山下達郎「自分が大人になった時が不安」な中学3年生へのアドバイス

山下達郎 アナログレコードのメンテナンスとコレクション管理を語る オールナイトニッポン

山下達郎さんが2023年2月18日放送のニッポン放送『山下達郎と上柳昌彦のオールナイトニッポン』の中で、15歳・中学3年生のリスナーの「暗いニュースを見るたびに自分が大人になった頃には世界はどうなっているのかと恐怖におびえている」というメールに対し、アドバイスを送っていました。

(上柳昌彦)こんなメール、いただいております。「2人に話してほしいトークテーマ」ということで、メールをいただきました。たくさん。本当にありがとうございます。匿名希望の方なんですけども。「自分は15歳の中学3年です。普段、ラジオは深夜しか聞かないんですが、今回は記念番組の全部を聞こうと思ってます」。55時間!

(山下達郎)すごいな(笑)。

(上柳昌彦)「高校も決まりまして、特にやらなきゃいけないこともなくなったので」。おお、よかったですね。「自分にとっての中学生活は『まあ、それなりに仲はいいけど友達と言えるのかな?』という人たちと表面上は仲良くやっていたという感じで、まあラジオを聞いてる時だけは本当に楽しい時間だと思います。最近はバイトテロとか、日本の経済がヤバいとか、暗いニュースを見るたびに『ああ、自分が大人になった頃はこの世界はどうなってしまうのかな?』と恐怖におびえています。

親に聞いても『まあ、どうなるかはわからんけど、高校でもちゃんと勉強だけはしとけ』と当たり前のようなことしか言われません。なので、山下達郎さん、上柳昌彦さんの10代の頃の話を聞きたいです。僕のような気持ちになったことって、ありますか?」ということですね。

(山下達郎)ありますよ(笑)。本当にね。あるでしょう?

(上柳昌彦)相当、おありになったんじゃないですか?

15歳の頃の山下達郎と上柳昌彦

(山下達郎)中学から高校へ行く時って、やっぱり受験があって。友達も……今はでも、やっぱり僕らの頃よりももっと、要するに苛烈なっていうかね。対人関係がものすごくやっぱりネットとかがあるから、大変ですけどね。昔はやっぱりこうやって、タイマン張って、ぶっちゃけて……みたいなね。それしかコミュニケーション手段がなかったですから。だけどまあ、みんなそうやって「人生とは……」っていう風に考え始める歳ですかね? 15歳、思春期。

(上柳昌彦)鏡を見て「お前はこの世で一番醜い顔をしてるな」っていう風に思いましたね。「なんつう顔をしてるんだ」ということは思ったんですね。

(山下達郎)そうですか(笑)。

(上柳昌彦)はい。私はなんか、そんな感じだったんですね。「これじゃ、ダメだな」と思って。「うん? しゃべるっていうことで、なんとかなるかな?」とかね。

(山下達郎)友人関係は、どうだったんですか?

(上柳昌彦)友人関係は……やっぱりでもね、深夜放送を聞いている仲間同士の共通の話題っていうのですね。これは、やっぱり。

(山下達郎)ハガキとか、出したんですか?

(上柳昌彦)ハガキはね、そんなには出してないです。というのは、レベルが高すぎちゃって。もうすごい常連の人たちが出てきた頃なので。

(山下達郎)でもあの頃のオールナイトニッポンにしろ、なんにしろ、いわゆるミュージックオリエンテッドの、音楽中心の……たとえば糸居五郎さんとかの番組と、あとはもうちょっと、アンコー(斉藤安弘)さんとか。今だったらお笑いの人たちがそれを担うような……。

(上柳昌彦)そうですね。TBSだと、なっちゃことか……野沢那智さんとかね。

(山下達郎)愛川欽也さんとかね。

(上柳昌彦)まあ、やっぱり林美雄さんでしたかね。

(山下達郎)ああ、「ユア・ヒットしないパレード」(笑)。

(上柳昌彦)はい。「アナウンサーでこんな面白いこと、できる人がいるんだ」って思って聞いてましたね。

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(山下達郎)僕は逆に、宮内鎮雄さんだったんですよ。

(上柳昌彦)おお、音楽志向ですね。なるほど。ここでちょっと違ってくるんですが。オールナイトニッポンの55周年で『パックインミュージック』の話をしているという。

(山下達郎)だからこの15歳の人ね、本当に将来のことをこういう具合に見ると「ああ、暗いことが待ってるんじゃないか」とかね、そういうのがありますけど。逆に、このぐらいの年代の人がこれからの日本をやっぱり築き上げていくので。まだ何も決まってないので。

(上柳昌彦)そうですね。

70年前の日本は焼け野原だった

(山下達郎)だから僕、ライブでここのところずっと申し上げてるんですけど。世界的にやっぱり今、沈んだ時代ですけど。だけど今から70年前に日本って、焼け野原だったんです。それを結局、我々の親とか先達が、こうやって日本を再構築してくれて。それで我々が今、こういう生活ができてるんで。だから逆に我々もそういう、これから先、何かが起こっても、みんなで助け合って、そうやって再構築していくっていうね。「これからはダメなんだ」とか「今はダメなんだ」とか、そういうネガティブなことを言ってもね、始まらないから。

で、特にこういう若い人はお父さん……「どうなるかわからんけど、高校でもちゃんと勉強していけ」っていうのは、それはいいんです。勉強しておくと、選択肢が増えますからね。それで自分が何をやりたいのか?っていう、そういうことをそのぐらいの歳に悩みながら考えるといいのではないかと。

(上柳昌彦)一番そういうことを考える時ですね。

(山下達郎)年頃ですね。どんどん悩んで。

(上柳昌彦)ということです。まあお父さん……親に一応聞くっていうところが、まだ偉いですね。

(山下達郎)そうですね(笑)。

(上柳昌彦)だんだんと親にも聞かなくなってきますから。それはそういう時代があるわけですね。

(山下達郎)でもラジオがちょっとは、やっぱり役に立ててるっていうことで。

(上柳昌彦)嬉しいですね。中学3年生くん。

<書き起こしおわり>

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