町山智浩『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』アカデミー賞席巻の予感を語る

町山智浩『Everything Everywhere All at Once』を語る たまむすび

町山智浩さんが2023年3月7日放送のTBSラジオ『たまむすび』で授賞式を直前に控えたアカデミー賞についてトーク。映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が主要な賞を総なめにしそうな状況を紹介していました。

(町山智浩)それで来週の月曜日なんですけど。アメリカのアカデミー賞があって。WOWOWっていうところでアカデミー賞の授賞式で中継をしてまして。僕が解説をしてるんですけど。それが日本時間で来週の月曜日の朝に放送あるんですが。今年はすごい画期的で。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』という映画が作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、編集賞、衣装デザイン賞とか、全部取るだろうと言われています。

(赤江珠緒)ええっ? そんな総なめしたことはさすがにないですか?

(町山智浩)すごいですよ、これ。しかもこの映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』というのはカンフー映画なんですよ。カンフー映画がアカデミー賞でこんなに取るって、前代未聞ですよ、これ。

(赤江珠緒)たしかに!

(山里亮太)なんでなんだろう?

(町山智浩)大変なことなんですよ。これ、まだご覧なってません?

(赤江珠緒)まだ見てないんですよ。ご紹介いただいたんですけどね。

(町山智浩)これは娘さんを持つ親御さんなら、もう号泣の映画ですよ。

(山里・赤江)見よう!

娘を持つ親なら号泣必至の映画

(町山智浩)ああ、そうか。2人ともそうだもんね(笑)。これ、親の愛の話なんだけど、娘が拒否するわけですよ。で、宇宙の果てまで追っかけていくんですよ。

(赤江珠緒)親が?

(町山智浩)親がですよ。もう本当に泣ける話なんですけど。まあ娘さんが反抗期になるんですね。成人してからね。

(赤江珠緒)そういう話かー。3月3日から、日本では公開されているということですからね。

(山里亮太)だいぶぶっ飛んでる話だって聞くんですけど。すごいぶっ飛んだ映画だって。

(町山智浩)ぶっ飛んでますよ。だってこのミシェル・ヨーさんっていう、ジャッキー・チェンと昔ね、『ポリスストーリー3』とか出てたカンフーの得意な女優さんがもう今年で60ですよ。還暦。僕と同い年ですね。彼女がアメリカで洗濯屋さんをやってるんですけど。その娘さんが30ぐらいで「女性と結婚する」って言い出すんですよね。で、なんかそれが受け入れられなくて、娘を拒否しちゃったら……なんと、これは言っちゃっていいと思うんですけど。その親子喧嘩がですね。全宇宙を巻き込んだ戦争になっていくんですよ。

(赤江珠緒)いや、『スター・ウォーズ』じゃあるまいし、みたいな(笑)。

(町山智浩)いや、『スター・ウォーズ』ですよ(笑)。基本的にね。ただ、それがマルチバースっていう、いろんな宇宙が並行して存在して。この世界ではミシェル・ヨーさんは洗濯屋さんなんですけども。別の世界では本物のミシェル・ヨーと同じで、アジアのカンフースターで、世界的な映画女優になってるんですよ。っていう世界もあって。で、いろんな世界があって……っていう話で。それを絶えず行ったり来たりしながら、話が進むんですよ。だからめちゃくちゃややこしいんですけど。

(赤江珠緒)そうですよね。これが取る? はー!

(町山智浩)これは、すごいことですよ。これ、やっぱり非常に素晴らしい映画だからですね。で、助演男優賞候補がこのミシェル・ヨーさんの旦那さんを演じるキー・ホイ・クァンさんっていう人なんですけども。この人、ベトナム系中国人なんですが。『インディ・ジョーンズ/ 魔宮の伝説』って、ご覧なってます?

(赤江珠緒)はい、見ました。

(町山智浩)見てます? あの猿の脳みそを食べたりするやつ。

(赤江珠緒)猿の脳みそね! パカッとやって、切って、スプーンですくう。

(町山智浩)見た? ねえ。カブトムシ食べたり、すごいやつですね。あれで主人公のインディ・ジョーンズ、ハリソン・フォードの相棒のアジア人の男の子がいたでしょう?

(赤江珠緒)ああ、はい!

(町山智浩)覚えてる? 野球帽をかぶっていた。あの子がキー・ホイ・クァンさんなんですよ。現在、50いくつでね。で、あの映画スティーブン・スピルバーグ製作の超大作で、全世界で大ヒットして。彼はその準主役なんですけども。その後、仕事が一切なくなっちゃったんですよ。

(赤江珠緒)えっ? あんなにヒットしたのに?

(町山智浩)『グーニーズ』っていうには出てたんですけど。その後、仕事がなくなって。つまり、そのアジア系の男性の若手俳優の役っていうのは、ハリウッドにはないんですよ。

(赤江珠緒)そういうことか……。

アジア系男性若手俳優のやれる役がハリウッドにはなかった

(町山智浩)昔はなかったんです。でも、どうしてもハリウッドで仕事をしたいっていうことで、彼はカンフーを修行しまして。武術指導家になっていたんですよ。しばらく。で、それから30年ぐらい、それでハリウッドのカメラには映らない方。裏方さんに回っていたんですね。ところが、ミシェル・ヨーさんが何年か前に出た『クレイジー・リッチ!』っていう映画があって。

それはハリウッド映画なんですけど、キャストが全員アジア人っていうコメディなんですね。それを見て「ああ、アジア人でもいけるんだ! もう1回チャンスがあるはずだ!」っていうことでオーディションを受けて、この映画にミシェル・ヨーさんの旦那さんの役で出て。それで今回、助演男優賞は彼に決まりと言われてますね。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)つまり、さっき言ったように、世の中にはあらゆる可能性があるわけですよね。人にはね。スターなる可能性もあった。大金持ちになる可能性もあった。いろんな可能性があるんだけれども。「どんな可能性があったとしても僕は君との人生を選ぶよ」っていう旦那さんなんですよ。もう、泣けるでしょう?

(赤江珠緒)いいですねー!

(町山智浩)もう思い切り、泣かしにかかっている映画なんですけども。ということでね、何年か前にね、『パラサイト』という韓国映画が、完全な韓国映画なのにハリウッドの賞であるアカデミー賞を席巻しましたけど。それで今度はアジア系の俳優たちが集まってる『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』。

これ、監督も香港から来たアメリカ人の人なんですね。中国系アメリカ人なんですけども。これが、あらゆる賞を独占するというね。すごいことになってますよ。アカデミー賞も。はい。それで、これはぜひね映画館で見ていただきたいなと思います。今、公開中なんでね。

<書き起こしおわり>

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