KREVAさんが2024年11月12日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション2』に出演。生成AIなど、最新の技術を積極的に制作に取り入れているKREVAさんですが、生成AI以外にもビッグデータをベースとした、不要な音を除去するAIの進化について、宇多丸さんと話していました。
KREVAさんの活動20周年を記念した『KRECIPE』というムック本でKREVAさん、PUNPEEさんと対談をした際に宇多丸さんが非常に興味深く感じ、周りの方にも吹聴してまわったというKREVAさんのAI活用術。そんな話から、生成AI以外にも日々の楽曲制作でKREVAさんが使用しているAIについて、話していきます。
新曲 #ForeverStudent をリリースしたばかりの #KREVA が、楽曲作りの"これまで"と"これから"を語る!
KREVAのターニングポイントになった曲とは?#utamaru をつけて #radiko のリンクをポストしてねhttps://t.co/aUjciF2c0s#TBSラジオ pic.twitter.com/PkPOk7izxS— アフター6ジャンクション2(聴くカルチャー番組) (@after6junction) November 12, 2024
(KREVA)機材の進化で言うと、音楽作る上でのAIの入ってき方って生成よりも、いらないものをビッグデータを元に取ってくれるっていう、そこがものすごく進んでいて。「音を大きく出したい」となると、いらないものを削って、入れたいところだけをしっかり入れてかなきゃいけないんですよ。人間の耳には聞こえてない部分の低いところとか、聞こえてない高いところが入ってたらそこもボリュームを稼いじゃうわけで。だから10、入れたくても7ぐらいしか入らないっていう風になってしまうわけなんです。
(日比麻音子)キャパシティを埋めてしまうということですね。
音量を大きくするために不要な音を取り除く
(KREVA)そう。その埋めてしまっている聞こえていない部分があって。もっと難しいところだと、金属音だとレゾナンスっていうハウリングしちゃう要因になってるものとかが入ってる部分があって。それは音の高さによって常に動いている。それを1秒間に何回も何回もその音を分析するようなやり方で「ここにその嫌な成分ありますよ」ってやって。1個、それを見つけたら曲の間中、ピンポイントにずっと、横で追いかけてくれるの。で、それをずっと取り除くとかできて。それをやることによっていらない部分がなくなったことで、もうちょっと音を大きくできるとか。
(宇多丸)なおかつ、不快な音も減って。
(KREVA)それから、たとえばこうやってグワーッてしゃべってる中で何がいらないかって言ったら、この「スーッ」っていう音。あとは、こういう人はいないかもしれないけど、とてもしゃべりは素晴らしいんだけど、息継ぎがものすごく大きい人とかも出てきちゃうんですね。
(日比麻音子)アナウンサー試験でまず「やるな」って言われることだ。
(KREVA)それは「DeBreath」っていう……「De」っていうのは「取る」っていう意味なんですけども。「DeNoise」とか「DeBreath」。「ここが息継ぎだな」っていうのとかを全部息継ぎなしにするとか、もう秒でできます。1個1個、今までは取り除かなきゃいけなかったんだけど、それを秒で取ってくれる。だからそういうのをパッと目で見せてくれる。
「ああ、ここがいらないんだな」っていうのがわかれば、そこから自分でいじったりとかして。写真で言うところのフィルターみたいな感じで。あれって、あるものを強く出してくるじゃないですか。そうじゃなくて、いらない部分。ノイズとかをスパッと1回、切ってくれるっていうのがすごく進んでるんで自分でも、その本物のミックスする前の段階でいい音を作れるっていうのはすごく今、音楽の世界では進んでるところですね。
音の数が増えてしまうとトータルの音量が下がってしまうという問題。これまではミキシング作業で「どの音を際立たせるのか?」を調整することにより音量を大きくしてきたわけですが、その場合は不要な音も含まれた音源からイコライザーやコンプレッサーなどを使って職人技的に調整をしてきたわけです。
調節をうまくやらないと音質の劣化や不自然な音の強調なども起きてしまいがちだったところを、ミキシングの前段階でビッグデータを元にしたAIを活用しある程度、不要な音を取り除くことでよりクリアでクオリティーの高い音作りが実現できるようになったみたいですね。そんなことが起きていたなんて、知らんかったー! 音楽系のAIの動向については全然知らなかったのでめちゃめちゃ興味深いお話でした。