タマフル『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』特集の続き。ジェーン・スーさんが選んだプロポーズされない理由5つを、宇多丸さん、しまおまほさんと語っています。
※ジェーン・スーが語る『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』出版経緯の続きです。
(宇多丸)今夜は単行本発売記念、未婚のプロ ジェーン・スー大いに語る 『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』特集をお送りしております。ゲストは作詞家・コラムニストのジェーン・スーさんです。よろしくお願いします。
(ジェーン・スー)よろしくお願いします。
(宇多丸)さあ、そしてですね、ここでスペシャルゲストをスタジオの中にお迎えしております。要は、この方もね、一種未婚の・・・どうなんですかね?プロですか?この方は。まだアマ・・・
(ジェーン・スー)どうですか?ご自身としては。
(宇多丸)はい、紹介いたします。しまおまほさんです。
(しまおまほ)はい、こんばんは。
(宇多丸)未婚女子。
(しまおまほ)いや、アマでしょう。
(ジェーン・スー)アマですか?
(しまおまほ)全然。ブレまくってますもん。
(宇多丸)まだ未婚のさ、自分の自己分析までいってないっていうことじゃない?
(しまおまほ)でもこれ、(本のページを)めくるたびにビンタされている気になるっていうか。
(宇多丸・ジェーン)(笑)
(しまおまほ)もう、表で!裏で!表で!裏で!みたいな。
(ジェーン・スー)ベーン!ベーン!ベーン!
(宇多丸)めくるたびにビーン!ビーン!ビーン!あ、そう。
(しまおまほ)痛かった・・・
(宇多丸)じゃあもう、やっぱさ、俺がブホッ!って笑ってるけど、笑いどころじゃないんだ。もう。女子は。
(しまおまほ)うーん。こう、やっぱりなんか自分は特別っていうか、自分なりの存在だと思ってるけど、もう全然普通っていうか。
(宇多丸)よくある件だった。
(しまおまほ)ドンズバじゃんって(笑)。
(宇多丸)でも、逆に僕読んでて、俺から見ても、『あっ、ある!このすれ違い感、この噛み合ってない感、俺、通って来た』って。通って来たし、いまも全然あるところもあるから。ちょっと後ほどその話なんかもね、しようかと思うんですけど。はい、ということでここからね、新しい女性たちのバイブル、『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』の中で紹介されているプロポーズされない理由をいくつかピックアップして解説していただくというね。
(ジェーン・スー)はい。
(宇多丸)ビンタですよ。
(ジェーン・スー)ビンタを、いきましょうか。
(しまおまほ)はい。
(宇多丸)ビンタ。
(しまおまほ)もう、ほぼビンタですね。これは。
(宇多丸)(笑)。本当のビンタ。比喩ではなく。
(しまおまほ)比喩ではないですね。
(宇多丸)しまおさん、ビンタを受けながら、自分のプライバシーの話だってしなきゃいけない。いつもね、避けてる部分を。
(しまおまほ)だからスーさんのタイトルを聞いて、もうそれこそ比喩っていうか、『101の理由があってだな』っていうコラムだと思ってたら、本当に101の理由があったから、もうね、ゾッとしましたね。
(ジェーン・スー)(笑)
(宇多丸)これが!?101続くの!?って(笑)。じゃあ、いってみましょうか。早速、じゃあスーさん。
(ジェーン・スー)はい。まず1つ目。『仕事でヘトヘトな彼を休日のIKEAに連れて行ったことがある』。
(宇多丸)どうですか?
(ジェーン・スー)これ、みなさんのお手元にあるバイブルの14ですね。
(宇多丸)14項目めにあるってことですね。
(ジェーン・スー)ありますけども。これはですね、IKEA。これは結婚後に、自分が彼と家庭を作ったらどんな家庭になるのか?ってことをイメージしてほしいんですよ。結婚ごっこができる最適な場所なんです。
(宇多丸)まあ、家具が置いてあってね。
(しまおまほ)『500日のサマー』でね。
(宇多丸)500日のサマーで出てきましたよ。
(ジェーン・スー)そうそう。で、子供部屋もあるし、実際に既婚者たちがゾロゾロいるわけじゃないですか。だからなかなか結婚を切り出さない彼をそこに連れて行くことで、なんかこうイメージしてもらおうと思ってやるんですが、IKEAってだいたいどこからも遠いんですね。
(宇多丸)はいはいはい。
(ジェーン・スー)で、たとえば車を運転するのが彼だったら、彼に連れてってもらわなきゃいけないと。
(宇多丸)結局、そういうことですよね。疲れるの、俺じゃねーかと。
(ジェーン・スー)で、電車だとしてもちょっと時間がかかると。で、だいたいそういう日の前の日っていうのは、男は飲みあげていたりとか、仕事が疲れていたりとか。疲れているんですよ。
(宇多丸)休みの日の前までは一生懸命、なんかしらやっている。
(ジェーン・スー)そうなんです。なのに、朝イチから、疲れた男をIKEAに連れて行って、結婚をイメージするわけがない!
(宇多丸)(笑)。っていうかむしろ・・・周りはさ、家族連れとかもいて、ワイワイやってるじゃないですか。こっちは疲れていて。で、正直ね、そんな家具とか、余裕がある時ならいいけど、今むしろ嫌だと。周りの家族とか見て、結婚したらこういうの、毎週がこれか!という・・・
(しまおまほ)(笑)
(ジェーン・スー)そう。忘れちゃいけないのは、IKEAに来ている男性の目は死んでいるんです。
(しまおまほ)(爆笑)
(宇多丸)これはやっぱり冷静にIKEAに行ってみると、そうですか。
(ジェーン・スー)私たちはそれ、気づかないんですけど、男性は、やっぱり同族でね、男性がどういう顔してるかな?っていうとみんな目が死んでいる。
(宇多丸)これ、ちなみに私、結婚する前ですけど。結婚決まってからかな?ありました。IKEA。で、本当嫌だった!マジ死んだ目で。別にね、最初はうんうんってこうやってるんだけど、だんだんこう、無口になってきて。
(しまおまほ)えっ、何が嫌だったんですか?
(宇多丸)だって遠い、人多い、別に俺の興味あるもの無い、なんかその・・・
(ジェーン・スー)そうそう。そうなんです。
(しまおまほ)えー・・・
(宇多丸)なんかもう、とにかくゲッソリしてきて。なんなんだよ!みたいな。
(しまおまほ)あー。まあ大抵ね、ケンカするっていいますもんね。
(宇多丸)大塚家具でいいじゃねーか!って。
(ジェーン・スー)そうそうそう。で、結局ね、男の人は混んでる場所、並んで待つこと、目的のない買い物、この3つ大っ嫌いなんですよ。
(宇多丸)ちょっと待って下さい。逆に僕は聞きたいですね。それは、好きなんですか?
(ジェーン・スー)別に、ねえ?
(しまおまほ)うん。ぶらぶらするの・・・
(ジェーン・スー)ぶらぶらするの、最高ですよ。
(宇多丸)なんだ?ぶらぶらって・・・
(しまお・ジェーン)(笑)
(宇多丸)ほら!これ!齟齬!齟齬!
(ジェーン・スー)ここで既に。で、結局そこで私たちは家具好きの男を選んでいるならば、IKEAに連れて行くこと自体が間違いじゃないですか。
(宇多丸)本当に家具好きだったら。
(ジェーン・スー)そう。1ヶ所で揃えたいって思わない人もいるわけですよ。だから疲れていたり家具好きだったりしたら、もう最悪の状態で。
(宇多丸)あ、もうそうか。そもそも疲れている上に、俺家具好きだからわかるけど、これナメてんのか!?と。IKEAでワンセット揃えようなんて。
(ジェーン・スー)そうなんです。だからどうしてもIKEAに行きたかったら、男の使っている電気スタンドの1個、壊しましょう。
(宇多丸)あ、破壊工作。
(ジェーン・スー)そう。破壊して、壊れちゃって、『なんかIKEAに安くていいのあるらしいよ・・・』みたいなことを言う。
(宇多丸)でも、電気スタンド1個買うのにIKEAにわざわざ行かなきゃいけないの?
(ジェーン・スー)そうなんですよねー。
(宇多丸)別にだっていくらでもあんじゃん。そこらへんにさ。
(ジェーン・スー)まあ、ネットでも買えちゃうしね。
(宇多丸)そうよそうよ!リーリーリー!
(ジェーン・スー)そうそう、だから結局ね、IKEAは結婚したい女の礼拝所じゃないので。連れて行ったところで願いが叶うわけではないんですが、でも私たちはあそこで、結婚したらどんな風になるのかな?っていう妄想を一緒にしたいんですよ!
(宇多丸)えっ、しまおさん、それに近いことやったことあるんですか?
(しまおまほ)IKEAね。でも、もう行くまでにいかなかったですね。
(宇多丸)IKEAまでいってない(笑)。
(しまおまほ)あとそれから、やっぱりIKEA行きたいっていうと、1ヶ所で揃えたくないとか、安いから結局よくないよとか。
(宇多丸)説得されちゃって。それ、男はそもそも行きたくなかったわけよ。俺ね、IKEAってどういう場所かわからないで連れてかれたから。で、行ってから、『なんだよ、これ・・・』って。
(ジェーン・スー)楽しいんだけどね。最高ですよ。
(しまおまほ)楽しいですよ。カラフルだしー。
(ジェーン・スー)安いしー。
(宇多丸)全力で『俺は具合が悪くなった』って主張して帰りましたよ!
(ジェーン・スー)そうそう。結局それってここにも書きましたけども、向こうに行ってヘトヘトで疲れた男が、もうブスッてしてて、ケンカになって帰ってくるっていう。
(宇多丸)(笑)。まあケンカにはならなかったけど、ブスッとはしましたね(笑)。
(ジェーン・スー)書いてありますから。そういうのも本当に。
(宇多丸)すっごい!あなた、超能力者ですか!?
(ジェーン・スー)いやいやいや、全部やったんですよ!結局、疲れている男を連れ回していいことなんか1つも起きない。
(しまおまほ)それはそうだな。
(ジェーン・スー)いちばん大きな問題は、相手のことを全く思いやっていない行動だった。それが私の反省ですね。
(宇多丸)ああー、なるほどね。
(ジェーン・スー)相手のことを思いやらない女とは結婚しない。(にっこり)
(宇多丸)にっこり(笑)。笑顔がヤバいですよ!そりゃそうだ、みたいなね。でも、この101の理由いろいろあるけど、通底しているものとしてありますよね。本当には相手のことを思いやった行動ではないんじゃないか?とか。
(ジェーン・スー)自分勝手なんですよね。
(宇多丸)あと、結婚を匂わせるっていうか、結婚を連想させてくることでっていうのはさ、こっち側には、男的にはむしろ・・・やっぱりパンチを打たれたら、引いちゃうでしょ?スウェーバックしちゃうんですよ。こう、ウッてさ。だから逆効果。
(しまおまほ)こわー!
(宇多丸)さあ、どんどんいきましょうか。ビンタ!どんどんいくよ!ビンタ。
(ジェーン・スー)続いていきます。13番目にいきます。『彼が連れて行ってくれるレストランで、かならず空調や店員の態度にケチをつける』。
(宇多丸)あ、要するに男性が選んだお店ってことですね。
(ジェーン・スー)お店。『いいとこ連れて行ってやるよ』とは言わないまでも、『美味しいものがあるから食べに行こう』と言われて連れて行かれたレストランで、座った途端に『なんか出口に近い・・・』とか、『すいません、冷房効きすぎ。ちょっと厳しめなんで・・・』みたいなことを言ったりとか。
(しまおまほ)厳しめ(笑)。
(ジェーン・スー)あと、出てきた皿に『あ、これこの間◯◯ちゃんと食べた方が美味しかったから、今度一緒に行こうよ』みたいなことを言ったりとか。
(宇多丸)あー。これがだからさっきにも通じる、男側はそれなりに気を使って連れてきているのに、それを無碍にするという件。
(ジェーン・スー)そうです。で、なんでそれが起こるか?っていうと、『俺はお前よりちょっと上だよ』みたいな微弱電波を女は感じるわけですよ。
(宇多丸)その店に連れて行かれた時点で。
(ジェーン・スー)そうそうそう。で、男の人はね、女をすごい喜ばせたいっていう願望があるじゃないですか。
(宇多丸)あの、無意識レベルではね、あるかもしんない。それこそ、『こんなの初めて』って言わせたい。
(ジェーン・スー)そうそう。そうなんですよね。なんじゃそりゃ?って話なんですけど。
(宇多丸)(笑)。しょーがねーじゃねーかよ!
(ジェーン・スー)それで、とにかくその強烈な、女を喜ばせたい願望のところに、微弱電波として、『な?俺の方がちょっと上だろ?』みたいなのを出てくるのを感じると、ちょっと待てと。
(宇多丸)その微弱なね、自慢フェロモンを感じるんだ。やっぱり。『アフターアース』に出てくる化け物みたいな。そのフェロモン、プシュー!ギャー!みたいな、こう・・・
(ジェーン・スー)ちょっとわかりません。ごめんなさい。で、まあ結局女だからナメんなよ!とか、私わかってますから・・・っていうことを言外に匂わせて、そうやって彼の喜ばせたい気持ちにケチをつけると。で、よくよく考えてみれば、成年マンガ誌で女の子が笑っているシーンだけに1ページを割き、おっさん向け大衆誌では、『このテクで女を喜ばせる』。もう、とにかく非常に面倒くさいんですけども、とにかく女が喜んでいるのが好きなんです。男の人は。
(宇多丸)この通底しているあれとして、もう1つ。男の自尊心というか、女から見ると下らなく見えるナニも尊重してやりなさいよということは、やっぱり書いてありますよね。
(ジェーン・スー)なんでそれを尊重すべきか?っていうと、尊重しない女に限って、『男でしょ!』みたいなことを言ったりとか。
(宇多丸)ダブルスタンダード使っちゃう。
(ジェーン・スー)自分に女らしさを求められた時に、『はあ!?女だからって』みたいなことを言うんですよ。っていうか、私そうだったんですよ。いまだにやっている時もあるんですけど。で、これはちょっと話としてマズいぞというのに気づきまして。自分が女らしく扱って欲しいっていうのがあるんだとしたら、そこは男らしさと等価交換だなというのもありまして。
(宇多丸)私の『女だから・・・みたいにやるな』って言うのであれば、相手にもそれを求めてはダメだってことだし。
(ジェーン・スー)そこはイーブンで行こうよという。結局だから、連れてってくれるレストランとか物とか、そういうものはほぼね、性行為と一緒だっていう風に考えるようにしました。
(宇多丸)待ってください、どういうことですか?あ、イク!と。
(ジェーン・スー)いやいや、っていうか、性行為に対して、『これさ、ちょっと厳しめだから・・・』とか言わないじゃないですか。私たちも。
(宇多丸)あ、そうですか。さすがのあれも、こう・・・
(ジェーン・スー)ないですないです。『今日、どうしたの?』とか言わないですから。
(宇多丸)(爆笑)。怖いよ!怖いよ、俺。すっかりもう、心が萎えましたよ、もう!
(しまおまほ)(笑)
(ジェーン・スー)言わないですから。
(宇多丸)その気遣い。
(ジェーン・スー)そうです。それと同じだって女の人は思った方がいいですよっていう。思わないと、未婚のプロになる。
(宇多丸)レストランとかは、女の人も『私の方がわかる』というあれがあるからだけど・・・
(しまおまほ)先生!いいですか?
(ジェーン・スー)いや、先生じゃないよ。『プロ』と呼んでください。
(しまおまほ)プロ(笑)。私はこの場合、連れてってもらった時は、最初の方はすっごい喜ぶんですよ。で、いろいろしてもらったりするのも、うれしいんですけど。『これ美味しい』とか言うけど、実はちょっと空調が・・・とか、このご飯は本当はイマイチとか、心の中ではちょっと思ったりとかして。で、その弾性が、こういうのが好きだと思って、その店に度々連れて行ってくれたりとか、それに似たようなものを出してくれたりすると。で、だんだん仲が良くなってくると、いろいろ言えるようになるじゃないですか。
(ジェーン・スー)はいはい。
(しまおまほ)『実はこれ、そんなでもなかった』みたいなのを言い出した時に、『いままでのは何だったんだ!?』みたいになると。
(ジェーン・スー)ブチ切れるよねー。男の人ねー。
(しまおまほ)それの方が私、危惧してるっていうか。その方が経験済みなんですけど(笑)。そういうのはどうしたらいいんですか、先生。
(ジェーン・スー)もうちょっと早い段階で何か伝える方法はないですかね?
(宇多丸)これ、どうすればいいの?ちなみに。
(ジェーン・スー)たとえば『今度は私がどこか連れて行くね』とか『どこか選んだところに一緒に行ってくれない?』とか。
(宇多丸)これのかわりってことじゃなくて。
(ジェーン・スー)かわりってことじゃなくて、とか。あと、『行きたい店があるんだけど、1人じゃ行きづらいから一緒に行って』とか。なんとかこう、上手く・・・ただ花を持たせるっていうのもやり過ぎると、子供にワザとゲーム負けてるのと同じみたいなことになるので。
(しまおまほ)あー、そうだね。
(宇多丸)あんまり女の人側がさ、一方的に大人になって我慢し続けるみたいな関係も、あんまり良くないじゃないですか。ただね、『あの時ああだった』は別に男女関係限らず、俺はいちばん言われてムカつくことなんですよ!あの時言わなかったんだったら、テメーのせいでもあるだろうが!キーッ!って。
(しまおまほ)そうそうそう(笑)。
(ジェーン・スー)だから穏やかに、1回はっきり言うっていうのが私はいいと思いますね。私たちが学んだ、未婚のプロ集団が。
(宇多丸)『穏やかに』って言うけど、ジェーン・スーさんが穏やかに、『ね?』って言ったら、怖っ!
(ジェーン・スー)いや、男の前ではやりますよ。穏やかに。(にっこり)
(宇多丸)穏やかに・・・(笑)。その笑みがね、もうなんかブッダの・・・もうヤバいんですよ。
(ジェーン・スー)本当に仏門に入るだけになっちゃったんですね。残っていることがね。
(宇多丸)さあ、じゃあ次いきましょう。ビンタ3。
(ジェーン・スー)はい。3番がですね、79番になります。
(宇多丸)79。いいですね。バイブルですね。本当にね。
(ジェーン・スー)79章。『アルマゲドンを見ている彼をバカにした』。
(宇多丸)これは要するに、趣味がちょっとあからさまにどうかな?みたいなことがあっても、ってことですかね?
(ジェーン・スー)そうですね。で、これ私、本当にあったことなんですけど。『アルマゲドン、見たいな』みたいなことを言ったその当時の彼氏に、『ああ、あのコメディ?』って言っちゃったんですよ。私が(笑)。
(宇多丸)ああー・・・鋭い返しをしちゃった。
(ジェーン・スー)で、この私の悪癖。そして未婚のプロの悪癖。なんちゃって世相斬り。
(宇多丸)ああ、ちょっと毒舌が身についちゃってる。
(ジェーン・スー)このね、なんちゃって世相斬り、ブラウン管を通さないコメンテーターみたいなね。これがいちばんマズいですね。
(宇多丸)あなた、よくそんな厳しいことをズバズバ自分に向けて言えますね。これね。
(ジェーン・スー)まあまあ、大丈夫ですよ。本当全然、その辺は。だからたとえ今の姿の彼がヒーローからはほど遠くても、男のヒーロー願望を男の目の前で笑うのは止めておこうというのが私の学んだことでして。
(宇多丸)それは本当に好きなんだからね。
(ジェーン・スー)っていうのがね、いちばんの問題は、この男はいわゆるアルマゲドンの派生商品の部分っていうのがありまして。つまり、女に車道側を歩かせないとか、重い荷物を率先して持つとか、そういうことをやってくれる人で。それが初めてだったらすごい嬉しかったんですよ。
(宇多丸)ほうほうほう。
(ジェーン・スー)で、それを喜んでいるにも関わらず・・・
(宇多丸)ああ、さっきのダブルスタンダードか。
(ジェーン・スー)そう。核心のアルマゲドンをね。地球を助ける核爆弾を持って、自分の命を挺していくっていうストーリーを好きな男を、『ああ、あのコメディ?』って言っちゃったところが。
(宇多丸)これ、だから仮でアルマゲドンですけど、たとえばこれが『ロッキー』とかでもいいわけじゃないですか。
(ジェーン・スー)そうですね。不屈の精神とかもバカにしたらダメですね。
(宇多丸)だし、『お前のために命を懸けて戦う』。これ、DJ JINという男がベソをかきながらね、『最高の映画だから見よう!』って奥さんに見せて。横でズーズーズーズー泣いていたら、『働けよ。なに命を懸けて勝手に戦ってんだよ。テメーの勝手だろ、それ?』って言われて、もうすげー萎えたって話をしてたんですけど。まさにロッキーに置きかえてもいいでしょうし。『スーパーマン』でもなんでもいいですけど。
(ジェーン・スー)なんでもいいです。とにかく、ヒーロー願望とか、そのイズムをバカにするのは止めようという。
(宇多丸)なるほどね。まして、相手の男らしい部分に、なにか期待していた部分があるのであればと。
(ジェーン・スー)そうです。そうです。じゃあ、次に参りましょうか。次がですね、54章お願いします。
(宇多丸)54章。これも・・・みなさん、これ必須ですね。手元に常に。はい。
(ジェーン・スー)『彼の後、トイレの便座が下がっていないことでキレたことがある』。
(宇多丸)便座の件は、同居なんかしてる人は、結構よく聞く問題なんですよね。ちょっとジェーン・スーさん、僕申し訳ないです。便座が上がっていると、なにがいけないのか?いまだによくわかってない・・・
(ジェーン・スー)そうなんですよ。まさに全てはそこに集約されていて。女は、『なんでわかってくれないの?』の方に軸足を置きすぎなんです!ということが私たちが満身創痍で学んだことで。もうほぼ地雷を踏みあげた、地雷原から這々の体で帰ってきた私たちの戦績として、情報として。敵陣はこの情報ではわかってない。攻撃が全然受けてないぞと。
(宇多丸)ダメージを受けていない。
(ジェーン・スー)ダメージを受けてないことがわかりまして。結局ですね、なにが悪いのか、私が説明いたしますと、たとえば便座。世の女子便所はそれが洋式である限り、便座が上がっているということは決してないんです。私たちが入る便所では。
(宇多丸)女の人が使う限りはね。
(ジェーン・スー)で、便座の裏が上がっていて、他人の排泄物の飛沫とかを見るっていうことが、生まれてから1度も無いわけですよ。
(宇多丸)ちょっと汚れてたりするっていうことだ。
(ジェーン・スー)そうです。そして、排泄をするにあたっての距離感が、全く便座において男女で違うんです。
(宇多丸)なるほどね。たしかにこっちは割とスナイピングですけども。こっちはスナイパーに対して、そっちは白兵戦!
(ジェーン・スー)そうです。そうです。かなり近い距離からのポジショニングになりますので、これが生理的に非常に嫌なわけです。
(宇多丸・しまお)あー!
(ジェーン・スー)で、便座。上がってますよね?それを指でチョーンってやって、パターン!って倒れる時に飛沫が飛んでこないように、壁の方にベター!ってつくんですよ。私たちは。という作業をやるのが非常に嫌なので。
(宇多丸)つまり上がっているのは男側の都合なのであるから、次に女性が使うことを考えれば、そっと戻しておくぐらいしておけよと。
(ジェーン・スー)というか、そこは常識的とか言わないです。『お願い』です。
(宇多丸)あ、そうなんだ。
(ジェーン・スー)お願いなので、これはやってほしいと。
(宇多丸)これ、全く理由がわからないから、こっちもあれだったんですよ。だから言ってくれりゃあ、逆に。
(ジェーン・スー)そうそうそう。だから結局私たちはね、何度言っても直んないから、『なんでわかってくれないの!?』っていうところで怒ってたんですけど、わかるように伝えてなかったんだなっていうね。
(宇多丸)本当に理由がわかんないから。
(しまおまほ)私もいま、初めて言葉にしてちゃんとわかりました。自分の中で、なんで嫌だったのか。
(ジェーン・スー)結局、女が自己都合を再優先させてるか、男にわかりやすい説明をしていない、どちらかの時は、未婚のプロの道まっしぐらだよっていう。
(しまおまほ)あの便座をチョーンってやって、カコーン!ってね、落とす。あの・・・
(宇多丸)丁寧に落とすのも嫌だもんね。
(ジェーン・スー)嫌だ嫌だ。そのチョーンの場所が、ねえ。汚れてたらどうしよう?とか、そういう恐怖感と私たち、いっつも戦ってますから。
(しまおまほ)居酒屋でね、耳すませば聞こえると思いますよ。
(宇多丸)コーン!って。鹿おどしが。ああ、そう。
(しまおまほ)たまーに、下がっている男性いるじゃないですか。フタごと一緒に下げたりとかする人。すっごい好感上がりますよね。
(ジェーン・スー)ね。もう最高ですよ。
(宇多丸)あ、閉まってた方がいい。フタも。
(しまおまほ)フタもまあ、上げるのちょっと抵抗あるっちゃあるけど、でもウィーンってね。
(ジェーン・スー)ね。なってたりする。結局、男の人にものを話す時に、私が発明した・・・発明したってわけじゃないですね。未婚のプロたちが発見したことでいうと、『なぜそれをやられると自分が困るか?』っていうのを理論的に説明して、それを心情とセットにしてプレゼンをし、それに対しての決定権を向こうに預ける。『こうしてくれ!』じゃなくて、『私は困っていますので、あなたの判断でどうにかしてください!』っていうと、『じゃあ俺の判断としては役に立っちゃうから、上げちゃうんじゃないの?』って。
(宇多丸)さっき言った男性の自尊心のところを傷つけずにコントロール。
(ジェーン・スー)もうそこで男女同権!とか平等!とかやって、時間もったいない。
(宇多丸)でも実際本当にマジでわからなかったからね。っていうの、結構ありますよ。俺、今回の本読んで、逆にですよ、そっちは『男はこんなこと思っている』。えっ、そうなの?みたいなの、いっぱいありましたから。
(ジェーン・スー)こっちだって、わかんないことだらけですよ。
(宇多丸)あの、『テレビ見てる時に話しかけてないか?』みたいなの、あるじゃないですか。僕、なんでね、人がなにかやっている時に話しかけるのかな?って。女性はマルチタスクなんですってね。
(ジェーン・スー)そう、だから全然話せるんですよ。
(宇多丸)同時にいろんなことできるって言うじゃないですか。
(ジェーン・スー)同時に全然いろんなことできる。
(宇多丸)いや、待って待って。いま、あれですよ。『トレーニングデイ』のオープニングの最初の方ですよ。いま、俺がなにをやっているか、わかるか?新聞を読んでいるよな?とか、そういう・・・
(ジェーン・スー)ああ、私たちはテレビを見ながら明日のご飯の話もできるし、結婚の話だってできますよね。全然。ホラー映画見ながら。
(しまおまほ)(笑)
(宇多丸)見てもいるの?
(ジェーン・スー)見てもいますよ。
(宇多丸)頭いいー!
(ジェーン・スー)全然それ平気です。
(宇多丸)だから俺、できないのよ。
(ジェーン・スー)ああ、そうなんですよね。それがわからないと問題になると。で、あとですね、次いきます。72番お願いします。
(しまおまほ)72・・・
(宇多丸)72、開いて!
(しまおまほ)ボーッとしてた。
(宇多丸)72!ボーッとしない!
(ジェーン・スー)これはしまおさんにも是非ご意見をお伺いしたいものなんですけども。いきます。72番。『だから言ったじゃない、と彼を小馬鹿にしたことがある』。
(宇多丸)これはどういうことですか?
(ジェーン・スー)これはですね、たとえば何度言っても床で寝るんですよ。『床で寝たら風邪ひくよ』っていうのに、床で寝る。あと、『こんだけ飲んだら頭痛くなるよ』っていうのに飲むとか。これ、本当にキツくて。で、私はただですね、これを女に置きかえたらなんだろう?っていうのをいつも考えるようにしていて。わかんないことは。
(宇多丸)あ、そうかそうか。女にもそういう置きかえができるんじゃないか?と。
(ジェーン・スー)で、考えると、太るとわかっていてデザートたのむのと一緒だなと。『太っちゃうー!』って言いながら食べるのと。
(宇多丸)しかもそれを相手の、お付き合いしている男がバカにしたように。『なんだよ?』みたいな。
(ジェーン・スー)で、翌日体重計にのって『太った』って言ってるのを、『ほれ見たことか!』って言われたら・・・
(宇多丸)ほれ見たことか。
(ジェーン・スー)『だから言ったじゃない』は『ほれ見たことか』と同意義だっていうですね。
(宇多丸)ちょっと悪意がこもっている。
(ジェーン・スー)そうですね。これね、古川(耕)さんのお嫁さんに習ったんですけどね。私。だから、結婚できる女は賢いなと思って。
(宇多丸)ああ、こういうことは言っちゃダメだよシリーズ。なるほどなるほど。
(ジェーン・スー)しまおさん、いかがですか?
(しまおまほ)いや、私もこういうの、言いたがりっていうか。やっぱり先に私の方がわかってたんだよっていうのを、示したくなっちゃうんですね。
(宇多丸)世話焼きの性格の人、要するにちょっとお母さん体質がある人とかはさ、ちょっとお節介気味なさ、発言とかをしやすいと思うんですね。だから美点にもつながるとは思うんだけどね。気が利くっていうかさ。
(しまおまほ)スーさん、さっき言われたように、やっぱり花を持たせるっていうことをね、私結構最初にしちゃうタイプで。
(ジェーン・スー)やり過ぎちゃうんだ。
(宇多丸)それはちょっと無理しちゃってるんだ。
(しまおまほ)そう。それで後々、仲がこなれてくると急にこっち側になっちゃうっていうか。『だから言ったじゃない』とか、『便座おろせよ』みたいな(笑)。
(宇多丸)『なんか最近、変わったね』みたいな。付き合いだしてから。
(ジェーン・スー)向こうはちょっと騙されたじゃないけど、なんなの?って。
(宇多丸)だからあんまり無理した状態が続くのも良くないからなー。
(ジェーン・スー)そう。だから書いたんですけど、無理してる時ってかならず見返りを求めるので。
(宇多丸)あっ、こんなに私は我慢してるんだから!と。でも、こっちからしてみたら、知ったこっちゃねーよ!と。
(ジェーン・スー)たのんでねーよ!ってことなんですよね。それもね、知らなかった。35ぐらいまで。ずーっとやってた。
(宇多丸)たのんでねーよ!は結構出てきますね。これね。
(ジェーン・スー)そう。たのんでねーよ!ってことをやって、『なんでわかってくれないの!?』っていうのをね、結構最近までやってましたね。
(宇多丸)これ、男女ともに、要するにひとりよがりなさ、本当は自分のことしか考えてないのに、みたいなパターンじゃないですか?
(ジェーン・スー)『あなたのためを思って』っていう曲がありましたよね。ライムスターさんにも。
(宇多丸)それによる齟齬だ。そうそう。『余計なお世話だ』ってやつですね。
(ジェーン・スー)バカヤロウなんですよ。本当に。
(宇多丸)さあ、あ、ちょっと待って下さいよ・・・
(ジェーン・スー)あっという間に。
(宇多丸)早っ!まだ全然だって・・・
(ジェーン・スー)あと2時間は話せますよ、これ。
(宇多丸)別に1晩イケるでしょ?
(ジェーン・スー)次、92番。とか言いながら。
(宇多丸)(笑)。という、こんな愉快な本。『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』。ジェーン・スーさん、これはポプラ社より10月12日に発売ということなんで。これ、売れます。
(ジェーン・スー)ありがとうございます。
(宇多丸)私に言わせると、これは女の人にとっての『ブラスト公論』。
(ジェーン・スー)おっ!これは非常にうれしいですね。
(宇多丸)まさにその、なにかダメな状態を礼賛するとかそういうことではない。でも結婚にひとつの結論を出すような本じゃないけど、これによってなにか解けるっていうか、心の絡まったものが解けたような気がするんじゃないの?っていう。
(ジェーン・スー)あの、本当に100個、私たちができなかったことを書いてあって。いまもできないんですよ。半分以上。
(宇多丸)全部はできてない。
(ジェーン・スー)なので、こうした方がモテるわよとかいう本ではないです。ただ、状況をわかることによって、自分の態度を決められるっていうことがすごく大事だと思うので。状況がわかんないと態度が決められないので。
(宇多丸)ちょっと俯瞰して。
(ジェーン・スー)そうそうそう。っていうのが、もしちょっと若い人に伝えられたら嬉しいなと。
(宇多丸)その上で僕、いいなと思うのは、でも未婚っていう、本当にしたくないっていう自分の心を掘り下げたら、本当はしたくないかもしれないんだから、そんなことで苦しむのはやめなさいと。
(ジェーン・スー)そうです。時間がもったいない。
(宇多丸)ちゃんと優しいことも言ってるんでね。
(しまおまほ)なんで私を見るんですか?(笑)
(宇多丸)いや、だからしまおさんも掘り下げてみる必要が・・・
(しまおまほ)まあね。まだまだ未熟だなと思いました。読んで。
(ジェーン・スー)いやいや。是非是非、みなさん読んでください。
(しまおまほ)突き抜けられないですよ。なかなか。
(ジェーン・スー)しまおさん、今度ゆっくり話しましょうよ。ご飯行って。
(しまおまほ)おおっ・・・
(宇多丸)ジェーン・スーさん相手だと、壺を買いかねないって本当にね。
(しまおまほ)買いかねないですね。
(ジェーン・スー)壺は売っちゃいけない。
<書き起こしおわり>