みうらじゅん アウト老とループ・オン・ロッケンロールを語る

みうらじゅん 老け作りと比較三原則を語る 安住紳一郎の日曜天国

みうらじゅんさんが2024年6月16日放送のTBSラジオ『日曜天国』の中で「老け作り」からの「アウト老」。そして「ループ・オン・ロッケンロール」について話していました。

(安住紳一郎)さて、今日お話しいただくテーマはこちらです。そこがいいのよマイブーム。それでは一気に紹介します。その1、老け作りからのアウト老。その2、ボク宝。その3、滋賀県とアルフォート。以上の三つです。

(みうらじゅん)大きいですよね、これはね。

(安住紳一郎)滋賀県とアルフォートって、気になりますね(笑)。

(みうらじゅん)気になりますよね? まあ、これは追い追い……。

(安住紳一郎)まずひとつ目。老け作りからのアウト老。

(みうらじゅん)そうなんですよね。だから老け作りまで来られた方の次に目指す道をちょっと今日、お教えしたいなと思って。

(安住紳一郎)「アウトロー」じゃなくて?

(みうらじゅん)「アウト老」っていう。割とこれ、2、3ヶ月前に思いついて「やった!」と思ったことなんですけども。

(安住紳一郎)思いついた時に楽しかったんだけのやつじゃないですか(笑)。

(みうらじゅん)いやいや、そうじゃない。定義もちゃんとあります。

(安住紳一郎)お願いします。失礼しました。

(みうらじゅん)ええとね、歳を取って嫌われがちになるでしょう? 年寄りって。「嫌われるなら、あきれられよう」っていう。そこに定義があって。やっぱり歳を取ってアウト老ともなると、意見を言わない。これがすごい大事だなと思っています。

(安住紳一郎)ああ、結構お年をめされていろいろ言っちゃう人がいて、迷惑がられるけど。

意見を一切、削り取っていく修行

(みうらじゅん)まあ「最近の若い者は」が出始めるじゃないですか。でも、それはもう意見ですから。意見を一切、削り取っていく修行ですかね。だから目の前にラーメンを出されたら「ラーメンだ!」って言うだけ。

(安住紳一郎)言うだけ?

(みうらじゅん)これの修行をちょっとしばらく続けてほしいんですよ。「うまそう」とか「まずそう」とか、そういうのは一切ない。見たまんま。だから「ああ、お茶だ」とか。単語でいくっていう。

(安住紳一郎)事実だけ。で、自我というか、自分の感想とか、自分の思いをそこに反映させない。

(みうらじゅん)そうですね。できたらお茶のところを「おちゃー」って。赤ちゃん用語っていうんですかね? ちょっとろれつが回ってない感じで言われるのが……「らーめぇーん」とか。

(安住紳一郎)そっちの方がいい?

(みうらじゅん)歳を取ると、赤ちゃんに戻るっていう話、あるでしょう? あれ、嘘です。知ってます?

(安住紳一郎)なんかね、子供返りするとか、赤ちゃん返りするって言いますよね。

(みうらじゅん)言いますよね。もう見た目から、違うじゃないですか。かわいらしくないですよ。年寄りの方はね。だから赤ちゃんになるっていうのはあれ、都市伝説ですから。みんな、若い人は将来、赤ちゃんになるんじゃないかと思ってるかもしれないけど、なりません。老人です。だからそこは、自分から心がけて。「おちゃー」とか。バブバブ言葉で、意見を言わない。これがアウト老のやり口です。

(安住紳一郎)あの、バブバブ言葉で言う意味が今ひとつ、理解できてないんですが……。

(みうらじゅん)僕もちょっと理解できません。僕も「言ってしまったな」とは思っていますね。

(安住紳一郎)言ってしまったものの、よく自分でもわからない?

(みうらじゅん)録音であればね、消せるところだったんですけども。生放送ですもんね。

(安住紳一郎)そうですね。

(みうらじゅん)じゃあもう、単語だけを言う。

(安住紳一郎)「じゃあもう」って、わかりました(笑)。でも、ちょっとみうらさんの好きな仏教の話に近いような感じでもありますか、これ。

(みうらじゅん)まあ、そうですね。諦観ということですよね。諦めるっていう言葉は元々は諦観するっていうね。正体を見極めるっていうことですから。「赤ちゃんではない。僕は」っていうことをしっかり頭に叩き込んでもらって。でも、気持ち的には単語だけを述べて。それで済ませておく。で、最終的にはいろいろ諸問題とかも、若者に聞きたいこととかももう「あっしには関わりのないことでござんす」的な、木枯らし紋次郎的なセンスを、アウト老ですから。入れていかないとダメじゃないかなと思っているんですよね。

(安住紳一郎)それがかっこいい老け方というか?

(みうらじゅん)そうすね。関わりがないと思ったことは、しゃべらない。黙っている。

木枯らし紋次郎的なセンス、アウト老

(安住紳一郎)じゃあ、それはもうTVドラマ見た時や映画を見た時、観光地に行っても、そんなに自分の面白いところとか……「なんでこんな映画、作ったんだ?」とか、そういうことは言わずに。

(みうらじゅん)そうですね。だからなんかAdoさんっていうアーティストの人、いるじゃないですか。その時、孫がしゃべった時にね、「ああ、Ado! 知ってる!」っていうので、寄ろうとしないってことですよね。孫の方に寄ると、たぶんアウト老の人は言ってんのは水森亜土さんのことなんです。絶対。

(中澤有美子)アハハハハハハハハッ!

(みうらじゅん)「それ、どんな人なの?」って言ったら「いや、マジックを2本、手に持ってね。かわいいイラストを書くんだよね!」とかって言って、そこでずれが発生しちゃうでしょう? だからもう、黙ってる。「あっしにはもう、関わりのないことでござんすので」って。

(安住紳一郎)そうですか(笑)。あとは、何度も同じ何度も同じ話をしてしまうことに対する対処方法もあるという?

(みうらじゅん)それはね、周りから指摘されますよね。大概。「ちょっとそれ、先ほどもおっしゃってた話じゃないですか?」って言われた時に気持ちを込めて「ループ・オン・ロッケンロール!」って。キープ・オン・ロッケンロール的な。「ループ・オン・ロッケンロール!」って言うと……まあ、最後に「よろしく」ぐらいは言った方がよくて。「ループ・オン・ロッケンロール! よろしく!」って言った方が、「ああ、この人は話がループしてるんだ」ってことがわかって、その場は丸く収まるっていう。

(安住紳一郎)ああ、なるほどね。そこでむっとしちゃったりとか、ごめんごめんと謝るっていうのは、ロックじゃない?

(みうらじゅん)ロックじゃないですよ。ループ・オン・ロッケンロールですかね。やっぱりそれもキープ・オンしていこうっていうことですよね。

(安住紳一郎)「ループしちゃったらごめんね」みたいな。

(中澤有美子)いいですね。「よろしく!」って。

(みうらじゅん)まあ、できれば「ループ・オン・ロッケンロール」って書いたTシャツを着ていった方がいいですよね。日頃から。

(安住紳一郎)「同じ話、繰り返しますよ。よろしく!」っていうね。「Twice! 2回目!」なんて。

(みうらじゅん)そうですね。

同じことを言ってしまったら「ループ・オン・ロッケンロール!」

(安住紳一郎)でもみうらさん、同じ話を2回、することなんてないんじゃないですか?

(みうらじゅん)よくあります。この番組でも何回もしていると思います。

(安住紳一郎)まあ、でもそこが魅力ですよね。

(みうらじゅん)それを聞いた人とか「前、その話、してたよ」とか振られることもあるんで。その時に「ループ・オン・ロッケンロール!」って言って。それでちょっと軽く落ち込んだりはしています。

(安住紳一郎)ああ、そうですか(笑)。みうらさんの新刊本を手に取ってみると「これ、なんか初めて書いてるような論調だけど、2回目だよな?」みたいな……。

(みうらじゅん)ループ・オン・ロッケンロール原稿です(笑)。

(中澤有美子)原稿(笑)。

(みうらじゅん)何をおっしゃいますか。これからはループ・オン・ロッケンロールですから。「かつて読んだ」っていうことが素晴らしいわけですから。

(中澤有美子)「また会えた」っていうね。

(みうらじゅん)そうです、そうです。「また会えた」っていうことですね。

<書き起こしおわり>

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