町山智浩さんが2023年4月25日放送のTBSラジオ『こねくと』の中でNetflixで配信中の『ロンゲスト・デート ～バケーションはどこまでも』を紹介していました。
（町山智浩）で、もうひとつですね、旅行系ということで。もうひとつ、旅行映画の話をちょっとしたいんですね。『ロンゲスト・デート』っていう……また、俺がこういう映画を紹介すんだよ？ 『ロンゲスト・デート ～バケーションはどこまでも』っていう、これはNetflixのドキュメンタリー映画なんですよ。
（でか美ちゃん）へー。ドキュメンタリー？ 『恋のツアーガイド』は完全に創作なわけじゃないですか。
（町山智浩）あっちはもう完全にドラマですけどね。こっちはドキュメンタリーで。これね、ニューヨークに住んでいる女性で29歳のカーニさんという人。この人はね、ベトナム系アメリカ人ですね。彼女と、男性の方はですね、マット・ロバートソンという白人の30歳。この2人のデートについての話なんですけども。カーニさんはね、たぶんね、年収2000万ぐらいだと思うんですよ。
（石山蓮華）すごいな。
（でか美ちゃん）じゃあもう、バリバリ働いてらっしゃる感じだ。
（町山智浩）彼女はニューヨークのマーケターなんですよ。マーケティングをやってるんですね。で、ニューヨークはそういう広告代理店とかマーケティングが一番、昔から集まってるところなんですけど。ニューヨークの市内に住んでるんで。そうすると、最低でも1000万ですからね。年収が。
（石山蓮華）家賃も高そうですからね。
（町山智浩）家賃が高いからです。まあ、そういうエリートのアジア系の彼女と、一方のマット・ロバートソンの方はですね、職業は基本的に無職です。
（でか美ちゃん）あら。だいぶ、なんかロミオとジュリエット的なぐらい差が。
（町山智浩）そうですね。自分としては「YouTuber」って言ってますね。
（石山蓮華）ああ、YouTuber。
（でか美ちゃん）「YouTuberです」って言ってるけど、それでめちゃめちゃ食えてるかというと……ぐらいの人なんですかね。
（町山智浩）全然、食えてないっていう。「インフルエンサー」と言ってるけど、まだインフルエンス（影響力）はそんなにないんですよ。彼は。で、世界中に行ってチャラチャラ遊んでるところをYouTubeとかインスタとかで人に見せていて。ほとんどお金は儲かってない人なんですね。このマットくんは。で、この2人がマッチングアプリで会って。出会い系ね。
（でか美ちゃん）まあ「出会い系」というイメージもね、だいぶなくなりましたけどね。使ってる人、多くて。
（石山蓮華）周りの子も結構使ってますけど。
（でか美ちゃん）これだけ、なんだろう？ 収入格差というものがあっても、アプリひとつ通すと出会えるんですね。
（町山智浩）設定で収入のことを入れてなかったんだと思うんですよ。お互いがね。普通は収入が全然合わないと、会えないですからね。で、ちょっとデートをして。デートを1回して、ご飯を食べて別れて。2回目も、ちょっとご飯を食べて別れて。それで3回目のデートでコスタリカに旅行することになるんですよ。
（でか美ちゃん）えっ、なんか進みすぎじゃないですか？
（町山智浩）あのね、2回デートしてね、口と口のキスを一瞬しただけなんです。この2人は。
（でか美ちゃん）1回、チュッとしただけで。えっ、なんか突然だな？
3回目のデートがコスタリカ旅行
（町山智浩）突然、コスタリカに行くことにしたんですけど、これは理由があって。これ、2020年の3月の話なんですよ。この時ね、世界的に飛行機代がタダ同然になったんですよ。
（でか美ちゃん）だって、そうですよね。日本ももう、この頃には結構大変だった。
（石山蓮華）ああ、コロナ禍が始まりだした頃？
（町山智浩）そうなんですよ。これ、僕も覚えてるんですけど。僕、サンフランシスコが近くの空港なんですけど。そこからパリに行って、1週間ホテル込みのパッケージで、5万円ぐらいのが出てたんですよ。飛行機代込みで。
（でか美ちゃん）うわっ！ なんか当時、やっぱり「旅に出よう」っていう発想すらなかったから、調べてなかったけど。そんなに安くなってたんですね？
（町山智浩）ものすごく安くなっていたんですよ。世界の飛行機とホテルが。で、これ彼らはニューヨークに住んでるんですけど。ニューヨークからコスタリカの往復の飛行機が1人2万円ぐらいになったんですよ。その時に。
（でか美ちゃん）そりゃ「行くか」ってなるのか。でも、なるか？ なります？
（石山蓮華）悩むところですね（笑）。
（町山智浩）でもこの2人、行っちゃったんですよ。ただね、4日間しか滞在する予定はなかったんですよ。で、4日……だって2人、まだ付き合ってないんだもん。
（でか美ちゃん）2人の気持ち的には「まあ安いし。旅に行こう」ぐらいのノリだったっていうことですね？
（町山智浩）そうですね。友達って感じで。で、行って、着いたらロックダウンっていう。
（石山蓮華）うわっ……。
（町山智浩）飛行機が全部飛ばなくなった上に、アメリカへの入国禁止。
（でか美ちゃん）しかもあの頃って、今振り返れるからあれですけど。本当にもう、一生こうなのかなぐらいの絶望感、割とありましたよね？
（町山智浩）いつ終わるのか、わからなかったんですよ。で、飛行機も飛ばないし、コスタリカのホテルの方も閉鎖になっちゃうんですよ。世界中のホテルが閉鎖になったから。で、どうやってコスタリカで生き延びていくのか？って話なんですよ。いつ、帰れるかわからない中で。
（石山蓮華）えっ、じゃあ、そのデート物だと思ったら、サバイバル映画になるってことですか？
（町山智浩）サバイバル物になります。しかもね、相手のことがよくわからないし。まだ恋愛にこの2人は入っていないんですよ。
（でか美ちゃん）ですよね？
（町山智浩）どうするの？って話なんですよ。これね、面白いのはね、彼が全てをビデオで撮って保存してるんですよ。
（でか美ちゃん）ああ、やっぱり自称YouTuberだから。そこはちゃんとしてるんだ。
（町山智浩）それでもう、どんどんどんどん上げていってるんですよ。彼が。だからその当時、リアルタイムで気がついた人は、この2人がコスタリカで立ち往生して。2人がまだ恋愛してないのに、どうなったっていうのを見てた人たちがいっぱいいたんですね。
（でか美ちゃん・石山）へー！
閉じ込められたコスタリカからリアルタイムに発信
（でか美ちゃん）それはでも、リアルタイムで追っていたら、めっちゃ面白いですね。見てる立場からしたら。
（石山蓮華）見ちゃうな。
（町山智浩）そう。だんだんバズっていったみたいなんです。そこから。
（でか美ちゃん）正真正銘のインフルエンサーに？
（町山智浩）そうそう。やっとそこからなっていったみたいなんですよ。でね、すごいのはね、コスタリカってこの世の楽園なんですよね。なんていうか、幸せの国っていう別名があるくらいで。本当に、ジャングルなんですけど。怖いジャングルじゃなくて、お花が咲き乱れるジャングルでね。
（でか美ちゃん）じゃあ、なんか不幸中の幸いじゃないけど。いいところにはいられたというか。
（町山智浩）楽園なんだけど。それであと、海水浴場とかどこに行っても、誰もいないんですよ。完全貸切状態で。
（石山蓮華）それ、いいのか悪いのかだな。
（でか美ちゃん）でも、とはいえ、マーケターをやってますよね？ 仕事、どうするの？って思いませんか。普通に考えたら。
（町山智浩）仕事はね、リモートでできるみたいですね。ただ問題は、彼らが本当に付き合うのかどうか？っていうことになってくるんですよ。
（でか美ちゃん）なんか変なタイミングで窮地に陥っているから。どっちなんだろう、ですよね。
（町山智浩）だからこういうところに置かれると、たとえば喧嘩する場合も多いじゃないですか。夫婦がかなりね、コロナ離婚しましたよね。コロナで閉じ込められて。朝から晩まで一緒にいるっていうことで、喧嘩になっちゃってね。別れた人たちも多いですよね。で、逆に彼らはまだ相手がどういう人かわかってない。それでずっと一緒に暮らすって、どうなるのか？っていうね。彼ら2人は一体どうなるでしょう？っていうね。
（石山蓮華）どうなっちゃうんだろう？
（でか美ちゃん）なんか、なんかどっちもありそうじゃないですか。今のところね。
（町山智浩）そうなんですよ。
（でか美ちゃん）あと、資料によると、その女性の方は結構お父さんが厳しかったらしいじゃないですか。
（町山智浩）そうなんですよ。アジア系だからね。「結婚してない男女で旅行するなんて絶対に許さん！」っていうう親父なんですよね。
（でか美ちゃん）ヤバい。ばれるじゃん。載せてるから。
（町山智浩）そう。世界中で注目されていって、だんだんばれてくるんですよ。
（石山蓮華）めちゃくちゃピンチじゃないですか！
（町山智浩）そう。それで「どうする？」ってなって。彼女の方はまだ結婚したくないんですよ。実は。前に付き合った男がね、自分よりも年収が少ないんで、いじけててね、うまくいかなくなったっていうことがあって。
（でか美ちゃん）じゃあ、ちょっとそこにトラウマがあるんだ。
（町山智浩）そうなんですよ。で、彼の方はどんどん彼女に惚れてっちゃうんですけど。というね、さあどうなる？っていうのがNetflixのドキュメンタリー『ロンゲスト・デート』ですので。どちらの作品も今も配信中ですので。ぜひ、ご覧ください。
（でか美ちゃん）いいですね。『ロンゲスト・デート』がまたいいですね。その物語を聞いてからだと。
（石山蓮華）ありがとうございました。2本ともNetflixで配信中。
（町山智浩）バケーション気分になりますんで。
（でか美ちゃん）そうですね。ゴールデンウィーク前にね、旅気分を高めていきましょう！
『ロンゲスト・デート ～バケーションはどこまでも』予告
＜書き起こしおわり＞
