町山智浩 洋楽ロック歌詞の本当の意味を語る

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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ 赤江珠緒たまむすびで洋楽ロック歌詞の本当の意味についてこんな風に紹介していました。

(赤江珠緒)それでは毎週火曜日の『たいしたたま』はアメリカ在住の映画評論家、町山智浩さんです。今週は帰国中の町山さん、スタジオ生出演です。お久しぶりです!

(町山智浩)はい。どうもよろしくお願いします。

(山里亮太)お久しぶりです、町山さん。

(赤江珠緒)町山さん、大丈夫ですか?お体の方は。

(町山智浩)全然ダメです。喘息の発作が止まらなくて。ずーっと治んないんですよ。はい。まあ大丈夫です。

(赤江珠緒)そんな中、日本に来日というか・・・来日!?

(町山智浩)帰国です。帰国。

(赤江珠緒)帰国されまして。今日はね、まずこちらからさせていただきましょうね。『本当はこんな歌』アスキー・メディアワークスから新刊本を出されるということで。

(町山智浩)出ました。もう。書店に並んでます。今日(5月21日)発売です。

(赤江珠緒)今日発売!こちらは週刊アスキーで掲載していました連載を書籍化されまして。『意味もわからず歌っていた洋楽ロック歌詞の本当の意味や、アーティストが作詞作曲にいたった背景を解説している』と。40曲も取り上げておりまして、表紙は映画や音楽のアートワークを多く手がけるイラストレーター、ロッキン・ジェリービーン氏の表紙となっております。



(町山智浩)これ、かっこいいでしょ?表紙。

(山里亮太)かっこいい!

(町山智浩)超かっこいいでしょ。エロくて。

(山里亮太)そう。いろんなメッセージが込められてて。

(赤江珠緒)何か町山さん!って感じがする。

(町山智浩)情報が濃い。何で俺・・・こんなオッパイおっきいお姉ちゃんで、何で俺なの?あ、町山が好きそうな女の子ってことですね?

(山里亮太)町山さんの絵を書いたわけじゃないですからね。

(町山智浩)俺が巨乳なのかと思いましたよ。そういうわけじゃないですね。でもこの本ね、すごい表紙いいんですけど、どこにも著者の町山智浩が何者なのか?書いてないんですよ。

(山里亮太)あら。著者近影みたいなの、ないんですか?写真がついてたりとか。

(町山智浩)編集者、忘れたんですよ。これ。

(赤江珠緒)えっ!?

(山里亮太)シンプルに忘れちゃった。

(町山智浩)忘れたの(笑)。これね、珍しい。たしか昔、芥川龍之介の本読んだ時も、『芥川龍之介 生年月日』とか書いてあったと思うんです。村上春樹も書いてあるよね?林真理子も書いてあると思うんですけど、俺だけ入ってないのかよ!っていう(笑)。

(山里亮太)だから僕ね、内容が結構ヤバい感じのこともあるわけじゃないですか。これ、みんなが普通に楽しんでいたことが実はこんな卑猥な意味だったとかいろいろ書きすぎてるから、著者は隠さなきゃいけなかったのかな?って。

(町山智浩)いや、普通『こんなこと書いているやつ、こいつ誰なんだ?この町山ってやつ?』っていって、どこ探しても本に書いてないっていうね。困ったもんですが(笑)。

(山里亮太)町山さんが書いてます。

(赤江珠緒)ね。大槻ケンヂさんも帯を書かれてね。

(町山智浩)はい。大槻ケンヂが書いたのか?って思っちゃうよね!

(赤江珠緒)そうそう。大槻ケンヂさんの方がバーン!って前に出てて(笑)。ということですけども、今日はこの本に絡んだお話もいただきますけども、まずはこの新刊本、プレゼントさせていただくということで、町山さんありがとうございます。

(町山智浩)買った人は必ずカバーにね、『町山智浩はどんな人か?』書いて下さい。自分で著者紹介を書いて下さい。付いてないんで。

(山里亮太)貸す時とかあるんで。

(町山智浩)誰だ?ってことになるんでね。『町山=バカ』とか書かないで下さい(笑)。

(山里亮太)そんな人、いないでしょ(笑)。

(中略)

洋楽歌詞に対する誤解

(赤江珠緒)では、本題参りましょう。さっそくね。町山さん。

(町山智浩)今日はね、この本の宣伝をしにきたんですが、ただこの本に書いてあることをここで言っちゃったら、誰も本買わないじゃん?『聞いっちゃったら買う必要ねーよ!』って思うんで、この本にのってないことだけ話します。

(赤江珠緒)おっ、素晴らしい!ということは、この本だけでも40曲あるんですけど、まだまだあるってことですね。誤解されている曲っていうのが。

(町山智浩)それ以外の曲の話します。はい。誤解されている曲。あのね、実はね、版権の問題があって、載せられなかった歌もあるんですよ。連載中は書いたのに。あとね、これ普通だったら英語歌詞が載ると思うじゃないですか?この本って。これ実はね、ゲラの段階で入ってたんですよ。ギリギリになって、載せられないっつって。許可出なかったんですよ。某大手音楽著作権の会社がですね、『もしその歌詞を載せるんだったら、印税◯%寄越せ』みたいな話になりましてですね。

(山里亮太)なるほど!

(赤江珠緒)なんとなんと。

(町山智浩)で、英詞全部抜いたんですよ。これ。最初こんぐらいの厚さの本だったのに・・・

(山里亮太)結構分厚さ的には・・・

(町山智浩)ギュッと減ってしまって、1000円になっちゃったんですけど。まあ、結構たいへんですよ。歌詞はね、二次著作物で俳優とか歌手とかの顔写真とかと同じようなものとして扱われるんですね。

(赤江珠緒)だってテレビとかでちょっと使うだけでね。本当に曲の中のほんの一部を使うだけでもいろんなところにね・・・

(山里亮太)高橋ジョージさんが「あの話してくれただけでチャリンチャリン入ってくるんだ」って言ってたもん。

(町山智浩)番組の中で使うぐらいだったらそれほどでもないんですけど、それを売ると・・・本とかCDに出したりDVDにすると、印税を払わなきゃいけなくなるんです。

(山里亮太)はー。そういうのとの戦いをくぐり抜けて来たと。

(町山智浩)そうそう。だからもう、全部取っちゃえ!って(笑)。ただね、英語歌詞はね、今インターネットで全部どんな歌でも探せるんですよ。英語の原題を入れて、『lyrics』ってお尻にくっつけてもらえば、インターネットですぐ英語歌詞出てきますから。それを見ながら僕のこの本は読んでもらったらいいかなと。

(赤江珠緒)あ、いいですね。

(山里亮太)読んでから聴くっていうのも、めっちゃ面白いですね。

(町山智浩)すいません、ありがとうございます。

(山里亮太)あの耳馴染みある、普段よく聴いているあの曲が、こんなゲスい・・・

(赤江珠緒)『まさか!』ってことがありました!

(町山智浩)これだから、一番けっこう日本人がよく聴いているのだと、『Walk This Way』っていう歌があるんですよ。『Walk This Way』っていうのはRun-D.M.C.がカバーして、もともとエアロスミスが歌っていた曲なんですけども。僕もエアロのコンサートでもRun-D.M.C.のコンサートでも僕行って、その頃英語わかんなかったから、『イエー!』って。『Walk This Way!』ってコーラスしてたんですけど、歌詞を今回調べてみたら、童貞の男が童貞を捨てるいろんなパターンが書いてあるだけの歌詞でした。



(赤江・山里)(爆笑)

(町山智浩)『こんな風にして童貞を捨てました』とか。

(山里亮太)それをみんな熱狂しながら。

(町山智浩)熱狂しながら『Walk This Way!』って何なんだっていうね。

(山里亮太)『こうやって童貞捨てたぞ!』って。

(町山智浩)そうそうそう。あとね、この本の中で詳しく書いてますけど、『Brown Sugar』って歌があるんですよ。これ、ローリング・ストーンズのすごく有名な歌で。これ、ライブだとみんなサビのところですね。『I said Good Good』って言って、『Yeah Yeah Yeah!』のところで『Woo!』って言うんですよ。みんなで。観客全員がミック・ジャガーと一緒に『Woo!』って言いながら飛び上がるんですけど、これは歌詞をよく見ると、ある女性とミック・ジャガーがイタしていて、『僕はその時あんまり気持ちがいいんで、いいぞいいぞ、イクッ!って言った』って書いてあるんですよ(笑)。



(赤江・山里)(笑)

(町山智浩)これ、ミック・ジャガーがイッた瞬間の『Woo!』の・・・

(赤江珠緒)みんなで。

(町山智浩)みんなで。武道館とか東京ドームで3万人とか4万人で『Woo!』ってミック・ジャガーと一緒にイッてるというね。困ったもんだってことがだんだん分かってきて。非常に面白いですね。でね、今日はね、この本に書いてない・・・書いてあることを言ったら本が売れなくなるので、書いてない曲をガンガンやりたいと思いますが。

(赤江珠緒)お願いします。

(町山智浩)まず1曲目ですね。この曲聴いて下さい。はい!



(山里亮太)聞いたことがある。

(赤江珠緒)爽やかな・・・これ、あれですよね?

(町山智浩)これ、朝のズバ番組ヅラ番組ですね。朝の爽やかな番組のね、テーマ曲として長い間使われてきて。これ、サビまで聴いてもらった方がいいかな?朝からこれ聴いた途端に『会社行くか!』みたいな。朝って感じじゃないですか。これね、『Veronica』っていうタイトルの、エルビス・コステロっていうパンクロッカーの人が作った曲なんですけども。これ、歌詞はね、ベロニカってこの人のおばあちゃんなんですよ。エルビス・コステロの本当の話。で、老人ホームに行ったら、かなり重度のアルツハイマーで、何を言っても反応しない。「おばあちゃん、大丈夫?元気?」っつっても、もう何もこたえない。目もどこ見てるのか分からない。でもこのベロニカっていうおばあちゃんには青春があったんだと。心の中ではその初恋の思い出とかが駆け巡ってるかもしれないけど、今の彼女は何も反応しないという歌なんですよ。

(赤江珠緒)えっ!?そういう歌なんですか?

(町山智浩)朝からそういう歌、聴かされるんですよ!実は。

(赤江珠緒)これ、ちょっと思ってたイメージと違いますね。

(山里亮太)もっと爽やかなね。『今日も1日、始まったよ!』みたいな歌じゃないんですね。

(町山智浩)爽やかなね。全然違うんですよ。これは。

(赤江珠緒)ちょっと切なすぎる・・・おばあちゃんのね。

(町山智浩)このエルビス・コステロさんってのは、曲はいつもポップなんですけど、歌詞はものすごく政治的な内容とか激しい内容とか歌ってるんですね。そういう人なんです。パンクだから。

(山里亮太)番組に起用した人は、その詞の意味とかを理解せずに、このテンポ感だけ・・・

(町山智浩)テンポ、この曲だけで使ってるんですよ。で、こういうのはすごく多いですよ。ここではだから・・・2曲目飛ばして3曲目でフィル・コリンズの『Separate Lives』、ちょっと聴いていただきます。これもみなさん、ご存知だと思います。


(赤江珠緒)何かこれ、映像。恋人同士がバーッと出会うみたいなね。そういう映像とかで見ますよ。『やっとめぐり逢えた』みたいなね。

(町山智浩)この歌は、そういう愛のテーマとかラブシーンとかに使われたりするじゃないですか。

(赤江珠緒)そう。ラブシーンですよ。絶対ね。

(町山智浩)そういう風にみんな使っているし、そういう風に聴いてるんですけど、実際そんな歌じゃないんですよ。別れた夫婦の旦那の立場から歌っていて、その旦那のところに電話がかかって来るんですよ。前の、自分を捨てた奥さんから。で、『あなた今、何してるの?寂しくない?』っていう電話なんですよ。それに対して旦那が、『バカヤロウ!』って言っている歌なんですよ、これ。

(赤江珠緒)えーー!?

(町山智浩)『お前は俺を捨てて他の男と出て行ったんだから、俺に電話して俺が元気かなんて聞く資格も何もないんだよ!二度と電話してくんな!』って言ってるんですよ、これ(笑)。

(赤江珠緒)そんなこと言ってる歌?これ?

(町山智浩)言ってるんです、これ。『俺たちはもう別れてバラバラだし、二度と修復不可能だし、お前は俺を裏切ったんだ!バカ!』って電話なんです。これ。

(山里亮太)こんなムーディーな感じで?これバックに、結構抱き合ったりっていうシーンとか・・・

(町山智浩)とんでもない!内容、そんな歌詞じゃないです。

(赤江珠緒)何だったら、これでうまく抱き合って、この後コーヒーでも飲もうかい?みたいな、平和な感じの映像ですよ。

(町山智浩)正反対です。これね、フィル・コリンズさん自身が作った曲じゃないんですけど、フィル・コリンズはこの当時、本当に奥さんに逃げられてるんです。

(赤江珠緒)はー!じゃあ、実体験をベースにして。

(町山智浩)実体験です。この人、そのころヒット曲を何曲も出してるんですけど、ほとんど全部が奥さんとの別離を歌ってるんですよ。

(山里亮太)へー!

(赤江珠緒)(笑)でも、この甘い感じのメロディーは何?

(町山智浩)ねえ?

(山里亮太)何でそれの感情に合わせた曲にしないんですかね?

(町山智浩)ねえ?分かんないんですけど。実際、『二度と電話してくんじゃねー!このアマ!』っていう電話なんですよ(笑)。電話っていうか歌なんです。歌詞は。もっとヒドくて、この人の歌で『夜の囁き』っていう歌があるんですね。フィル・コリンズがその当時出した歌は。それは前の奥さんに対して歌ってるんですけど、『君は俺を裏切った。もし君が目の前の川で溺れていたとしても、俺は助けないよ』って言ってるんですよ(笑)。



(赤江珠緒)人として、どうなのよ!?

(山里亮太)それも曲調はムーディーな感じ?

(町山智浩)ムーディーな感じなんですけど。こわーい内容なんですよ。

(赤江珠緒)すごいことを歌にしちゃってますね。

(町山智浩)すごいんですよ。

(山里亮太)海外の方って、自分の感情とかを結構直接的に書きますよね。

(町山智浩)もう本当に恨んでたんだと思うんですよ。

(赤江珠緒)本音ぶつけまくりですね。

(町山智浩)そうなんですよ。奥さんがね、家に出入りしていたインテリアデザイナーの男とデキちゃったんです。で、駆け落ちしちゃってっていう話で(笑)。

(赤江珠緒)まあ、腸煮えくり返ってる状態なのを・・・

(町山智浩)だって、1つのアルバムの中で5曲ぐらいが奥さんに対する恨みの歌なの。すごいですよ。フィル・コリンズ。

(山里亮太)走るんでしょうね!ペンが。気持ちが乗ってるから。

(赤江珠緒)そのアルバムがね、売れた時に奥さんはどういう気持で?私への恨みつらみが・・・

(町山智浩)『アンタ、元とったでしょ?』って思ったんじゃないですか?(笑)

(山里亮太)なるほどね。私と別れたお陰で・・・でもすごいのが、そんだけ恨みつらみとかを、あんまり恨みつらみの歌と感じ取れないのは、僕ら日本人は分かるじゃないですか?でも、海外の人もそんなに・・・

(町山智浩)これは昇華してるんですね。たぶん恨みつらみを。すごく。ただ、本当にものすごく恨みつらみを音楽にぶつけているものもあるんです。それは後で聴きますね。はい。でね、もう1つ、この曲もたぶんご存知だと思うんで。フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド『relax』!



(赤江珠緒)知ってる知ってる知ってる。

(町山智浩)これ、ビールのコマーシャルで使われてたんですけども。これ、世界中で大ヒットしたんですが、イギリスとかアメリカの一部地域では放送禁止になってるんです。

(山里亮太)これ、番組の主題歌とかになってますよね。

(町山智浩)日本でバラエティ番組の主題歌とかになってます。でも『リラックス』って何でリラックスって言ってると思います?『リラックスしろよ!』って言ってるわけです。

(赤江珠緒)リラックスして、のびのびしてやっていこうと。

(町山智浩)『don’t do it』、力を抜けって言ってるんです。何で力抜かなきゃいけないんですか?リラックスして。

(山里亮太)えっ?舞台たっているとかね?

(町山智浩)今、歌詞の中で『when you wanna come』って。『comeしたいんだったらリラックスしろ』って言ってるんです。『come』って何でしょう?英語で。

(山里亮太)あっ・・・『イク』。

(町山智浩)そう。『イク』とか『射精する』っていう意味です。『when you wanna come』っていうのは『イキたいんだったら』っていう意味です。『イキたいんだったら、力を抜けよ』って言ってるんです。

(赤江珠緒)それってシモの方の・・・

(町山智浩)そう。この人たちはゲイなんですよ。

(山里・赤江)えっ!?

(赤江珠緒)ちょっと待って・・・リラックスって・・・

(町山智浩)『力抜かないとオシリはいんないんですけど』って言ってるんです。

(山里亮太)(笑)

(赤江珠緒)嘘でしょ!?

(町山智浩)本当にそういう歌なんです。

(山里亮太)それ、かなり意訳してってことじゃなく、直接?

(町山智浩)もう直接的に。そのままストレートに言ってます。これ。で、ここのところで『出す時は狙いさだめてね』って言ってるんです。『Hit me! Hit me!』って『叩いて!叩いて!』って言ってるんですよ。

(山里亮太)はー!

(赤江珠緒)あ、そうなんだ!

(町山智浩)ただのそういうハッテン場的な歌なんですよ。

(山里亮太)ゴールデンのバラエティ番組の主題歌でしたよ。

(赤江珠緒)なんかアメフトとかも試合前にまさにみんなで歌って、『これから行くぞ!』みたいなのとか・・・

(町山智浩)まあ、アメフトの人たちもそういう人いると思うんですけど。

(赤江珠緒)いやいやいや、それはどうか分かりませんけど(笑)。

(山里亮太)赤江さんの合いの手からとんでもない飛び火が出たよ。

(町山智浩)でもこれはそういう歌なんですよ。だから放送禁止になってるんです。イギリスとかで。

(山里亮太)知らないよ。日本で当たり前のようにずーっと流れているもんね。

(赤江珠緒)まさかそんなピンポイントな『リラックスしろ』って言われてたとは思わなかったわ。

(山里亮太)今日きっかけでこれが放送禁止なったりして。

(町山・赤江)(笑)

(町山智浩)まあ、リラックスした方がいいと思うんですよね。

(赤江珠緒)そうですね(笑)。リラックスすることは大事なことです(笑)。

(町山智浩)だから本当にね、アメリカ行って英語分かるようになったのと、あとアメリカ人も結構分からないで聴いている場合も多いんですよ。次の曲なんかそうなんですけど。カウンティング・クロウズの『Big Yellow Taxi』という曲をちょっと聴いていただけますか?



(山里亮太)爽快感が。

(赤江珠緒)いいですね。オープンカーでバーッ!と走りだすみたいなね。

(町山智浩)これ、アメリカでもリゾート地とかビーチとかで流れてて。ビーチとかでみんなビール飲んで、寝っ転がって日焼けしながら。よくそこでスピーカーから流れてくるんですけども。これ、歌詞が全然そういう内容じゃないんです。っていうか、そういうことを歌ってるんですけども。これあの、ハワイとかのビーチでパラダイス(楽園)じゃないですか。それを切り開いて駐車場作って、ピンクのブティックやホテルやレストランを作ってる。何てヒドいことをするの!って言ってるんです。

(赤江珠緒)えっ!?リゾート批判?

(町山智浩)リゾート開発批判なんですよ。歌詞の内容は。

(山里亮太)リゾート地でかかりそうなこの曲が?

(赤江珠緒)実際かかってますもんね。

(町山智浩)そう。これはジョニ・ミッチェルっていう人がハワイに行った時に片っ端から開発されちゃって自然が破壊されているのを見て歌にしたんですけども、リゾートっぽいトロピカルな歌にしてるところがミソなんです。

(山里亮太)敢えて?

(町山智浩)敢えて。で、実際リゾート地に行くとかかってるんです。ホテルとかのビーチで。

(赤江珠緒)でもね、日本とか英語が分かんない国ならいざ知らず、ハワイでかかるとか、分かるんじゃ・・・

(町山智浩)アメリカ人もあんまり歌詞一生懸命聴いてないんですよ。

(山里亮太)リズムとかそういう聴き心地で・・・

(町山智浩)聴き心地なんですよ。だから有名な話だと、ブルース・スプリングスティーンが『Born In The U.S.A.』っていう歌を歌った時に、アメリカの右翼系の人とか愛国者の人が一緒になって歌って。『Born In The U.S.A.!』って歌ったんですけど、あの歌詞の内容ってのはアメリカを信じてきた貧しい労働者がベトナム戦争に行かされた上に、貧しいまま取り残されて『何もいいことなかったぜ』って歌ってるんです。『俺はこんなにアメリカを愛して身を捧げてきたのに、何なんだ?この仕打ちは?』って歌なんです。



(山里亮太)はー。『USA』って大きく言っているから、これはUSAのことを歌ってるなぐらいに。

(赤江珠緒)何か讃えてるなって思っていたけど・・・

(町山智浩)でしょ?でも、そうじゃない。あれ、皮肉なんですよ。なんてヒドいんだ!俺たちはこんなにアメリカが好きなのに!って。

(赤江珠緒)でも、みんなUSAで歌ってますよ。

(町山智浩)アメリカ人も歌ってるの。だからみんな歌詞をあんまり聴いてないんですよ。ということが分かったんで、面白くて僕はこういう本を書いたんですけどね。

(赤江珠緒)はー!これ、歌手の人としてはどうなんですか?『えっ?そっちで使っちゃう?』とか『そっちで盛り上がっちゃうの?』って。

(町山智浩)そう。だからよくインタビューで『分かってない人が多くて困るよ。でも売れてるからいいか。』とかそういうこと言ってますよね(笑)。

(山里亮太)もちろんアーティスト本人は町山さんがおっしゃるような意味合いで全部出してるんですよね?

(町山智浩)はいはいはい。だから僕もインタビューをいっぱい調べたり自伝を読んだり、いろんなことをして歌詞の本当の意味を調べてるんですけど。まあ、アメリカには歌詞の本当の意味を説明するだけの番組もあるぐらいで。ストーリーテラーって言うんですけど。

(山里亮太)今回、本の中だと背景とかその人の人となりとかも説明に使ってくれてるじゃないですか。だから、『ああ、じゃあこれ本当にそういう意味で書いてたんだ』って伝わるじゃないですか。

(町山智浩)そうなんですよ。本人たちは『売れればいい』っていうのもあるんだけど、『やっぱり分かってほしいな』っていうのと。裏表みたいなんですけど。次ですね、フォスター・ザ・ピープル出せますか?フォスター・ザ・ピープルの『Pumped Up Kicks』っていうすごい最近のヒット曲で、日本でも結構ね、かかってたと思うんで。



(赤江珠緒)いいですね。うん。

(山里亮太)ポップな感じ。

(町山智浩)そう、ポップな感じ。でね、『Pumped Up Kicks』って歌なんですけど、『Pumped Up Kicks』って言うのは高級スニーカーなんです。アメリカの中学生・高校生が履いている。で、それを履いている子供たちに対して歌ってるんですね。どういう意味かっていうと、中学校か高校にこの歌い手自身が入って、拳銃を乱射してるんです。いじめっ子たちに。

(山里亮太)拳銃を乱射!?

(町山智浩)拳銃を乱射してるんです。で、『いいスニーカーを履いている君たち、早く逃げないと俺のピストルに当たっちゃうよ』っていう。

(赤江珠緒)えっ!?そういう歌詞?

(町山智浩)はい。これ、学校内乱射事件についての犯人の立場で歌っている歌なんです。

(赤江珠緒)これ、ちょっとまったりしてお酒でも飲もうかっていう雰囲気の曲が・・・ええーっ!?

(山里亮太)その内容をこの曲に合わせるってめちゃくちゃ怖いけどね。

(町山智浩)怖いですよ。学校内銃乱射事件について歌ってるんです。犯人の立場で。でもこれ、すごい大ヒットして、日本でもそこら中でかかっていて。スターバックスとかで(笑)。

(山里亮太)ちょっと手拍子したくなりますね。ヘイ!って。

(町山智浩)よく聴くとそういう内容なんです。やっぱりね、英語の歌っていうのは『音楽だけ聴いてればいいんだ』とか、『歌詞なんてゴチャゴチャ言うな』っていう人もいるんですよ。『音楽は音楽なんだから、フィーリングで感じればいいんだ』って。でも、本当の歌詞の内容を聞くと面白いんです。2倍面白いじゃないですか。2倍面白いんだったら、いいじゃないですか。ねえ。だから僕はすごくそれを楽しんでるのを、みんなに分けたいんでこういう本を書いたんですけどね(笑)。

(赤江珠緒)いやいや、これ、面白いですよ。

(山里亮太)結構直接なメッセージだから、考えさせられることもありますよ。

(赤江珠緒)そうそう。むき出しな感情みたいなの、結構ありますよね。

(町山智浩)やっぱりね、アメリカがすごいのは実際の事件とか犯罪があると、犯罪者の立場で歌う歌が出てくるんですよね。日本はそれはないなと思うので。これはあった方がいい。押尾学の気持ちで歌う歌とかね。『どうしよう!?』みたいな歌とか(笑)。『俺は困っちまったぜ!六本木ヒルズ!』みたいなね。そういう歌、何で誰も歌わないのか?ってね。

(山里亮太)ご本人が歌手ですから、ご本人が歌うっていう手もありますから。

(町山智浩)ご本人が歌う(笑)。そういう歌を歌ってもいいじゃないかと僕は思うんですけどね。はい。ということで。

(赤江珠緒)はい、ありがとうございます。さあ、その町山さんの新刊本は今日から発売ということで、5名様にプレゼントもさせていただきます。

<書き起こしおわり>

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