東野幸治 フルマラソンで感じた人間の嫌な部分を語る

東野幸治 フルマラソンで感じた人間の嫌な部分を語る 東野幸治のホンモノラジオ

東野幸治さんが2022年1月14日放送のABCラジオ『東野幸治のホンモノラジオ』の中でかつて出場したフルマラソンで「ホンマに人間って根性が悪いな」と感じた瞬間を話していました。

(東野幸治)続いてのメールです。「ダディ、こんばんは。自分はダディが勝俣さんとやっていた『東西芸人いきなり!2人旅』が大好きで、いまだにハードディスクに残しています。先日、見返していたら少し気になるフリートークがありました。それはダディがフルマラソンを走っていた時の話です。ゴールデンウィークに岡山のレースに出たら暑くて喉がカラカラになってしまったダディ。すると沿道でおばあちゃんが小さい紙コップにお茶を出してくれていたそうです。それを飲もうと手に取ったダディ。そのお茶がまさかの熱々だったため、それを地面に叩きつけておばあちゃんを睨みつけて走り去ったとのことでした。よっぽど喉が渇いていたのでしょうか? おばあちゃんもよかれと思ってやっていたのに……ちなみに勝俣さんは『もう一度戻ってひっぱたけば?』と言っていました。この出来事、覚えていますか?」。めちゃめちゃ覚えています!

俺、『東西芸人いきなり!2人旅』も覚えているんですよ。ABCの土曜か日曜の実験枠みたいなのがあって。半年限定なんですよ。それで言われて。「ええっ? いや、いいねんけど……」って。その時、俺は『旅猿』っていうのも岡村とやっていて。「旅番組2本って、かぶれへん? 『旅猿』のスタッフとか演者にも悪いし。それ、やらん方がいいん違う? どういう内容?」「いや、東西の芸人が会って、ロケをする。それを見てもらうっていうことなんです」「ええっ? それ、おもろいの?」っていう感じでやったのを覚えているんですよ。

で、初回のVを見て「おもろいやん!」って。それで発言を撤回したんですよ。ほんなら、半年のはずが好評やったみたいで1年ぐらい続いていて。なんか面白いロケっていう印象でした。また機会があったら、ちゃんとやりたいなって思いますし。この頃、話していたのが岡山のフルマラソンに出たのを覚えているんですよ。42キロで。トライアスロンに挑戦するっていうことで。フルマラソン、最後に42キロ、走らなあかんから。泳いで3キロ、バイクで190キロ、最後にフルマラソンっていう風に過酷なんですよ。で、1回、ちょっとフルマラソンをやろうっていうことで。4時間ギリギリみたいなのを目指してがんばろう、みたいなのでやったんですよ。

ほんで、ヘロヘロになって。30キロぐらいまではね、なんかトレーニングで特になんともなく行けるようになったんやけど、残りの12キロがやっぱりしんどいんですよ。疲れてきて。で、やっぱり水が飲みたいとか、炭酸、コーラ的なものが飲みたいとかなってきた時に、ラスト2キロのところのそういうステーションで、岡山の地元の方が各々でサービスをしてくれる中で、やかんに入れた飲み物を紙コップで出していたんですよ。

でもてっきり、ラグビーの魔法の水的なやつやと思ったんですよ。それで、紙コップを握って口に当てた瞬間にもう、指のひらが熱いのをわかっていたんですけども、しんどくて止まらなかったんですよ。ほんで「わあっ!」って。もう飲む半分、顔に冷やす半分でかけたら、めっちゃ熱かって。で、紙コップを地面に叩きつけて「熱いやないか!」って言って。で、向こうも特になにも言うことなく、反対を向いてまた熱いお茶を誰かに配ろうとしていたんですよ。それ、すっごい覚えているんですよ。

熱々のお茶を地面に叩きつける

(東野幸治)そういうマラソン……今までのイメージは最後はみんなでハッピーに走ろう。手と手をとってゴールをしようみたいな印象の強かったスポーツやけども。やってみたら全然ちゃうかったんですよ。こんな嫌なスポーツ、あるのかっていうぐらい。一般の方が走るのはいいんやけども、やっぱり有名人とかが走ると人の嫌なところがすごい見えるんですよ。ずっと42キロ、4時間走っているじゃないですか。ほんなら、走っている人が俺がトライアスロンをしているっていうのも知っているから。「東野さん、これ42キロ、がんばるんですね。がんばってくださいね」とか、すごい声をかけてくれるんですよ。

「ああ、そうなんです」「ファイト、東野さん!」「ひがしのり、ファイト!」とか。「ああ、ありがとう」みたいな感じで。みんなが声援してくれて嬉しいなって思って走っているじゃないですか。で、みんなが抜いていくんですよね。俺、だいたい4時間ぐらいのペースやから。で、それが10キロ、20キロぐらいになっていったら、その最初の方で「東野さん! ファイト!」とか「がんば!」とか言うてくれていた人が疲れて走っていて。俺が同じペースでずっと走っているから、なんか抜くんですよ。

「ああ、最初におって声をかけてくれた人や」って思って抜くんですよ。何気なく抜くじゃないですか。向こうからしたら「はっ、東野、抜いた!」って思って。そこから1分ぐらいしたら、すごい形相で抜き返すんですよ。そんなんが、いっぱい出てくるんですよ。俺が抜いていったら、声をかけていった人が全部抜いていくんですよ。「待って」ってなって。走りながらずっと考えていて。「これって、あれか?」って思って。みんな、ゴールしてご飯とかを食べている時に「どうだった?」「タレントの東野幸治、いた」「どうだったの、東野って? 早いの、遅いの?」「いや、一生懸命がんばっていたよ。たぶん俺より後ろを走っていたからよくわからないけど……」みたいになるんですよ。

だからその俺が前に行っていることが許せないというか、悔しいというか。「人ってホンマに根性が悪いな」ってつくづく思ったんですよ。「こんなに悪いか!」みたいな。すっごい嫌な顔で走ってくるんですよ。抜き去った後、1分ぐらいならまだいいですよ。抜き去る瞬間に「あっ!」っていう顔をしてバッとスピードを上げるんですよ。こっちもカチンと来て、またスピードを上げるじゃないですか。そこにはもう、憎しみしかないんですよ。「こいつには負けへん!」みたいな。

そこにはもう、憎しみしかない

(東野幸治)あと、大阪マラソンで実際にあったんですけども。走っていて、やっぱり有名人が走っていたりすると、みんなそれ目当てでバーッと応援するんですよね。まあまあ、参加させてもらったから、こっちにも非があるんですよ。声援とか声をかけていたら「がんばれ!」とか「東野、ファイト!」とかってなったら会釈したり、手を上げたりするんですよ。それが10キロ、15キロやったらいいけど、これが20キロとか30キロとかになってくるとだんだんしんどなってくるんですよね。

で、途中で思い出して。沿道の声援から一番遠い、道の真ん中を走ろうとするんですよ。道のど真ん中で、等距離で声が届きづらいところ。なおかつ、しんどい芝居をしながら走っているんですよ。「もうみんなの声なんか聞く余裕がない」っていう芝居をしながら走っているんですよ。俺、「これ、なにやっとるんやろうな?」って思って。「ゼエ、ゼエ、ハア、ハア……」って。過剰な芝居をして走って「声援には応えられません」っていう免罪符みたいな。「東野、愛想悪いんじゃなくて、しんどいから挨拶できへんねん。会釈せえへんねん」っていうお互いの落としどころみたいなので走っているっていうのもおかしい。

あと、大阪マラソンで実際にあったんですけども。あるおばちゃんがね、太鼓を持っていたんですよ。ドーン、ドーン、ドーン!って。変なおばちゃんですよ。ほんで、俺だけじゃなくてその一団の全員に向かって「走っているあんたらもしんどいかもしれへんけど、応援している私らもしんどいねんで!」って言われて。全員で黙ってそこを素通りっていう。すごく、覚えています。まあ、結論ですけども、あんまりするもんじゃないと思います(笑)。なんか噂に寄ると、歩くのが一番いいらしいですよ。健康には。はい。あんまり無理して走るもんじゃないと思いますけども。よかったら皆さん、走ってください。

<書き起こしおわり>

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