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海野雅威と星野源『Get My Mojo Back』を語る

上柳昌彦 星野源と海野雅威の音楽対談を語る 星野源のオールナイトニッポン

ジャズピアニストの海野雅威さんが2022年3月15日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』にゲスト出演。星野源さんとアルバム『Get My Mojo Back』について話していました。

(星野源)それで、アルバムが3月2日に出まして。

(海野雅威)ありがとうございます。

(星野源)どうでしたか? レコーディングは?

(海野雅威)レコーディングは実際はまだまだ腕の痛み、肩の痛みがある中だったんですけど……の自然と曲が先に生まれて。

(星野源)療養中にも作曲をされていたんでしたっけ?

(海野雅威)療養中にいろんなアイデアとか曲のモチーフが頭の中で鳴ってきて。管楽器の音が鳴ってきたり、パーカッションが鳴ってきたりしたので、それを形にしたいと思ったんですけども。それは「今だ!」っていう強いものに突き動かされて。で、腕の痛みがなくなるのを待ってからではない。今だ!っていう、不思議ななにか、そういうものがあって。でも不思議なことに今、改めて自分の作品を聞くと、全くもって腕が痛いことがわかんないですよ。本人が。

(星野源)本当にそうですよね。聞いていてもそうですし。本人でもわからないってすごいですね。

(海野雅威)それがこの「Mojo」っていう意味でもあって。不思議な力によってこのアルバムが生まれたと思っていて。

(星野源)「Mojo」っていうのはそういう意味なんですか?

(海野雅威)いろんな意味あるんですけど。不思議な魔力とか、魅力とか。僕はなんか生かされている力という風に解釈してるんですけど。源さんがこうやって僕にご寄付をしていただいたりしたような力もこのアルバムの音に現れていますし。いろんな人の「復帰を願っている」っていうことに対して僕は責任というか、なにか新しい音楽として、憎しみとかの連鎖じゃなくて、もう愛で、音楽でそれを示したかったという思いで生まれたんです。このアルバムは。

(星野源)うんうん。「憎しみの連鎖じゃない」っていう、本当にそこにたどり着くまでって大変だと思うんですよ。で、やっぱりたとえばそういうのを、物語とか、そういう経験をしてない人がそういうのを理想とするってもちろん気持ちとして分かるんですけど。やっぱりその当事者の方がそこまでたどり着くって、本当に険しい道のりだと思うんですよね。だからそれを海野さんはそこまでたどり着いて。で、作品でこういう形でみんなに応えてくださったというか。

(海野雅威)それはこの星野さんの本(『いのちの車窓から』)の最後……最後の最後で「1人じゃないんだ」っていうところがあって。「ああ、源さんは僕は1人じゃないんだっていうことを気付かせてくれたんだな」と思って、もう泣きました。これは。

(星野源)ああ、それはよかった。僕がそれをしたことは、わかったんですか? 一応、名前は書きましたけど。

(海野雅威)はい。その日本の方の支援コンサートの方は、それを管理してた人が「海野さん、星野源さんってあるんですけど。お知り合いですか?」って言われて(笑)。

(星野源)アハハハハハハハハッ!

(海野雅威)「いや、星野源を名乗る別人でそんないたずらはしないだろう」と思って。それで「ああ、源さんに違いない」と僕は確信して。本当に「ありがとうございます」なんて言ってくれて、ありがとうございます。

(星野源)いえいえ(笑)。本当に復帰されてよかったです。で、収録曲が全部オリジナル曲で。あと、そうですね。今度、3月20日にもうライブをやられるんですね。熊谷和徳さんとの共演ライブ『Tap, Jazz & Light』。熊谷和徳トリオ featuring 海野雅威 & 井上陽介さんということで。

(海野雅威)そうなんです。で、翌日にはまたニューヨークに戻っちゃうんですけども。こちらでライブをします。あと、5月にも帰ってきて5月5、6とブルーノート東京でこの『Get My Mojo Back』の発売記念もありますし。

(星野源)じゃあ1回、ニューヨークに帰えられて。で、その後にまた日本に来て5月にライブがあるという。じゃあ、ぜひ行きましょう。で、海野さんのことを調べられたい方は……まあ、そのいろいろあったことも出てくると思うので。ぜひ、いろんなことを知っていただきたいというのもあるんですけど。あとはぜひCDを買ってください。CDを買っていただいて。あとはサブスクにもありますから。たくさん聞いてください。

『Get My Mojo Back』

(海野雅威)このアルバムの感覚、たぶんこれを読んでいて『YELLOW DANCER』を出された時。星野さんが病気から復帰された時にね、「すごい清々しい気持ちになった」ってことを書いてあって。なんかちょっと僕、ピンと来ました。なんか、もしかしたら似てるのかなと。

(星野源)ああ、言っていただけると……。

(海野雅威)あとね、これを言いたかったですけど。プリンスの『I Wanna Be Your Lover』……僕も好きなんですけども。僕、ロイ(・ハーグローヴ)の曲ですごいみんな好きな曲で『Strasbourg St. Denis』っていう「♪♪♪♪」っていう曲をよくやっていて。で、それがいつからかピアノフィーチャーの曲になっちゃっていて。僕がそれを任されていて。ピアノフューチャーっていうのは本当にみんな、レイアウトっていうので、他はもう演奏しないで、ピアノただ1人だけで弾くっていう展開があって。それでいろんな曲を僕、引用してたんですよ。それでこの『I Wanna Be Your Lover』を演奏していて。その映像もYouTubeに残っているんですけども。

(星野源)へー!


(海野雅威)で、日本講演をする時に僕は源さんの『恋』を演奏しようと思ってたんだけど、ロイがそこで亡くなったんですよ。

(星野源)ああーっ、そうだったんだ! そうなんですよね。亡くなっちゃったんですよね。ええーっ、そうだったんだ……。

(海野雅威)ロイに源さんのことを、素晴らしい音楽だって紹介したかったのもあるし。特に日本だから僕はそれを引用しようかなと思ってたんですよ。

(星野源)でも、それこそそれっていわゆる2018年とか19年とかですよね?

(海野雅威)そう。僕はバンドは2年間やっていて。その2016に入って18年まで。

(星野源)ああ、そうか。亡くなったのが18年。ああ、そうか! そうですか。

(海野雅威)だから、なんか全部繋がってる感じがしていて。

(星野源)それこそ、僕がその『おんがくこうろん』のJ・ディラを取り上げた時もJ・ディラもそうだし、いろんなミュージシャンがいて。で、ロイさんと繋がってるじゃないですか。で、なんかディアンジェロもそうだし……だからそれこそ、そのさっきの話にも出たアート・ブレイキーもそうだし。なんか、繋がるものですね。音楽ってね。やっぱり繋がるんだなっていうのも思うし。

星野源と海野雅威 アート・ブレイキーを語る
ジャズピアニストの海野雅威さんが2022年3月15日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』にゲスト出演。星野源さんとアート・ブレイキーについて話していました。

(海野雅威)ロイから聞いた話で、ロイがライブにミネアポリスに行くと、プリンスが聞きに来てたらしいですよ。

(星野源)いやー、そうですか……。

(海野雅威)ダコタっていう場所があって、そこに聞きに来てて。最後、プリンスがお忍びでリズ・ライトを聞きにきて。その晩に亡くなったんですって。

(星野源)そうか……。

(海野雅威)で、ちょっと鳥肌が立つのが、ロイのバンドでフランスのニュー・モーニングで演奏して。で、その僕たちの前日に演奏していたのがリズ・ライトだったんですよ。それで、ロイはその最後のステージで亡くなったので。なんかちょっと不思議な感じが……。

(星野源)ああ、そうですか。なんかこう、すごく思うのが、どんどん亡くなっちゃうじゃないですか。素晴らしいミュージシャンとかプレイヤーが。だからやっぱり本当に話していかないとダメだよなっていうか。その曲をかけていって、ちゃんと話していかないと……特に日本だと、もちろん好きな人はいっぱいいるんですけど。たとえばラジオとか、あとはテレビとか……特にテレビでかけないと、消えていっちゃう感じがすごいするんですよ。文化として消えていく感じがすごくあるので。だからなんか、ラジオでもちろんかけますけど。なんかああいう『おんがくこうろん』みたいな番組ができると……。

(海野雅威)最高の番組ですね。

(星野源)ありがとうございます。だからやりたい人、取り上げたい人がいっぱいいるんですよね。めちゃめちゃいっぱいいて……(笑)。でも、すごく嬉しかったのがこれ、今日初めて話すんですけど。僕は数ヶ月前にキース・ジャレットをこの番組にかけて、その話をしたんですよ。僕、高校生の時もちょっと精神的に参ってしまった時があって。その時にちょうどキース・ジャレットのピアノソロアルバムの後だったので、それを聞いて。それがすごく子守唄的な感じだったので。あとはニーナ・シモンも含めて、子守唄的に聞いていたみたいな話をしたんですけども。そうしたらこの間、電話でキース・ジャレットの奥さんから「ありがとう」っていう電話がかかってきたんですよ。

(海野雅威)ああ、素晴らしい!

(星野源)それで、キース・ジャレットは奥さんが日本人で。その日本人の友人の方から奥さんがラジオの録音を送ってもらって。「こういう話を日本人ミュージシャンがしてたよ」っていう話をしてくださって。「それを聞いてすごく嬉しかったです。本当にありがとう」っていうメッセージだけを残して。電話番号も何も告げずに……(笑)。

星野源 Keith Jarret『MY SONG』を語る
星野源さんが2021年1月26日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中でキース・ジャレットの『MY SONG』を紹介していました。

(海野雅威)あのJ・ディラのお母さんが……みたいな感じですよね? 「かけてくれてありがとう」みたいな。

(星野源)そうそう。「本当にありがとう」みたいな。なんかそういう、ラジオってやっぱりどうしても今、テレビとかインターネットもあるからニッチな印象があるけど。「ああ、届くんだな」って。だから、そういう意味があるなってすごく思いましたね。その「曲をかける、語る」っていうのが。だからそれこそ海野さんが活動を続けているっていうことが日本人のミュージシャンにとってどれだけ勇気がもらえているかっていうのをすごく、思います。

(海野雅威)その勇気の源は源さんを含めて、いろんな方からいただいて。それで僕はここにいるんで。感謝しています。

(星野源)これからも活躍を楽しみにしております。

(海野雅威)源さんと一緒にね、なんかコラボもしたいなと思っていて。

(星野源)ああ、ぜひぜひ! ちょっと今も作曲をいろいろしてるんで。ちょっとお願いするかもしれないです(笑)。

(海野雅威)ぜひぜひ。実現できたら最高ですね。

(星野源)あと、いつか……そうです。そしたらいつか、海野さんの弾く『恋』を聞きたいな。

(海野雅威)ああ、はい! やりますよ。

(星野源)ありがとうございます。ちょっとライブもお邪魔させていただきますので。

(海野雅威)こちらこそ。

(星野源)楽しみにしています。それではじゃあ、海野さんの曲を聞いてお別れしたいと思います。アルバム『Get My Mojo Back』から。

(海野雅威)はい。僕はずっと『上を向いて歩こう』みたいに五音でできる曲を作りたかったんですよ。

(星野源)五音ってどういう意味でしたっけ?

(海野雅威)ドレミソラドですね。まあ、フォーキーっていうような言い方もするんですけども。それでできた曲なんですけども。だから本当にシンプルこそ力っていうか。『上を向いて歩こう』ももちろんそうなんですけども。そういう曲がこの曲で。「楽しめるうちに人生を楽しみましょう」っていう、まさにその通りのタイトルをつけました。『Enjoy It While You Can』です。

(星野源)今日のゲストは海野雅威さんでした。

(海野雅威)ありがとうございます。

海野雅威『Enjoy It While You Can』

<書き起こしおわり>

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