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高橋芳朗 Coldplay X BTS『My Universe』を語る

高橋芳朗 Coldplay X BTS『My Universe』を語る アフター6ジャンクション
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高橋芳朗さんが2021年9月27日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でコールドプレイとBTSのコラボ曲『My Universe』について話していました。

(宇多丸)さあ、ということで早速なんですが。『My Universe』。

(高橋芳朗)この『My Universe』は10月15日リリースのコールドプレイのニューアルバム『Music Of The Spheres』の先行シングルです。歌詞は英語と韓国語のミックスで、音楽的方向性とかプロデューサーの人選なんかも含めてコールドプレイ主導のコラボと言っていいと思います。

(宇多丸)コールドプレイのフィーチャリングがあくまでもBTSというかね。

(高橋芳朗)まあ並列なんだけどね。名義としては。「Coldplay X BTS」という感じですかね。

(宇多丸)でもコールドプレイ色というか、コールドプレイの土俵に乗っかってる感じというか?

(高橋芳朗)そういう感じですね。まず、ちょっとじゃあ共演に至るまでの経緯を時系列に沿って紹介していきたいんですけど。あの今回のコラボ、基本的にはコールドプレイ側の働きかけによって実現したプロジェクトなんですけど。ただ、かねてからコールドプレイにリスペクトを示してきたBTSの思いにコールドプレイが応えたみたいな側面もあるように思っています。

(宇多丸)BTS側がコールドプレイファンであることっていうのはやっぱりちょいちょい見え隠れしていたというか。

(高橋芳朗)そういうことです。そのへんのいろいろ付随してくるエピソードを交えながら流れを追っていきたいんですけど。まず、大きな流れで行くと今年の2月24日、BTSのMTVアンプラグドへの出演がひとつの起点になっています。ちょうど同じタイミングでね、宇多丸さんが所属するライムスターもMTVアンプラグドに出演していましたけども。

(宇多丸)はい。BTSのはね、ちょっと簡易版というか。そういう感じだったんだけどね。だからね、ちょっとそこは譲ってねえぞっていうのはありますけども(笑)。はいはい。やりました。

(高橋芳朗)で、MTVアンプラグドは1989年から30年以上続くMTVの看板企画っていうアコースティックライブのシリーズなんですけど。BTS、韓国のアーティストとしては初の歴史的なパフォーマンスとなりました。で、このMTVアンプラグドでBTSは大ヒットした『Dynamite』を含む計5曲をパフォームしたんですけど。ちょっとスペシャル的に披露したのがコールドプレイの『Fix You』のカバーなんですね。で、これメンバーのVくんのアイデアによるものらしいんですけれども。

Coldplay『Fix You』をカバー

(高橋芳朗)で、『Fix You』はコールドプレイの2005年のヒット曲なんですね。タイトルは「君を支える」みたいな意味なんですけど。これ、ボーカルのクリス・マーティンが彼のかつての妻ですね。俳優のグウィネス・パルトロウの父親が亡くなった時に、彼女が悲しみ乗り越える助けになればと作った曲なんですね。その後、結構普遍的な癒しの歌、救済の歌として広まって。たとえば2005年のニューオリンズのハリケーン・カトリーナだったり。あと2011年の東日本大震災の時にもチャリティーシングルとしてリリースされているような曲なんですね。

で、BTSは去年の『Dynamite』以降、その活動の基本理念として「コロナ禍の世界を元気づけること」っていうのを掲げているんですけど。この『Fix You』性のカバーも基本的にはその一環として取り上げたものと考えていいんじゃないかなと思います。で、メンバーのジミンが『Fix You』をカバーした理由をこういう風に語ってます。「この曲は僕たちに安らぎを与えてくれた。慰めてくれた曲です。だから今度は僕たちが皆さんに安らぎを与えたくてこのカバーを用意しました」という風に言ってるんですけど。

この発言で興味深いのは、「僕たちもこの曲に安らぎをもらった。慰められた」って言っているんですね。BTS自身も『Fix You』に救われたっていう風に語っているところだと思うんですけど。実はBTSと『Fix You』っていう曲に接点が生まれたのは、これが初めてじゃないんですね。BTSが2018年にメンバー全員でプライベート旅行としてですね、韓国のカピョンっていうリゾート地に旅行に行ってるんですね。で、この時の様子がBTSのTwitterの公式アカウントに投稿されてるんですけど。2019年6月13日の投稿です。メンバーがバーベキューしてるんですけど、後ろでコールドプレイ『Fix You』が流れてるんですよ。

(宇多丸)おっ、匂わせ?

(高橋芳朗)で、この旅行を企画したのがMTVアンプラグドで『Fix You』のカバーを提案したメンバーのVくんですよね。彼がみんなとの思い出づくりのために旅行を企画したらしいんですけど。2018年前後って……2017年から18年ぐらいかな? BTSにとって結構大きなターニングポイントだったんですね。初めて全米アルバムチャートで1位を取って、自分たちを取り巻く環境が大きく変わってきたタイミングでもあるし。その一方で所属事務所との契約更新を前にして、解散の話が浮上したことも後に明かされているんですね。

だからジミンのコメントを踏まえると、そういう状況の中で『Fix You』という曲が彼らの支えになったのかもしれないっていうところですかね。で、このエピソードに象徴されるようにBTSにとってコールドプレイが結構非常に大きな存在なんですよ。で、メンバーのVくんが「彼らをロールモデルにしていたこともある」っていうコメントをしていたりもするし。

VくんはBTSが2019年にロンドンのウェンブリースタジアムでコンサートを行った時にも事前の記者会見で「コラボしてみたいイギリスのアーティストはいますか?」という質問に対して「イギリスのアーティストで僕たちBTSがずっと好きなのはコールドプレイです。機会があればぜひ彼らとコラボしてみたいです」っていう風に話していたんですね。

(宇多丸)もうラブコールを送っているわけなんですね。コールドプレイのどこがあれなんだろうね?

(高橋芳朗)最近公開されたドキュメンタリーを見ると、アリーナツアーのキングというか、そういうイメージを持っているみたいで。そういうパフォーマー的なところもあるのかもしれないですね。

(宇多丸)たしかに。そうか、そうか。

(高橋芳朗)まあ、コールドプレイはモンスターバンドですからね。で、コールドプレイのクリス・マーティンが今回、BTSとの共演に乗り出したひとつのきっかけとして、「BTSが僕らとコラボしたいと思ってると言っていたのを誰かから聞いて。それがずっと頭の中にあった」っていう風に話してるんですよ。だからたぶんクリス・マーティンが言ってるのは、おそらくこの時のVの記者会見の発言のことなのかなと思います。

で、こうこういう前提があったからだと思うんですけど、MTVアンプラグドでのBTSのその『Fix You』のカバーに対して、コールドプレイが結構速攻でリアクションしたですね。MTVアンプラグドのオンエアー直後にコールドプレイのTwitterの公式アカウントにBTSのパフォーマンス動画を張った上で、ハングルで「美しいパフォーマンスでした」っていう風に投稿したんですよね。

(高橋芳朗)で、コールドプレイはこの直前、2月上旬に「今、ニューアルバムの制作に取り組んでいる」ということを初めて明かしてるので、たぶん順当に考えたらコールドプレイがBTSにコンタクトを取ったのはこのへんのタイミングなんじゃないかなと。

(宇多丸)そうだよね。だし、当然そのカバーの許諾云々が行っているはずだから。そこで「ここだ!」っていう風になったというね。「ナイス順番!」っつってね(笑)。

(高橋芳朗)ちゃんと段階を踏んでいるわけですね。で、実際にこのあと4月にクリス・マーティンが韓国に行ってるんですよ。で、このクリス・マーティンの韓国訪問はコールドプレイ側から公式に発表されたわけじゃなくて、一般の方が韓国の仁川国際空港でクリス・マーティンと遭遇して。その時にもらったサインをSNSに投稿したことで発覚したんですね。ちょっとまあ、たぶん極秘裏にしていたんだと思うんですけど、そこでファンにサインしてしまうクリス・マーティンのいい人ぶりっていう感じなんですけども。

で、このコロナ禍の中でわざわざ韓国に行くからには相当な理由があるだろうということで、実際2日しか滞在が許可されなかったらしいんですけど。「まあ、きっとK-POPのアーティストとのコラボなんだろう」ということで。まあ「BTSとのコラボなんだろう」みたいな、そういう憶測を呼ぶことになったんですね。

仁川国際空港で目撃されたクリス・マーティン

(宇多丸)なるほど。

(高橋芳朗)で、このクリス・マーティンの韓国目撃情報の翌月5月にコールドプレイはニューアルバムからの第1弾シングル『Higher Power』をリリースするんですね。で、この『Higher Power』の発表に合わせてクリス・マーティンがアメリカのラジオ番組にリモート出演した時にパーソナリティーが聞いたんですよ。クリスのその韓国訪問の理由について質問したんですね。「先月、あなたの姿が韓国で目撃されている。1部ではBTSと会ったって噂されてますけど、真相はどうなんですか?」って。そしたらクリス・マーティンが「あれ? ちょっとヘッドホンの調子がおかしいな?」って……(笑)。

(宇多丸)それはもうだって、ねえ(笑)。それはイエスじゃん。だって、ねえ。

(高橋芳朗)そう(笑)。わざとらしく質問をかわして(笑)。

(宇多丸)それ、だからあれじゃないか? 仁川もさ、ものすごい……「コールドプレイ」ってTシャツをさ……(笑)。

(高橋芳朗)「ここにいます!」って(笑)。で、このやり取りの動画がそのラジオ番組のパーソナリティーのショーン・ヴァレンタインっていう人のTwitterに上がってるんですけど、まさにもうその白々し過ぎる振る舞いを見ると、実質的にまあもう、BTSとの共演を認めてない等しいという(笑)。

(宇多丸)まあ、だからある意味これはティーザーのさらにティーザーじゃないけどさ。

(高橋芳朗)そうですね(笑)。ある種のティーザーですね。

(宇多丸)ねえ。そんな感じだよね。

(高橋芳朗)で、その後、5月21日にBTSが『Dynamite』に続く英語曲第2弾の『Butter』をリリースします。で、これに対してね、またクリス・マーティンがリアクションをするんですよ(笑)。コールドプレイのTwitterの公式Twitterに彼が生活の役に立つ、助けになる本、映画、音楽のリストっていうのを投稿したんだけど。そこに『Butter』を入れてるんですよね。もうめちゃくちゃ匂わせてるんですよ。

(宇多丸)まあ、ラブコールを送り合って。

(高橋芳朗)で、対するBTS側の動きとしては6月にメンバーのVとジョングクが公開したプレイリストそれぞれにコールドプレイの曲が選ばれているんですね。で、Vくんが選んだのは2019年リリースの『Daddy』っていう曲で、ジョングクが選んだのはコールドプレイの『Yellow』っていう曲をエミット・フェンっていうカリフォルニアのシンガソングライターがカバーしたバージョンを選んでいたんですよね。ジョングクは1人で部屋や車で聞く落ち着いた雰囲気の曲っていうテーマのプレイリストの1曲としてこの『Yellow』のカバーをピックアップしてたんですけど。

(高橋芳朗)で、コールドプレイの『Yellow』って星の光をイメージさせるイエローっていう色を愛とか友情のメタファーとして描いている曲なんですよね。「君のためなら体中の血液を失って死んでも構わない」みたいな結構エモーショナルな歌なんですけど。ジョングク曰く、「この曲の歌詞は僕がアーミー(BTSファン)を思う気持ちに似ている」っていう風に説明をしていて。BTSにとって、アーミーは何よりも大切なものなんで。そのアーミーとの絆を確認する曲としてコールドプレイの楽曲を挙げているあたりにジョングク、BTSのコールドプレイに対する強いリスペクトを感じました。あと、ちょっとこれは覚えている方もいるかもしれないですけど。コールドプレイの『Yellow』を5月の僕の『Butter』の楽曲解説の時にちょっと触れてるんですよね。

(宇多丸)ああ、そうだよね。その時に触れていたか。

(高橋芳朗)「リーダーのRMの発言から、『Butter』のイエローという色にはStop Asian Hateのニュアンスも含まれているんだ」っていうことで。それでアジア系キャストで固められてた映画『クレイジー・リッチ!』で「Yellow is beautiful」的な意味合いで使われたコールドプレイの『Yellow』をちょっと引き合いに出してたんですけども。

高橋芳朗 BTS『Butter』を語る
高橋芳朗さんが2021年5月26日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でBTS『Butter』を解説していました。

(宇多丸)エンドロールでしたっけ?

(高橋芳朗)そうですね。で、この時、コールドプレイっていうかクリス・マーティン側は一度、劇中での楽曲使用を断ってるんですよね。そこでジョン・M・チュウ監督が彼らに直々に手紙を出して、ようやく使用許可をもらってるんですよ。で、この経験と今回の同じアジアのBTSとのコラボに関連があるか、ちょっとクリス・マーティンに聞いてみたいですね。

(宇多丸)なるほどね。たしかに。これはちょっとインタビューする機会がある人はぜひって感じですね。

(高橋芳朗)そう。クリスが今回、BTSに対してめちゃくちゃ誠実な対応を取ってるからなおさら、ちょっとそこが気になるなと思いました。

(宇多丸)それこそ最初はさ、その『Yellow』っていう曲はそういう意味じゃないから、みたいなぐらいのことを言ってたのが、「いや、そういう解釈もありか?」みたいになってきたのはね。

(高橋芳朗)そうそう。それが今回のコラボとなんか関連があるのかな?っていう気がちょっとしちゃいますね。結びつけたくなる。

(宇多丸)急速な意識の変化とかもあるんじゃないかな。当然ね。

(高橋芳朗)その後、コールドプレイは今度、6月25日にオフィシャルで『Higher Power』のダンスビデオっていうのを公開するんですけど。これが韓国のですね、Ambiguous-Dance-Companyというダンサーたちが韓国のソウルの街中で縦横無尽に踊りまくる内容で。まあ、この韓国との繋がりを強調したビデオの登場で、BTSのコラボが控えていることが決定的になったんじゃないかなと。

(宇多丸)ティーザーのティーザーがもう周到なんだよ。

Coldplay『Higher Power』

(高橋芳朗)で、7月には楽曲の一部がリークされたみたいで。ほとんど両者が共演することは公然の秘密みたいになっていて。で、9月10日にはYouTubeの音楽番組の『RELEASED』に両者が出演して対談したり。で、そういう流れを経て9月13日ですね。ついに正式にコールドプレイとBTSとのコラボが正式にアナウンスされて。で、先週末の24日に曲が公開になったという、ざっくりこういう流れになってます。

(宇多丸)ということでだから、最初はBTS側からのラブコールがあって。で、それに対する回答というのかな? それもあって。まあ周到にここに至る……だから決して唐突ではないというか。むしろすごく丹念に積み重ねられた関係性というか。それがあるというのはすごいわかりました。

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