宇垣美里と宇多丸『ドント・ルック・アップ』を語る

町山智浩『ドント・ルックアップ』を語る アフター6ジャンクション

宇垣美里さんと宇多丸さんが2022年1月4日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で映画『ドント・ルック・アップ』について話していました。

(宇多丸)年末年始、多少はゆっくりされたりしたんですか?

(宇垣美里)ああ、もう。それはもう。

(宇多丸)それはもう……土日の2日だけどね(笑)。

(宇垣美里)なんか引きこもって、いっぱい映画を見て。たまに犬を撫でて、散歩して帰ってきてっていう感じでした。

(宇多丸)穏やかな日々ということで。結構ね、WOWOWでもやるアカデミー賞の授賞式のね、司会というか。やるじゃないですか。

(宇垣美里)そうなんですよ。このへんから準備していかないと。

(宇多丸)そうそう。でも、それがお家で見られるものが結構あるということで。

(宇垣美里)そうなんですよ。宇多丸さんにお勧めしていただいたものもいくつか見まして。

(宇多丸)『ドント・ルック・アップ』だの……。

(宇垣美里)最高! あれ、私は元日に見たんですけどね。

(宇多丸)正月にぴったりのめでたい映画! もう、景気よくね!

お正月にぴったりの景気のいい映画

(宇垣美里)もうぴったり! 「ドッカーン! はい、人類は本当に愚か!」みたいな感じでね。

(宇多丸)「バカは死ななきゃ治らない!」っていう感じでね。

(宇垣美里)しかもこれが全く嘘とも言い切れない感じがよくて。

(宇多丸)やっぱりそうなんだよね。僕も見ましたけど、やっぱり科学というものに対する政治の距離の感じとか。

(宇垣美里)なんか「楽しく伝えるの!」みたいな感じだから。「はい、はい」って思いながら見ていました。

(宇多丸)巨大彗星が地球に迫ってきて。危機が迫って、さあどうする?っていう、本来なら『アルマゲドン』みたいな話なんだけども、実際にはこういうことになってしまうのではないかというダークコメディなんですけどね。あのね、「もうほぼ100パーセント、当たるんで」「えっ? 100パーなの?」「いや、99.7……」「ああ、じゃあ100じゃないんですね。よかった、よかった」って。

(宇垣美里)「じゃあ、70にしましょう」。

(宇多丸)「えっ? 『70』ってどこから出てきた数字なんですか?」「いや、だって100なんて言ったら話を聞いてもらえないですからね」みたいな。これがやっぱり政治と科学の距離というかね。まあ、どっかでも聞いたような話かなという感じがしますしね。

(宇垣美里)で、本当にケラケラ笑いながら、「こりゃ、本当にやったら地球、終わるぞ……」っていう気持ちになりましたね。

(宇多丸)あれ、だからねコロナもそうだし。まあ環境破壊とかね、そういうこと全部に言えることかもしれないけども。

(宇垣美里)だから本当に、たとえばゴジラが来たら『シン・ゴジラ』みたいにはならんのだな、みたいな気持ちにもなりました。

(宇多丸)一致団結してね。

(宇垣美里)どんなに優秀な人がいてもね。

(宇多丸)「知恵をうまく使って……」なんてことを言うけども。

(宇垣美里)そんなことにはならんでよっていう。

(宇多丸)そうなんだよな。残念ながら……という学びを爆笑しながら得る『ドント・ルック・アップ』。爆笑映画ですけどね。本当にね。

(宇垣美里)爆笑ですよ、本当に。もうしょうもない!

(宇多丸)あれ、でも腹立って……怒りと笑いで……みたいなさ。もう「しょうもな!」って笑うしかないみたいな。

(宇垣美里)どうしても、その一番最初に発見した女の子に感情移入しちゃって。

(宇多丸)ジェニファー・ローレンス演じるね。

(宇垣美里)「もう、こいつら!」みたいな。

(宇多丸)ジェニファー・ローレンス、ちょっとパンキッシュな着こなしがかっこよくない?

(宇垣美里)かっこいい! あの髪型、ちょっとやりたくなっちゃった。

(宇多丸)ちょっとパッツンで、赤で……。

(宇垣美里)眉毛より上のところで切って。しかも耳の上ぐらいまで刈り込みして。で、ストンと。

(宇多丸)で、MA-1とか着てさ。すげえかっこいいの。ちょっとパンクな感じ。いいよね。それに対して、どうですか? あのディカプリオのテンパり中年。

(宇垣美里)オロオロ、アワアワ……みたいな。

(宇多丸)ディカプリオと言えばテンパり中年演技がもう今、すごく板についてきて。

(宇垣美里)かわいいんだけども、そこに引っかかって……バカよねえ(笑)。

(宇多丸)そしてケイト・ブランシェット!

(宇垣美里)あの服、なに?(笑)。

(宇多丸)驚きじゃない? あんな役、できるのね? 要するにケイト・ブランシェットといえばさ。

(宇垣美里)『オーシャンズ8』のさ。かっこいい!っていう。

(宇多丸)とにかく高貴みたいな。『オーシャンズ8』的なチンピラ役をやっていてもね。

(宇垣美里)それをしていても、かっこいいじゃないですか。めちゃくちゃ。

(宇多丸)『ブルージャスミン』はちょっとだんだん様子がおかしくなっちゃう人だけど。でも、自分の中での尊厳を保ってるっていうさ。自分の中での高貴があるっていうところがぴったりだったけど。今回はもうゲスの極みじゃない。あんなの、できるんだね。

(宇垣美里)あのチャラつきというか、俗っぽさ。

(宇多丸)最初、わかんなかったでしょう? 「誰? このテラテラしたタイラー・ペリーの横にいる人?」って。タイラー・ペリーもまた、あのおちょぼ口が腹立つ!(笑)。これは完全に言いがかり(笑)。

ゲスの極み、ケイト・ブランシェット

(宇垣美里)あと、あの息子!

(宇多丸)ああ、ジョナ・ヒルね! メリル・ストリープ演じる大統領の息子役のジョナ・ヒル。ジョナ・ヒルが久々に本当に腹立つ男を……。

(宇垣美里)「なんか全体的にこいつ、ずっとムカつく!」みたいな(笑)。

(宇多丸)でも、オチの部分でね。あんななっちゃって、ねえ(笑)。行くも地獄、引くも地獄よ。

(宇垣美里)「この子もこの子でかわいそうに……」って最後、ちょっと思わせられたりとか。

(宇多丸)そうだよね(笑)。皆さん、ごめんなさい。楽しそうに話をしていて何のことかわからないかも……『ドント・ルック・アップ』っていう今年のいろんな賞レースにも絡んでくると思いますし。Netflixでも見られますからね。

(宇垣美里)なんせ豪華。Netflix映画だけあっての。

(宇多丸)そう。オールスターキャストだから正月にふさわしい豪華な……。

(宇垣美里)みんな出てきたよ!っていう。

(宇多丸)最高級かくし芸大会みたいな(笑)。そのぐらいの豪華さがある。

(宇垣美里)日本の『マスカレード・ホテル』みたいな。みんな、バーン!って(笑)。

(宇多丸)ハリウッドの『マスカレード・ホテル』ですよ。本当にね。

(宇垣美里)シャラメも出てきますし。

(宇多丸)シャラメ、おいしかったね!

(宇垣美里)シャラメと、チューしたーい(笑)。みたいな気持ちになっちゃう(笑)。

(宇多丸)アホか!(笑)。こんな……日比さんだってそこまでアホな発言はしてないですよ?(笑)。

(宇垣美里)なんか、そういうやり取りがあるじゃないですか。ちょっと恋仲になったり、ならなかったりみたいな。

(宇多丸)あの出だしのところで「ああ、こんな役なんだ?」って思うじゃない? 最初にね。

(宇垣美里)そう。ちょいかなって思いきや……でも、あそこでちょっとなんだかんだと言っているところで「いや、即決やろ?」みたいな気持ちで見てしまったっていう(笑)。

(宇多丸)アホですよ、あなた(笑)。いやいや、でもね(笑)。

(宇垣美里)っていう風になるぐらい、救いとなるキャラクターだったかなっていう風に思いますね。

(宇多丸)最後の食卓はね、ああいう感じでね。

(宇垣美里)ガタガタガタッてなりながらもね。

(宇多丸)ちょっと恐ろしいですけどもね。まあ、ぜひちょっと……(笑)。それ、WOWOWで言ってね? 「シャラメとチューしたーい」って(笑)。いや、でもそういうことよ(笑)。

<書き起こしおわり>

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