東野幸治 NHKスペシャル「玉鋼に挑む 日本刀を生み出す奇跡の鉄」を語る

東野幸治 NHKスペシャル「玉鋼に挑む 日本刀を生み出す奇跡の鉄」を語る 東野幸治のホンモノラジオ

東野幸治さんが2022年9月23日放送のABCラジオ『東野幸治のホンモノラジオ』の中でNHKスペシャル「玉鋼(たまはがね)に挑む 日本刀を生み出す奇跡の鉄」を紹介。2022年ドキュメンタリー作品ナンバーワンと話していました。

(東野幸治)今日のゲストは麒麟の田村さんですが、来ていただく前に、なんと今年、私の中でドキュメンタリー作品ナンバーワンを発見しました! 東野幸治のホンモノラジオ! どうも、こんばんは。東野幸治でございます。1時間、お付き合いお願いします。あつむさん、いやー、もう何かわかるでしょう? ドキュメンタリー作品。

(渡辺あつむ)ええっ?

(東野幸治)全然わからないですか? 今年一番が出たんです。レコードが出まして。めちゃくちゃ面白いのに出会いました。9月頭、NHKスペシャル。せーの! 「玉鋼(たまはがね)に挑む」。あ、全然あかん。あかんわー。チェックしてないですね? 「玉鋼に挑む」。ピンと来ないですか? 情けないです! 悔しいです! つらいです! 出ていってくれ!

(渡辺あつむ)フハハハハハハハハッ!

(東野幸治)つらい! もう過度の興奮が抑えきれないんですよ。なぜ今日、麒麟の田村くんが来てるんだ?っていう気持ち。この玉鋼の話をしゃべりたいのに!っていう。玉鋼って意味、わかんないでしょう? 日本刀ってあるじゃないですか。で、日本刀の鉄っていうのは言うたらもう強靭で、柔らかくって、普通の鉄とは全く違う。で、今なんか、すごいアメリカとか海外で日本刀ブームやし。『鬼滅の刃』とかでもブームなんですけど。

そもそも、だから俺も昔、『ウンナンのホントコ!』っていう番組で言うたら日本刀を刀鍛冶の人と一緒に……あれ、素人は作れないから。ちゃんと国から免許もらっている人だけが作れるんですよ。カンコンカンコンカンコンって。それで一緒に共同で作ったことがあるんです。だから5時間、6時間ぐらいやって。で、それの素になる鉄っていうのを「玉鋼」って言うんですよ。それに挑むというのはどういうことか?っていいますと、古代から……だから要は弥生時代とか、藤原時代から朝鮮半島から鉄の作り方が伝わってきて。で、当時やったいろんなところで……まあまあ3ヶ所ぐらいで作られていて。

ほんでなんとなく、大正時代までなんか、あれは一子相伝みたいなやつで。『もののけ姫』ってあったじゃないですか。宮崎駿さんの。タタラ場とか、あったじゃないですか。なんか足で踏んで……あれを「たたら」って言うんですよね。で、なんかたたら製作所みたいな……戦後、だから武器とか全部没収されて、作れなくなって伝統が消えていくところをみんなが集まってもう1回、その伝統を復活させよう。日本刀を作ろうっていうひとつが、その島根県の奥出雲っていうところなんです。

そこで、言うたら大昔から作られる方法で、その玉鋼を作ってるっていうドキュメンタリーがやってたんです。で、それがすごく気になっていたけど、なかなか見れなくて。で、見た方がいらっしゃって話を聞いたらそれがもう、めちゃくちゃ面白いということで。ちょっとNHKオンデマンドでバックナンバーじゃないけど。さかのぼって、この間見たんですけど。いや、本当にもう今、大至急で。わからんけどこの『ホンモノラジオ』で日本刀、作られへんかな?っていう気持ちですよ(笑)。ぐらい、面白くて。

だから今……結局、4日間、12人の職人で作るんですよ。その奥出雲のところで。で、それを作る前にまず、お風呂の浴槽があるじゃないですか。あれのでっかい版をね、まず2日、3日かけて。その全員でね、あの草津温泉でおばちゃんがお湯をかき混ぜんるの、あるじゃないですか。あんな感じの棒きれみたいなのでパンパンパンパンしながら、土。粘土でまず、そのでっかい浴槽みたいなのを作るんですよ。

(渡辺あつむ)作るんですか?

(東野幸治)まず、そこから始まるのよ。で、それを作った後、棟梁っていうのが「村下(むらげ)」っていう……業界用語、言いたいじゃないですか。村下(笑)。めちゃめちゃ業界用語、言いたいでしょう?(笑)。

(渡辺あつむ)覚えたら、すぐ(笑)。

使いたくなる業界用語「村下」い

(東野幸治)すぐに(笑)。「ああ、村下」って。「棟梁」とは言わないんですよ。で、その村下のもので……だから一時、作れるのは日本に2人ぐらいしかいなかったんすけど。その1人の高齢の村下の人がいてて。その人の指揮のもとで、なんで島根県かというと、砂鉄が取れるんですよ。川とかから。で、木炭で火を燃やして、そこに砂鉄を入れるんですよ。ほんで、4日間、昼夜問わずひたすら燃やすんですよ。で、それをひたすら追っかけているドキュメンタリーなんですけど。

それで、どう言ったらいいのかな? その風呂の浴槽もでかいんですよ。そこに言うたら、木炭を入れて燃やして。ほんで砂鉄を入れるんすけど。ただ、でかいから。だから相撲でいう東西みたいなもんで、表と裏がいてるんですよ。だから表のトップの人、裏のトップの人。それから表の2番手、裏の2番手。ほんで村下がいてるっていう布陣でやるんですよ。

ほんで、半分からこっちは俺のもんやし、半分から向こうそっちのもんみたいな。それを統括する感じで始まるんですよ。だから我々素人が見ててもわからんけど、いろんなアクシデントがあるんですよ。だから、炎の色が違うとか。空気の通りが悪いとか。で、最初にやってた時はスコップで砂鉄を……決まってるんですよ。グラム、だいたいなんぼ入れるかっていうのが。で、その場所もだいたい、その炎の感じとか。それが表の人が「じゃあ、あのへんに入れたい」とか。裏の人もそっち側はそっち側で入れたりするんですけど。やっぱり3日3晩やから、交代するけども、だんだん疲れてきてて。

表も裏も両方、最後の方はもうはかりで測りながら作っていくんですよ。で、その中で言うたらアクシデントがあったりとか、炎の様子がおかしいとか。そういうのがありながらも4日間、ひたすらずっと……でも全員がもう顔、ヤケドしてるんですよ。手とかも。ヤケドしながら4日間やっていく。ほんで、それがずーっと……なんか経験とか肌感覚でしかわからないから、説明のしようのないもので。4日目の朝、終わったらその浴槽を潰すんですよ。そのためだけに作ってるから、その浴槽を潰したら、でっかい「鉧(けら)」っていう……わからへんかな? 鉧って言っても。ごめんごめん。ごめんね?(笑)。

(渡辺あつむ)邪魔くさいわー!(笑)。

(東野幸治)見てなかったら、ごめん(笑)。

(渡辺あつむ)鉧、じゃまくさいわー!(笑)。

(東野幸治)鉧っていうのがドンとできるんですよ。で、鉧をちょっと冷やして……まあ、鉧を見て村下の人が「ああ、今回は出来がどうやな」とか「ああやな」って。

(渡辺あつむ)村下ってなんでしたっけ? えらい人?

(東野幸治)えらい人。棟梁ね。ほんで、表と裏。で、途中でね、村下の人にちょっと反抗する表の人とか(笑)。だから、あるのよ。「村下さんがおっしゃってましたよ。ちょっと今回、出来が悪いんと違うかって」「ああ、そうですか? そんなことないですよ」みたいな。「俺たちにももっと責任を持ってやらせてくださいよ」みたいに言うたりとかっていうドキュメンタリーがあって。もうみんな、顔とか腕とかヤケドになりながら、そのでない鉧ができて。その鉧をドン!って割ったら、言うたら日本刀の材料の玉鋼が出てくるのよ。で、前回失敗したっていうのがあって。コロナ禍で回数も減ってきたから、すごい大事なプレッシャーの中で見事、玉鋼ができて。

その玉鋼を最終的には分け分けして、日本中にいてる刀職人の元に送られて、日本刀が作られるっていう。そういう「玉鋼に挑む」っていうドキュメンタリーなんですよ。ほんでそれが「ああ、めちゃくちゃおもろいな!」って思って。言うたら、もう感覚だけで、その伝統みたいなんで覚えていく技。で、たぶん俺の想像ですけど。ネタバレになるけど。ディレクターの性格が悪いのか、一番最後のオチがあるんですけど。

言うたら、たたら。ミニたたらいうて、若い人にこういう伝統みたいなを伝えていかないけないっていうんで。村下の人、おじいちゃんがね、ミニたたらを作って。で、子供たちとかに体験たたらみたいなんで。言うたら、木炭も少なめで。ほんで砂鉄も少なめで、火を燃やして。暑い中、ちっちゃいスコップで鉧を作る作業をする。空気入れたりとかして。ほんなら、そのおじいちゃんがある子供がやった時にね、軍手をしてるんですよ。

で、「熱いから軍手、必要やけども。本当に玉鋼を作ろうとしたら、軍手とかしてたらもう感覚がわからへんから、そういうのは外しなさい」って言ったら、その子供が断って終わっていくっていう。

(渡辺あつむ)フハハハハハハハハッ! 終わる?

(東野幸治)「嘘やん? えっ、あの子、軍手はずせへんやん?」で終わっていくのよ(笑)。「悪いディレクターやな。そこ、使う? えっ、それを使うって……嘘?」って思って(笑)。いや、子供は悪うないんですよ。「玉鋼に挑む」は見てないから。知らんねんもん。もう火傷だらけのおっさんたちの顔、じいちゃんたちの顔、知らんけど。眼鏡のね、わかりやすい進学塾に通ってるような細い子は、最後まで熱いから軍手を外さずに砂鉄を入れてました(笑)。で、終わっていくんですよ。「玉那に挑む」(笑)。

(渡辺あつむ)いやいや(笑)。終わるな、待て待て(笑)。

(東野幸治)いや、マジで。あつむくん、探して! 俺、『旅猿』で前に島根県、行ったんですよね。行った時に、これを見た後にちょっと後悔して。「俺、ちょっとちょけてたな」って思って(笑)。もっと神経に……たたらも踏んでるんですよ。博物館に行ったら、踏めるんですよ。で、風が通るんですよ。で、そこの風のところに顔をつけるっていう、なんかちょけてました(笑)。あんなん、悪いことしたら、それを村外のおっさんが見てたら嫌な気持ちになったんやろうなとか思いながら。聞いてる方も探していただいて。「玉鋼に挑む」、ぜひこれを見てほしいと思います。今年ナンバー1、これはもう確定ですね。

(渡辺あつむ)あの、最後まではちょっと、やっぱりドキドキ。感動。心が揺さぶられるわけですよね?

一子相伝物に弱い

(東野幸治)というか、一子相伝とか……俺、『北斗の拳』が好きやから。一子相伝とか、脈々と代々伝わるのに俺、ものすごい弱いんですよ。だから、なんやったら本当にこの世界で、たとえばわからんけど。生放送中に急にね、女の子のおっぱいをもみしだいて問題になって、この世界を追放されたらそこで働きたいなって。もうやることなかったら、ペーペーから玉鋼、作っておきたいなって思うぐらいの(笑)。

(渡辺あつむ)柔らかいものから硬いものへ(笑)。

(東野幸治)「すいません。柔らかいものを触ってクビになりまして。今日からよろしくお願いします。玉鋼、作らせてください。お兄さん、お願いします」っていうぐらい、なんかかっこいい仕事やなってこう思って。そういうの、知らんかったから。で、そんなん絶対、西洋の人とか作れないんですって。日本独自の鉄の強靭さと、しなやかさとっていう。それは、そういう風な作り方をしてるからっていうところで、ちょっと勉強になったんで。

(渡辺あつむ)ちょっともう、オチがわかってるんで。ニヤニヤしてしまうなって(笑)。

(東野幸治)あの、もうミニたたらになったら、止めてください! 最後にミニたたらで子供たちがやるところは止めてください。だから、どんな風に作っているのか。4日間、ずっとやってるっていう。で、ああいう風に日本刀ができてるっていうのはちょっとわかっていただいたらありがたいんですけれども。よろしくお願いします。

エラー - NHK

<書き起こしおわり>

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