佐久間宣行『鎌倉殿の13人』特番MCと三谷幸喜対談を語る

佐久間宣行『鎌倉殿の13人』特番MCと三谷幸喜対談を語る 佐久間宣行のオールナイトニッポン0

佐久間宣行さんが2022年9月28日放送のニッポン放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』でNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の特番MCを務めたことについてトーク。さらにはその番組内で放送された三谷幸喜さんとの対談の様子なども話していました。

(佐久間宣行)今日、話したかったのは1ヶ月前ぐらいのことなんですけど。1ヶ月前ぐらいに急にNHKの知ってるプロデューサーから連絡が来て。「ちょっと知り合いのNHKのプロデューサーが連絡を取りたいらしいんで、番号を教えてもいいですか?」って言われて。「ああ、いいですよ」って言って。それで電話がかかってきたのよ。初めての方からね。

それで「NHKの○○です。佐久間さん、ちょっとお仕事をお願いしたいんすけど。それで連絡先を聞きました。あの、『鎌倉殿の13人』の関連トーク番組みたいなものにちょっとご出演願いたいんですけど……」っていう。で、その電話をもらった時が、ちょうど収録と収録の合間で、バタバタしてたのもあったのと、本当に短い時間しか話せなかったから。「ああ、はいはい。全然、喜んで」って言って電話を切ったのよ。で、その時に「詳細はメールで送ります」って言われて。「わかりました」って言って電話を切っていて。

俺なんでそんなに軽く返事したかっていうと、ちょうどその週に『ぷらぷらす』っていうNHKの見逃し配信の番組を紹介する10分番組に出たのね。アンガールズの田中と。それって夜の22時ぐらいの10分で。「面白かった番組を紹介してください」って言われて俺は星野源さんがやってた『おげんさんのサブスク堂』と爆笑問題の太田さんと奥さんが旅行に行った番組を取り上げたのよ。それはNHKの番組紹介番組だったから。俺、その電話だけだったら、またそれだと思ったの。

「10分番組ぐらいで。『鎌倉殿』を紹介すればいいのね。OK、OK」って。「俺、もう生粋のというか、三谷幸喜ファンだから。『鎌倉殿』も全話見ているし。ラジオでも言ってるぐらいだから。そんなのもう、全然大丈夫。10分ぐらいの紹介なら」と思って。この時点で俺がイメージしたのは昼か深夜か、元々やっていた10時台の10分ぐらいの番宣番組で。『鎌倉殿』ファンが集まって魅力を語る。そこに俺は出るか、アンケートで出るか……ぐらいのつもりでいたの。

で、「メールで詳細を送ります」って言われていたんだけど俺、その自分の事務所のメアドを送るのを忘れてて。ただの電話だったから。それで「ああ、ヤバい、ヤバい」って思ってショートメールで送ったのがその日の夜かなんかで。そこから2日ぐらい、気づかなかったのよ。メールが来てたことに。で、Gmailっとかてさ、迷惑メールフィルターがすごくない?

その、知らないメールが結構、迷惑メールに入ってることってあるじゃん? だから定期的に見なきゃいけないんだけど。そしたらやっぱり案の定、そのNHKの方のメールも迷惑メールに入ってて。俺、2日ぐらい見逃していて。すぐ送ってくれていたんだけど。それでそのメールを開けたの。開けたら、こう書いてあったの。「先ほどはお電話での対応、ありがとうございました。個人事務所なのでそうかなとは思ったんですけど、いきなり佐久間さんが出たからちょっとテンパっちゃって、ちゃんと説明できませんでした」みたいな。

これ、よくあるんだけど。俺も自分で出ちゃうから。「マネージャーがいる」って勘違いしていた人はびっくりするの。で、それがあって。「企画概要を添付にしてお送りしたんで、お目通しください」って書いてあって。それで添付ファイル開いたの。そしたら概要に「『鎌倉殿の13人』大感謝祭トークスペシャル(仮)と題して、出演者と共にこれまでのドラマを振り返るトーク番組を制作し、番組ファンと盛り上がります。スタジオトークゲスト:小栗旬、小池栄子、坂口健太郎、佐藤二朗、坂東彌十郎」って書いてあって。1回、閉じて。

「あれ? 俺の想像と、ちょっと違うな? 待て待て待て……」って思って。『大感謝祭トークスペシャル』、これはいいよ。次の行ね。「スタジオトークゲスト」っていうところに小栗旬、小池栄子、坂口健太郎、佐藤二朗、坂東彌十郎って書いてあって。「えっ、タレントは?」って思って(笑)。「ファンのタレントは?」っていう。俺の中のマックスの想定が東野幸治だったのよ(笑)。なんだったら東野幸治さんと俺でしゃべるのかな?って思ったら、いないのよ。「スーパーキャストっていうか、ご本人じゃん!」って思って。

で、VTR出演みたいなのにも「予定:大泉洋、菅田将暉、佐藤浩市」とかって書いてあって。「えっ、待って? フルメンバーじゃん! えっ、ファンは?」と思って(笑)。「ファン大集結スペシャルじゃないの? 俺が聞いたのはファン大集結スペシャルっていうんだけど……ファンは俺だけじゃん!」っていう(笑)。ただ、俺はこの時点ではまだ、スポット参戦だと思ってるんだよ。出演者のトークスペシャルにファン代表の俺がプレゼンしに行くぐらい。「うわっ、プレッシャーだな」ぐらいの感じで。

それでそのまま、最後に「お願い」っていうのが書いてあるわけね。番組概要があって、最後にそのお願いっていうの見たら「佐久間様が『鎌倉殿の13人』をご覧になっているとお聞きしました」。これはその通り。「ですので、司会者をお願いできたらと思います」って書いてあって。「ですので」の使い方が一番間違ってると思うんだけど。「司会者をお願いできたらと考えております」って書いてあって。「えっ、司会者って、MCだよな? マスター・オブ・セレモニー、MCだよな?」って思って。俺、「ほう……」って声に出して言ったからね(笑)。

「ほう……」って、メールを開けたその新橋の喫茶店で(笑)。「つきましては、打ち合わせを」っていうので。そのメールには「打ち合わせをこのぐらいにやりたいです」って書いてあって。その打ち合わせの返事をして。で、打ち合わせは結局、台本できてからっていうことだったから、そのメールをいただいたのは8月の中旬、下旬ぐらいだったけど、打ち合わせが9月の上旬。収録は9月の中旬ですって言われて。そこで1月ぐらいあったから、その現実感がないまま。フワフワしたまま「本当かな?」ぐらいの感じで。そのペラだけだし。なんだったらドッキリかなって思うぐらい感じだから。

なにせ俺、本当に三谷幸喜、好きだから。そう思ってて、現実味もないまま打ち合わせの日取りでいろいろ聞こうかなと思ってたら、打ち合わせの前日ぐらい。その収録まで1週間とか10日ぐらいの時にまたNHKのプロデューサーの方からメールが来て。それをテレ東の控え室、収録の前室で開いたら、「緊急のお願い」って来て。

「今回の特番で佐久間さんにご出演していただけることを三谷幸喜さんに伝えたところ、三谷さんが『対談したい』とおっしゃっています。急で申し訳ありませんが、今週の土日あたり、どこか空いてる時間で三谷さんと合わせて、三谷さんと佐久間さんによる三谷さんの創作術について聞き出す対談を収録し、それをスタジオのVTRにして出演者の皆さんで見たいです」って書いてあったの。

「えっ、これ、林修じゃん?」と思って(笑)。林先生が『初耳学』でやってることじゃん? 対談した上で、その自分のVTRを見るっていうあの意味がわかんないシステムね(笑)。自分の対談のVTRを見るシステム。「えっ、それをやるの? しかも三谷幸喜と!?」って思って。もう、度肝を抜かれて。これね、「三谷さんが『対談したい』って言ってる」っていうのも大事件なんだけど。俺ね、三谷幸喜さんって、俺が上京した理由なのよ。中学で『やっぱり猫が好き』っていうコメディを見て衝撃を受けて。

その後、『子供、ほしいね』っていうのを見て、めちゃくちゃ面白くて。そこから追いかけるようになって……まあ結構、そういう人は多いと思うけど。高校の頃は「東京サンシャインボーイズっていう劇団がえらく面白いらしい」って聞いてて。で、友達の友達からそのVHSテープをもらって見たことがあったけど、めっちゃくちゃ面白かったのよ。『ショウ・マスト・ゴー・オン 幕を降ろすな』かな?

それで「見たい!」って思ったけど、見れないわけ。東京にあるから。で、俺は筑波とか国立の、東京じゃない大学を受けようと思ったんだけど、それが我慢できなくて。親に頭を下げて「東京の私立に行かせてくれ」って言って上京してきたの。だから上京の理由が「三谷さんの芝居を見たい」っていうことだったから。結局、サンシャインボーイズには間に合わなかったけど、三谷さんがまた今後も作るだろうからと思って。それでサンシャインボーイズの後の芝居はほぼ、見ているのよ。学生時代から。

三谷幸喜作品を見るために上京

(佐久間宣行)っていう、その進学の理由みたいな人に創作術を聞くっていう。で、「マジかよ?」って思ってその翌日、NHKのスタッフとリモートで打ち合わせして。「大変なことになりましたね」ってNHKの人が言っていて。「三谷さんから言い出してるから、我々もあれですけども。でですね、ここは佐久間さん、三谷さんファンって聞いたんで。質問も任せます」って言われて(笑)。「『鎌倉殿』を見て、聞きたいことを三谷さんに聞いてください!」と言われて。で、ここはお互い、駆け引きなのよ。「そこはもう、そっちではないんですか?」っつって。「任せます」って言われたから。

「いや、我々も聞いてほしいことは1個ぐらいは用意しますけど、基本は任せます」って言われて。「演出、そっちですよね? 俺、演出家じゃないですよね?」っていう(笑)。「うーん……」と思ったんだけど。「我々、バラエティは門外漢ですから」って言われて。結構、ドラマのプロデューサーの皆さんなのよ。それで、トークスペシャル。で、「わかりました」って言って。その時にちゃんと確認したんだけど。俺、22時の番組だと思ってたんだけど……日曜8時だったんだよ。『鎌倉殿』の週を1週、休んで。そこでやる日曜8時のゴールデンバラエティだったの。俺、その時まで別枠でやるんだと誤解してて。

だからこれ、大河ファンが全員、見るのよ。だからこの番組って来週、放送なんだけども。『鎌倉殿』の今週放送分までの前半戦から中盤戦、めちゃくちゃ盛り上がって。Twitter世界トレンド1位とかになるやつを1週、休止して。それで俺がMCのバラエティをやるんだぜ?(笑)。その現実を知って、震えたわけ。「怖っ!」って思ったのと、あとさ、日本で一番見られてるドラマのひとつなわけじゃん? もう、大河って。だから1個でも事実を間違えたりしたり、あと、その三谷さんとの対談で大したことを聞けなかったら……もう俺の勝手なね、昔の自分に申し訳が立たないのもひとつあるけど。何より、何千万にいる大河ファンから焼き討ちにあうんじゃないか?っていうこの怖さ。

「ドラマ休んで知らないおじさんが何やってんだよ!」ってなるじゃん? これは。だってさ、大河を見てる人たちの中で今発表したメインキャストは全員、知ってるわけじゃん? 俺だけだよ? 知らない人は。で、その知らないおじさんがMCやるっていうイカれた采配を……「あれ? こいつ、何役だったっけ?」って(笑)。「ちょっと待って? うーん。坂東彌十郎さんは時政。小栗さんは義時。ええと……えっ、お前、何役? 13人に、いた?」っていう(笑)。そういう人だから。これ、大変なことなのよ。

しかも、当日流れるVTRもやるんだっていうことで。それでそこから三谷さんと対談まで1週間もないわけ。で、質問を考えるにしても、事実誤認があっちゃいけないから。だからドラマを見返すしかないじゃん? 「見返す」ってなると、その時点で32話ぐらいあるのよ(笑)。「1週間で32話!?」と思って。1日に4時間ぐらいずつ行かないと間に合わないんだけど。でも、仕事的にどうしても無理だったから。「スタジオ収録までには全部、見返そう」と思って。まず三谷さんと話したい印象的な回のことだけを書き出して。そこだけ、10話ぐらい見返して、質問案を作って。それで当日。日曜日だったんだけど。夕方、NHKに行って。

で、もうガッチガチのままメイクとかだけして。「三谷さん、入られました。挨拶、されますか?」って言われたので「どっちかな?」って思ったんだけども。「とりあえず、軽くだけ挨拶をしよう」って思って。「三谷さん、佐久間と申します。はじめまして。よろしくお願いします」っつって。で、応接室で待ちながら「うわっ、本当に人生でこんなこと、あるんだな。高校の頃から憧れていた人と、その代表作について対談をすることなんか、あるんだな。30分っていう時間、大事に使おう」と思って。

そしたら、三谷さんが入ってこられて。「はじめまして」って言われて。俺も「はじめまして。ててて、テレビプロデューサーの……」って(笑)。「佐久間」もちゃんと言えなくて。全部噛んだっていう(笑)。で、「緊張してますか?」って言われたから、そこは緊張してるから、それを正直に言うしかないと思って。三谷さんをどれだけ好きだったかっていう話をまずはして。そこはたぶん、放送されないと思うが。それを話したらちょっと楽になって。

そしたら三谷さんが逆に「佐久間さんのYouTube見てますよ」「本当ですか?」「カカロニ栗谷さんが佐久間さんに乗り移るやつ。あれ、すごい好きなんです」って言ってくれたから「マジかよ!」って思って。まあ、これはもしかしたら俺と対談するから見てくれたのかもしんないけども。それでも嬉しいなと思って。やっと、そこでちょっと緊張が解けながら、話したの。「『鎌倉殿』の何を自分は素晴らしいと思うか」っていうことと、聞きたかったことね。その創作術。「ここの部分はどうやって組み立てたんですか?」とかっていうの全部、聞いたんだけど。

三谷幸喜インタビュー

(佐久間宣行)今となってはね、あっという間に過ぎていって。もう全く覚えてない。1時間、しゃべらせてくれたの。30分のはずが。で、1個覚えてるのは、結構早々に今回の『鎌倉殿』を褒めようと思って。「とにかく素晴らしいです。三谷さん、大河を3作、やれてますけど。その中でも一番ぐらいです」って言ったら「一番と言われると『真田丸』とか『新撰組!』がかわいそうだから。一番とは言ってほしくない」って言われて。「ヤベえ!」って思って(笑)。速攻で地雷踏んだっていうことと……(笑)。まあ、半分は冗談だったけど。

っていうのと、三谷さんに「後半戦の見どころは?」って聞いたら、「いや、見どころですね……」って。三谷さんってさ、すげえ真面目な感じでボケるじゃん? 「見どころはですね、みんな今回、コロナとかになったりして。急に誰々が休みますとかなったりするんだけども。そういうのを即座に聞いて、すぐ本を書き直して。コロナの人はいなくても大丈夫なように自然に組み立てて。そうやってやってきた僕のパズルのようなね、その危機管理の方を見てほしい」って言われて。「いや、これはどっちだ? そうだな……」って思って。「いや、そういうことじゃないんですよ」って突っ込んだの。

そしたら……勇気がいるよね。これ、突っ込んで怒られる可能性もあるから。「いや、そういうことじゃないんですよ」って言ったら三谷さんが「突っ込んでくれた」っていう風に笑顔になってくれたらホッとして。そこから「本当の見どころ話してください」っつったら、これは放送を見てほしいんだけど。めちゃくちゃいいことを言ったんだよ(笑)。会場にいる人たち、周りのスタッフがしびれるぐらいのいいことを言ってくれて。それが撮れたからよかった!っていうようなことを言ってくれたから。「ああ、この対談、やってよかったな」っていうので終わって。

それでNHKのプロデューサーの皆さんと「いや、すごい。しびれる言葉、聞けましたね。よかったです。三谷さん、すごいっすね」とかって言っていたんだけども。よく考えたら、これは前座なのよ。本番じゃないわけ。俺はこれから、そのVTRを見つつ林修をやらなきゃいけないから(笑)。「マジかよ! これ、本番じゃねえのか……」って思って。
で、その数日後が収録なのね。3日後かな? で、三谷さんの対談を受けて、スタジオ台本が送られてきたの。で、そのスタジオ台本には、小栗さん、小池さん、坂口健太郎さん、佐藤二朗さん、坂東彌十郎さんがいらっしゃるっていう。俺は誰も会ったことないの。

よく考えたら、そんなMCいる? 出演者と誰も会ったことがないMCなんか、いるか?っていうのが1個と、あとはその台本にとにかく細かくドラマの内容を知らないといけない質問が俺発信であるのよ。だから、やっぱり全部の回を見直してないとできないMCなのね。俺、見てるけど、その細かいところ……「北条ファミリーの好きなシーンを三つ、出演者と話す」とか。

どれも全部知っていないといけないじゃん? そんな台本だったのよ。後は「大泉洋さんの頼朝のこのシーンが……」とか、細かかったから。「うわっ、これ、やっぱりどう考えても全部把握しなきゃいけないな。でもこれ、3日前に読む台本じゃねえな……」とか思いながら。

「これは見返して、全部メモを取らないとダメだ」と思って。それでその週はオールナイトニッポン0がアーティストウィークで休みだったんだよ。ありがたい話というか、巡り合わせというか。だからそこから「もう、見るしかねえ」と思って、見返したよ。30話。だって、しょうがないじゃん? 30話……まあ、ちょっと飛ばしたところはあるけど、基本的には見返して、それが見終わったんだけど。その時、気づいたことがあって。収録は9月の中旬なのね。でも、放送は10月の上旬なんだよ。「放送してない回も見てください」って言われたの。

要は、今週までの分ね。視聴者は、それを見てからこの特番にたどり着くわけじゃん? で、そっちの方が大事なのよ。どっちかっていうと。で、それが5話分、送られてきて。それを前日に結局、徹夜して5話分見て(笑)。最後の1話はオフラインで見たからね。出来上がってないから。脚本とオフラインで見て。「なるほど、こうなるのか!」って。今週のオンエアー分ね。で、フラフラで全部メモを取って、当日スタジオ入りしたの。

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