日比麻音子さんと宇多丸さんが2022年1月5日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で映画『ドント・ルック・アップ』について話していました。
DON’T LOOK UP is now the #1 movie worldwide on Netflix! ☄️
Leading the top 10 in 94 countries with over 111 million hours viewed, audiences just can't look away from Adam McKay’s star-studded new film. pic.twitter.com/fni3RVtld2
— NetflixFilm (@NetflixFilm) December 28, 2021
(宇多丸)お正月、そのいろいろと浴びるようにご覧になったというコンテンツ。なにか印象に残ったものはありますか?
(日比麻音子)ようやく……2021年のラスト映画は『ドント・ルック・アップ』で締めさせていただきまして。
(宇多丸)出ました! まず、端的に面白いでしょう?
(日比麻音子)面白かったです。私も一応、一キャスターとして、放送に携わる立場にはありますので。
(宇多丸)そうか。あれは放送物でもあるか。
放送人としての感想
(日比麻音子)ちょっともう、びっくり仰天っていうか。「ゾッとした」っていうのが一番大きな感想で。どうしてキャスターの人ってああいう風に描かれがちなんだろう?っていうのはひとつ、疑問に思いましたね。
(宇多丸)「ああやって」というのは?
(日比麻音子)どうしても、派手で、インテリなんだけどもちょっとアグレッシブがすぎるみたいなキャラに描かれがちだなって思いながら。
(宇多丸)あと、なんとなくちょっと心無い感じとか。そういう風に描かれる。まあ、もちろんね、あれはすごくダークコメディだから。まあ、デフォルメはしているけども。あの立場に行くまではきちんとした努力は重ねられたと思います。それはもちろんね、そうなんだけどね。
(日比麻音子)お話のストーリーとしても、やっぱり面白いがゆえの怖さっていうのはすごく感じて。
(宇多丸)巨大彗星が地球に向かって迫ってきて、確実にぶつかりますという。で、ぶつかったら確実に地球上の生命はほぼ100%、死滅しますっていうことがちゃんと科学的に予測されている。にもかかわらず……っていう話ですよね。
(日比麻音子)いろんな問題というか、側面が凝縮されていたので。もう2021年のラストを締めくくるには最高の作品でした。
(宇多丸)ねえ。さっきの報道の話で言うと、この番組も毎日やっている番組で。なんというか、特にバラエティ感の強い番組……なんでもほんわかした笑いに落とし込もうとするっていう話じゃない? キャスターがね。だから、それが全体の人類の態度に通じていて。これがリアルっていうか。なにがあっても、今までの自分たちの常識とか日常の範囲に落とし込もうとするっていうことがすごくリアルっていうか。心情としては、わかるじゃない?
(日比麻音子)そうですね。やっちゃいがちだなっていう。もちろん他人事とは思えない。というか、自分の話だって。
(宇多丸)でも最初にバーン!って「地球は滅びます!」って言ったら「そんな、エキセントリックな……」ってなるのもすごいわかるし。そこで「ワーッ!」ってなっちゃったのがすごいネットミーム化しちゃって、からかわれちゃって。あの、なんていうか「大事なことを言っているのに全然バズってないんですけど?」っていうあのくだりとか、なんか頭を抱えちゃうよね。
(日比麻音子)「まあ、そうか……」っていう。なんでしょうね。
(宇多丸)こっちの芸能人同士の揉め事……アリアナ・グランデが(笑)。
(日比麻音子)そっちの方がバズっちゃって。一方で視聴率は落ちちゃって……っていう。「ああ、数字って怖い。っていうか、組織ってこうだよな」みたいな風に思いながら。
(宇多丸)で、「あなたはハンサムだから、また出てね。彼女は……まあ、しばらくいいかな?」みたいに笑いに落としちゃって。
(日比麻音子)「メディアの練習をした方がいいわよ」なんて。
(宇多丸)なんかそこに落とし込んじゃう感じの怖さもあるし。でも、それが最後にね、もういろんなことを言っていた人が……あの、マーク・ライランス演じるIT長者というか。スマホとかを売っている側。彼のあのキャラクターのなんというか、ああいうIT長者のイヤミなやつって最近、割と悪役になりがちだけど。マーク・ライランスの役作りはちょっと1枚、上手じゃない? 表情を一切変えず、目もほとんどまばたきせず。
(日比麻音子)あと、声の出し方とかも不思議。
(宇多丸)ずっとうっすら笑っているようでもあり。で、穏やかに話しているんだけども、実はとっても恐ろしいことを言っていたり。あの平静を保ったままスーッといなくなるっていう(笑)。
(日比麻音子)あのシーンもすごいよかったな!(笑)。
(宇多丸)あのさ、「うん、順調だね。順調、順調。あ、ちょっとトイレにね、ちょっと……」って(笑)。
(日比麻音子)嫌になっちゃう、本当に。人間的であり、機械的であるっていうあの微妙なバランスを演じていたのが怖かったし、面白かったですね。
(宇多丸)怖かったし、面白いだよね。だし、面白いし、怖い。Netflixです。あ、ちなみに最後にシャラメはいかがでしたか?
ティモシー・シャラメ情報
~just positive thoughts with Timothée Chalamet~@dontlookupfilm pic.twitter.com/BQdLF6TA0h
— NetflixFilm (@NetflixFilm) January 2, 2022
(日比麻音子)ああ、シャラメ! いい仕事、していらっしゃいましたよ。本当にもう。でも、もう全て宇垣先輩が思いを語ってくださったということで(笑)。
(宇多丸)宇垣パイセンは昨日、劇中の状況になぞらえての発言ですけども。「シャラメとチューしたーい」って(笑)。
(日比麻音子)らしからぬ(笑)。
(宇多丸)「日比さんもそんなこと、言わないよ」っていう(笑)。
(日比麻音子)ええと、それは、うん。「ゆずるぜ」っていう(笑)。
(宇多丸)いやいやいや(笑)。
(日比麻音子)なに? 「ゆずる」って(笑)。
(宇多丸)Netflix。面白いよ!
<書き起こしおわり>