渡辺志保さんが2022年3月28日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中で第94回アカデミー賞授賞式で妻を揶揄されたウィル・スミスがクリス・ロックを殴打した事件について話していました。
(DJ YANATAKE)今日はアカデミー賞があったということで。志保さんもそこであった事件について話したかったんだと思いますが。みんなもSNSとかで知っていると思いますけども。第94回アカデミー賞授賞式というものがあったんですが。ウィル・スミスがバチコーン!ってビンタをしている映像、動画がかなりバズっていましたので、そちらの話をしたいと思います。
コメディアンのクリス・ロックが長編ドキュメンタリー賞のプレゼンターだったんですね。そこでウィル・スミスさんとその奥様、ジェイダ・ピンケット・スミスさんが横並びで授賞の様子を見ていたんですけども。クリス・ロック、結構毒舌めなコメディアンとして有名ではあるんですが……僕もそのスピーチ、最初から最後まですべて見れたわけじゃないので。切り抜きみたいなやつでしか見れていないのでその前にどういう話があったのかっていうのはわかってないんで申し訳ないんですけども。
「いい意味で言っているんだよ」みたいなことをフォローはしていましたが、クリス・ロックは……ウィル・スミスの奥さん、ジェイダ・ピンケット・スミスが今、病気で髪の毛が抜けてしまうことに悩まされていてボウズになっているということを発表されていて。そういう、病気の状態だったにもかかわらず、そのジェイダ・ピンケット・スミスに「『G.I.ジェーン』の続編に出るんですか?」みたいなジョークをクリス・ロックは言ったんです。で、『G.I.ジェーン』っていうのは1997年のデミ・ムーア主演の映画で。リドリー・スコットが監督です。
アメリカ海軍の特殊部隊の訓練プログラムを女性のデミ・ムーアが男性の中に混じって訓練を受ける姿を描いていて。そこでデミ・ムーアは男性と同様にボウズ頭にして、訓練生としてやっていくというお話なんですけども。「『G.I.ジェーン』の続編に出るの?」っていうことでクリス・ロックはジェイダ・ピンケット・スミスの髪型を揶揄したんですよね。
(DJ YANATAKE)それに怒ったウィル・スミスが壇上に上がっていって、プレゼンターでありすごく悪趣味なジョークを言ったクリス・ロックを引っ叩いたということで。今、世論もウィル・スミスの行動を……まあ、世界中の注目が集まる中で自分の奥さんを揶揄されたことに腹を立ててそういった行動に出てしまったわけなんですけども。
でも、アカデミー賞側としては「暴力はよくない」っていう声明も出していて。ウィル・スミスもその後、これだけ数多くの大ヒット映画に出ている中で初の大きな賞、アカデミー主演男優賞受賞というところまで行って。そのスピーチの場で謝罪もするんですけども。まあ、これがどっちが正しいのか?っていう論争があって。あ、今、志保さんとつながるかもしれないのでやってみましょう。
(渡辺志保)もしもし?
(DJ YANATAKE)今、僕なりに簡単にウィル・スミスがクリス・ロックにこういうことを言われて、壇上で平手打ちをした、みたいなところまで話したんですけども。この先の展開をお願いします。
(渡辺志保)それで騒然としたという感じになったんですが。私は生でその放送を見ていたわけではなく、後からSNSでそんなことがあったというのを知ったんですけども。その後にウィル・スミスが壇上から自分の席へ……もちろん奥様のジェイダ・ピンケット・スミスの隣の席に戻って。戻るやいなや、「俺の妻の名をお前の口から出すな!」っていうことをウィル・スミスは言って。しかもそこでFワードが流れてしまったんですよね。アメリカの放送ではそのFワードのところはミュートされていたらしいんですが、その他の、たとえば日本であるとか、あとはTwitter上で見るとオーストラリアとかでもFワードがそのまま流れてしまって。それもまた非常に大きな問題になっている。
公の場での暴力
(渡辺志保)それと、当たり前だけどもステージ上で、しかも本当に大きな生放送の場所で平手打ち、暴力を振るってしまったということが非常に今、問題になっていて。その後にLAPD、警察が会場に来たそうなんですが。クリス・ロック、身体的な暴力を振るわれた被害者なんだけども、彼自身は「被害を申し立てない」ということが公にされていまして。それで私はそのニュースで知ったんですよね。それで今、どんどんと大きな問題になっているみたいで。さっき、Twitterを開いたら「#ProtectBlackWomen」っていうハッシュタグがトレンドに上がっていて。これはウィル・スミスが自分の奥様、社会的に弱い立場にある黒人女性を守るがゆえの行動だったということで。なので、ウィル・スミス1人が暴力を振るったということがアメリカにおける黒人女性の社会的地位の問題なんかにも飛び火をしていて。これからちょっとどうなっちゃうのかな?って思っています。
(DJ YANATAKE)そうだね。特にそういうブラックジョークみたいなのを売りにしているコメディアン……俺もさっき話したんだけども。その前の段階のスピーチを見れていないので。そこだけ切り取られたところしか見てないから「いい意味で言ってるんだよ」ってフォローはしているけども。「いい意味ってどういうことだ?」っていう感じもするし。だけど……まあでもやっぱりね、殴っちゃうのもダメだなとは思いますね。
(渡辺志保)まあね。そうですね。ウィル・スミスってすごく……めっちゃ言葉を選んで言うと、すごく優等生的な。で、白人男性の世界からも非常に受け入れられているタイプの黒人俳優だと思うんですけども。そのウィル・スミスがああやって公の場で……っていうのはめちゃくちゃショッキングだったし。あと、コマーシャルで授賞式がお休みの間にウィル・スミスのところにサミュエル・L・ジャクソンとタイラー・ペリーとかデンゼル・ワシントンとかが来て、みんなが彼のケアというかフォロー、アドバイスとかをしていて。それが彼が『ドリームプラン』で主演男優賞を取った際のスピーチにつながったというような記事なんかも目にしまして。たぶんこれから、アメリカでもいろんな議論というか、分析というか。いろんな記事が出るタイミングかなと思うんですけども。ちょっとこれは注視したいなという感じですね。
(DJ YANATAKE)もちろん気持ちがわからないとは全く言わないけど。もっと他のやり方も絶対にあったなとは思いますね。
(渡辺志保)うんうん。そうですよね。
(DJ YANATAKE)逆に言えば本当に立場がある人だし……そのぐらいのことはもちろん、ウィル・スミス自身が一番わかっているだろうからね。それを超えるぐらい頭に来た出来事だということも理解した上で言いますけども。でもやっぱり、もっと怒りを表明するにしてもやり方はあったのかなとは思いますね。
(渡辺志保)まあね。そうですね。だから今後、ウィル・スミスのキャリアがどうなってしまうのかな?っていうのは思いつつ、それはクリス・ロックも同じくですが。去年、デイヴ・シャペルもこれまではすごく際どいジョークを売りにしていたけども、彼もやっぱりLGBTQのコミュニティーから猛反対を食らって。で、自分の独占番組を流していたNetflixの、その番組の存続にかかわるぐらいの大きな問題になってしまったんですよね。だから今まではジョークとしてノリ的に「いいじゃん、別に」みたいだったものがやっぱり、いろんなところを見直さないといけないのかなって。
コメディアンのジョークの受け入れられ方の変化
(DJ YANATAKE)そうね。昨今、すごいいろんな……人種のことやジェンダーのことなど、すごく議論される世の中になって。今まで、言ってOKだったものがOKじゃなくなってきてはいるんだよね。たとえば、日本のテレビで昔、とんねるずがやっていたことって今は絶対にできないとか、あるわけじゃない? そうやって時代も変わってきている中でそういう……クリス・ロックは今までのスタイルでやったのかもしれないけども。やっぱり、そういうことすら考えないといけないっていうね。
(渡辺志保)まあ、本当にそうだと思いますね。で、さっきのハッシュタグの話にもなるけども。黒人女性がどういう風に見られているのか、どういうネタにされてしまう存在になってしまっているのかみたいな、そういうところにもつながってくる問題だと思いますし。ちょっとこれからどうなるのか、見ていきたいなという風に感じています。
<書き起こしおわり>