星野源 楽曲制作に行き詰まったサインと気分転換を語る

星野源とYOASOBI DMTソフト・Logicを語る 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんが2021年8月18日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で楽曲制作モードに入っている近況についてトーク。作業が行き詰まってきた際に出るサインや、気分転換の方法などについて話していました。

(星野源)どうも、こんばんは。星野源です。いやー、もうね、この1、2週間、全然家から出てないんですよ。なぜかというと今、また制作に入ってまして。ずっと曲づくりしていて。でね、やっぱりコロナも怖いですし。感染者の方がたくさん増えているということもあって。もちろんね、外にも全然いけないし。

で、いわゆる外仕事みたいなのもないんですよ。もう本当、この週1のラジオぐらいで。全然ないので。もうずーっと、家にいます。だから、話すことなんて、ねえ! 本当に(笑)。本当にね、だから本当にどうでもいい話ばかりになっちゃうとは思うんですけどね。仕事の話とかが全然はないんで。家でテレビとか見たりとか、あとは曲作ったりとか。本当にそれこそ漫画を読んだりとかね。

あの『不思議』という曲をリリースしたばかりではあるんですけども。その時も言ってましたけども。曲を作って……その時は「ラブソングでキュンとする曲を作ろう」ということで。そのキュン成分をね、補充するために全然、ストーリーは全く関係ないんですけども。『中二病でも恋がしたい!』というアニメと『たまこまーけっと』っていうアニメを曲が一段落するたびに見ていたという感じなんですけども。

今回はラブソングではないので、そういう感じでもなく。単純に頭をまっさらにするために……やっぱり、根を詰めて何か作業していくと、脳が「もうこれ以上は動きません」っていう状態になるので。でもね、やっぱりなんだろうね? 制作する側の悪い癖なのかもしれないけど、やり続けちゃうんですよね。で、やり続けてもいいことが何もないみたいな6時間があったりするわけですよ(笑)。

PC画面の前にもうただただ、6時間、音楽ソフトLogicの打ち込みの画面でスネアの位置とかを延々と……「このグルーヴを」とかってやっているんだけど。それで一番最初に保存しておいて。そこから別名で保存してやり続けた6時間っていうのを1回、寝て。その後に6時間やったビフォーアフターを聞き返してみると、ビフォーの方が断然良かったりするんですよね。「ムダじゃん!」っていう。そういうことがあるので、やり続けそうな感じ。

それが割と自分の中でのサインとしては、「飲み物を補充しない」っていう。「ああ、今喉が渇いてるな、俺。お湯を沸かそう。白湯を飲もう」って思ってキッチンに行ってお湯を沸かすじゃないですか。で、その時もずっと頭の中では打ち込んでるので。で、パソコンの前に戻るじゃないですか。で、そこから4時間ぐらい経っているんですよ(笑)。

「飲み物を補充しない」がサイン

(星野源)だから、もうそのお湯が完全に冷めるわけ。当たり前でしょう? そんなのは。だから、そういうことを見てからのコップを見ると、「ああ、俺は今ダメな状態なんだ。これはいかん」っていうことで。たとえばアニメを見たりとか、漫画を読んだりとか。そうすると、頭の中が1回全部もうその世界に入るんですよね。それで本当に最近、気づいたんですけど。自分はなにか物語を見たりとか、なにか自分の好きなものっていうのを摂取する時に異様な集中力を発揮するようで。

だからちゃんとそれに頭の中が全部なるんですよね。なので、音楽やってる時も……だからそれこそね、お湯を注がないみたいな。沸かしているのに注ぎに行かないみたいなことになっちゃうんですけども。でも逆に違うもので頭をいっぱいにすると、僕は割とその後に楽曲が冷静に聞けて、フワッと進んだりするんですよね。で、最近何をやってたかっていうと、『DEATH STRANDING』っていうゲームがありまして。小島秀夫監督がね、この番組にも来てくださいましたけれども。リリースの時に。

あの『メタルギアソリッド』というね、もう超超超名作ゲームを生み出し。そして独立をし、その独立一作目の『DEATH STRANDING』というゲーム。このゲームをリリースする時にこの番組にも来てくださいまして、いろいろお話していただきましたけども。「もう1回、やりたいな」と思って。それでPS5版がなんか秋ぐらいに出るんですよ。で、「もう1回、やりたいな」って思って。そういえば、このコロナ禍にしっかりなった去年はもうずっとドラマを撮っていたんで、あんまり家にいなかったんですよね。

そのコロナの自粛期間はあったけど、自粛期間での最初の2ヶ月最初のは『うちで踊ろう』でいろいろずっとやってたんで。ゲームをやるっていう余裕があんまりなかったんですけど。で、それをが終わった後はもうドラマをずっと撮っていて。その後、音楽の制作がガーッと入って。『創造』と『不思議』を作って、みたいな感じだったのであんまりなかったんですけども。

それこそ、「創作のために遊びが必要だ」と思ったので。まあそのPS5版が出る前に……ちょっともうストーリーとかも忘れかけちゃっていて。なのでもう1回、やろうと。で、そのゲームがアメリカっていうものがいろんな……本当に説明がものすごく難しいゲームなんですけど。アメリカがいろんな状況になっちゃって、外になかなか出れないような状態になっちゃった。で、都市と都市が分断されちゃって。表に出ると「時雨」っていう雨が降ってきて。その雨に濡れると急激にそこだけ時間が進むので、浴びた瞬間に男の人だったらおじいちゃんになっちゃりするんですよ。で、亡くなっちゃったりとかして。

そういう感じなので、もう移動ができないで。その中で何が大事になってくるかっていうと、ポーターっていう運び屋。物を運ぶ人たちが大事になってきてて。で、そのサム・ポーター・ブリッジズ……サムという人間が主人公なんですけど。で、物を運ぶゲームなんですよ。このゲームは、いわゆるコロナ禍になる前に作られていて。で、もう完全にコロナ禍を予見したような内容であるっていうものすごいゲームなんですよ。なんだけど、「そういえばコロナ禍にしっかりなってからはやっていなかったな。改めて、やってみよう」って思って。

なんか、なんていうんだろう? その登場人物のセリフひとつひとつを取ってみても
なんか、予言めいたものがものすごく描かれていて。それこそ、物を運んでくれる人の大事さ、物流の大事さって、もうこの2年で身にしみているわけじゃないですか。僕らは。なんていうんだろう? 宅配の……ご飯もそうですけども。いろんな生活必需品も含めて、人が行き来してなにか物が動くってことがいかに大事かっていう。

コロナ禍で改めてやる『DEATH STRANDING』

その中で、本当にもう荒野みたいなところで化け物とか、怖い海賊みたいな人たちとかが出てくる中を、もうめちゃめちゃ重い荷物を持ちながら必死に走るわけですよ。で、荷物が重いので。150キロとか背負うで。コントローラー、わかるかしら? そのトリガーっていうLRで、人差し指で銃を撃つみたいな位置にあるボタンがあるんですけど。そこを押すと肩を踏んばるみたいな感じになるので。その、ずっと走ってる間、歩いてる間、そこを握り続けて。バランスをずっと取りながら移動しなきゃいけないんですよ。

だから、なんていうんだろう? 改めて思ったのは、こんなゲームは他にないし。で、そのゼロから1を作る作業を小島秀夫さんはしたんだなっていうか。「こんなゲーム、ないよ」っていうのを作って。しかもそれが奇しくもというか、コロナ禍になることによってその物を運ぶという行為の大事さを身にしみながら、この作業っていうものがゲームの中でもスタンダード化していくっていうか。当たり前の作業になっていくっていう。

なんか、そのゼロイチの「1」が定着していく感じ。で、最初リリースした直後こそ、あまりにもすごく斬新なゲームだったから賛否両論あったけど、今はとても絶賛されている……いろんな意見はあるけども、絶賛されているゲームで。世界で500万本以上、売れていて。だから、そういう作業を前から……その「ステルスゲーム」っていうものがなかった時に開発してそのゼロを1にした小島さんがまた更にそうやってゼロを1にしたんだなっていうのを改めて感じて。「面白いな」っていう楽しんで、それで頭が真っ白になって「よし、曲を頑張ろう」みたいな。そういう数週間をずっと過ごしていて。

で、気がついたら昼12時に寝て、夕方5時に起きる生活になってます。ヤベえ(笑)。僕は夜型・朝型ってあるでしょう? エッセイにも書いたんですけど夜型。朝型は普通に朝に起きて夜に寝る。で、夜型は深夜、遅くてもま3時とかで4時ぐらい……まあ明け方ぐらいに寝て、昼ぐらいに起きるっていう。それがだいたい夜型ですよね? で、その夜型を越して、もうわけがわからなくなったた生活リズムのことを僕は「鬼型」って言うんですけど(笑)。鬼のように生活リズムが変な状態のことを鬼型と呼んでいるんですけども。

僕は今、もう完全に鬼型で。いやー、だからちょっとヤバいんですよ。でも、その中でね、曲を作りつついろんなものを摂取していて。それが僕は今、とても面白くて。昨日のオードリーの『あちこちオードリー』のオンラインライブも見させていただきまして。すごく面白くて。もちろん、内容は話すのは禁止なので話せないんですけども。もうすっごく面白かったです。すごく面白くて。いろんなことを考えました。うん。

なんか、その人と一緒に何かをやるってこととか、コンビってものとか、そういうものをすごく考えたし。今日のね、先ほどのその『アメトーーク!』だったりとかしても、そのコンビっていうものを考えたり。いろんなことを考えて。あと、とある漫画を読んだんですよ。僕、荻上チキさんっていう方が友達なんですけど。そのチキさんがやられていたラジオで紹介された漫画を買って読んだりとかして。それも大変、なんだろう? すごい感動っていうか。なんて言ったらいいんだろう?

ものすごい突き動かされるような、もう言葉にできない……佐久間さんが言っていたけども。「本当にすごいものを見ると言葉にできない」って言っていて、それに「ズルいぞ!」なんて言っていたんだけども。本当に言葉にできないものをちょっともらったりして。で、すごい元気になるんですよね。そういうのを見ると。で、ものづくりをしてね、「これは意味があるのだろうか?」とかって思う時がすごくあるわけですよ。「俺、音楽をやっていて意味、あるのかな?」みたいな。

それでよく前はCD屋さんに行くとそれをすごく思っていたの。「こんなに何万、何千のアーティストだったりグループがいて。その何千万曲みたいなものがあって。その中で俺の音楽が必要なのか?」っていう状態になるの。だから、CD屋さんに行くと「ポカーン……」みたいな。「いやいやいや、でも俺はやりたいから、やるの。好きだから、やるの」みたいな気持ちに結局なるんだけど。なんかね、そういう座礁した感じっていうか。息詰まる……なんていうの? 心が足がつかなくなる瞬間みたいなのがあるんですけど。そういうすごいものに触れたり一気に元気をもらうので。

まあ自分がそういうものを作れているかどうかはちょっと置いといて、「俺も作りたい」って思うし。そういう風にもらったものをちゃんと、なんというか、返したいじゃないけども。ちゃんと外に戻さないとなっていう。そういう感覚になりますね。なんかその漫画の話もまたどこかでできたらなと。もしくはSNSだったり、わかんないけど。なんかエッセイだったり。どこかで言ったらなと思ってはいるんですけど。はい。そんな感じで最近はね、制作の日々を過ごしております。

(中略)

(星野源)それでは1曲目。その『DEATH STRANDING』というゲームの中でセーフハウス……家みたいなところがあるんですけども。そこで休憩したりできるんですけど、そこで曲をかけられるんです。あと、建造物みたいなのをその荒野みたいな土地に建てることによって、なんだろうね。いろいろ便利な機能が使えたりするんですけど。その建物に、ポストみたいなのがあったりね、いろいろするんですけど。その建物に曲を設定できるんですよ。

で、実はその曲の中に僕の曲が1曲、あるんですよ。それはもう最初からゲームの中に入っていて。他にもいろんな曲が入っていて、誰でも設定できる中に僕の曲も入ってるんですよ。それでたまにね、僕はその音符マークがついていて音楽が設定できる建造物に行くとかならず自分の曲にしているんですけども(笑)。しているんだけど、そうじゃない、もう最初から僕の曲が設定してある、でもどう考えても……僕は三浦大知くんとプレイステーションのネットワークで繋がってるので。でも、どう考えても大地くんではない。

で、「日本人っぽくない名前だな」とか、なんかそういう感じの人も、もちろん日本人っぽい人も結構、僕の曲を設定してくれてる人が多くて、それがめちゃめちゃ嬉しくて。そんな風にゲームをしながら嬉しくなりましたということで。その曲を久しぶりにかけたいと思います。それでは聞いてください。星野源で『Pop Virus』。

星野源『Pop Virus』

(星野源)これね、ゲームがリリースされる随分前……1年前ぐらいにアルバムでリリースされてる曲で。不思議とね、だからゲームの内容なんか全く知らないわけですよ。で、発売される前に実は小島監督のスタジオとかにお邪魔して。いろいろ見学させてもらってたんですけど。それで小島監督から「こういう内容なんだ」って聞いても全く意味が分からなくて。もうそれぐらい……「いや、時雨っていう雨があってね」から始まって。全然わけがわからないんだけど、そのわかんなさがとにかく面白くて、わくわくして。「どんなゲームなんだろう?」って思っていて。

それで僕の『Pop Virus』っていう曲を入れてもらえることになって。で、やるわけですけど。エンディングまでやると、その歌詞がね、合っているんですよ。びっくりするんだけど。なので、まだやってない方。このコロナ禍でとても思うこともいろいろあると思いますけど。あのね、結構最初の方、「なんじゃ、こりゃ!」っていう感じなのでつらいかもしれないんですけど。途中までやるとね、とても……「もっと運びたい!」みたい気持ちになるのでぜひやってみてください。お送りしたのは星野源で『Pop Virus』でした。

<書き起こしおわり>

星野源とYOASOBI DTMソフト・Logicを語る
星野源さんが2021年6月15日放送のニッポン放送『YOASOBIのオールナイトニッポンX』に出演。使用しているDTMソフト・LogicについてYOASOBIのお二人と話していました。
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