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渡辺志保 J.Cole『KOD』を語る

渡辺志保 J.Cole『KOD』を語る INSIDE OUT
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渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でJ・コールの最新アルバム『KOD』についてトーク。その中から話題曲『1985 (Intro to “The Fall Off”)』について話していました。

(渡辺志保)毎週金曜日、日本を除く主な世界では新譜が発売される日としてみなさんが認知してますが。先週、4月20日の目玉といえば、もうみんなこのアルバムを聞いてたんでしょうか。J・コールの新作『KOD』が急遽リリースされたというところです。リリースのニュース自体は数日前からTwitterでワーッと広まっていたんですけども。J・コールがそもそも、先週の月曜日かな? 急遽、「これからフリーイベント開催します」というのをツイートでして。で、「ニューヨークのどこどこで開催。NOバッグ、NOセルフォン(携帯)。ゲストリストもプレスリストもない」っていう、そういう本当にラッキーなファンしか来れないっていうイベントをニューヨークで催して。

その次、同じようなパーティーをロンドンで催したんですね。なんのパーティーだったか?っていうと、その新作『KOD』のシークレットリスニングパーティーっていうとこだったんですけども。その新作『KOD』が先週金曜日に正式リリースになったと。で、『KOD』ってなんの略か?っていうと、3通り意味があるんですって。ひとつは「Kids On Drugs(ドラッグ漬けのキッズたち)」。もうひとつが「King Overdosed(過剰摂取した王様)」。そして「Kill Our Demons(俺たちの悪魔を殺せ)」っていう意味なんですけども。全部で12曲、入っていまして。ゲストは一切なし。

クレジット上は2曲だけ「Kill Edward」っていう人物が参加しているんだけど、たぶんこれはJ・コールのオルターエゴ。で、一人二役やっているのがJ・コールとこのキル・エドワードさんなんじゃないかと言われてますね。で、12曲それぞれ何について歌っているか?って言いますと本当にジャケットを見てもおわかりの通り、結構ちょっといままでのJ・コールの作品のジャケットとはまた違うなっていう、また裏の裏の裏の意味があるんだろうなっていうような今回のジャケットなんですね。で、「Kids On Drugs」っていう意味があるっていうのは本当にその通りで。ダブルカップでリーンを飲んでいる子供とか、白い粉を鼻から吸っているような感じの子供のイラストなんかが書いてあるんですけど。

KOD
Posted at 2018.4.24
J. Cole
Interscope Records

で、収録曲12曲に関してはそれぞれがなにかに「Addict(中毒)」になっているような人たちのことを描写しているんですよ。まあ、『ATM』っていう曲が入っていますけど、それはもうお金中毒の話とか。

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全曲、なにかしらの「中毒」を歌う

あと『Photograph』っていう曲があるんですけど、それはソーシャルメディア中毒っていうか、出会い系アプリ中毒っていうんですかね? 「スマホのスクリーンを通してしか君のことを知らないし、君の本名すら知らないんだけど、君に夢中なんだ」っていうような曲があったりとか。

あとは『Kevin’s Heart』っていう曲があるんですけど。これは本当に聞いておわかりの通り、ケビン・ハートっていう映画『ジュマンジ』にも出ているアメリカの黒人コメディー俳優がいますけども。このケビン・ハートって結構毎回毎回浮気・不倫問題で、それがバレてゴシップ的な騒がれ方をしているんですけど。そのケビン・ハートのごとく、大事な人がいるのに他の女と遊んでしまう。ちょっとセックス依存症みたいな、そんな男の人の気持ちを歌っている曲とかがある。

で、今日はさっそくこのオープニングチューンではJ・コールの新アルバム『KOD』から1曲、聞いてもらいたいんですけども。なにを聞いていただくか?っていいますと、この曲はアルバムのいちばん最後に収録されています。『1985 (Intro to “The Fall Off”)』っていう曲。これをみなさんに聞いていただきたいと思うんですね。この曲、いまいちばんネット上でバズっていて。たとえばRap Geniusなんかもこの『1985』っていう曲がいちばん閲覧数も多いんですよ。

で、何について歌っているのか?っていうと、「俺も18の頃は本当にパーティーと女とドラッグ。うんうん、わかるわかる。あと、金ね。そんなことばっかりだったからお前らのこと、わかるよ」って、若いラッパーに対してディスじゃないけどアドバイスを言っているとか、ちょっと牽制しているっていう曲なんですよ。で、もともと去年、リル・パンプが『Fuck J. Cole』っていう曲を出したりして。でも、出してその後にすぐリル・パンプ自身も「あれはちょっとネットをザワつかせたかっただけです」みたいなことを言っていたんですけども。

まあ、きっとこの曲はそのリル・パンプとか、あとはXXXテンタシオンもね、J・コールのことを揶揄するような発言をしていて。そういう若手ラッパーに向けた曲なんじゃないか?っていうのをいま、ファンの人がワーッと言っているんですね。「お前ら、やっと子供から卒業して母ちゃんの家から出られてうれしいんだろ? でも将来、その母ちゃんに家を買ってやるぐらいにならなきゃダメだぞ(Congrats ’cause you made it out your mama’s house I hope you make enough to buy your mom a house)」とか。

「俺たちはツアーをしてナンボなんだから、どれだけ売れたとしてもツアーだけはやめるなよ(I got some good advice, never quit tourin’ ’Cause that’s the way we eat here in this rap game)」とか。「ジュエリーとか車ばっかり買うのもいいけど、やっぱり家を買わなきゃ資産にならないんだから(’Cause you never bought that house, but you got a Benz And a bunch of jewels and a bunch of shoes)」とか。そういったことを言っているんですよ。

あとは、いまアメリカではヒップホップがどんどんポップ化、消費化されていて白人のキッズが聞く音楽になっていますから、「ホワイトキッズが見たいのは黒人の男がクスリまみれ、タトゥーまみれになってダブをする。そんな姿が見たいだけなんだ。そういうリスナーはもうすぐに大人になってお前らのことなんか忘れちゃうんだよ」みたいなことも歌っていまして。これがまあいわゆる「老害」的な曲なのか? それとも大人の見地に立った有益なアドバイスとしての楽曲なのかっていうのがいま、たぶんリスナーの間でザワザワっとしているところだと思います。

で、さっそくリル・パンプはInstagramのストーリーで「はいはい、プロップスたくさんあるんだね。そんな17才のガキにムキになるなんてお疲れさん」みたいなことをさっそくリアクションしたりしていまして。この曲『1985』っていうタイトルはJ・コールが生まれたのが1985年だから、それをタイトルに持ってきているんですけども。そのサブタイトルの『(Intro to “The Fall Off”)』。で、「The Fall Off」っていうのがもしかしたら次のJ・コールのアルバムのタイトルになっていて、それにつながるイントロっていう意味もあるかもしれないし、「The Fall Off」っていうのは「没落する・落ちていく」っていう意味ですから、「転落への序章」みたいな感じで若いラッパーたちに「お前ら、いまから転落する一方だからな」っていう風に言っているのか、どっちなのか?っていうね。そういう、みなさんいろんなことを考えながら聞いている曲になりますね。

というわけで、非常に前置きが長くなってしまいましたが、J・コールの新作アルバム『KOD』からこの曲を聞いてください。『1985 (Intro to “The Fall Off”)』。

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J.Cole『1985 (Intro to “The Fall Off”)』

(渡辺志保)はい。いまお聞きいただいておりますのはJ・コールの先週金曜日に発売されたばかりのアルバム『KOD』からの『1985 (Intro to “The Fall Off”)』を聞いていただきました。本当に全てのラインがJ・コールさんの金言みたいな感じなんで。ただの老害じゃなくていいなと私が思うのは、J・コールは若いラッパーたちのことをすごいリスペクトしているし。「お前らの曲、いいよ」っていう風に言っているんですよ。で、「若い黒人たちがこんだけ稼ぐのを見ているのもすごいいい気分だよ」みたいに言っていて、肯定することを言いながらも「でもね……」っていうところを言っている。なので、この曲とかアルバム自体を、たとえばジェイ・Zの去年出たアルバム『4:44』なんかと比べているファンの方もいるし。

あとはこれを1枚丸々聞いた後にケンドリック・ラマーの『DAMN.』を聞くと、両者にすごく共通点があることがわかるって言っているようなレビューもあるので。本当に聞き出すと止まらない感じがしますし。この曲もそうだけど、トラックが全部すごいミニマムなビートなんですよね。なんだけど、J・コールのフロウが本当に進化していて。私はフロウだけ言うと表題曲の『KOD』がいちばん好きなんですけども。

本当に、ケンドリックの『DAMN.』みたいにいろんな楽しみ方ができるアルバムだと思いますので。ちょっと私もこれからもっとディープに聞いていきたいなという風に思っているところです。

<書き起こしおわり>

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