星野源さんが2022年9月6日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で新型コロナウイルス感染後、Instagramから距離を置いて更新をしなくなったことを話していました。
(星野源)今日はちょっと一通、メールを読みたいと思います。埼玉県の方。「ニセさん、こんばんは」。あ、ちょっと僕、ニセさんじゃないんですけども。こちら、読ませていただきます。「最近、自分の時間が作れるようになったのでデジタルデトックスとまではいきませんが、今まで当たり前のようにしていたTwitterとInstagramのアプリを思い切って消して過ごしてみました。テレビを消して窓を開けると、波打つカーテンの向こう側から鳥の鳴き声や風の音が聞こえてきて、意識をしていなかったけど、世の中には自然な音がたくさんあるのだと感じました。
自分としては、程よい距離でSNSと共存する生活ができればいいのですが、極端に偏ってしまって、やはり難しくてなかなかできません。ニセさんはネットやSNSとの付き合い方で自分の中で決めていることはありますか?」という。ありがとうございます。これ、この番組が始まる前に、15分前ぐらいですね。12時45分ぐらいからですね、YouTubeのライブ配信でですね、『ニセ明のオールナイトニッポン』っていうのをやってるんすけど。それで相談メールをいつも募集してて。で、その相談が来たんですけど、ニセさんはね、SNSやってないんですよ。なので、ちょっとこれは答えられないということで。僕がちょっと今、読ませてもらったんですけど。
これね、すごい気持ちがわかるんすよね。なんでかっていうと今、僕は……あれは何年前から始めたんだろう? 俺は2019年かな? 2019年にInstagramを始めまして。その前に、公式でTwitterはあったんですけども、あれは僕ではなくて、スタッフさん。マネージャーさんがですね、いつも更新してくれてるんですよ。なので自分で始めたのはInstagramが最初で。最初、いろいろもう楽しくって。写真も全部、フィルムで上げようと思って。全部フィルム写真をどんどん上げて。
で、もちろん宣伝をやるのも好きなんすよね。宣伝文言を考えるの好きだし。それこそ、ストーリーズとかで動画だったり写真のね、文字をデザインしたりとかできるので。レイアウトもして……とか、そういうのもすごい楽しくて。もう夢中でやっていてですね。で、いろいろ長く続けて。投稿も割と多めな方だったと思うんですけどもね。なんかね、だんだんね、ちょっとしんどくなってきたんですよ。で、やっぱりSNSって、なんて言えばいいんですかね? 流行もあるし。どんどん形が変わってくるじゃないですか。
で、最近はなんかいろんな他のSNSとか、いろんなサービスの影響もあって。割と写真というよりかは、動画が超増えてるよね。っていうか、ほぼ動画メディアみたいな感じの印象があるなと思っていて。それはそれで見ていて楽しいは楽しいんですけど。でも、自分がやると思うと、そんなに時間もないし。撮影するのも大変だし……って。いろいろ考えて。で、宣伝とかでも、なんか「やんなきゃいけないし」っていう感じなってきたんですよね。
「宣伝しなきゃいけないから、頑張ろう」みたいな感じでいろいろ続けてたんですけど。なんかね、この間、新型コロナウイルスに感染して、しばらく寝込んでたんですね。10日間。で、その間、やれないし……って思って。それでも一応、開けた時になんか「やらなきゃ」みたいな感じでアプリを開いたんですけど。なんだろう? SNSに限らず、なんかね、根こそぎやる気みたいなものがなくなってたんですよね。で、それはもう、なんかこう、ぽっかり穴が開いてしまったような。
前に放送で、なんかちょっと「何かが折れた」っていうような言い方をしたんですけど。なんかそんな感じもあって。なんかね、細かく言うと「無理していたことをもうやらない」っていう気持ちになっていたっていう感じなんすよね。で、やるのは楽しい部分ももちろんあるんだけど。「何かをしなきゃいけないからやる。でも、その一部には楽しいこともある」っていう感じで。で、その「何かしなきゃいけないからやる。だけれども、よく考えたらこれって別に僕がする必要ないよな?」みたいなことがいっぱいあって。
新型コロナ感染をきっかけに、全然やらなくなった
(星野源)なので、もう全然やってないんですよ。今。その新型コロナをきっかけに、全然やらなくなったんですよね。で、それは前からなんですけど。たとえばTwitterとか、あとはね、ネットニュースみたいなもの……テレビもなんですけど。そういったものは全く見なくなりまして。あと、たとえばLINEもさ、結構強制的にニュースが見れるようになってるのも見れないようにしたりとかして。
だから僕、この方の気持ちが本当にわかるんですよね。それって、やっぱり人間というのはどうしても暇を潰さずにいられないというか、暇に耐えられない。暇っていうのは「時間が超ある」っていうよりかは、その隙間の時間もなかなか耐えられないものだと思うので。やっぱりそういうのを見るのって、すごい自然なことだと思うんですけど。ただ、昔は……自分はそういうものがない世代で生まれていたので。携帯電話もない時代に生まれたんで。
なんかこう、割とぼんやり、何もしないみたいなことをせざるを得ない時間ってのが、ちっちゃい頃は多かったんですけど。で、今たとえばInstagramを見ないとか。別に消してるわけじゃないんですけど、見ないとか。で、Twitterもニュースも見ないっていうのをやった時に、本当にね、この人が言ってるように街の音とかが聞こえてくるんですよね。で、それがとてもほっとするっていうか。
で、前は、たとえば「ちょっと携帯電話をずっと見ちゃってるから、これを離そう」みたいな感じで、携帯電話をクローゼットの奥の方にしまってみたりとか(笑)。そうすると、しばらく忘れるから。なんか、そういう風にしたりとかもしてたんだけど、やっぱりなんだかんだで戻っちゃうんですね。で、仕事しなきゃいけないから。仕事で、たとえば宣伝とかもしなきゃいけないし。だから開かないと……とか、いろいろやっているとすぐに戻っちゃうんで。
でも、今は全然そうじゃなくてですね。なんか、もうなんだろうな? ちょっとこれ、言葉が難しいんだけど。無理やり仕事するのをやめようと思って(笑)。無理に仕事するのをやめよう……まあ、別に無理に仕事してたつもりは全然ないんだけど。やっぱりなんか、やらなきゃいけないことっていうのがとても増えていたんで。なんで今、できるだけやめようと思ってるんですよね。
ただ、僕はこの番組にもメールがきたし。知り合いからもすごい連絡があったんですけど。僕が寝込んだ時ね。僕、割とこの番組で年始とかに「今年は休もうと思います」とか、年末に「来年はいっぱい休みがあるように頑張ろうと思います」みたいなことを言いますけど、結果、めっちゃ忙しいんですよ。いつも。なので、「源さんの『休む』は『休む』ではない。あなたの『休む』は『休む』じゃないから、これを機にマジで休んでくれ」っていう連絡がすごい来て(笑)。「本当にそうだよね」って思いながら。
でも強制的になんにもできなかったんで。しっかり、もちろん休めたんですけど。だからやっぱり、こういう気持ちになったっていう感じはあるけれども。外側から見たら、「いや、すごい仕事してんじゃん」ってたぶん思うと思うのね。また近く、発表があるし(笑)。「おいおい! すごい楽しそうな仕事してんじゃん!」みたいになると思うんだけども。まあ、実際に楽しいからそれはやってるんですけどね。
でもなんか、その中で、たとえばもうTwitterの方でたくさん頑張ってね、マネージャーさんが宣伝してくれてるから……とか。「自分がやらなくていいこと、あるよな」と思って。で、そういう風にして、時間を作ったというか、時間ができたってわけじゃないんだけど。なるべく、「ああ、これはやんなくていいや。これは誰かに任せよう。これはやらなくていいや」ってっていう風になった時に割と時間ができて。
それで、やったことがいくつかあるんですよ。やれたこと。それが、人と話すとかですね(笑)。誰かとご飯に行くとか、ぼんやりするとか。なんか本当にちょっと「お前、当たり前すぎるんだよ」って思われるかもしれないけど。それはなんか、あんまりやってなかったことで。それで1個やったのがこれ、メール来ていたんですけど。兵庫県の方。「クエストラブさんのインスタを拝見しました。『ワン・アンド・オンリー、唯一無二のGen Hoshinoと朝食をとりました]という投稿。源さんとクエストラブさんが握手する動画、ツーショットの写真、最高でした。どんなお話をしたんでしょうか?」という。
クエストラブとの朝食
(星野源)そうですね。お友達のクエストラブというドラマー。もう、レジェンドですね。レジェンドドラマーであり、もう今は映画監督ですけどもね。音楽プロデューサーでもあり、あと料理研究家でもあって。本当に活動が多岐にわたっていて。で、結構前から友達ではあったんですけど。ザ・ルーツという彼が所属してるバンドのですね、日本公演がありまして。それで彼が日本に来てて。その後、結構休暇でしばらく過ごしてたんですよ。そこで「ご飯を一緒に食べよう」ってことになって。それでこの間、朝ご飯を一緒にしたんですよね。
で、すごい楽しくて。いろんな話を聞かせてくれて。でもそれが、もう本当に「初めて聞いた」っていう話もいっぱいで。もしかしたら彼がメディアでしゃべってることもあるかもしれないけど。「ああ、そんなことあったんだ」っていう。クインシー・ジョーンズの話とか。「うわっ、そうなの!」みたいな話とか、いろいろ聞いて。それで1個、すごい嬉しいっていうか、なんか楽しかったことがあって。
「僕の師匠というか、メンターはHaruomi Hosonoなんだよ。イエロー・マジック・オーケストラの」っていう話をした時に、「I Know.(知ってる、知ってる!)」って、YMOの動画とかを見せてくれて。「ああ、やっぱり知っているんだな」って思って。その話をしていたらアミール、クエストラブが「僕にYMOのレコードを教えてくれたのはJ・ディラなんだ」って言ったんですよ。「マジかよ!」と思って。僕、J・ディラのことが大好きで。『おんがくこうろん』で取り上げさせてもらったっていうのもありますし。で、クエストラブのことも大好きだし、超影響受けてるんですけど。
「ああ、ここに繋がるのか!」っていう。「繋がる」っていうか、「J・ディラはどこまでレコードを知ってるんだ?」っていうのもありますけど。もちろんね、アフリカ・バンバータのあれもありますし。もうヒップホップ界でも有名なのはわかるけれども。それを「このレコード、聞きなよ」って言ったのがJ・ディラだったっていう、そのパーン!ってなにかが繋がる感覚みたいなのが嬉しくて嬉しくてしょうがなくて。で、そういう嬉しい瞬間もあったりとか。
あとはすごい話が合ったというか、「マジでそうだよね!」って話になったのが、アミールは「これが人生で4度目のバケーションだ」って言っていて。彼、50歳ぐらいなんですよ。で、めっちゃ働いてて。いろんな仕事してるから、常に超忙しくて。「これで4度目だ」って言っているんです。この日本での滞在のお休みが。まあ、リアル話なのかはちょっとわかんないけど。そんなに忙しくて。「それで今、休んでんだけど、働いてないというか、休んでいることに罪悪感を感じる」って話をしていて。「それ、すっげえわかる!」って話をして。
でも彼はInstagramでもうとんでもない数を投稿してるんですけど(笑)。だからもうそういう星の下っていうか、そういうのがまた好きなんだろうなとは思いつつも。でも「それでもやっぱり休むのって本当に大事だよね」っていう話をして。で、彼は今、他の仕事はしてないけども、Instagramは投稿してるっていう。そんな状態が今、たぶんかなりバケーションだという。で、「今、僕はインスタもやってないんだ」っていう話をして。だから、そういう時間というのは本当に僕も必要だなと思いますし。やっぱりなんかね、情報がどんどん飛び込んでくるじゃない? おすすめもされるし。
その他の投稿をおすすめされて。「フォローしてください」とか「いいねしてください」って、どんどん自分のフォローしてる人以外のこともやっぱりどうしても、おすすめされちゃうんで。それはいい時もあるけど、やっぱりこういう風に空間がほしい時は、どうしてもね。だから、まあニュースもそうなんですけど。「世の中の情報に疎くなろう」ってすごく思ったんですよ。で、疎くなることによって、今のたとえば流行とかっていうのを、まあどうしても感じちゃうんですけどね。
「世の中の情報に疎くなろう」と思った
(星野源)感じちゃうんだけども、情報でじゃなくて、自分の体感でちゃんと感じるというか。情報ではなくて、実感として体の中に取り入れた方がいいなというのはすごく今、思っていることです。なので、なんかね、やっぱり周りのことがわかってない方が面白いものを作れる可能性は高いなとはちょっと思うんですよね。「なんでそんなことになったの?」っていう(笑)。
やっぱり世の中のこと全部知り尽くしているような気持ちで作るよりもですね、なんかとにかく自分の中で発酵して発酵して発酵して、もうなんかよくわかんないことができちゃいました、みたいなものを今、作りたいなっていうのは希望としては思ってますね。
<書き起こしおわり>