宇多丸推薦図書『全裸監督 村西とおる伝』を語る

宇多丸推薦図書『全裸監督 村西とおる伝』を語る 宇多丸のウィークエンド・シャッフル

宇多丸さんがTBSラジオ『タマフル』推薦図書特集の中で本橋信宏さんによる村西とおる監督の評伝『全裸監督 村西とおる伝』を紹介していました。

(宇多丸)2冊紹介したいんだけど、1冊は例によって玉袋筋太郎さんの強力プッシュで読みました。前に、『マイク・タイソン自伝』をこのコーナーで紹介して。あれはめちゃめちゃ面白くて。

宇多丸 『真相 マイク・タイソン自伝』を絶賛する
ライムスター宇多丸さんがTBSラジオ『タマフル』の秋の推薦図書特集 放課後ポッドキャストでマイク・タイソンの自伝本を推薦。『近年いちばんの面白さ』と絶賛していました。 (古川耕)じゃあ宇多丸さん、どうですか (宇多丸)どっちにしようかなー?...

(伊藤聡)面白かったです。

(宇多丸)で、実際に(タマフル)ブックフェアでもすごく出たらしいんですけども。玉さんが――私もそう思いますが――「マイク・タイソンを超えた!」という。マイク・タイソン自伝を超える、衝撃的に波乱万丈なこれは自伝というよりは評伝なんですけども。なにかと言いますと、ズバリ! 『全裸監督 村西とおる伝』でございます!

(伊藤聡)うわっ、厚い! 結構分厚いですね。

マイク・タイソンを超える波乱万丈な人生

(宇多丸)これはドスンと来ますね。村西とおるさん。かつてね、クリスタル映像からダイヤモンド映像。AV……いわゆるアダルトビデオの盛り上がり期というか、それこそ今でこそ普通になった顔射であるとか。世界の言葉、「顔射」。あと、駅弁ファックとかね、ああいったものとか。いまのAVの盛り上がりのある意味基礎というか最初の盛り上がりを作った方であり。そうなんだけど、それは彼の人生の中の、ものすごく盛り上がったポイントだけど、結構ごく一部でしかないというですね。

(伊藤聡)へー!

(宇多丸)とにかくね、こんな波乱万丈な人、いる?っていう感じなんですよね。最初は百科事典・英会話教材のセールスマンで圧倒的トップの営業成績をあげると。しかも百科事典の何冊も何十冊もあるような、一気に買うと何十万も何百万もするやつかな? それを英語で書いてあるような事典なんですよ。で、当時事典を買うのが流行りだったとはいえ、そんなの買わないじゃないですか。普通。それをめちゃめちゃ買わせるテクニックで、応酬話法という彼の対話テクニックがあります。

(伊藤聡)へー!

(宇多丸)この間も、実はMXテレビでご一緒させていただいて。やっぱりセールスのテクニックでね、なんでみんなこれを「売れない、売れない」というのか、自分には不思議で仕方なかった。簡単なんですよ、この応酬話法を使えば……みたいな感じにおっしゃっていて。セールスマンとして大成功をし、その後にビニ本、裏本。もういまや完全に死語になってしまいましたね。まあ、ちらりと毛が見えるとか、もうちょっとよく見ると……裏本なんかはもう見えちゃっているというような。それの制作と販売ルートを全部作って北海道で巨万の富を築き上げ……

(伊藤聡)へー!

(宇多丸)築き上げるんだけど、指名手配され、逮捕され……というような。で、そこからAV監督になって、クリスタル映像、ダイヤモンド映像。もう一大王国を作りますね。特にやっぱり黒木香さん。『SMぽいの好き』。「ナイスですね~」っていうね。「ナイスです」「お待たせいたしました。お待たせしすぎてしまったかもしれません!」って。もう得意のあのトークで盛り上がって。そこから、たとえばジャニーズ事務所とモメるわ、事業拡大に失敗。50億円の負債を負い……とかね。闇社会から過酷な取り立てを受けるとか。あと、FBIに捕まって懲役370年を求刑されるとか。まあ、いろんなことが書いてあって。とにかくズラズラズラッと書いてあって、そのどれもが実話であるという。

(伊藤聡)(笑)

(宇多丸)で、もう時間がないんで、一言で言います。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』みたいな感じなのよ!

(伊藤聡)ああーっ!

(宇多丸)『ウルフ・オブ・ウォールストリート』みたいな感じで映画化してほしいっす! 日本のピカレスクロマンっていうかですね、ピカレスクコメディーとして。マーティン・スコセッシさん! 『沈黙』の次は『全裸監督』をいかがでしょうか?

(伊藤聡)(笑)

(宇多丸)という、要するに『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のタッチで思い浮かべて読んで下さい!

(伊藤聡)ああっ、絶対に楽しいじゃないですか。

(宇多丸)最高です! もう最高。痛快! もう、こんな男がいるのか!っていう痛快さ。『全裸監督 村西とおる伝』をおすすめします。

<書き起こしおわり>

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