安住紳一郎『THE TIME,』「インタビュー上手いでしょ」メモ流出事件を語る

安住紳一郎『THE TIME,』「インタビュー上手いでしょ」メモ流出事件を語る 安住紳一郎の日曜天国

安住紳一郎さんが2021年10月17日放送のTBSラジオ『日曜天国』の中で朝の新番組『THE TIME,』生放送中に起きたハプニングを紹介。インタビューが上手く行き、いい感じで進んでいた放送の中で原稿に書かれた恥ずかしいメモが映ってしまったことについて話していました。

(安住紳一郎)さて、それから私は10月から生活が変わりまして。今、テレビで朝5時20分から朝8時まで、新しい朝の情報番組を10月から始めました。番組の作りが大きく変わったので、慣れるまで体裁がなかなか揃いにくくて連日お恥ずかしい限りなんですけれど。何とか2週間、乗り切りましたという感じですね。

(中澤有美子)ねえ。お疲れさまです。

(安住紳一郎)なかなか……難しい作業の連続で。

(中澤有美子)楽しく拝見してますよ。

(安住紳一郎)いえいえ。少しね、臨機応変に急遽変更OK。自由裁量上等というやり方で進めているので、最近の情報番組の作り方とはやり方が違うんで、生らしいものが出せて楽しいなという一方で、現場はてんやわんやっていうところ、ありますね。ちょうどね、前の時間帯に兄弟番組を作ったので。『THE TIME′』という番組が早朝にあって。その後に『THE TIME,』っていう番組……同じスタジオなので、同じカメラさんたちに撮ってもらったりしてるんですけども。

なので、そのまま前番組からのお客さんが残ってくださるっていう思惑とは裏腹に、リハーサルとかができないんですよね。なので普通、情報番組だと2、30分ぐらいカメラがどこを撮る、ここを撮る。この時はここに立つっていうのを決めるんですけども、ぶっ続けになっちゃってるんで。1度、止めて確認することができないので。ほぼ、ぶっつけ本番みたいな感じでやってるので、なかなか大変だっていうことはあるんですけども。逆にそこに挑戦しようということですけれども。

先週の、何曜日でしたでしょうかね? ちょっと曜日がもう定かじゃないんですが。ちょうど新型コロナワクチンのニュースをスタジオで話していて。で、私が専門家の先生とテレビ電話越しでインタビュー、話を聞いていたんですね。ZOOM回線を使って。よく情報番組では見ますよね。そういうのを。で、私がメインで聞くことになっていて。ところが予定していた質問を私、変えたんですよね。私、そういうことを結構やりたがっちゃうんで。そしたら、ちょうど先方の先生の考えていたこと、お話しされたいことの近くにその質問が刺さったみたいで。急にその先生のお話に熱がこもって。とても情報として、インタビューとして充実したものになりかけていて。嬉しいですよね?

 で、自分は「このまま先生の話をもっと聞いた方がいい」と思って。「次に予定されているものを飛ばしても、これで押し続けるべきだ」っていう風に判断しますよね。で、横にいる2人のアナウンサーに目でアイコンタクトを取るわけですよ。で、2人のアナウンサーもそれぞれ、「次の段取りを変えるんだ」「安住さん、わかりました」っていうような理解した顔つきで、若干緊張を帯びた目で視線を返してくれる。いいですよね?

(中澤有美子)はい。

(安住紳一郎)で、1人のアナウンサーが「次のニュースのスタジオを飛ばしましょう」なんて言って、赤ペンで紙に書いて。で、私の机の上に紙をバーッと滑らせてくれて。「先生の話で行くべきです!」なんて言って。「そうそう! I agree!」みたいな感じでしょう? 「I see!」っていう感じ。「わかってるね!」っていう。頼もしい。で、私も「そうしましょう」って言ってその紙に赤ペンで書いて、それをまたプッと戻すんです。で、いい流れじゃない? 「いやー、俺、新しい情報番組作ってるな!」っていう感じがしてね、ちょっと興奮してきて。ただ、ちょっとね、必要以上に緊迫感が出ちゃったんだよね。少し空気が硬いものになっちゃって。なんとなく、急遽変更するっていう指示が急に出たもんだから。

それは、本当はよくないですよね? 必要以上に緊迫感が出ちゃうとダメなんで、私はもう1枚の原稿の裏に少しね、その現場の他のアナウンサーたちの空気を和ますために「俺、インタビューうまいでしょ?」っていう、そういうちょっとなんていうの? 冗談上から目線のメモを書いて横のアナウンサーにスッと見せるわけですよ。

(中澤有美子)余裕、あるんですね。

(安住紳一郎)まあまあ、そこまでやっての私だから。

(中澤有美子)「私だから」ね(笑)。

(安住紳一郎)で、そしたらそこのアナウンサーも「フフッ」ってね、ちょっとね鼻から空気が抜けて。「はいはい」っていう感じで。「わかりました。やりましょう」っていう感じに見えて、そのスタジオの緊張の空気が一瞬にして消え去ったわけよ。それで「ああ、俺の仕事っていうのはこういうレベルまで来てるんだ」と思ったわけよね?

(中澤有美子)アハハハハハハハハッ!

「俺の仕事はこういうレベルまで来てるんだ」

(安住紳一郎)いや、そう思うでしょう? だから指示を急遽出して、緊迫したらガッチガチになっちゃうんだから。それはそれで違うわけだから。

(中澤有美子)それを緩めて。

(安住紳一郎)緩めていって、権威の勾配をあんまりキツいものにしちゃいけないから。自由闊達な雰囲気を出すためにそういう作業も必要だなと思って。これ私、専門家のインタビュー中にやってるんですよ?

(中澤有美子)そうですよ? お話を聞いている間に。

(安住紳一郎)素晴らしい仕事。うん。で、「ああ、こういう後輩のアナウンサーたちの行く先に光を当てる仕事をする時期に来てるんだな」なんて私は自分に酔い始めてるわけですよ。で、「これからはこういう風に仕事を仲間たちと進めていくんだな」っていうね、まあ自分のアナウンサーとしての仕事のソサエティー2.0的なこと? 新しい時代に入ったっていうね。「狩猟採集から農耕に変わったんだ。耕していこう! 種を蒔いていこう!」なんていう風にフェーズが変わったわけですよ。すごくこう、自分の中で充実した時間だったわけよ。当然ね、インタビューを上手に行ってたんでね。

ただね、そのニュースが終わって、この次の話題に移った時に今度は警察が進める生活道路の安全を確保するっていうゾーン30っていう取り組みをスタジオで紹介しなくてはならなかったんだけれども。手元にあった資料のプリントの字が小さかったもんだから、その紙をテーブルから取り上げて目に近づけて私がそのデータを次のスタジオで読み上げたわけよ。そうすると、その取り上げた紙の裏側っていうのがカメラの方から見えているでしょう?

で、なんか画面に赤い文字が映ってるわけだよね。画面の下8分の1ぐらいに。そしたら、もうお気づきかと思いますけど。さっき私が赤ペンで書いた、メモ書きしたっていうのはこの資料の裏だったんですよね。なので、画面の下8分の1ぐらいにA4版のプリントの裏が映ってるんですが。赤ペンのなぐり書きで「俺、インタビューうまいでしょ?」っていうのが出ちゃってるんだよね。

(中澤有美子)アハハハハハハハハッ!

(安住紳一郎)顔から火が出ましたよ(笑)。「えっ? なんか……なんか安住さんが持っている資料の紙の裏になんか赤ペンで字が書いてあるけど、なんて書いてあるのかな?」と思ってよく見たら「俺、インタビューうまいでしょ?」って書いてあって。

(中澤有美子)あらあらあら(笑)。

(安住紳一郎)後輩のアナウンサーにだから放送後ね、「いや、もう本当に消えてしまいたいよ」って言ったら「いやいや、安住さんそういうキャラですから大丈夫ですよ」って言われまして。違くない?

(中澤有美子)それもそうだねー(笑)。

(安住紳一郎)「へー」と思ったけど。ねえ。頼もしい後輩との仕事が今、私の心の支えです。が、ソサエティーはちょっと戻ったよね。ソサエティー1.8ぐらいに戻っちゃった(笑)。恥ずかしいかったー! そんなことあるんだねって思って。よりによって、その資料の裏だったんだって思って。

(中澤有美子)「見せているのかな?」ぐらいのね。

(安住紳一郎)そうだよね。一体、何だろう?っていうね。最近はね、もうデジタルになりましてね。相当画面の解像度が上がりましたよね。若い方はご存知ないかもしれませんけれど。今、テレビの解像度はものすごく、4K8Kって言われてて随分高いレベルまで来ましたんで。昔のアナログの時に出していたビデオテープなどを見ると、やっぱり画像が荒くてびっくりしちゃって。もう元に戻れないんだなっていう人間のね、贅沢加減に驚いたっていうところもあると思いますけど。昔、プロ野球中継など、大相撲中継など見ていると、観客のお客さんの顔なんてのはほとんど分からなかったんですが。当然、ぼやけてね。そんなに解像度が良くないんで。

今はもう、はっきりわかりますもんね。なのでスタジオにいる人たちの原稿のメモ書きなんかもはっきりと見ることができて、むしろそこに余計なことを書いていて、トラブルに繋がるっていうようなこともあるので、最近はテレビなどに出演する人がスタジオに持ち込むプリントの内容などにもね、少し……まあ元々注意するべきことなんでしょうけれど。ただね、そこまでとは思わないですもんね。気を付けなくてはならないっていうか、まあそういうことを書かなければいいんだけどね。うん。どうです?

赤ペンで書かれた文字

(中澤有美子)いいんじゃないですか? ベリーベリー安住さんの感じで。全然。

(安住紳一郎)まあ、そういうキャラクターの人だからっていうことで許されるっていうこと?

(中澤有美子)もう本当にね、その方がおっしゃる通り。ええ。

(安住紳一郎)そうですか?

(中澤有美子)そうですよ。隠し切れない(笑)。

(安住紳一郎)いやいやいや、それはでも、その緊張した空気をほぐすためにやったんだけど……と思ったんだけど。もうなんかちょっとね、なんだかもうちょっとコントロールできない域に入っちゃって。疲れちゃったなって思って。うーん……。

(中澤有美子)そうですよね(笑)。

(安住紳一郎)落とし穴、たくさんありますから皆さんも気を付けてください。おかしいなと思ってさ。まあだいたいね、世の中ミスする時ってのは想定外、そういうことだよね。うん。これぐらいのミスでよかったって思って。うんうん。と、思いました。ねえ。いや、怖い時代に入りました(笑)。

(中澤有美子)ねえ(笑)。

(安住紳一郎)前もね、だから土曜日の夜の生番組でも私、最近もう手元に原稿を置いて立ってオープニングをやるスタイルを取ってるんですけども。やっぱり原稿にその自分の気持ちみたいのを書くわけですよね。たまにね、赤ペンでね。「ここはちょっと難しいな」みたいなことを書いて。「ここ難しい」みたいな。「ここ早く」みたいなね。「ここを30秒ぐらいで行く」みたいな。で、「ここはちょっと内容が薄い」みたいなこともちょっと書くわけですよ。正直。気持ちをね。で、書いといて、だからその楽譜みたいにね、「ここは早く行くんだ」とかね、「ここを長々やっちゃダメなんだ」とかいう風に書いて。それがベロンチョ、全部見えてることがあるだよね!

(中澤有美子)強弱が(笑)。

(安住紳一郎)強弱。で、見てる人は「ああ、楽譜通りやっとるのう」っていう(笑)。いろんなことがありますね。昔、レコード大賞で新人グループ……何人組だったのかな? 結構たくさんいらっしゃったんですよ。で、正直やっぱり歳が離れるとね、それぞれの個人名まで一応覚えるんだけど。やっぱりちょっと本番、緊張も手伝って分かんなくなるんですよ。それで、服装と紐づけて覚えてたりするわけですよ。長袖、半袖、サスペンダー、鋲がついているとかね。ブーツを履いているとか。

で、「ブーツを履いている人は○○さん、半袖は○○さん、長袖は○○さん。革ジャンで鋲がついている人は○○さん」なんて覚えるわけじゃない? で、そんなの18人とか20人とかいる場合もあるわけですから、頑張るわけ。一生懸命、暗記物ですよね。それで「よし、インタビュー」ってなった時に、インタビューの時にその服を抜いできちゃったりとかして。「ああっ! 私の手がかり……上着を脱がれている! 全員、半袖……ええっ、これは困った!」とか思うわけですよ。「あれれ? ポッポッポッポッ……」って思ってね(笑)。「これは困った!」って思って。もう本当にね、司会者としては下の下ですけどね。もう、左手の中にまた赤ペンでね、申し訳ない。名前を書いちゃったんですよ。

(中澤有美子)ああ、座り順にね。

(安住紳一郎)座り順にね。パパパパッてね。で、ああいう式典ってね、やっぱり紙を持ってるとダメだから。やっぱりね、もう紙は持たないので。そうなるとね、申し訳ないけど手のひらに書くしかないみたいな。やりませんよ? そんな、たまにですよ。めったにやらないですよ。15年に1度ぐらいしかやりませんけども。で、その時やっぱり申し訳ないと思ったけどね、書いたんですよね。急いでババババッて書いたんです。で、右手に私、ハンドマイクを持ってますから。「左手は絶対に開かない!」なんて思ってね。「覚えてるから大丈夫。で、わかんなくなった時の最後の神頼みで左手を開くんだ」と思って、ずっと左手を握っていたわけ。グッとね。

(中澤有美子)いやー、ドキドキするー!

(安住紳一郎)ドキドキしますよね。で、自分のやっぱりなんか、追い込まれた時の能力の高さっていうのがあって。もうバッシバシ当たるわけ。すごい!って思って。もう名前、一切間違えないし、もうそんなね、直前に覚えたとは思えないぐらい。もう10年来の知り合いかってぐらいで名前がもうバシバシ出てくるわけ。そしたらもう、ねえ。インタビューを受ける人たちもさ、「いや、これだけきちんとね、名前を覚えて。自分たちの個性を理解してくれてる司会者に全部預けよう!」みたいな感じでものすごい盛り上がって。

自分の中でももうアドレナリンがブワンブワン出ちゃって。「やっぱりこういう準備っていうのが花咲くねえ!」なんて思って、もうシュワーッて。自分のね、喜びの噴水がブワーッと出て。で、自分のワンショットのアップがきてるなっていうことも確認してね、もうきっちりカメラ目線でガンッとね、見据えてね。「それでは、そんな新人賞を取った皆さんの歌声をじっくりとお聞きいただきましょう!」なんてさ。もうガーッと盛り上げてさ。「それでは、どうぞ!」って左手を開いてバーッとステージにやったのよ。

(中澤有美子)ああーっ!(笑)。

(安住紳一郎)そしたら……左手に名前一覧を書いているのが大写しになっちゃって。もう本当に、どこに落とし穴があるかわからないね! まさかのね、気合いが入っちゃったから。「どうぞっ!」っつってせっかくグッと閉じていた左手がバーッと開いちゃって(笑)。

手のひらのメモが映る

(中澤有美子)ああっ、本当よね(笑)。でも、それだけ盛り上がっていたんだから。ええ。まさか……それを頼りにしていたとはみんな、思わず(笑)。

(安住紳一郎)ひどいよ……本当に、本当にひどい! ねえ。いけませんね。本当にね。

(中澤有美子)本当に。ありがとうございました。

(安住紳一郎)いろんなミスが起きますから。本当ですよね。こういう話がいくらでもありますけど……(笑)。

(中澤有美子)そうなんでしょうね(笑)。

(安住紳一郎)ああっ……(笑)。今日のメッセージテーマはこちらです。

<書き起こしおわり>

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