石山蓮華さんとでか美ちゃんさんが2023年5月8日放送のTBSラジオ『こねくと』で前週、町山智浩さんが紹介した映画『マイスモールランド』を見た感想を町山さんと話していました。
(石山蓮華)先週は『マイスモールランド』をご紹介いただきましたが。私も……。
(でか美ちゃん)私も。でか美も蓮華も見ました。
(石山蓮華)見ました。
(町山智浩)どうでしたか?
(でか美ちゃん)いやー、なんか、どこの部分の感想から言えばいいのかなと、ワンクッションを置きたくなるぐらい、すごく考えさせられる作品でした。
(石山蓮華)私、石山は埼玉県生まれ、埼玉県育ちなんですけど。なので、見知った川口の景色っていうのがすごく身近に感じられて。その中で、あんなに困っている子っていうのがきっと私のクラスとか、近所にもいたはずなのに、私はずっとそれを知らないで。関心も持たないでいたんだなっていうことを、すごく考えさせられましたね。
(町山智浩)やっぱり在留資格を失っちゃった主人公のクルド難民の娘の女子高生がですね、川を渡って東京に行くこともできなくなっちゃうんですよね。
埼玉から東京にも行けなくなってしまう
(でか美ちゃん)県境というか、東京都と埼玉県の境で看板にね……もう名シーンじゃないですか。看板にね、赤い手形を押すというか。めちゃめちゃ切なくて。でも、もちろん考えさせられる作品でもあったんですけど。なんだろう? さっちゃん、主人公の女子高生を取り巻く青春映画としても、すごい描写がよくて。あのね、コンビニのバイト先の男の子とのやり取りとかも、胸がキュッとなるようなシーンがたくさんあったので。
(石山蓮華)ねえ!
(町山智浩)この還暦のオヤジでも胸キュンになりましたよ(笑)。
(でか美ちゃん)あれはもう、世代は関係ない!
(石山蓮華)本当に瑞々しい映画でもあり。でも、映画が終わった後に「えっ、でもこの国って……」って。
(でか美ちゃん)「これ、現実にある話なんだよな」っていうね。
(町山智浩)そうなんですね。あのお父さんがクルド難民で、難民申請をしていたんですけども。日本は難民を全然認定しないのでね。認定率が0.3%とかになってるんで。それで強制送還されてしまうと。あと入管の施設に拘置されるんですけど。その拘置の期限がないんで、いつまで拘置されるのか、全くわからないとかね。で、実は今日、先ほど日本の衆議院でこの入管法の改定案が通っちゃったんですね。
これ、内容を改正するべきだっていう風に立憲民主党と共産党が言っていた、その勾留をする期限を設けるべきだっていうことと、勾留をするのに裁判所をちゃんと通すべきだっていうことについては、通らなくて。もう本当に、この『マイスモールランド』っていう映画で描かれている非常に理不尽な状況というものが、今後も続くだけなんですね。
(石山蓮華)本当にいろんな人にまず見てほしい『マイスモールランド』。いい作品だなと思いました。
(でか美ちゃん)やっぱりこう、今回改定がされましたけど。なんか「もっと声を上げておけばよかった」ってすごく、自分でも後悔しました。自分の発信力をやっぱり低く見積もってるんで。基本的に。
(町山智浩)そんなこと、ないでしょう?(笑)。
(でか美ちゃん)1人1人の声でも、その1人1人が言っていかなきゃダメだっていう。私がこういう仕事してるからじゃなく、普通に暮らす1人の人間としても、もうちょっとちゃんと勉強して、早く早く発信しておけばよかったって思いましたね。
(石山蓮華)でもね、まだ……まあ通ったということはあるけれども。声を上げることはまだ続けられるので。
(町山智浩)まだ参議院もありますしね。だからやっぱり、ネットを見ていたらこの入管法が通ったっていう時に「やった!」とか喜んでいて。そこには「外国人はみんな犯罪者なんだから、追い出せばいいんだ」とか言ってる人たちがいて。そういう人に本当にこの『マイスモールランド』を見てほしいなと思いますね。
(石山蓮華)なんかそのイメージの「外国人」っていう人たちが、本当にどういう人なのか?っていうところはやっぱり、映画から見てみると面白いかもしれないですね。
『マイスモールランド』予告
<書き起こしおわり>