ピエール瀧と高木完 サンプリングの衝撃を語る

ピエール瀧 高木完の「違う学校の先輩」感を語る TOKYO M.A.A.D SPIN

ピエール瀧さんと高木完さんが2022年9月13日放送のJ-WAVE『TOKYO M.A.A.D SPIN』の中でサンプリングについてトーク。楽器はあまり得意でなくても、サンプラーでサンプリングをすることによって曲作りが可能になったことを話していました。

(高木完)だからたぶんその宝島でイベントやった時って、電気もすごいラップをやってたもんね。

(ピエール瀧)電気グルーヴの最初期といういうか、その頃はそういうラップの曲もあったんですけど。でも言っても、その作り方もまだよくわからない頃ですから。韻を踏むっていうところのことだったりとか。そういうようなところの、なんですかね?

(高木完)原理主義的なラップの……。

(ピエール瀧)っていうものとかもよく知らなかった頃なんで。一応、「こんな感じじゃね?」っていうので、模倣してるつもりなんだけど、全然違うみたいな感じのやつで。

(高木完)でもほら、あの頃ってブレイクビーツっぽかったじゃん? 電気も。ちょっとテンポ早めのブレイクビーツっぽいやつでラップをするみたいな感じで。で、あれはなんだっけ? ハッピー・マンデーズとかもそういう感じ、あったもんね。ブレイクビーツをサンプリングして。

(ピエール瀧)あの頃のブレイクビーツをサンプリングして繰り返すと「いただき!」っていう感じのって、あれはもうサンプラーの出現によってできるんですけど。あれはちょっと「もらった」感がありましたよね。

(高木完)あと、まだそんなにみんながやってなかったから。

(ピエール瀧)それもあるし。もうこれでなんか、いいとこだけを切り取って、そのいいとこを繰り返せばそれだけで超かっこいいっていうやつとか。あとはオーケストラヒットとかね、出始めの頃で「ジャンッ!ってやると「おっ、オーケストラだ!」っていうのとか。

(高木完)まあ一瞬、スクラッチで「キュッ」ってやるだけで「おおーっ!」ってなるっていう。「始まるんだ!」みたいな(笑)。

(ピエール瀧)だからサンプリング……要はサンプラーの出現ですよね。だからね。もう音を作らなくても、あるところから……。

(高木完)ちゃんと曲を作らなくても……っていう。

(ピエール瀧)そうそうそうそう。

(中略)

(高木完)瀧って楽器とか、やってた? 練習してた?

(ピエール瀧)僕、楽器全然できないです。ギターも何にもできないです。

(高木完)僕もちょこっとしかやってないから、上手くもないし。フォークギターに毛が生えたっつった、毛に失礼なぐらい、ちょっとしかやったことないから。キュイーン♪とかも弾いたことないし。だからその程度だったから、バンドやっていてもみんなが「そこのコード、こうだよ」とか言っていても「うん? もう既にちょっとわからないぞ?」っていうことがよくあったんだけど。だからヒップホップとか、そういうあれでサンプリングとか、DJ……レコードをネタに使うっていうところからだもん。すごく自分が曲作りにハマるっていうか。

楽器ができなくてもサンプリングで曲作りできる

(ピエール瀧)アイディアがそのまま反映できるようになるんですよね。練習もいないし、テクニックもいらないしっていう。だから、人が作ったプラモも分解して、羽だけもらって俺のやつ、車とかに付けて……みたいなやつで。で、色は他のところから適当な色で塗ってみるみたいな、そういうようなのができるようになったんで。だから、突拍子もないものだったりとか、変な奇天烈なものがいっぱいできやすくなったんですよね。

(高木完)だから、今のたとえで言えば、「えっ、うちは作りかけのプラモ、いっぱいあるよ? じゃあ、これでいっぱい作れるじゃん!」ってなって。「いっぱい持っているから……やった! 引っ張り出してこよう」みたいな。

(ピエール瀧)でもそれを今、アーカイブしてるんですもんね?

(高木完)アーカイブっていうわけじゃないけども。発想的にはスチャダラたちがデビューする時だって、「普通のヒップホップのネタよりも、これを使った方が面白いよ!」みたいなのでやっていたけど。

(ピエール瀧)だから「どこから引っ張ってくるか?」っていうところがもう、センスっていうのもあったし。そういうので、なんですかね? 楽器を持って集まらなくても、バンドというか、人前に出るやり方ができたんですよね。

(高木完)だからそれが85とか6とか……85の時にヤンさんに招集させてもらって。呼ばれた頃はまだバンドスタイルでやったもん。普通に鈴木賢司がギター弾いたりとかで、バンドスタイルだったけど。その後からだもんね。もうちょっとしたら、もうレコードだけでやるみたいな。「レコードだけ」っていうか、ネタがあってその上でやるみたいな。

(ピエール瀧)そう。だからそこを、ネタを切り取ってサンプラーで組み立ててやるっていうスタイルと……そっちはたとえばダンスミュージックだったりとか、そういうのですけど。それと、レコードでうまいことやるっていうのの方がヒップホップな感じっていうのもありましたよね。

(高木完)ヒップホップを最初に知った時に俺が「いいな!」と思ったのは、なんかドキュメンタリーを見てたらヒップホップDJたち……その時はヒップホップっていう言葉があった時代かどうか、知らないけど。そのDJたちが「たった数小節のためだけにレコードを買うんだ」とか言ってて。「へー! そんなの、いい話じゃん」とか思って。そういう話とかは聞いてたから。俺、ニューヨークから来たDJが同じところを延々繰り返してかけてるのを見た時、「うん? 意味がわかんない」って思って。

(ピエール瀧)「あのシール、なんだろう? あの黄色いシール、なんだろう?」みたいな。盤面のところにバシンと貼ったりしていたじゃないですか。「ここからここをやる」みたいな感じのやつとか。「あれ、なんだろう?」みたいな。

(高木完)『Billie Jean』をずっとかけてて。「なんでイントロしかやらないんだろう?」って思って。

(ピエール瀧)で、それをサンプリングしちゃって、繰り返してトラックにしちゃえばいいんですけど。その再生してるっていうものもプレイのうちっていうか。ショーのうちっていうのはヒップホップのDJとか、あのへんのスクラッチも含めてっていうので。見せる形でしたよね。やっぱりね。

(高木完)でもアシッドハウスとか、デトロイト・テクノが出てきた時も、もうその時はDJとかいっぱいやっていたから。普通にその延長で面白がって僕もかけていたもん。「ヒップホップ」って言われがちだけど、別にヒップホップだけじゃなかったから。なんでもかけるっていう。それで結構かけてたから。だから電気とかが出てきた時も、全然それは自然な流れで聞こえていたけど、隣の学校。学校が違うっていう(笑)。

(ピエール瀧)こっちは野良犬学園で(笑)。

(高木完)野良犬学園ね(笑)。もう全然、映画の話とかしてないですけど(笑)。

(ピエール瀧)やっぱりでも、宝島高校は制服もしっかりてましたもん。みんな、おしゃれだし。

(高木完)ああ、そんな感じしてた?

宝島高校は制服がしっかりしていた

(ピエール瀧)そうですよ、本当に。パリッとしたやつ着ていましたよ。なんか、完ちゃんもボーリングシャツを着てパリッみたいな。

(高木完)ボーリングシャツ、着てたかな?(笑)。

(ピエール瀧)イメージですけど(笑)。

(高木完)ああ、わかりました(笑)。

<書き起こしおわり>

ピエール瀧 高木完の「違う学校の先輩」感を語る
ピエール瀧さんが2022年9月13日放送のJ-WAVE『TOKYO M.A.A.D SPIN』に出演。共通の知り合いは多いものの実はちゃんと話をするのが初めてだという高木完さんについて「違う学校の先輩な感じ」と表現していました。
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