星野源さんが2022年5月10日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中でダ・ヴィンチで連載中のエッセイ『いのちの車窓から』の最新回「やり直したいこと」について話していました。
(星野源)さあそして、あとはあれですね。『いのちの車窓から』ですね。僕、ダ・ヴィンチで3ヶ月に1回、連載をやらせてもらってまして。エッセイですね。そのエッセイの中で、ちょっとこのラジオのことについて書いたんです。全部じゃないですよ。その中の一部でこのラジオのことを書いていて。その回のテーマが「やり直せるなら」っていうタイトルなんですけど。人生、いろいろとすぎていく中で「あれをこうやっておけばよかったな」とか、「あの時はすごくいいと思ってやっていたけど、今はこうしておいた方がよかったと思うな」とか。
なんかそういうのって今、どんどんどんどん時代が移り変わっていく中で、なんて言えばいいの? その時代が移り変わっていくからこその、その都度の対応とかじゃなくて。時代が変わっていくってことは人が変わっていってるわけだから。人が変わっていって、時代が変わっていってるので。やっぱり自分が先行で変わっていってるんですよね。なので「時代に合わせて」とかじゃなくて、そもそもその自分自身というものが日々、変化していって。
で、よく言うじゃない? 「10何年で細胞が全部、入れ替わる」みたい。だから本当にそれこそ10何年前の自分ってもう今、いないわけじゃん? でも、なんかそれはずっと何かが継続しているような気がするのはやっぱり記憶があるからで。なんかやっぱりどんどん人って変わる可能性もあるし、変わらない部分も……「変わんねえよな」って諦めちゃう部分も全然あるんですけど。やっぱり変わっていってしまうっていうのかな? 自然と変わっていくような部分ってのがあって。そのことについて書いているエッセイなんです。
言葉よりも文章の方が伝えやすいと思った
(星野源)で、それで『いのちの車窓から』というエッセイでなんでラジオのことを書いたかっていうと、なんかそれをその言葉にしにくかったんですよ。だから文章の方が「うんうん」って考えながら書けるので、ちょっと書きました。なんであの……本当に申し訳ないんだけど、読んでっていう(笑)。最悪(笑)。「おい、パーソナリティー!」っていう(笑)。で、ちょっとこんなことを言うのもなんですけど、立ち読みでもいいんで(笑)。アハハハハハハハハッ! そうそう。だからちょっと、このラジオでも「すごく楽しかったんだけど今思うと、こうしておけばよかったな」とか「こうじゃなかったな」って思うことがいろいろとあるんですよ。
細かく言うといろいろあるけど、その中のひとつのことを書いてて。ちょっと感想のメールが来てますんで、それを読みたいと思います。「今月のダ・ヴィンチ掲載の『いのちの車窓から』、拝読しました。まさか源さんからこのことについて語られるとは……とリスナーである私はハッとしました。ラジオ内での『チェリーネーム、ピーチネーム、ヤリーネーム』について。私も(言わなくなったことについて)薄々不思議に思っていて。でも番組の方針なのかな? 源さんの意向かな? という、なんとなく自分の中で納得していたことが実は源さんが一番引っかかっていたなんて……。
『そんな時代もあったな。あの頃、ラジオ内でのムーブメントになったな。チェリー席、ヤリー席とコールアンドレスポンス、楽しかったな』と振り返って思い出すのも楽しかったりするので、源さん自身が『リスナーに甘えていた』と気に病むことではないのに、本当に誠実な方だとますます信頼が増しました」。ありがとうございます。いえいえ、そんなことございません。本当に。「同時に過去のことを『若気の至り』や『そんなこともあったね』で終わらせず、『ごめんね』を伝えようと思ったりアップデートしようとする姿勢にも心を打たれました。何年か前の放送でリスナーからの『いつも全員に寄り添ってる源さん』というメールに対し『全員には寄り添えないよ』と源さんがおっしゃったのを印象深く覚えています。
おそらく、謙虚な意味で言われたのだと思いますが、その言葉こそが、どこかで疎外感を感じている人に一番寄り添ってもらえた言葉なのではないかと思ったことがありました。源さんのそういう、全員に寄り添いたいけど、自分の力では限界があると感じている部分は、少なくともファンやリスナーには伝わっていると思うので、そんな源さんをこれからも引き続き応援させていただきたいです。そしていつかDJ KOOさんとの共演も楽しみにしています」(笑)。これ、なぜDJ KOOさんが出てくるかは、ぜひエッセイを読んでいただければと思います。ありがとうございます、メール。
そうですね。そうそう。あのね、チェリーネーム、ピーチネーム、ヤリーネームについてっていう。ある時から僕、言わなくなって。でも最初に言ったのは「全員、これちょっと言おうよ」っていう風に僕が提案して、みんなが乗ってきてくれて……みたいなことがあったんですよ。で、すごい楽しい時間を過ごしたんですけど、「これはちょっと違ったんじゃないかな?」と思う部分があって、そのことをちょっと書いたんですけど……それをしゃべりで言葉にすると、すごい難しいんで。もしよければ、すいませんが、エッセイを読んでいただければと思います。
「いつも全員には寄り添えない」
(星野源)そして一言、ちょっと言いたいのは、ごめんね。そして、本当にありがとう。そう。「いつも全員には寄り添えないよ」っていうのは謙虚な意味っていうか、本当にそう思ってます。やっぱり無理だしっていうのと、あと、そんなにいい人じゃないからね。その、なんていうんだろう? 「寄り添いたい」とは基本的には思ってないです(笑)。自分が一番腑に落ちることとか、自分が一番楽だったり、「自分はこう思うんだ」っていうことを基本的にはラジオでも言ってるし、作品にしているので。
なので、それが結果的に寄り添っているような表現になってたら嬉しい。すごく嬉しいんですけど、やっぱりなんていうんだろうな? いい人ではありたいが、「いい人」って思われすぎても大変じゃん? 今の世の中。どっちかっていうと「悪い奴だな」って思ってもらってた方が本当はさ、楽だったりするじゃん? 「こいつ、しょうがねえな」って思ってもらっていた方が本当は楽じゃん? だからなんか、そういう人間でいたいなっていう部分はあるんですけど。
だからって言ったってわけでもないんですけどね。これは本心でそう思ってます。でもなんか、ラジオって、結果的に寄り添うようなメディアでもあると思うので。そんな感じでこれからもよろしくお願いします。はい。
(中略)
(星野源)さあ、メール来ております。「特別、言葉にする必要がなくても、言葉にしてもらえるとやっぱり嬉しいし、気持ちがより伝わりますね。私たちリスナーに対していつも誠実に向き合っていただけて、嬉しいです。ありがとうございます」。ありがとうございます。いや、全然誠実じゃないです、私は。り、リスナーなんて、ぜ、全然……うんちだと思ってて。
(寺坂直毅)おいっ!
(星野源)フハハハハハハハハッ! アハハハハハハハハッ! 寺ちゃんのツッコミ! アハハハハハハハハッ! 「おいっ!」ってすごい……初めて聞いた。おもしろいね、今の声(笑)。アハハハハハハハハッ!
(寺坂直毅)失礼だなと思って。お客様に。
(星野源)り、リスナーなんて、ぜ、全然好きじゃないからね! 「誠実」なんて言われたら、もうやりにくくてしょうがないや! 「しょうがないや!」って……アハハハハハハハハッ! もうね、いつもありがとうございます。今、おもしろかったね(笑)。「おいっ!」っておもしろかったね(笑)。
(寺坂直毅)「なにを言ってるんだ?」って思って(笑)。
(星野源)「こいつ、いきなり何を言っているんだろう?」っていう。そうそう。それぐらいがいいですよ(笑)。
<書き起こしおわり>