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町山智浩『アンダー・ザ・シルバーレイク』を語る

町山智浩『アンダー・ザ・シルバーレイク』を語る たまむすび
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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で映画『アンダー・ザ・シルバーレイク』を紹介していました。

(町山智浩)ということで、今日ご紹介する映画は2本なんですけども。1本目は『アンダー・ザ・シルバーレイク』というタイトルで日本では今週末にもう公開されます。

(赤江珠緒)ああ、もうすぐ見れるんですね。

(町山智浩)これはね、「シルバーレイク」っていうのは実在の地名でハリウッドの東側にある貯水池のことなんですよ。で、ここがいますっごいおしゃれな街として注目されているんですけど、僕はここに知り合いでメノ・ルナさんというアーティストが住んでいて、その人の家によく下宿をしていたことがあってそのシルバーレイク周辺っていうのは知っているんですけども。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)僕がよく出入りしていたのは15年ぐらい前なんですね。で、その頃はとにかく変な人ばっかりが住んでいる街だったんですよ。

(赤江珠緒)アートをされる人とか?

(町山智浩)そうそう。芸術家を目指している人とか、ファッションデザイナーになりたい人とか、映画監督になりたい人、俳優になりたい人、ロックスターになりたい人っていうのが貧乏で暮らしているところがシルバーレイクだったんです。で、たとえば有名な人だとコーエン兄弟っていう監督がいますけども、彼らも貧乏な頃はまずそこから生活を始めているんですね。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)そういうところで、家賃は安いし、もう食べ物とかも安いし、気楽な街で。日本でいうと高円寺とかの感じに近いところだったんですけども。で、大抵みんな貧乏だからルームシェアして暮らしていたりしたんですね。ところが、ここがこの10年ぐらいでものすごくおしゃれなところになっちゃって。ジェームズ・フランコとかイケてる俳優たちがそこに家を持ったりしたこともあってですね、もう地価がどんどん上がっちゃって。それで家賃が上がっちゃって貧乏な人たちは暮らせなくなってきているんですよ。現在、そこは。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)で、そこが舞台の話がこの『アンダー・ザ・シルバーレイク』で。主人公はシルバーレイクの近くのアパートに住んでいるアンドリュー・ガーフィールドという30過ぎの男なんですね。この人は『アメージング・スパイダーマン』では老けた高校生をやっていましたけど。遠藤周作さんの『沈黙 -サイレンス-』ではバテレンの宣教師で周りでめちゃくちゃ拷問をされるかわいそうな役でしたね。で、『ハクソー・リッジ』ではケンカが絶対嫌いなのに戦争に行く実在の人物をやっていましたけど、そういうフニャフニャした役が多い人ですよ。この人は。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)セリフ回しが非常にフニャフニャしていて、首が座っていない感じなんで非常にこの役には合っているんですけども。彼はそのシルバーレイクに住んで、ミュージシャンになりたいのか、映画関係で働きたいのかはっきりしないんですが、なんかそういうことをやりたい人なんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)で、そういう昔の映画とか昔のロックに非常に詳しくて。要するに、サブカル野郎なんですよ。でも、なにもしていないんですよ。仕事らしい仕事は。なにをしているかよくわかんなくて、金がないくせにデリヘルを呼んだりしているような人なんですよ。いっぱいいますよね、そういう人。

(赤江珠緒)はー! まあでも夢はあるんですね。なんかそういう感じでやりたいと。

(町山智浩)夢は具体的でないから、あんまりちゃんと働いていないんですよ。

(山里亮太)でも、ちょっと金が入ったら風俗に行っちゃうみたいな。

(町山智浩)そうそう。そういう人だから、もう家賃が払えなくなってアパートを追い出されそうになっているんですよ。で、とにかくもう周りがどんどんどんどん上にあがっていっちゃうから、自分だけ取り残されているんですね。で、そのうちにある女性とそのアパートで偶然会いまして。その女の子を好きになったら、翌日からその女の子が行方不明になっちゃうんですよ。

(赤江珠緒)うん!

(町山智浩)で、その女の子を探しているうち、だんだんとこのハリウッドという街にはなにかの秘密が隠されていて。その秘密を解く鍵を見つければ有名になれるんじゃないかっていう妄想に取りつかれていくんですよ。

(赤江珠緒)ああ、妄想ね。うん。

(町山智浩)妄想なんですよ。だから「なんでみんなは成功していくんだろう? なんで自分以外の人はどんどん成功していくのに、有名になっていったりするのに、なんで自分は成功できないのだろう?」っていう。

(赤江珠緒)ああ、そういうことか。なにかしらがあるはずだと。

(町山智浩)そう。なにかしらがあるはずなんだ。彼らと俺との間はどう違うんだ?っていう。で、そのうちに中で『ゼルダの伝説』というゲームが出てくるんですね。これ、『ゼルダの伝説』をやったことがある人ならわかると思うんですけど、いろんなところに秘密が隠されているんですよ。で、なにげなく置いてある岩を動かすと、それがあるドアを開ける鍵だったり。なにもないところで剣を振るとそれがボタンになっていたりとか。そういう暗号が隠されているんですね。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)これがハリウッドにもあるんだっていう風にどんどん思い込んでいくっていう話なんですよ。

(赤江珠緒)ああ、現実世界にもそういうことがあるんじゃないかと。

(町山智浩)はい。で、それはこの映画の監督のデヴィッド・ロバート・ミッチェルっていう人が実際にそのシルバーレイク周辺に10年ぐらい住んでいたらしいんですよ。で、どうも芽が出なくて苦しんでいる時にどんどん妄想が高じてこういう話ができていったらしいんですね。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)で、この人は『イット・フォローズ』というホラー映画で大ヒットを飛ばしたんでこの映画を作ることができるようになったんですけどもね。それまではいろいろと苦労をしていて、ハリウッドでうごめいていたわけですよ。

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でホラー映画『イット・フォローズ』と『ババドック 暗闇の魔物』を紹介。さらにホラー映画の本質について話していました。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)いっぱいいるんですよ、こういう人。サンフランシスコにもいっぱいいます。ただ、昔からそういう人はいっぱいいたんですけど、なんとなく食えていたのにだんだん現在はどこも不動産価格が上がって、食えなくなってきている苦しいところがあるんですけども。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)だから非常に切実な映画なんですよ。見ているとバカみたいに見えるかもしれないですけど。でね、これは『ラ・ラ・ランド』っていう映画と裏表で。『ラ・ラ・ランド』は大ヒットしましたよね?

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)あれはハリウッドで有名になりたいと思っている女優になりたい女の子と、ミュージシャンを目指している男の話なんですけども。『ラ・ラ・ランド』っていうのはスラングで陽気な人、夢見ているような人のことをいうんですね。「あいつはラ・ラ・ランドに住んでいるよね」みたいな。

(山里亮太)ああ、なるほど。

(町山智浩)それと同時に『ラ・ラ・ランド』っていうのはハリウッドそのものも意味しているんですよ。つまり、みんな自分が成功していくっていう夢を見ているから。

(赤江珠緒)ああーっ!

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『ラ・ラ・ランド』の裏側の話

(町山智浩)で、『ラ・ラ・ランド』では実際に成功していくんですけども、この話は成功しなかった……まあ100人に1人とか1000人に1人しか成功しないんですけど、それ以外の人たちの話なんですよ。この『アンダー・ザ・シルバーレイク』っていうのは。

(赤江珠緒)成功した人の影に何人いるかっていうことですね。

(町山智浩)何人いるか。だから『”アンダー”・ザ・シルバーレイク』。『ラ・ラ・ランド』の中でグリフィス天文台っていうところにいくと、恋している2人がどんどん天に上がっていくっていうシーンがありましたよね? この映画でも、この主人公のアンドリュー・ガーフィールドくんはグリフィス天文台に行くんですけども、彼の場合にはそこからトンネルで地下にどんどん潜っていくんですよ(笑)。

(赤江珠緒)ええっ? 潜っていくの?

(町山智浩)そう(笑)。だからそっちの方に行っちゃう人なんですよ。下の方、下の方へと。だからすごくそのへんが対照的で。まさに『ラ・ラ・ランド』の裏返しだと思って面白かったんですけど。まあ、今週公開ですからご覧になってください。

(赤江珠緒)はい。

<書き起こしおわり>

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