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町山智浩 ジョージ・フロイド殺害事件裁判で緊張感が高まるミネアポリスを語る

町山智浩 ジョージ・フロイド殺害事件裁判で緊張感が高まるミネアポリスを語る たまむすび
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町山智浩さんが2021年4月20日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中でジョージ・フロイドさん殺害事件の裁判の判決を目前に控えたアメリカ・ミネソタ州のミネアポリスの状況を現地から紹介。関連してアカデミー賞候補作品の『愛してるって言っておくね』『隔たる2人の世界』を紹介していました。

(赤江珠緒)町山さん、今日は出張中ということで。ミネソタのホテルからのご出演です。もしもし、町山さん?

(町山智浩)はい。よろしくお願いします。どもです。

(山里亮太)今日はちょっと、いつもと違った場所からですね。

(赤江珠緒)なぜミネソタにいらっしゃるんですか?

(町山智浩)今、ミネソタ州のミネアポリスっていうところにいるんですけども。ミネソタってどんなところか、ご存知ですか?

(赤江珠緒)ええと……えっ、ミネソタってなんか、玉子売りの?

(町山智浩)そうね(笑)。「ココココ、コケッコー♪」っていう歌が。

(赤江珠緒)その歌の印象が強いですけども。五大湖の隣ぐらいですかね。

(町山智浩)「私がミネソタの玉子売り♪」って……ここ、玉子売りいませんよ?(笑)。

(赤江珠緒)アハハハハハハハハッ!

(町山智浩)なにも玉子と関係ないですよ(笑)。別に養鶏場が多いとか、玉子の産地だとかじゃ全然ないですからね。

(赤江珠緒)そうなんだ(笑)。

(町山智浩)あの歌は言いがかりだと思いますけども(笑)。ミネソタはアメリカの一番北の方にあって。ちょうどど真ん中で海から、両方の海……大西洋からも太平洋からも一番遠いところですね。今日、気温が零下でしたよ。

(赤江珠緒)ええっ? ああ、そうですか。

(町山智浩)ものすごい寒いんですよ。ずっと取材してたんですけども。雪、降ってましたね。

(赤江珠緒)ええっ? そんな気温? ああ、そうですか。

(町山智浩)一番寒いところなんですよ。アメリカでもね。で、なにをしにここにわざわざ来ていたのか?って言いますとですね、1年ぐらい前……ちょうど1年ぐらい前ですね。去年の5月にこのミネアポリスでジョージ・フロイドさんというアフリカ系アメリカ人の人が警察官に背中の上に乗っかられて窒息死をさせられるという事件があったんですよ。

(赤江珠緒)はい。日本でも大きく報道されましたね。

(町山智浩)で、その警官が上に乗っているところが携帯で動画を撮られてね。で、あれを撮っていたのは17歳の女の子なんですよね。それで今、裁判がずっと続いているんですけども。その判決が明日、明後日ぐらいに出るって言われてるんですよ。それで僕、ここに来ていまして。

(赤江珠緒)ああ、そうなんだ。その裁判がミネソタが行われてるんですか?

(町山智浩)そうです。ミネソタのミネアポリスっていう街です。その証言者が集まって。証人たちがいろんな聞き取りをされていたのが先週なんですよ。結構すごい強烈で。その、携帯。スマホで現場のビデオを撮っていた女の子とかは「なぜ私はあの時に命がけでも彼を助けなかったんだろうか?」みたいな。そこで現場で目撃していた人たちが次々と証言したんですけど。みんな「あの時、警官に何をされてもいいから助ければよかった」って泣き崩れるお父さんとかもいまして。結構衝撃的だったですね。

(赤江珠緒)でも、映像があれだけしっかり残ってるんだから、ねえ。きちんと裁かれてほしいな。

(町山智浩)で、この裁判で何を争っているのか?っていうと、その警察官がジョージ・フロイドさんの上に乗り続けたのは、そこに「彼が死んでもいい」という気持ちがあったかどうか、なんですよ。

(赤江珠緒)だってなんか無抵抗の状態になっていたのに、ずっと抑えてましたもんね。

(町山智浩)その通りなんですよ。無抵抗というか、完全に意識を失っていたのに、その後も乗り続けていたので。だからその時に、「このまま乗り続けたら死んじゃうんだけれども、それでもいい」っていう気持ちがその警察官の中にあると、それはアメリカでは「第2級殺人」というものになるんですよ。

(山里亮太)第2級殺人?

(町山智浩)第1級殺人っていうのは最初にから「殺す」っていう意図があってやった場合なんですね。

(赤江珠緒)ああ、殺意が。

(町山智浩)殺意がもう最初から明確にあった場合。それと、その時に突発的に殺意が出てきた場合っていうのは第2級殺人っていうものになるんです。だから、その時に刺したら死ぬっていうことがわかっていても「ああ、死んでいいや」と思って刺したりした場合はそれは第2級殺人っていう風になるんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。なるほど。

(町山智浩)で、第3級殺人というものもありまして。これは過失致死に近いもので。殺すとか死なせるっていう意識が全くなかったんだけれども、死なせるようなことをしてしまった場合ですね。で、この裁判では検察側は第2級殺人を主張していまして。弁護側は第3級殺人を……「殺意はなかった」という風に言っていて。それが明日から陪審……アメリカは陪審制度なので。普通の人たちが12人、選ばれて。全員で評決をして。「この人は第2級か、第3級か」というのを決めるということになっているんですよ。ただ、もしこれが裁判の結果、第3級殺人とかになると、おそらくアメリカ中で暴動が起きるんじゃないかと言われてるんですよ。

(山里亮太)納得がいかないと。

判決次第で暴動に発展する可能性も

(町山智浩)はい。元々、最初にこの事件があったすぐ翌日ぐらいから、このミネアポリスで抗議デモが暴動に発展して。警察署に対する焼き討ちとかになったんですけども。で、それが全土に、全米各地に広がるんじゃないかと言われているんですよ。

(町山智浩)で、すごくアメリカは今、精神的に危険な状態にありまして。ワクチン接種が進んで、少し安全になったんですよ。アメリカは。今、成人のワクチンを接種した人の率……少なくとも1回、ワクチンを受けた人の率が半分を超えたんですよ。そうすると、少し気が緩むというか、ロックダウンとかが全部解除されていって。お店とかも開き始めたんですね。そうしたら、なにが起こったか? 銃の乱射事件がまた戻ってきちゃったんですよ。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)アメリカは昔から……「昔から」っていうと、伝統的みたいな感じでよくないことなんですけども。各地で銃を持った人たちが無差別に人を撃つ乱射事件がよくあったんですが。

(赤江珠緒)たしかに、よくありますね。

(町山智浩)ただ、やっぱりロックダウンとか、コロナが流行ってからはすごく急激に減ったんですよ。それでほとんどなくなっていたんですね。無差別に人を撃とうとしても、人がいないっていうので。人がいないなら、撃てないっていうことだったんですが。でも、人が出始めたらまた乱射事件も始まっちゃいまして。特に一昨日まで週末だったんですけど、この週末だけでシカゴ、テキサスなどアメリカ各地で6件も乱射事件がありました。

(赤江珠緒)ええっ、そんなの?

(町山智浩)はい。で、もう9人の方が亡くなってるんですけども。まあ非常にコロナから通常状態に戻ろうとする中で、まあ今回も抗議デモにもすごい人の参加していてですね。外出ができるようになったので、今までのコロナで動けなかった鬱憤とかもありますからね。なんかすごくテンションが高くなってきていて。何が起こるか分からない状態なんですよ。

(赤江珠緒)そういう面もあるんですね。「解除された。よかった、よかった」だけじゃないんだな。

(町山智浩)戻ってこない方がよかったものまで戻ってきちゃったりして。だからちょっと現場でとにかく僕は……その判決が出る現場にいようとしているんですけどもね。ただ、それと同時に今週末にアカデミー賞の授賞式があるんですよ。

(山里亮太)そうか。いよいよ。

(町山智浩)そう。僕はそこでまたWOWOWさんの中継で解説をするんで。それまでには自宅に戻らなきゃならなくて。だからその判決まで、この現場で取材できるかどうか、ちょっと分からないんですけれども。それでちょうど、そのアカデミー賞の中で日本でも簡単に誰でも見れて、なおかつアカデミー賞を受賞しそうで。しかも、ほとんどマスメディアに報道されていなくて。誰にも注目されてない作品があるので、ちょっとご紹介をしたいなと思っています。

で、まずひとつはアカデミー賞の短編アニメーション賞にノミネートをされている『愛してるって言っておくね』という映画があるんですよ。これはアニメーションなんですけど。手書きのアニメーションで。最初、ひとつの部屋である夫婦がご飯を食べてるところから始まるんですね。ところが、その夫婦に全く会話はないんですよ。で、どうしてこの夫婦は会話がなくなってしまうたのかということがだんだん明らかになってくるという、10分ちょっとのアニメなんですけども。これ、ご覧になりました?

(赤江珠緒)見ました。私は。本当、12分ぐらいのアニメなんですけど。もう……もう号泣というか。12分で涙がすごい……もうね、やっぱり身につまされますね。今、ちょうど子育てもしているので。

(町山智浩)そうなんですよ。これね、2人の間にはお子さんがいたんですけれども。そのお子さんが生まれてから、どんどん育っていくのがこのアニメの中で描かれていくんですけども。でも、現在のこの2人の間にはその子がいないんですね。で、何があったのかが明らかになった時、ものすごい衝撃なんですよね。はい。これ、タイトルの『愛してるって言っておくね』っていうのは、原題はですね、『If Anything Happens I Love You(これから何があるかわからないけども、愛している)』っていうので。携帯で子供が高校から自分の親に送ったメッセージで。これは実際にあったことなんですよ。

(赤江珠緒)うーん……。

(町山智浩)これは2018年にフロリダの高校で乱射事件があって。そこで、子供たちが学校内で逃げていたんですけれども。学校内で隠れていた子が隠れてる間に携帯で親に送った言葉なんですよ。もう、後ろで銃撃が続いていて、自分も見つかったら撃たれるかもしれないという状況で最後のメッセージとしてお父さんとお母さんに「愛してます」って送ったメッセージなんですよ。だからこのアニメーションは今、アメリカで起こっている……また起こり始めてしまったことともリンクをしていて。まあ、強烈なアニメーションですね。

(赤江珠緒)で、これがまた今も。ねえ。さっきのお話じゃないけど。起こり続けているっていうのが、あまりにもの悲劇ですよね。うーん。

(町山智浩)で、これがNetflixで日本でも見れます。『愛してるって言っておくね』っていうのはセリフが全くないアニメなので。誰でも見れますので。12分なので、ぜひ見ていただきたいなと。アカデミー短編アニメーション賞の最有力候補ですね。

『愛してるって言っておくね』予告

(町山智浩)で、もう1本はですね、やっぱりNetflixで日本でも見れて。日本語字幕も付いています。これはタイトルがすごく不思議な日本語で。『隔たる世界の2人』というタイトルが付いてます。

これは短編実写ドラマ部門の最有力候補と言われていますね。これは主人公がまニューヨークのおしゃれなグラフィックデザイナーのアフリカ系の男の子で。すごくかわいい女の子と付き合い始めて、女の子の部屋で初めての一夜を過ごした翌朝の話なんですよ。で、「超幸せ!」みたいな感じで起きて。ただ、家に犬がいて。「エサをやらなきゃいけないので、悪いけど帰るわ」って言って帰ろうとして、その彼女の部屋を出て道路に出た途端に、そこにたまたま立っていた白人の警察官に絡まれるんですよ。

「お前、何なんだよ? ちょっと荷物を見せろ」みたいな話になるんですね。で、「なんだよ? お前、こんなに金を持ってるのかよ? なんか悪いことでもしているんじゃないのか? ちょっとその荷物、見せろ」とか言われて、その彼は抵抗をしちゃうんですよ。そうすると、その彼を警官たちが抑えつけるとして、上に乗っかって。体重をかけてくるんですね。で、そのアフリカ系の彼が「息ができない!」って言うんですよ。で、「息ができない!」っていうのは先ほど話したミネアポリスで亡くなったジョージ・フロイドさんの言葉なんですよ。で、そのまま息ができなくて、目の前が真っ暗になって、死んじゃうんですよ。

すると、パッと目が覚めるんですよ。また、彼女の部屋で目が覚めるですよ。「あれ?」と思って。そうすると、彼女が出してくる朝ごはんとかは同じなんですね。さっきの記憶と。「ああ、さっきのは夢? おかしいな。どうなっているんだろう?」と思いながら、またそのアパートを出て。そうすると、路上でまたその白人警官につかまるんですよ。「あれ? おんなじことが起こっている。デジャヴュかな?」って思うんですけども。それで今度はやられないようにということで。抵抗をしないように頑張るんですね。いい顔をして。ニコニコして。押さえつけられないように……ってするんですけども、なんかやっぱりうまくいかなくて。今度は射殺されちゃうんですよ。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)それで「ああっ! 殺された!」って思うとまた目が覚めて。また同じ朝に戻るんですよ。だから、いわゆるループ物ですね。その日、その朝から抜け出せなくなるんですけども。で、その彼はなんとか殺されないように……ということで、気をつけるんですよ。

(赤江珠緒)まあ、そうなりますよね。うんうん。

(町山智浩)自分からなんでも申し出て。全く抵抗しないで礼儀正しく白人の警官に接して。協力的にするんですけど、それでも殺されちゃうんですよ。

(赤江珠緒)ええーっ!

(町山智浩)なにをしても殺されちゃうんですよ。で、今度は「もう表には出ない」って決めるんですよ。「表に出なければいいんだ」っていうことで、その彼女の家にいると、今度はドアを破って警官が中に入ってくるんですよ。

(赤江珠緒)ああっ! でも、そういうパターンの事件もありましたもんね。

(町山智浩)あったんですよ。すごく各地でそういう事件はあって。たとえば、ブリオナ・テイラーさんっていう人も去年、亡くなったんですけれども。ケンタッキーで撃たれたんですけど。彼女は普通に自分の家の中にいて。夜、寝ていたら英の中に警官が入ってきて、撃ち殺されちゃったんですよ。何もしなくても。

(赤江珠緒)ねえ。だから部屋を間違えたみたいなので撃たれた人とかもいましたもんね。

(町山智浩)ひどいんですけども。各地で、家を間違えて入ってきて撃たれて殺されているんで。そうすると、家から出なくても殺されちゃう。なにをしてもダメなんだという状況が描かれているのが『隔たる世界の2人』という短編映画なんですけども。これはもう本当に、そのアメリカの黒人の実態を描いているわけですよ。なにをしてもダメなんですよ。銃を持っていなくてもダメだし。協力してもやられちゃうし。それで今、この近くで大変にテンションが高くなってるというのは、1年前にジョージ・フロイドさんがここで殺されちゃったんですけど。今、裁判をやってる真っ最中にこのすぐ近く。車で10分ぐらい行ったところで、やっぱりアフリカ系のハタチの青年が警察官に射殺されちゃったんですね。

(赤江珠緒)そう。ありましたね。そうか。そんな近くの場所で……。

(町山智浩)すぐ近くで。で、あれもテーザーっていう電撃銃を警官が撃とうとして、間違えて拳銃で射殺しちゃったって言ってるんですけども。

(赤江珠緒)めちゃくちゃですよね。

(町山智浩)めちゃくちゃなんですよ。そのビデオが見えてるんですけども。これ、射殺した警察官は女性で。ポッターさんっていう人なんですね。彼女は今、調査されてるんですが。昨日、僕はこのジョージ・フロイドさんの裁判に対して「有罪にしよう」ということでいろいろ運動している人たちに話を聞いて回ったんですけども。そこで1人のお婆さんがいまして。その人が「ちょっと私の話、聞いて」って言うんですよ。「私の息子も2年前に射殺されたの。この近くで」って言うんです。それはこの間、そのポッターという警察官が青年を射殺したところのすぐ近くなんですよ。「うちの息子は自閉症だったんだけれども、『挙動不審だ』っていうことで撃たれちゃったの。その時の警察隊の隊長がポッターだったのよ!」って言うんですよ。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)「うわっ、これはヤバいな!」っていう。だから、これはもうかなり蔓延していて、大変なことになってるなと思ったんですけども。そういうことで僕、ちょっと取材で判決を待っている現場にいますので。アカデミー賞候補の2作品は日本でもNetflixで見れるので、ぜひ見ていただきたいということです。

(赤江珠緒)はい。わかりました。

『隔たる世界の2人』予告

(中略)

(赤江珠緒)ということで今日は2本、短編のものを。今、Netflixで配信中という2本の映画『隔たる世界の2人』と『愛してるって言っておくね』。こちら、Netflixで配信中でございます。アカデミー賞の発表は日本時間、来週月曜日の26日でございます。町山さん、いろいろありがとうございました。

(山里亮太)ありがとうございました。

(町山智浩)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

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