですよ!

(町山智浩)どこがやねん!

(河崎実)ウォーレン・ビューティーの『パララックス・ビュー』みたいな映画ですよ、これ。

(町山智浩)なにを言ってる・・・お前、俺にしかわからないネタを言わないように。

(山里亮太)間違ったことを言ってたんですね。ずっとね。

(町山智浩)本当にもう、よくわからないです。壇蜜さんが、怪獣を攻撃しながらもだえてますよね?この映画。

(河崎実)これはだから、要するにいろんな変態だということで。夫の仇をとることが命がけだから。攻撃をするたびにね、感じてしまうっていう(笑)。

(赤江・山里)(笑)

(町山智浩)そこがいいわけですね。この人、昔ね、『スーパーヒーロー電エース』っていうスーパーヒーローを作ったことがあって。ウルトラマンみたいな。それのコンセプトが、要するに変身する時って、ウルトラマンとかって約束事があるんですよ。ウルトラアイをつけるとか。メガネみたいなの。フラッシュ…をつけるとか。あと、誰かのために命を捧げると変身するとか。必ずあるんですね。変身する約束事が。ところがその電エースっていうヒーローは、気持よくなると変身するっていう設定なんで。セックスしてると返信しちゃうんですよ!

(赤江珠緒)あー!

(河崎実)それはないよ!あのね、ビールを飲んでオヤジが『あーっ!』って言うでしょ?それで変身するんですよ。

(町山智浩)風呂入って、『ああ、いい湯だ!』っつって、バーッ!って変身して、銭湯が壊れちゃうとか。そういう・・・

(河崎実)身長2000メートル。東京タワーを持って戦うんですよ。東京タワーが武器だから。

(町山智浩)そう。だから怪獣のところで変身して。変身すると2000メートルだから、ブッ!って怪獣を踏みつけて終わりとか。そういう卑怯極まりないヒーローなんですよ。

(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)面白い!

(河崎実)そんなことばっかりやってるんですよ。

(町山智浩)面白いですか?

(山里亮太)面白い!見たいです。お笑いという目線で見ちゃうと、最高のコントですよね。全部。

(河崎実)お笑いがいちばん偉いからね。たけしさんも出てるんですよ。俺の映画に。

(山里亮太)えーっ!?どれですか?

(河崎実)『ギララの逆襲』。

(町山智浩)たけしさん、出てるの?

(河崎実)出てるよ!見てないんだ、全く。

(町山智浩)よく出てくれたね!

(河崎実)見てないな、俺の映画!ピエール瀧と同じじゃないかよ!

(町山智浩)見てない!

(赤江珠緒)『洞爺湖サミット危機一髪』。これも社会派で。

(河崎実)社会派。洞爺湖サミットやっている時に、ギララっていう有名な松竹の怪獣が落ちてくるんですよ。みんな同じじゃないかっていう(笑)。それをね、救うためにたけしさんが出てくるんだけど。タケ魔神っていう日本の神様がいて。それを蘇らせて怪獣と戦わせるっていうね。蘇らせるためにね、加藤夏希が踊りを踊るんですよ。『コマネチ!コマネチ!』って。

(赤江珠緒)(爆笑)

(河崎実)で、加藤夏希ちゃんが『コマネチ!コマネチ!』って延々とやっていて。で、たけしと怪獣が戦うっていう映画で。この映画でヴェネツィア映画祭に呼ばれたんですよ、俺。

(赤江珠緒)ええっ!?

(町山智浩)ヴェネツィア映画祭に!?

(河崎実)なんで知らねーんだよ(笑)。

(町山智浩)ヴェネツィア映画祭に、これで!?

(河崎実)呼ばれたよ!2008年に。

(町山智浩)呼ばれたって、どういうこと?『ちょっと来い!』ってやつでしょ?『ちょっと来い、お前!』って。

(赤江・山里)(爆笑)

(町山智浩)『この映画作ったの、お前か!』って。

(赤江珠緒)呼び出しを食らったっていう。

(河崎実)違うよ。たけしさんが『アキレスと亀』っていう。あの時の、いわゆるミッドナイト部門に俺、招待されて。俺、たけしさんと一緒にレッドカーペット歩いて。コマネチ!ってやってたっていう。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)すごいことになってるね。

(河崎実)なんで知らねーんだよ!

(町山智浩)いや、僕ね、30年ぐらい河崎さんの映画見てなくて。久しぶりに、30年ぶりに見たら、全く変わってないっていうね。

(赤江・山里)(笑)

(河崎実)そうでしょう?

(町山智浩)全く変わってない!はい。何も成長というものが見られませんでした。

(山里亮太)いや、いいですね!本当に。

(河崎実)いや、大変なんですよ、作るの。制作は。

(町山智浩)いや、大変だと思いますけど。わかりますけど、はい。でね、今回ね、実は僕の大好きなバンドで、面影ラッキーホールってバンドがあって。前も紹介しました。非常に危険なバンドなんですが(笑)。が、主題歌をね。地球防衛未亡人の主題歌を歌ってるんですよ。

(河崎実)これ、素晴らしかったね。要するにボーカル、聞いたらね。すごいボーカル、バラードがいいんですね。ちょっとコンセプトを伝えてね。これ、SF映画じゃないですか。このラッキーホールさんっていうのは、Only Love Hurtsってなったんだけど。

(町山智浩)バンド名、変えたんですよ。

(河崎実)宇宙の話じゃん。こっちの方は。未亡人はさ。ラッキーホールの舞台ってほら、新小岩のスナックみたいな世界じゃん。

(町山智浩)そうですね。場末のスナックのようなね。

(河崎実)そっから宇宙に行ってくれと。ちょっと。

(町山智浩)ああ、そう。この地球防衛未亡人って、元々は向島の芸者さんなんですよ。なに言ってるか自分でもよくわからないんですが。

(一同)(笑)

(町山智浩)その向島感をすごく出すのが面影ラッキーホール改め、現在Only Love Hurtsで、今回の地球防衛未亡人のテーマ。ちょっと聞いていただきますか。

(河崎実)これ、1月29日配信開始みたいですよ。

(町山智浩)『愛のキサナドゥ』、聞いていただきます。はい。

(赤江珠緒)これが、『愛のキサナドゥ』。地球防衛未亡人のテーマ。

(町山智浩)まあ、ギリギリの内容ですね。歌詞的にもね。はい(笑)。

(河崎実)最初、『愛のブラックホール』って言ってたんですよ。

(町山智浩)ブラックホールだとモロすぎるから。

(赤江珠緒)歌詞を掘り下げるとね。

(河崎実)エロいよ、この歌詞はね。

(町山智浩)キサナドゥはやっぱり、ジャガーズの歌からとってるんですか?

(河崎実)そうそうそう。よくわかったね。ザナドゥじゃなくて、キサナドゥ。

(町山智浩)本当はザナドゥと同じものなんですけどね。ちなみに、モンゴル帝国の首都の名前です。キサナドゥっていうのは。

(赤江珠緒)あ、そうなんですね。

(河崎実)どうでもいい豆知識(笑)。

(山里亮太)もう、わかんなくなってきちゃった!

(町山智浩)わけわかんないです。はい(笑)。

(赤江珠緒)最新作、地球防衛未亡人は2月8日から全国で公開されます。公開日当日には、角川シネマ新宿で壇蜜さんも登壇する舞台挨拶があると。監督、壇さんはいかがでしたか?

(河崎実)もうね、頭がいいんですよね。もうなんか、いつ辞めてもいいみたいな感じでやってますから。だからこの役も受けたんですよ。

(山里亮太)振りきってやっている。

(河崎実)普通さ、ちょっとSM映画とかやってたんだけどさ、その後も谷崎潤一郎じゃん。

(町山智浩)紅白出ててさ、地球防衛未亡人ないよね!普通、やだよね。

(赤江珠緒)地球のために、イキます・・・ってね。

(河崎実)あ、コピーがね。赤江さん、言ってくださいよ。

(赤江珠緒)じゃあ、壇蜜さん風に。ちょっと待って下さい。『地球のために、イキます・・・』。

(一同)(笑)

(赤江珠緒)イケました?

(町山智浩)いや、もうラジオの向こうでは、もだえてますよ!

(河崎実)オカズだ、これは!

(町山智浩)ねえ(笑)。最高です。

(赤江珠緒)よかった。

(山里亮太)おじさん2人、いい加減にしてください!さっきから、もう!

(河崎実)森次晃嗣さんも来ますから。

(町山智浩)元祖モロボシ・ダン。

(赤江・山里)おー!

(河崎実)あと、俺も来ますんで。ぜひ。

(赤江珠緒)2月8日でございます。町山さん、河崎実監督、今日は本当にありがとうございました。

(山里亮太)ありがとうございました。

(町山・河崎)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

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