高橋芳朗さんがTBSラジオ『ザ・トップ5』の洋楽紹介コーナーの中で、不倫を題材にしたソウルミュージックを特集。5曲チョイスして紹介していました。
(高橋芳朗)もうさっそく、私の洋楽コーナーに。
(出水麻衣)ぜひお願いいたします。
(高橋芳朗)突入いたします。本日は、出水さんのために温存しておいた企画。不倫ソング特集です(笑)。
(出水麻衣)ちょっと!なんで私のために温存してるんですか!?(笑)。
(高橋芳朗)あれ?出水さん、不倫の方は?
(出水麻衣)いやいやいや、ないですよ!
(高橋芳朗)(笑)
(出水麻衣)やめてください(笑)。ドキッとしちゃった(笑)。
(高橋芳朗)というわけで今日はですね・・・いま、真顔で言っていたから。こっちも冗談で言ってるんですよ。こっちがびっくりします。
(出水麻衣)うろたえちゃったじゃないですか(笑)。
(高橋芳朗)不倫について歌った洋楽を紹介してみたいと思います。で、洋楽で不倫を題材にした曲というとですね、ブラックミュージック、ソウルミュージックに圧倒的に多いんですよ。
(出水麻衣)へー!意外とあるんですね。邦楽で言ったら竹内まりやさんなんですけど(笑)。
(高橋芳朗)(笑)。スラスラ出てくるね!やっぱり、ソウルミュージックは庶民のリアルというか。人間ドラマを歌う音楽というかね。人生いろいろを歌う音楽ですから、当然こういう情事とか色恋を題材にした曲が多くなるわけなんですけども。そこで今回はですね、ソウルミュージックで不倫を題材にした名曲トップ3を選んでみました。
(出水麻衣)おおー!面白いテーマ。いいですね。
(高橋芳朗)不倫ソウル名曲カウントダウンですね。じゃあ、順を追って紹介したいと思います。じゃあ、まずは第三位です!第三位はビリー・ポール(Billy Paul)で『Me and Mrs. Jones』。1972年の作品です。
第三位:Billy Paul『Me and Mrs. Jones』
(出水麻衣)へー。
(高橋芳朗)ムーディーですね。ちょっと歌詞を、大意をざっくりとご紹介しますね。『僕とミセス・ジョーンズ。2人は秘密を持っている。2人は毎日、同じカフェで待ち合わせる。これ以上2人の気持ちが高まらないように、僕らは必死で努めてきた。彼女と僕には家族という断ち切れない強い絆があるからだ。もう帰る時間。別れが耐え難い。明日また、同じ時間、同じ場所』。
(出水麻衣)へー!このさ、ビリーさんさ、勇気ありますよね。これ、『Me』って言ってるから一人称だから、要は自分の実体験を歌っているわけですよね!?
(高橋芳朗)そこは・・・(笑)。そこまで間にとらなくてもね。まあまあまあ。でも、なんだろう?不倫ソングだけど、なんか紳士と淑女っていうかね。曲調が洗練されているから、あんまりドロドロした感じはしないですけど。
(出水麻衣)いやらしさはないけど。昼間のカフェっていうよりは、なんかちょっとどこかムーディーなバーでチークを踊ってそうなムードではありますけどね(笑)。
(高橋芳朗)掘り下げますね(笑)。じゃあ、続いて第二位。第二位はジェームス・カー(James Carr)『The Dark End of the Street』。1967年の作品です。
第二位:James Carr『The Dark End of the Street』
(出水麻衣)古い曲ですね。
(高橋芳朗)僕が生まれる前です。はい。こちらも歌詞、ざっくり紹介しますね。『通りの暗がり。そこはいつも僕らが出会う場所。2人の誤ちを隠すため、闇の中で生きる。これは罪、誤ちだということはわかっている。でも、僕たちの愛はどんどん強くなっていく。やがてこの街も、明るい陽の光に照らされる。その時、もし偶然通りで出会ってしまっても、そのまま知らないふりをして通りすぎよう。ダーリン、たのむから泣かないで』。
(出水麻衣)わーお!
(高橋芳朗)まあ、『2人の誤ちを隠すため、闇の中で生きる』って、妖怪人間ベムみたいですけど(笑)。
(出水麻衣)台無し(笑)。
(高橋芳朗)でも、どうですか?ねえ。
(出水麻衣)あの・・・ある意味では最高のラブレターな歌詞だなって思いますよね。
(高橋芳朗)どうですか?通りの暗がりに詳しい・・・(笑)。
(出水麻衣)(笑)。そう来るかー!?(笑)。
(高橋芳朗)ダーク・エンド・オブ・ザ・ストリートに詳しい(笑)。
(出水麻衣)一応、街灯あったし!(笑)。そういう問題じゃないか?(笑)。
(高橋芳朗)まあでも、これさ、なんか報われない恋だとわかっているけど、もう止まらない!っていうね。
(出水麻衣)ねえ。まあ、いろいろね、周りから見ると、いろんな思いがあるし。ねえ。本当に配偶者の側からしたら、いろんな思いがあるけど。やっぱり本人たちはこういう気持ちなんだなっていうのがすごく歌詞から伝わってきます。
(高橋芳朗)『配偶者』ってフレーズ、重いですね(笑)。
(出水麻衣)(笑)
(高橋芳朗)ずっしりきます!じゃあ、第一位。こちらです。はい。第一位はルーサー・イングラム(Luther Ingram)『If Loving You Is Wrong I Don’t Want To Be Right』。1972年の作品になります。
第一位:Luther Ingram『If Loving You Is Wrong I Don’t Want To Be Right』
(高橋芳朗)これも歌詞、紹介しますね。『もし君を愛することが誤ちだと言うのであれば、僕は正しくなんかなくたって構わない。もし君のいない人生が正しいと言うのであれば、僕は間違った人生を生きたって構わない。妻子持ちの男と愛し合っても先が知れていると君の友達は言う。妻と子供がいる男を好きになった君が悪いのか?最高の愛を手に入れようとしている僕が悪いのか?君と同じように、僕を必要とする人が家にいるのを知りながら』。
(出水麻衣)グッと昼ドラっぽい感じになりましたね(笑)。
(高橋芳朗)そもそもさ、『If Loving You Is Wrong I Don’t Want To Be Right』。この回りくどい言い方が、なんか周りが見えてない感じがしません?
(出水麻衣)『あなたを愛することが・・・』?
(高橋芳朗)『誤ちだと言うのなら、僕は正しくなんかなくたって構わない』。
(出水麻衣)おおー!なんかそれっぽく言ってるけど、どうなの?(笑)。
(高橋芳朗)ねえ!すげーな!っていうね。これはちょっと曲調的にもかなり情念がこもっている感じですけども。
(出水麻衣)いや、世の中にこんなにいっぱい、あるんですね。
(高橋芳朗)ものすごい数があります。で、ちょっと男性視点の不倫ソングを3曲、聞いていただいたところで、最後に1曲。女性視点の不倫ソングも聞いていただきたいと思います。で、いろいろたくさんあるんで悩んだんですけども。みなさんご存知のこの曲を選んでみました。ホイットニー・ヒューストン(Whitney Houston)の『Saving All My Love For You』。1985年の作品です。ご存知ですよね?
(出水麻衣)名曲じゃないですか?
(高橋芳朗)『Saving All My Love For You♪』。
(出水麻衣)えっ、これ不倫をテーマにした曲だったんですか!?
(高橋芳朗)めっちゃ爽やかな曲じゃないですか。しかも、日本語タイトルが『すべてをあなたに』ということから、ロマンティックなラブソングだと思っている方も多いみたいで。結構結婚式とかでね、使う方が多いらしいです。
(出水麻衣)ええっ!?
(高橋芳朗)かなりの数、いるらしいです。はい。とんでもないです。
(出水麻衣)実は・・・
(高橋芳朗)もう豪速球の不倫ソング。歌詞、ちょっと説明しますね。『2人は人目を忍んで会うのが精一杯。だってあなたは家族持ちで一家の大黒柱。もうやめようとも思うけど、彼のような人は他にいないし、1人で生きていくのはそれほど楽じゃない。前に駆け落ちしようと言っていたのに、そんなのはただのおとぎ話だった。友達はちゃんとした相手を見つけなと忠告する。でも、諦めようとしても耐え切れずにただ泣くばかり。まだ1人で寂しい思いをしていた方がマシだわ。だからこの愛はすべてあなたにとっておくわ』と。
(出水麻衣)へー!あの美声とあの迫力のお顔というかパフォーマンスで、そういう歌詞を歌いあげていたんですね(笑)。意外!
(高橋芳朗)だから、これをもし結婚式で使うとするじゃないですか。入場曲で『新郎新婦の入場です!』ってドアがバーン!って開いて、新郎新婦が腕を組んで、ジャジャジャジャーン!って会場に足を踏み入れたら、最初に聞こえてくる歌詞が『2人は人目を忍んで会うのが精一杯(A few stolen moments, is all that we shared)』ですからね(笑)。
(出水麻衣)(笑)
(高橋芳朗)もう壮大なコントですよ!気をつけてください。みなさん。
(出水麻衣)本当!ホイットニー・ヒューストンには要注意ですね。
(高橋芳朗)当時22才ですよ。ホイットニー。でもさ、『前に駆け落ちしようと言ったのに、そんなのはただのおとぎ話だった』とかさ。
(出水麻衣)それってご本人作詞ですか?
(高橋芳朗)いや、違います。
(出水麻衣)あ、よかったー!
(高橋芳朗)ここになんか、結論を先延ばしにする男の影が見えますよね。
(出水麻衣)そうよ。いまも昔も、そういう甘い言葉をささやいてそそのかすのか、殿方め!という(笑)。
(高橋芳朗)本当にね(笑)。実感がこもってますね。
(出水麻衣)やめてください(笑)。
(高橋芳朗)じゃあちょっと、聞いてみましょうかね。ホイットニー・ヒューストンで『Saving All My Love For You』です。
Whitney Houston『Saving All My Love For You』
(出水麻衣)こんなに歌い上げます?
(高橋芳朗)ねえ。ホイットニー・ヒューストンの『Saving All My Love For You』。いまね、スタッフとも出水さんとも話していたんですけども。まあ、結婚式で使われてもまったく違和感ないし。
(出水麻衣)そうそうそう。
(高橋芳朗)ねえ。クリスマスディナーとかでね。
(出水麻衣)バースデーディナーのBGMとか。いいですよね。
(高橋芳朗)でも出水さん、いま改めて聞くと、やっぱり不倫ソングだわと。
(出水麻衣)そう。ちゃんと歌詞を聞くと『友達は自分だけの男を探しなさいって言ってる(My friends try and tell me, find a man of my own)』とか。あっ、不倫してるんだ!ホイットニー、ホワイ!?っていう感じで(笑)。
(高橋芳朗)(笑)。で、ちょっと面白いエピソードがあってですね。この『Saving All My Love For You』は1985年の10月26日に全米チャートで一位になっているんですね。で、その翌週、このホイットニーに代わって一位になるのが、スティービー・ワンダーの『Part Time Lover』なんです。
Stevie Wonder『Part Time Lover』
(出水麻衣)うん。
(高橋芳朗)『パートタイムの恋人』(笑)。
(出水麻衣)おおっ!
(高橋芳朗)要は、不倫ソングが、不倫ソウルが続けてアメリカで一位になっているんです。
(出水麻衣)へー!ずいぶん直接的なタイトルですね。『Part Time Lover』(笑)。
(高橋芳朗)で、『Part Time Lover』の歌詞はこんな感じです。『僕らは逃げまわりながら、密かに情熱を交わしあう。太陽に背を向けて愛を追いかけるのさ。昼は見知らぬ者同士だけど、夜は恋人。間違っていることだってわかっているけど、やめることはできないんだ』。
(出水麻衣)やっぱり脈々と不倫という題材が・・・
(高橋芳朗)そう。ソウルミュージックの中ではスタンダードとなっているんですね。
(出水麻衣)へー!
(高橋芳朗)でもさっきさ、不倫ソング名曲トップ3で紹介したのに比べて、歌っている内容は同じなんだけど、このスティービーの曲さ、モータウンビートの楽しい雰囲気だからなんか悪びれてないっていうかさ。ちょっと狡猾な感じがしてしまうんだよね。
(出水麻衣)そうね。ちょっと僕、ときめいちゃってるぜ!ぐらいの(笑)。
(高橋芳朗)だからホイットニーを騙しているのはね、こういうおっさんなんですよ!きっと、たぶんね。うん。
(出水麻衣)(笑)
(高橋芳朗)まあ、こんな感じでソウルミュージックは本当、不倫を題材にした曲を集めたコンピレーションが出てるぐらい、いっぱいあるので。そのへん、掘り下げてみるのも面白いと思います。
(出水麻衣)ちなみに芳朗さんは?して・・・ない?
(高橋芳朗)以上・・・あ、これで〆るとね、俺がしてるみたいですけど。してないですよ。はい。
(出水麻衣)(笑)。そうですよね。以上、iTunesミュージックストア、本日12時時点の最新アルバムランキングトップ5でした。
<書き起こしおわり>