渡辺志保さんが2022年2月28日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中でNetflixで配信がスタートしたカニエ・ウェストのドキュメンタリーシリーズ『jeen-yuhs』第2話についてDJ YANATAKEさんと話していました。
A Kanye Trilogy: Jeen-Yuhs Episode 1 “Vision” Releases On Netflix Tonight? pic.twitter.com/5gpGbdXL0i
— Rap301 (@_Rap301) February 15, 2022
(渡辺志保)Netflixで今、放映されているドキュメンタリーシリーズ『jeen-yuhs』っていうのがありますけれども……だからそれも今、毎週水曜日に1話ずつNetflix上で配信されているんですよね。これはステムプレイヤーじゃなくてNetflixで出るんですけど。加入してれば誰でも見れるんだけど。で、先々週に第1章が放映されて。で、その『DONDA 2』のリスニングパーティーが終わって数時間後に『jeen-yuhs』の第2話が放映されて。私、いつも思うんですけど、日本に住んでてよかったなって思うけど。これ、アメリカに住んでたら、夜中からマイアミでのリスニングセッション始まって。その後、数時間後にNetflixじゃないですか。「ええっ? もう寝れないよ……」って感じですよね。私、毎回それを思っちゃうんだけど。まあ日本時間で言うと夕方5時ぐらいですかね。Netflixで……。
(DJ YANATAKE)で、先週は1話をまあまあしたんだけども。2話が……。
(渡辺志保)で、2話は時系列的にはカニエが無事にロッカフェラとサインして、自分のソロデビューアルバム『The College Dropout』をリリースしたいのにできないっていうところから始まり、そこからアルバムがリリースされて大成功。「グラミー、おめでとう!」みたいな。だからすごいスポットライトが常に明るく当たってるっていうところを中心に描いているという印象でした。
(DJ YANATAKE)「スポットライトが当たってる」っていうか、「そこに行くまでがめちゃくちゃ大変だったじゃん」みたいな話だよね。
(渡辺志保)そうそう。だから、デイモン・ダッシュになかなか真剣に取り合ってもらえないカニエとか。あと、そのアルバムのリリースに至るまでは『Through The Wire』っていうカニエのめちゃくちゃブレイクスルーしたヒットシングルがあるわけですけれども。それは実際に自分がLAで遭った交通事故を経て作られた曲。だから、その『Through The Wire』の裏話みたいなのも私は全然、そこまで詳しく知らなかったから。「ああ、こういうことだったんだ!」って。
(DJ YANATAKE)かなり大フィーチャされてましたよね。
(渡辺志保)だからすごい結構エグみのある、本当に口から針金を外すシーンとか、血まみれみたいなシーンとかがあって。「おおっ……」とか思いつつ。で、そもそもLAに行ったのが当時、デフ・ジャムっていうかロッカフェラが一番売り出そうとしていたラッパーがピーディ・クラックだったんですね。ニーヨの『Stay』とかにフィーチャーされているピーディ・クラックだけど。
(渡辺志保)だからカニエもピーディ・クラックの仕事のためにLAに行って。で、そこで事故に遭ったっていうことだったんですよね。だから「ああ、ピーディ・クラック流れだったのか」みたいなこともあったし。で、あとはその当時のレコーディング風景っていうところもたくさんフィーチャーされているわけだけど。初めて、そのカニエの曲を聞いたファレルのリアクションだったり……。
(DJ YANATAKE)あれ、今すごいミーム化されてバズっているけども。俺、最初さ、ニュアンスもあれだからカニエが……要するに『Through The Wire』をバズらせるためにいろいろ試行錯誤するんだよね。その自分のリリースが思うように、ロッカフェラとサインしてもなかなか出せない状況っていうのがあって。で、いろんな人に聞かせてみたりとか、その『Through The Wire』をもう自分の手でバズらせるしかないっていう。いい曲ができたから。で、いろいろ奔走する中でいろいろ大物ミュージシャンとプロデューサーとしてはカニエ、仕事してるから。いろんな人に聞かせていく中でファレルのリアクションが……最初は俺さ、『Through The Wire』ってチャカ・カーンの『Through the Fire』っていう曲をサンプリングして。「自分の口の中にワイヤーが入ってる」っていう、そんな歌だから。
(渡辺志保)ダジャレ的なね。
(DJ YANATAKE)そうそう。だから「笑っちゃったのかな?」って思って。笑ってもいるんだろうけど。で、外に出て行っちゃってさ。「ファレルにはなんか笑われちゃったのかな」と思ったけど……もう一旦、外に行って。一瞬、冷静に考えて戻ってきて「えっ、お前今、なんて言った? これ、マジでお前、天才じゃん? 最高じゃん! 俺はまだお前の曲、2曲しか知らないけど。俺のフェイバリットアーティストだ!」みたいな。
(渡辺志保)そうそう。すぐにフェイバリットアーティスト認定されてましたもんね。
ミーム化したファレルのリアクション
Pharrell after hearing Kanye West’s Through The Wire for the first time. pic.twitter.com/CSZbNKWaf3
— ???????????? (@ghetto_prisoner) February 24, 2022
(DJ YANATAKE)みたいなシーンがめちゃくちゃミーム化されているんだけども。あのファレルのリアクション、当時のカニエにしたら、めちゃくちゃ嬉しいだろうね。
(渡辺志保)あと最初ね、ジェイ・Zと一緒にマスタールームにいて。で、「ちょっとじゃあそれ、お前録ってみろよ」みたいな感じでジェイ・Zから促されて。で、「いや、もっと最初から飛ばせよ!」とかってアドバイスをもらいながらレコーディングするすごく楽しそうなカニエとかね。そういうのもよかったし。あと、リュダクリスを訪ねて「これにバースを入れてくれませんか」と頼むカニエみたいな。『Breathe In Breathe Out』ですけども。
いうのもヤバかったし。あと、ジェイミー・フォックスの自宅スタジオに行って『Slow Jamz』をレコーディングするカニエとか。だからもう当時の……私とか本当にリアルタイムに「ヤバい、ヤバい!」みたいな感じで思っていたことの、なんて言うか答え合わせっていうか。「ああ、当時こんな流れで、こんなミラクルが起こってたんだ」っていうのをひとつひとつ確認する作業っていう感じで。まあ、第1幕もそうでしたけれども。第2幕に関しても本当、高鳴りが抑えきれないっていう感じがしました。ウェブスターホールでリリース記念パーティーをするカニエとかね。だから、すごい心を揺り動かされたと同時に、ちょっとほっこりするというか、そうしたシーンもたくさんあったなという風に思っていて。
でもなんか、すごくざわざわって……やっぱその次のね、第3話でこのドキュメンタリーシリーズは幕を閉じるわけですけれども。カニエのキャリア的にはやっと『The College Dropout』でデビューして。で、『Late Registration』をレコーディングしてるシーンなんかもたしか、あったかと思うんですけれども。だからラッパー・カニエのキャリアとしてはまだ最初の方なわけですよね。だから第3話でどういう風にこれが2022年のカニエまでラップアップっていうか、まるっとどういう風に終わるのだろうかって思ってるんだけど。
(DJ YANATAKE)ぶっちゃけさ、2話まで来て、これってまだ本当、最初の最初までじゃん。やっと自分の曲が出せたぐらいの。
(渡辺志保)ねえ。ラッパーになれたみたいなね。
(DJ YANATAKE)めちゃくちゃ苦労して。で、本当にこれ、ドキュメントを撮っていたっていうても、結構最初の頃だけなのかな?って思ったけど、次回予告でバババババッて……。
(渡辺志保)予告のところが、そう。走馬灯のように。
(DJ YANATAKE)現在までの時系列をブワーッて出てくるから。で、なんか20年ぐらい撮っていたんでしょう?
(渡辺志保)そうそう。で、かつ私もこれ、ちゃんと調べてないんですけど。その撮っていらっしゃるクーディさんは一時、カニエの密着から離れた時期もあるそうなんですよね。
(DJ YANATAKE)なんかそういう風に言ってるシーンもたしか、あったよね。
(渡辺志保)で、その次の予告みたいなシーンがさっき、ヤナさんおっしゃったみたいに最後、ちょっとだけあるんですけど。そこからはなんか、だからスポットライトを浴びて@もう俺、絶好調!」っていうところから転落というか、ちょっと崩壊というか。まあ、その有名なテイラー・スウィフトのスピーチを邪魔して……っていうシーンであったり。「奴隷性はチョイスだった」っていう風に言って、またインターネットを中心にざわつかせてしまったシーンであるとか。
そういったところが凝縮されていて。すごいなんか、ざわざわしちゃってたんですよね。だから第3話はどうなって……別にカニエがどうなってるのかは大筋はもちろん知ってるんだけども。それをどのようにそのドキュメントの作品としてまとめてるのか?っていうのはすごい、たぶん見たらすごい泣くんだろうなとも思うし。また動揺しちゃうだろうなという風にも思うんですけれども。今のカニエをどう描いているのかっていうのはすごい、もはや……これは今、月曜日に流れてるから明後日には知ることができるわけなんですけど。ちょっと覚悟して最後、見ないとなっていう風に思ってますね。
(DJ YANATAKE)あとさ、クーディさんが自分のコメディアンのキャリアを捨てて、カニアの密着をすることに決めたわけじゃないですか。で、これ結果的によくここまで、このネタを取っておいたなっていうか。カニエが成功したらすぐ、どっかに売ってもよかっただろうし。
(渡辺志保)そうですよね。私も思った。
(DJ YANATAKE)カニエの許諾も取れなかったのか、もっといい時期が来るから待ってようって思ってたのか……。
(渡辺志保)それにしても、20年って……。
(DJ YANATAKE)で、結果的にこれ、Netflixが33億円で買ったんだよね。だから、誰がどういう権利分配になってるのか全然わかんないですけど。まあ、クーディさんもこれで……他の仕事も調べたらいっぱいやってらっしゃるんだけども。
(渡辺志保)ねえ。エリカ・バドゥの『Window Seat』のミュージックビデオとか。あれもすごい衝撃的だけども、あれもクーディさんが撮っているんだよね。
(DJ YANATAKE)でもクーディさんもさ、すげえ金がない時期とかも長かったはずですよ。絶対に。だからよく一番……まあ、現時点でですよ? これから先、またカニエはわかんないけども。現時点で一番値段がつくとこまで待って、売れたような……だってNetflixみたいなのが出てくるなんて、その時にはわかんなかったわけだし。
(渡辺志保)本当、そうですよ。だからその、どこで終えようかっていうのはすごいミラクルじゃないですか? だって普通、私がたぶんシカゴ時代から撮っていたらまず『The College Dropout』をリリースしてグラミー賞で……っていうところで終わると思う。
(DJ YANATAKE)そうだよね。その時に出したいよね。出したくなるよね。なぜリリースがこのタイミングだったのか? それは結構気になっていて。
(渡辺志保)それはこれから紐解かれていくのかなって思いますけどね。
(DJ YANATAKE)でも結論だけ言うと、『DONDA 2』のタイミングでもあったっていうのもあるんですけど、すごい最高だったし。結果、この間のスーパーボウルじゃないですけど。今、このドキュメントがアメリカとかでも盛り上がってるんだなと思うのは、ストリーミングとかダウンロードとかめっちゃ伸びてるのね。カニエの昔のが。チャートとかに入ってきてるんだよね。
(渡辺志保)そうそうそう。だから、これを見てまた『The College Dropout』を聞きたいなとかね、なるよね。
(DJ YANATAKE)やっぱりそうなるよね。『Through The Wire』とか、聞いちゃうよね。
カニエの過去作がチャートで上昇
(渡辺志保)だってさ、カニエがその自分の顎に入っていたワイヤーをお医者さんに取ってもらって。「血が付いてるままのやつをください」とか言っていて。「えっ、拭かなくていいの?」「いや、血が付いてる方がお母さん、喜ぶと思うんで」って言っていて。「マジか!」みたいな。
(DJ YANATAKE)俺もそれ、面白いシーンだったけどさ。なんかたぶん、こういうの後々にさ、博物館ができた時に飾るみたいな。わかんないけども。その方が価値があるから残しているみたいな。
(渡辺志保)あとは結構この第2話でフィーチャーされてたのは「俺はラップ界のベストドレッサーになりたいんだ」みたいなことを繰り返し言ってて。「まさに!」っていう。
(DJ YANATAKE)いや、本当なんだよね。
(渡辺志保)だから前もヤナさん、「カニエの伏線回収」とかっておっしゃってたけど。伏線回収できるように編集してるクーディさんチームが本当にすごいなって。
(DJ YANATAKE)だからもっと実現できなかったことも言ってるのかもしれないけど。でもやっぱり1回、言ってみるっていう感じなんだろうね。
(渡辺志保)そうそうそう。だから私もアメリカのレビューなんかで「カニエは本当に有言実行だ」みたい一文を見たんですけど。「まさにだな」って思って。
(DJ YANATAKE)本当、有言実行ってすごい似合う言葉ですね。
(渡辺志保)似合うし、結構日本の方とか、どうなんだろう? 別に国籍は関係ないと思うけど。一番やり遂げたいことはあえて口にしないとかね、そういう方もたくさんいると思うけど。やっぱりカニエみたいにとりあえず言っておくっていうのはあるのかなってちょっと思いましたね。
(DJ YANATAKE)そうなんだね。いやー、だからとにかく順風満帆に見えたり。今、最近のカニエだけを決めると本当に最初からスーパースターになったカニエから出会ってるリスナーの人もいっぱいいると思うんだけど。
(渡辺志保)そうかも。だってスニーカーを売るようになってからカニエのことを知ったっていう方もたくさんいらっしゃるかもしれないもんね。
(DJ YANATAKE)なんだけども。まあ全然、今のカニエ・ウェストは一夜にしてカニエ・ウェストになったわけじゃないっていうのをね。
(渡辺志保)そうそう。だから最初の第1巻のタイトルは『Vision』。第2幕は『Purpose』。「目的」っていうことで。最終話の第3幕は『Awake』。「目覚め」っていうタイトルがついていて。1回、ズドーンと落ちたカニエが目覚める様子をどうやって描いているのか、本当に気になるので。明後日の夕方5時ぐらい、私はもうすごい泣いているかもしれない。
(DJ YANATAKE)本当ですよね。できるだけいい環境で没頭して見ていただきたいなと。
(渡辺志保)本当、そんな感じです。なのでまたね、第3話が公開されて次週の『INSIDE OUT』は絶対にまたこの話をすると思うので。
(DJ YANATAKE)そうですね。みんなも全然追いついて。見ましょう!
(渡辺志保)見ていない人はぜひっていう感じですね。
(DJ YANATAKE)あと、なんか僕はまとめみたいな感じで思うんですけど。日々、ヒップホップのニュースをめちゃくちゃ見てるんですよ。なんだけど、ここ1ヶ月とかは特になんですけど。これ、ヤナタケジャッジですけど。ヒップホップ全体のニュースの4割ぐらいはカニエが占めている。それぐらい……下手したら5割ぐらい。すごいんですよ。日々こんなにニュースを打ち続けられるのかって。
(渡辺志保)だってもうジュリア・フォックスと別れちゃったもんね。あの俳優のジュリア・フォックスと別れちゃって。私、SNSを見てたらまた新しい女の子を……もう特定されてましたけれども。連れていて。それがまたちょっとね、サングラスをかけてるんだけども。結構、キム・カーダシアンを間違いなく彷彿とさせる……。
(DJ YANATAKE)それ、狙ってるんじゃない? だってジュリア・フォックスにもキム・カーダシアンみたいな服を着させたりしているのが話題になっていたわけじゃん? だから、いや、これはもう凡人にはわかんないですけど。キム・カーダシアンもそうですけど。たとえばまだ、離婚が成立してない状況で。子供も4人いて。その状況で新しい彼氏、作る? ピート・デイヴィッドソンとか。で、カニエが今、めっちゃ攻撃していて。カニエがもうおかしなことになってるみたいな見方もあるが、それも間違ってないとは思うんだけど。じゃあカニエもさ、そんなに「キム、キム」って言ってるのに新しい彼女をもうそこから2人も作る?
(渡辺志保)そうね。あてつけのようにね。
(DJ YANATAKE)でも、そうやって話題を作ってるっていう、もう超優秀なマーケティング説っていうのも……。
(渡辺志保)まあ、絶対にパブリシストというか。いらっしゃるとは思うけどね。
(DJ YANATAKE)だって人間が……俺ら、音楽の仕事をしてるから、他の人よりも音楽の情報を追いかける時間はありますよ。でも、普通の人が会社で頑張って働かれていて。自分の趣味に当てられる1日の時間って限られてるわけじゃないですか。その中で何か情報を追いかけたりとか知ったりする時間って1日の中で限られていて。その時間をどんだけ奪えるか?っていうことじゃん? だからあまりにも話題・トピックがデカかったりさすることが多いから、そっちに気が行くわけじゃない? そうするとさ、カニエのことを考えさせたらさ、やっぱりそれが数字になるんだよね。
(渡辺志保)まあ、そうかもしれない。たしかにそうだ。
(DJ YANATAKE)だから他に目を向けさせないくらい話題を打ち続けている。これ、どこまで狙ってやってるのかわかんないですけど。これはすごいことですよ。すごいやり方なんですよ。
(渡辺志保)本当にすごいし、そんなのだって凡人にはできないからね。
(DJ YANATAKE)俺らが俺らがどんな変なことをしたって、ニュースにならないんだから。
(渡辺志保)そうよ。まあ、だからなかなかね、精神的にも疲れる毎日なのではという風にも思いますし。あと個人的に気になっておりますのは4月14日からまた今度はHuluでカーダシアンのリアリティショーがね始まるんですよね。『The Kardashians』っていうのが。そこでどうなるのか……。
(DJ YANATAKE)なんか僕が見たゴシップニュースだと、もうそこでカニエの話をしてウキウキで撮影に臨んでいるキム・カーダシアンみたいなのもあるんで。それも含めて、まあビジネスにもちゃんと繋げてるのはハート強えなっていう。
(渡辺志保)いや、マジでハート強え! 4個ぐらい、ハートあるのかもしれないですね。
(DJ YANATAKE)まあ、そんなところですかね。
(渡辺志保)また次週もカニちゃんの話はしたいと思います。
<書き起こしおわり>