渡辺志保 Kanye West『DONDA 2』リスニングイベントを語る

渡辺志保 Kanye West『DONDA 2』リスニングイベントを語る INSIDE OUT

渡辺志保さんとDJ YANATAKEさんが2022年2月28日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中でKanye Westが開催した『DONDA 2』リスニングイベントについてトーク。イベントの内容や新作アルバム『DONDA 2』について話していました。

(渡辺志保)今日はゲストの方はお招きしておらず。私とDJ YANATAKEさんの2人でこれからカニエ・ウェストについてああだこうだと意見を交わそうかと……。

(DJ YANATAKE)とにかくはいカニエの話題が多すぎるんですよ。

(渡辺志保)いや、多すぎるのよ!

(DJ YANATAKE)だから1回、整理しておかないと。毎週ちょっとずつだともう全然追いきれないんだよね。

(渡辺志保)そうなんですよ。で、特に先週はカニちゃんもすごい大きな動きがあったし。あと繰り返すけれども、世界的にもすごく大きな出来事があって。ぶっちゃけ私もちゃんと整理しきれていないし、咀嚼しきれていない。全貌が見えていないっていう感じもあるんですよね。だから、これからお話しすること、ちょっとま曖昧だったりとか、矛盾していたりとか、あと誤っていたりっていうことがあるかもしれないですけど。まあ、ステムプレイヤーのように随時、アップデートしていけばいいのかなと(笑)。

(DJ YANATAKE)一応、お知らせしておきますけども今、2月26日(土)にこれ、収録しております。日々、情報がアップデートされるので……。

(渡辺志保)そう。もうステムプレイヤーのように(笑)。

(DJ YANATAKE)この2日前の情報がめちゃめちゃ古くなっている可能性がありますが、一応我々なりに整理をしていきましょう。まず、志保さんが話したいカニエのトピックと言えば?

(渡辺志保)まあ、その直近の一番デカいカニエのトピックと言えば、やはりアルバム『DONDA 2』がリリースされたっていう。で、当初2月22日に発表しますっていうことで。かつ、マイアミのでっかいスタジアムでリスニングイベントをしますっていうのを告知してて。で、またさ、予定通りに行けばいいけど……と思っていて。22日、日本時間の23日っていうことになりますけれども。「結局、出ないんじゃないかな?」って思っていたたけど、ちゃんとイベントは行われた。しかし、2時間45分遅れでイベントが行われたという。

(DJ YANATAKE)最初、心臓の音……『Kanye’s Heartbeat』って書いてあったけど(笑)。

(渡辺志保)そう。だから『808s & Heartbreak』っていう、あれを今回も持ってきたのかなって思ったり思わなかったりするんですけども。しかも、あのスタジアムの会場でも2時間45分待たされてる間、ずっとハートビートが流れてたっていうツイートも拝見して。マジでそれ、ちょっとクレイジーすぎじゃない?って思ったりもした。

(DJ YANATAKE)でも、やっぱり会場ぐらいまでいくファンは慣れっこなんじゃないですか? 1時間ぐらい待つのは当たり前と思ってるけど、今回は少し長めでしたね。

(渡辺志保)2時間45分っていう。で、あとは会場で予想通りかもしれないですけれども。まあ新しいマーチャンが。カニエとギャップとバレンシアガのね。で、だからマーチャンの列がヤバいみたいなツイートも山ほど目にしましたし。で、まあもう正式に売り出されてて。今はだからオンラインでも買える状況ってことですよね。ちょっとね、ダークなトーンを基調にしたコレクションということですけれども。ヤナタケさんは購入されましたか?

(DJ YANATAKE)いや、僕はカニエのマーチャンはもう高いので、買いません。僕はもう40ドルぐらいまでしか買いません(笑)。

(渡辺志保)アハハハハハハハハッ! 正しい判断、賢明な判断だと思います(笑)。私はですね、まだちょっと何を買おうかなって悩んでいるところなんですけれども。まあ、購入するかな、どうかなっていうのを迷っているところだけど。そもそも私、ステムプレイヤーは購入しました。

渡辺志保 Kanye West『DONDA 2』Stem Player限定配信を語る
渡辺志保さんが2022年2月21日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中でカニエ・ウェストの最新アルバム『DONDA 2』がAppleMusicやSpotifyなど各種ストリーミングサービスには配信されず、Stem Playerのみで限定配信される件について話していました。

(DJ YANATAKE)ねえ。そうですよね。そのカニエが開発した……先週も話したんですけども。突然、そのステムプレイヤーっていうのでしか『DONDA 2』は聞けないよっていうのを言い始めて。なんかいろいろ、アップルとかからの……。

(渡辺志保)100ミリオンドル……ちょっと意味がわからなくなりそうですけども。だから115億円相当。

(DJ YANATAKE)それが、パアになっちゃったんでしょう?

(渡辺志保)AppleMusicが「1億ドル出すから、うちでストリーミングさせてくれ」っていうオファーをしたんですよね。もちろん、細かい内容はわかんないですけど。もしかしたらだからね、そのマイアミでやったリスニングパーティーの中継とかもやらせてくれとか、そういったメニューもあったかもしれないですけど。そうしたオファーは全て断り、かつ「ストリーミングサービスはアーティストにとってよくない」という風にも発言して。だから今現在、そのカニエの『DONDA 2』はステムプレイヤーしか聞けない。

Stem Playerのみで配信

(DJ YANATAKE)で、志保さんはカニエの大ファンでもありますから。ちゃんとカニエが提示する聞き方でその作品を聞きたいということでステムプレイヤーを購入されたと。

(渡辺志保)購入しました。

(DJ YANATAKE)でもステムプレイヤーって実はちょっと前から出ていたんだけども、アメリカとイギリスにしか発送していなかったんだよね。

(渡辺志保)そう。最初はね、そうなんですよね。

(DJ YANATAKE)で、「買えない」なんて言っていたんだよね。

(渡辺志保)そう。買えないし。手にしたところで、先週もヤナさんが説明してくださった通り、あれってすごいちょっとクリエイティブなプレイヤーじゃないですか。「ちょっとドラムを抜いてみよう」とか「ボーカルを抜いてみよう」とか。で、私にはそのクリエイティブさがないなと思って。あるだけになるんだろうなと思って購入はしていなかったんですけれども。まあ私も現金なファンだから、カニちゃんがね、そうやって「ステムプレーヤでしか聞けません」ってアナウンスしてから、割とすぐに購入したかな。だから2月21日に私、購入してるんですね。日本時間の。だからさ、前回申し込んだカニエのマーチャンが届くのにやっぱり半年ぐらいかかったのよ。だからステムプレイヤーも……。

(DJ YANATAKE)まあ、かかるだろうね。生産とか今、すごい注文が殺到してるみたいだからね。

(渡辺志保)そう。だからいきなりね、ステムプレイヤーでも何億ドルと売り上げを記録してるっていう……。

(DJ YANATAKE)1日で2億円売ったとかね。

(渡辺志保)マジか。だからカニちゃん的にはその開発費とか、その製作にかかるコストとかはもちろんあるだろうけれども。これがだから売れていけば、全然そのディストリビューションのサービスに提供するよりも利率はいいのかな? 利幅がいいってことになるのかな?

(DJ YANATAKE)まあ、今回のことだけを考えればね。これはすごい難しいですけど。まあステムプレイヤーって、先週も言いましたけど。そのギミックはあるとしても、それを除くとただの8ギガのMP3プレイヤーだから。それをパソコンにつないでね、パソコンからその曲をダウンロードして、それをつないだステムプレイヤーに入れてっていう作業って、マジでiPodの最初の時代に戻っちゃうんで。すごい時代を逆行してる部分もあるなと思うんですけど。今、この『DONDA 2』だけにフォーカスしたらそうなのかもしれないけど。なんていうのかな? ずっとじゃあ、そこで無料でダウンロードさせて、カニエの新曲がこれから一生、アルバムは行くんですか? そしたらそれはもう利益を生まれないわけじゃん?

(渡辺志保)そのためにもしかしたらペイしなきゃいけないみたいなシステムになるのかもしれないが……。

(DJ YANATAKE)だったらもう、さらに遡っちゃうからね。まあ、そうか。もうよくわからないね。

(渡辺志保)一番最初にiTunesミュージックストアができた時みたいな。だって当時、実際にプリセット……既にMP3の音源がプリセットされたやつ、なんか売ってましたもんね。

(DJ YANATAKE)そうそうそう。あったよね。だからそのへんをカニエがどうクリアしていくのかっていう……絶対そのギミックの部分はたぶん買った人、すぐに飽きちゃうと思うんで。だし、他のたとえば……じゃあ、それがiPhoneとかでできないかって言ったら、そういうアプリとかってたぶんすぐに出ると思うし。現状、それ自体は目新しい機能かもしれないけど。そのへんをまたカニエがどうしていくのかっていうのはまあ、興味あるんですけど。そういう、実はそのものの使い方よりは、やっぱりその業界に対する……。

(渡辺志保)アンチテーゼというかね。

(DJ YANATAKE)うん。なんかメッセージ的な発信っていうことなのかな?っていう。

(渡辺志保)あと、このステムプレイヤーは一応、イージーテックの製品第1弾ということにもなっているそうなので。そのイージーテックが今後、どうなるのか?っていうのも……。

(DJ YANATAKE)そうだね。でもだって、じゃあ『DONDA 3』が出ますってなって。半年後に。その頃に『DONDA 2』のステムプレイヤーが届く。その頃、ステムプレイヤー2には『DONDA 3』が入りますとかなっていたら……(笑)。

(渡辺志保)ヤバいよ。バカじゃん!(笑)。

(DJ YANATAKE)今度、新しいのは300ドルです。でも、バレンシアガのマークが入ってるかも……とか。

(渡辺志保)バレンシアガのマークはあってもなくてもいいけどさ……でも、実際にそういうことが起こりうるっていうことで。カニエといえば、スティーブ・ジョブズにずっと憧れてるっていうところもありますから。これ、スティーブ・ジョブズが20年ぐらい前にやっていたことを今、カニエさんがやってらっしゃるかもわかんないし。だから私がもっとババアになる頃には、カニエフォンを使ってるかもしれないもんね。

(DJ YANATAKE)まあ、ありえるね。

(渡辺志保)カニエフォンを使っているかもしれない。

(DJ YANATAKE)まあ、ステムプレイヤーについてはそんな感じなんですけども。まあ、今のところその『DONDA 2』のイベントとか、曲の内容とかについては志保さん、どうですか?

(渡辺志保)だからそれで、『DONDA 2』のリスニングイベントが定刻より約3時間遅れてスタート。で、家が燃えてるアートワークとかは前もって発表されていましたけれども。

家が燃えているアートワーク

(渡辺志保)その前作、半年前にリリースされた前作の『DONDA』のリスニングパーティーでも自分のちっちゃい頃に住んでた家。シカゴのちっちゃい家のレプリカをステージの上に作り、そこに十字架を立ててそこでパフォーマンスするってことやったわけですけれども。今回はその家を燃やしたんですよね。かつ、アリーナの床面にはもう水がバーッて張ってあって。まあ、水がバーッてなっているのはそんなに目新しいことではないかもしれないけどでも、でもすごいダークな感じでしたよね。照明もね。で、あと周りを戦闘服みたいなものを着たようなあのパフォーマーの方たちが周りを囲んで……っていうところとか。

(DJ YANATAKE)だからライブとかって普通、もっと照明とかでさ、ばっちり明るくて、その人たちの表情も映って、みたいなのなんだけども。イメージ作りとしてやっぱりでも、すごいかっこいいよね。バレンシアガの人とか、クリエイティブとか入ってるんでしょうけど。要するに、もう暗いし、ゲストが出てきても「今、誰が出てきてるの?」みたいなのがわかんないぐらい暗いんだけども。でも、なんか水の中にいって歌ってたり、家が燃えてたりっていう。なんか幻想的でもあるっていうか。

(渡辺志保)だからその「燃やす」っていうのは……しかもお母さんとちっちゃい頃に住んでた家を燃やすっていうのは、自分の中で過去と決別したっていうことなのかなと思ったり。あと、もうこれは全然調べきれてないですけど。日本的には、仏教的には亡くなった人を火葬するっていうのはナチュラルなことだとは思うんだけれども。なんかそうした意味とかもあるのかなとか思ったり。このへんも全然、リサーチとか分析とか私もこんがらがってる感じなんですけれども。そういったことを思いながら見てたし。

で、やっぱり驚くべきことはカニエさんも約半年前、去年の8月末からやっぱり『DONDA』のリスニングパーティーを全部で3回やっていて。それもやっぱりすごいクリエーション、すごい舞台装置だったじゃないですか。でも、あれからわずか半年の間に、これを音源もそうですけど。このアートビジュアル、アート的なものっていうか。それをまた作っちゃったっていうところに彼のすごみを感じました。

(DJ YANATAKE)そうだね。間にドレイクとのコンサートもありましたし。なんか、その配信とかメインで考えてると思うんですけど。もちろん現場にいっている人も楽しいと思うんですけど。配信とかでの見せ方とかみたいなものとかが、やっぱりちょっと他のどのクリエイターとかよりも先に行ってる感じがあるよね。

(渡辺志保)すごいですよね。だから「今、ステージ建設中です」みたいなツイートなんかも見ましたけど。「これ、携わっている1人1人のスタッフさん、本当に大変だろうな」と思いながら見てたし。やっぱりそのカニエの自分の想像力に対する熱い気持ちみたいなものはやっぱりすごいな、すさまじいなっていうね。

(DJ YANATAKE)今さ、配信のライブとかのさ、新しいことを追求するとどうしてもさ、VRとかARの方が行くじゃん? でも、そうじゃなくてリアルでやることで……水の上で歌うとかなんて別にそんなに新しいアイデアでもないんだろうけど。でも、なんかすごい全体的にアート感とか、新しいものに見えちゃうっていうか。カニエがやるだけでね。その作り方よっていう感じよ。

(渡辺志保)ちなみに会場にはカニエの子供も見に来てたし。あと、イーロン・マスクとかも来ていたし。

(DJ YANATAKE)イーロン・マスクはテスラの社長。お金持ちですけども。彼はカニエが大統領選に出馬した時にも「俺がカニエをバックアップするぜ」とか言ってた人だから。

(渡辺志保)前から絡んでいたけども。「ああ、来てるな」って。あとはリック・ロスとかも来てて。自分のインスタのアカウントからちょっとライブ中継もやってましたね。カニエ・ウェストさんね。

(DJ YANATAKE)なんかいろんなところで結局、見れたよね。

(渡辺志保)そうそう。TwitchとAmazon Musicと……でも、結局そこから誘導していたのはTwitchとカニエのYouTubeのアカウントだったと思います。私はYouTubeでちらちらっと見ていて。それであと、音源的にはたとえばフューチャーがね、全面的に関わるみたいなことは言われてたからフューチャーが何曲かで参加しているのと、たぶん最初に皆さんすごい驚かれたのは『True Love』っていう曲でXXXテンタシオンのバースをカニエが使ってたっていうのはすごくサプライズだったと思いますし。

(渡辺志保)あとベイビー・キームとミーゴスがひとつの曲で。『We Did It Kid』っていう曲があるけれども。そこに参加してたっていうのもサプライジングだったなという風にも思うし。あと、長年のTwitter上でのあれやこれやを見てると、私は個人的には『DONDA 2』のステムプレイヤー上では最後に収録されている『First Time In A Long Time』っていう曲があって。それにはソウルジャ・ボーイが参加しているっていう。

(DJ YANATAKE)ああ、ねえ(笑)。

(渡辺志保)前回、『DONDA』の時にソウルジャ・ボーイのバースが使われてなくて。

(DJ YANATAKE)それでソウルジャ・ボーイが怒って。「なんで入れなかったんだよ? クソだ!」みたいな感じでめちゃくちゃモメたんだよね。

(渡辺志保)それが今回はね、しかも「長い期間の間ではじめて」っていうタイトルだけども。その曲のタイトル通り、やっとソウルジャ・ボーイがカニエ・ウェストのアルバムに参加できたとか。あと、まあちょっと前も『Nail Tech』っていう新曲が出て『INSIDE OUT』でもかけましたけども。その時にカニエがべた褒めしていたジャック・ハーロウも『Louis Bags』っていう曲で参加している。あと、ヤング・リーンっていうスウェーデンのラッパーと一緒にスタジオにいる写真もSNSで見ましたけど。ヤング・リーンは入ってないのかな?っていうのを考えているのと。

印象的な声のサンプリング

(渡辺志保)あと、個人的にサンプリングされている声がいくつか、SNS上でもすごい話題になっていたんだけど。ひとつはその『Louis Bags』。ルイ・ヴィトンのバッグについて歌っていて。ジャック・ハーロウが参加していて。これはフックのところでも「俺はヴァージルが亡くなってからルイ・ヴィトンのバッグを買うのはやめた」っていうすごい印象的なリリックが繰り返されてるんですけど。ここでサンプリングされているのが、カマラ・ハリス現アメリカ副大統領の声なんですよね。

で、カマラ・ハリスさんが2020年に行われた大統領選挙の時にジョー・バイデンがトランプに勝ったぞっていう時、カマラ・ハリスがジョー・バイデンと電話で話していて。「We did it, Joe!(うちら、やったね!)」っていう電話でのやり取りがあったんですけども。その時の声をここでサンプリングしているんですよね。で、「へー!」っていう感じがするんだけど。

(渡辺志保)でも、なんかこの時、うちらも散々話してたけど、カニエ・ウェストも大統領選には出場してたわけじゃないですか。だからジョー・バイデンっていうのは敵陣営なわけじゃないですか。

でも、その敵陣営のジョー・バイデンの当選を祝う声をここでサンプリングしてるっていうのは、またなんかそのちょっとカニエのツイストされた部分が反映されてるのかなって感じたのと。あと、もうひとつ声のサンプリングっていうのがあって。それが他ならぬキム・カーダシアンの声をサンプリングしてる曲があって。

(DJ YANATAKE)すごいよな!

(渡辺志保)で、これが泣ける曲でもあるのよね。で、『Sci-Fi』って曲なんですけど。そこの冒頭にキム・カーダシアンさんの声が……これは昨年末になるのかな? SNL、『サタデー・ナイト・ライブ』に出演した時の声なんですけど。2021年の10月9日にキムが出演した時のキムの声をサンプリングしてて。で、なんて言ってるかというと「私はもう世界で最高のラッパーと結婚した。それだけじゃなくて、彼はアメリカで最もリッチな黒人男性でもある。とても才能に恵まれていて、めっちゃ天才で、そして私に4人の子供を授けてくれたんです」っていう、もう本当にめっちゃいいこと言っていて。カニエさんもブチ上がりみたいなことを言っていて。

で、そのマイアミでのリスニングイベントの時も『Sci-Fi』っていう曲のこのキム・カーダシアンのナレーションっていうかサンプリングの声がかかった時にもう観客も「うおーっ!」って盛り上がってるんだけど。しかし、曲が始まるとこれはもう別れの歌なんですよね。で、もう「Baby, bye-bye, baby, baby, bye-bye(ベイビー、さようなら)」ってカニエがラップしていまして。「これから俺は自分のことをリムーブする。自分をリムるぞ」っていうことを歌っていて。で、「Sci-Fiの世界にようこそ。君にはオキシジェン(酸素)とWi-Fi、どっちが大事なんだ?」っていう。

まあ、これもなんかキムに対する皮肉なのかなっていう。キムと言えば、もうソーシャルメディアで成り上がったドラマクイーンでもありますから。「この期に及んでお前にはWi-Fiが必要なのか? ネットやらSNSが必要なのか?」っていう皮肉 a.k.a 自分へのブーメランっていう感じもするんですけれども。この曲なんか、すごい切なくなって。私は泣きそうになりましたね。

(DJ YANATAKE)いやー、まあキム・カーダシアン問題だけでも2、3時間は話せそうだよね。

(渡辺志保)そうね。キム・カーダシアンとピート・デイヴィッドソン問題についても話したいことは山盛りあるが……ちょっとでも、息抜きにここで1曲、曲をかけるのがいいですかね。なので、このマイアミのリスニングセッションでも最後にパフォーマンスを行っていて、やっぱり今のカニエにとってすごい大事な曲なんだなっていうのを私は再確認したわけなんですけれども。まあ、アリシア・キーズもやってきて、ファビオ・フォーリンもやってきてっていうことでパフォーマンスしていました。先行シングル『City of Gods』を聞いていただきたいと思います。

Fivio Foreign, Kanye West, Alicia Keys『City of Gods』

(渡辺志保)ただ今、聞いていただきましたのはカニエ・ウェストの新作アルバム『DONDA 2』から、という風に紹介していいものかとも思いますけれども。『DONDA 2』からファビオ・フォーリン、カニエ・ウェスト&アリシア・キーズで『City of Gods』でした。でもこの曲もすっごいストレートなニューヨーク賛歌になっていて。もちろん最初、アリシアが歌い、その後にファビオ・フォーリンのバースがずっと続いて最後にカニエのバースっていうことになるんだけども。カニエもやっぱり、自分の地元のシカゴとニューヨークを同列にラップしているような感じがして。なんか「へー。今のカニエってこういうモードなのかな」みたいな。

(DJ YANATAKE)あと、あれだよね。この後もまだまだ話したことはあるんですけど。カニエのNetflixのドキュメンタリーを見ているとね、ニューヨークの話がいっぱい出てきて。「なるほどな」とも思いつつ。

(渡辺志保)そう。だからカニちゃんもなんか、その時の自分っていうのを思い出しているのかしらっていう気持ちも……。

(DJ YANATAKE)そのへんとリンクしてちょっとじゃあ……。

(渡辺志保)Netflixで今、放映されているドキュメンタリーシリーズ『jeen-yuhs』っていうのがありますけれども……。

<書き起こしおわり>

渡辺志保 Kanye West『jeen-yuhs』第2話を語る
渡辺志保さんが2022年2月28日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中でNetflixで配信がスタートしたカニエ・ウェストのドキュメンタリーシリーズ『jeen-yuhs』第2話についてDJ YANATAKEさんと話していました。
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