安住紳一郎 2022年・幻の洋梨「ドゥワイエンヌ・デュ・コミス」表記問題を語る

安住紳一郎 2022年・幻の洋梨「ドゥワイエンヌ・デュ・コミス」表記問題を語る 安住紳一郎の日曜天国

安住紳一郎さんが2022年11月27日放送のTBSラジオ『日曜天国』の中で10年ほど前に番組で扱った幻の洋梨・ドゥワイエンヌ・デュ・コミスが徐々に世間に広まってきたことをリスナーからのメールで紹介。かつて扱ったカタカナ表記問題を再び扱っていました。

(安住紳一郎)そしていよいよ木曜日から12月ということで、気温も下がるということです。お便りを紹介したいと思いますが……偶然といいますか、世の中がそうなってきたんだなと思う偶然だと思いますが。同じような内容でお二人の方からいただいています。この方は長野県茅野市の「ドクター・リトハフ」さん。男性の方、ありがとうございます。

(中澤有美子)ありがとうございます。

(安住紳一郎)「先日、近所のケーキ屋さんへ出かけました。店舗に併設されているカフェで季節のパフェでも食べようかなと思い、出かけたのですが、店員さんから『今日のパフェは洋梨のパフェです。コミスを使ったパフェになります』と案内され思わず『えっ、コミスってあのドゥワイエンヌ・デュ・コミスですか?』と聞き返しました。面食らったのは店員さんの方です。『えっ、すみません。その、デゥワなんとかというのはちょっと存じ上げないので、店長に確認してきます。お待ちください』と店の奥に引っ込んでいったのです。しばらくして店長さんが『いやー、お客さん、お詳しいですね。僕もずっとコミスとだけ呼んでいたので、正式な名前を知らなくて勉強になりました。相すいません』と挨拶に来きました。

『僕もたまたま昔、聞き及んだ覚えがあったので、知っていたんです云々』とお返事をしました。ドゥワイエンヌ・デュ・コミス、実は僕、食べるのは初めてで。念願のコミスをこれはうまいなと堪能することができました。お会計の段になって、件の店員さんから『今度からはちゃんとドゥワイエンヌ・デュ・コミスで呼ばせていただきますね』と言われ、近所のケーキ屋では今、ドゥワイエンヌ・デュ・コミスという言葉が流行中です」というお便りですね。

(中澤有美子)わあ!

(安住紳一郎)他にもこの方は、少し前にいただいてるんですが。「還暦を迎えたおばちゃん」さん。「毎週、番組を聞かせていただいています。先日フルーツパーラーの前を通りかかりましたら、写真ではなく、文字に目が留まりました。何度も何度もラジオへ耳をそばだてて聞いていたドゥワイエンヌ・デュ・コミス、味わってまいりました。甘くてなめらかで、大変美味しかったです。添えてあったバニラアイスよりも甘いほどでした」という。ねえ。写真も送ってくださいましたけれも。これはもう、長らく聞いてくださってる方は「ああ、ついに来たのか!」という風に思いますよね?

(中澤有美子)そうですよね。

(安住紳一郎)また、私たちは10年くらい前ですよね。この番組、比較的果物に対しての偏差値が高めに設定されていて。先、先へと行っちゃう傾向があるんですけれどもね。先、先に行くために、ついぞ来なかったっていうね。そういうようなフルーツもあるんですけれども。「ついに来たのか!」という感じがしますね。10年前にね、どこよりも早く激推ししてたんですけどね。なかなかブームが来ず。ようやく今、本当に静かなブームですね。

(中澤有美子)そうなんですね!

10年前に激推し

(安住紳一郎)ドゥワイエンヌ・デュ・コミスという洋梨の品種なんですけども。ラ・フランスやル・レクチェが有名ですけれども。まあ、ラ・フランスぐらいですよね。買ったことがあるのは。どうでしょうか? で、新しいというか、昔からあるんですけども。日本ではまだ流通していなくて。「次、洋梨ではこれが来るんじゃないか?」ということで。少し長い名前のドゥワイエンヌ・デュ・コミスというものなんですよね。昭和天皇の料理番、秋山徳蔵さん。大膳職厨司長。昭和20年代、30年代に天皇陛下の料理を担当されていた秋山さん。ドラマにもなりましたけどね。その秋山さんが「あれこそが果物の王だ」と、かつて言ったという。「40年経った今でもあの味が思い出されて、いま一度、もう一度食べるなら、あのドゥワイエンヌ・デュ・コミスが食べたい」という風に言ったということから「幻の洋梨」などと呼ばれることになったということなんですけど。

まだフランス語の表記しかなくて。日本語はカタカナで置き換えるわけですけども。どのカタカナを当てはめるか?っていうのがまだ一般化されていない。そうですよね。日本語っていうのはとても便利で、外国の言葉、英語とかフランス語とかドイツ語とかを簡単にカタカナに置き換えて。ただ、どの表記にするのかがまだ一般化されていないので。私たちがラジオでなんと言ったかを正しく聞き取った方にプレゼントするというですね、すごいリスナープレゼントがありましてね。

(中澤有美子)そうでしたね(笑)。

(安住紳一郎)また、みんながムキになっちゃって。また、難しいですよね。ごくごく普段使っているカタカナが聞き取れないんじゃないかっていう挑発がありまして。たしか、1500通ぐらい皆さんが送ってくださったんですが。きちんと正解した人が2人ぐらいしかいなかったっていうことになっちゃって、ほとんどの人が「お前の発音が悪いんだろう!」ってなんか、そんな喧嘩腰になってしまいましたね。

(中澤有美子)難しかったですねー(笑)。

(安住紳一郎)難しかったですよね。で、日本でフランス語を教えてるフランス人の先生とか。あるいは発音明瞭この上ない都営バスの社内録音放送を担当してる鐡井静寿子さんとかね、お願いしたりとか。逆に少しダミ声の方が聞き取りやすいんだっていう、そういうことも言いますよね? ドラえもんの声で早口言葉言うと言いやすいとかね。(ドラえもんのモノマネで)「きゃりーぱみゅぱみゅ」とか言うと、言いやすくなるっていうんで。じゃあ、綾戸智絵さんに「ドゥワイエンヌ・デュ・コミス、毎度!」みたいなこと言ってもらったりね。

(中澤有美子)わざわざね!

(安住紳一郎)わざわざ収録してくださったりして。懐かしい。昔の話ばっかりして恐縮ですけど。綾戸智絵さんも「なに、これ? これ、言えばいいんやろ?」なんてね。あとは、吉野ママ。ママになんで頼んだのか、いまだによくわからないけど。「ドゥ、ワイエンヌ・デュ・コミス! 吉野のママよ♪」なんて(笑)。

(中澤有美子)いろいろやったなー(笑)。

(安住紳一郎)ねえ。そう。吉野さん、ほら。戦争に行っていたからね。こういうカタカナになると少し、ちょっと気合が入っちゃうんだよね。

(中澤有美子)そうでしたね(笑)。普段の物腰とはね、また違う。

(安住紳一郎)普段は物腰、柔らかいんだよね。うん。「出放題、馬の糞よ。ねえ、安住ちゃん。えっ、これ、読めばいいの?」なんて。でもなんか、カタカナになると急にグッとなんか盛り上がるんだよね。たぶんなんかね。「ドゥ、ワイエンヌ・デュ・コミスッ!」って。聞いたこともないような吉野ママのね、ちょっとなんか、男らしい声。びっくりしちゃった。ねえ。伝説のジェンダーフリーがカタカナを読ませると意外に男らしいっていうことがわかったりして。「やめてよー♪」なんて。「お乳の出ないママよ」なんて言っているんだけども、急に「ドゥ、ワイエンヌッ!」なんて。ごめんなさい。最近聞いた方はなんのことか、よくわからないよね? ごめんなさい。いろんな強いキャラクターが出てきちゃって。

(中澤有美子)アハハハハハハハハッ!

(安住紳一郎)でも、本当に難しいんですよ。カタカナの聞き取りって、意外に。「ドゥアイエンヌ・デュ・コミス」なのか、「ドゥワイアンヌ・デュ・コミス」なのか「ドゥアイワンヌ・デュ・コミス」とかね。いろいろとこう、「ドゥ」と「ドュ」と「デゥ」と「デュ」、「ド」とかね。「アイエンヌ」「ワイアンヌ」「ワイエンヌ」なのかとかね。うん。私たちが当初、これで表記が落ち着くんじゃないかと言っていたものとは、やはりまだ揺れているということですね。この還暦を迎えたおばちゃんさんが送ってくださった写真を見るとこれは「ドゥワイアンヌ・デュ・コミス」になっていますし。

ドクター・リトハフさんのところは「ドュワイアンヌ・ドゥ・コミス」という表記ですね。まあ、1回聞いただけじゃどっちがどっちかわからないけども。なんとなく違うということですよね。まだまだこれからきっと、人口に膾炙していくうちに淘汰されて、収斂されていくってことですよね。

(中澤有美子)そうなんでしょうね。最後の「コミス」だけはね、揺るがないですよね。

「コミス」だけは揺るがない

(安住紳一郎)そうですよね。なのでたぶん今ね、「コミス、コミス」って言ってると思いますが。「コミス」ってたぶん「梨」っていうことですからね。コミスは定着は確実にするでしょうけれど。その前の「ドゥワイエンヌ・デュ」のところがどういう風なカタカナで定着するのか、見ものだなと思いますけどね。

(中澤有美子)そうですね。へー!

(安住紳一郎)まあね。ディズニーも「ディズニー」っていう表記が定着しましたけど。もしかすると「デズニー」になったかもしれないし。ねえ。そういうのはありますよね。「ディーズニー」になったかもしれませんしね。カタカナって面白いですよね。

(中澤有美子)そうですよね。

<書き起こしおわり>

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