町山智浩さんが2023年1月10日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で日本映画と韓国映画の映像の違いについてトーク。その違いを生むものについて、話していました。
(山里亮太)でも今、韓国とか映画とか、すごい強いじゃないですか。エンタメが……もうアイドルにしても、すごいですよね。
(町山智浩)だって、国を挙げてやってるんだもん。だってもうスタッフを一時、ハリウッドに全部、国費で留学させたりしてたから。で、カメラとかもすごくいいんですよ。韓国映画って日本映画とは決定的に画が違うじゃないですか。深みが。あれって、いいカメラを使っているからなんですよ。
(山里亮太)ああ、シンプルにその理由なんですか?
(赤江珠緒)そうなんですか? えっ、日本のカメラ、絶対によさそうだと思ってましたよ。
(町山智浩)日本のカメラって、ソニーのカメラとか、いいんですけど。ものすごく高くて、日本の映画の予算だと、使えないんですよ。だから一番最近の話で、僕は「ああ……」と思ったのは『エルピス』っていうドラマがあって。大根仁さんが監督してるんですけど。まず最初にやろうとしたことは、いいカメラを借りることだったっていう。
(赤江珠緒)ああ、だから『エルピス』、映像が違いましたもんね。たしかに、他のドラマと。
いいカメラを使った『エルピス』
(町山智浩)そう。映像が全然違うじゃないですか。日本のドラマはやっぱり、ちょっと安いカメラを使ってるんで。ツルツルッとした感じなんすよ。いわゆるテレビドラマの画なんですけど。『エルピス』はテレビドラマの画じゃなくて、深みがあるじゃないですか。あれは単純に、いい日本製のカメラを使ってるんです。
(赤江珠緒)ああ、そういうことなんだ!
(町山智浩)いいカメラほど、レンタル代が高くなるんですよ。それはね、1日20万か、30万ぐらいのレンタル代なんですよ。ただ、最も良いカメラって、たとえばハリウッドの『ジョーカー』っていう映画はその最も良いカメラで撮ってるんですけど。そのカメラのレンタル代は、1日100万円です。
(山里亮太)おおーっ! しかも、1台で済むわけじゃないですもんね?
(町山智浩)そうなんです。だから、やっぱりカメラのレンタル料を上げるだけで、映画は映画として綺麗になるんですよ。お金の問題が大きいんですけど。日本映画は今、中堅どころでも制作費は1億円前後なんですよ。前は大手が作ると、中堅だと5億円ぐらいだったんですけども。今、もっと下がっちゃったんです。大変。だから、スマホとかで撮影したりしてる映画も結構あるんですよ。
(山里亮太)ああ、そうですよね。
(町山智浩)『シン・ウルトラマン』とか、スマホで撮影してますよ。だって、こんなところを狙っているかから。『シン・ウルトラマン』って、このへんから狙ってるから。あの角度だと、普通のカメラは置けないですよ。
(山里亮太)ああ、そうか。足元ぐらい、ずっと映っているのとか……。
(町山智浩)あれ、iPhoneとかで撮らないと、できないですよ。
(山里亮太)逆にそこを利用して……というのもありますよね。
(町山智浩)もうカメラはね、だからすごく値段で、金さえ出せばある程度の画にはなるんですよ。実は。だから韓国映画のあの深みのある映像っていうのは、結構それが大きいんですよ。「ああ、綺麗!」みたいに思うのは、それは高いカメラを借りてるからっていうのは結構、あるんですよ。
(山里亮太)へー! 「すごい作品を見てるな」っていう感じ、しますもんね。見ていても。
高いカメラを借りて綺麗な映像を撮る
(町山智浩)そうそう。前に紹介した『MEN 同じ顔の男たち』って、撮影がものすごい綺麗なんですよ。あれも、やっぱりちゃんと高いカメラを使っているっていうのがあってね。
(山里亮太)へー! どうやったら日本でも、お金をたくさん使えるようになるんですかね?
(町山智浩)市場を広げるしかないですよね。だから韓国映画はほら、今、マーケットは世界的になってるから。制作費がガーン!って入るから、まあいいカメラを使えるんですけど。
<書き起こしおわり>