山下達郎「情けないステレオミックス」が生まれた理由を語る

山下達郎と安住紳一郎『サンデー・ソングブック』を語る 山下達郎のサンデー・ソングブック

山下達郎さんが2023年5月14日放送のTOKYO FM『サンデーソングブック』の中で、番組内で話す「情けないステレオミックス」についてトーク。そのような録音方法が生まれた理由について、話していました。

(山下達郎)リクエストをいただきました方のおたよりですが。「番組内でよく言われている『情けないステレオミックス』ですが、どうしてあのような録音方法が流行ったのでしょうか? 全く良さがわからないのですが。中でもビートルズの『A Day In The Life』はジョンの声があっち行ったりこっち行ったりで気持ちよく聞けずがっかりです」。この方、いくつでしょうか? 55歳。そんなにあれですね。

あの、60年代は「ステレオだ」「音が右と左にわかれてる」っていうだけで商売になった時代なんです。だからそれをもう最大限に活用してですね。たとえばジャズのアルバムだと、ピアノが右、ドラムが左、ベースが真ん中みたいな。あとは、もっとすごいのは、ベースドラムが右でスネアドラムが左みたいな、そういうレコードもありますし。行き着く先は、オケが右でエコーだけが左みたいな、そういうレコードまで出てきました。

ですので音がグーッと動くと、それだけであの頃は「すごい!」っていう。4チャンネルのレコードなんていうものをお聞きになったことはないと思いますけども。グルーッ!って音が回ると言うですね。あれで、レッド・ツェッペリンの『Whole Lotta Love』を聞くとすごいとか。そういう時代でしたので。時代です、時代。それが気持ち悪いという方が出てくるという時代ですね(笑)。

<書き起こしおわり>

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