オークラさんが2021年7月21日放送のニッポン放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』に出演。佐久間宣行さんと『ゴッドタン』キス我慢選手権とマジ歌選手権誕生について話していました。
ラジオお聞き頂きありがとうございました!
オークラさんと話すとあっという間です。楽しかった!#佐久間宣行ANN0 pic.twitter.com/WP5N6wTucw
— 佐久間宣行 (@nobrock) July 21, 2021
(オークラ)あの時ってみんな、お笑いでオラオラの人が多かったじゃないですか。元々は軽ヤンキーみたいな人たちが入ってきていて。だから、武闘派が多いんですよね。それがだんだん、そうじゃなくて。結構オタクというか、サブカルというか。そういう要素がある人が入ってきて。佐久間さんなんかはまさにそっちサイドで。それで俺は「この人とだったら、やりやすい!」って思って(笑)。
(佐久間宣行)あとね、現場でキレないし(笑)。
(オークラ)「これはいい!」と思ったんですよ。でも結局、『ゴッドタン』が始まったじゃないですか。で、『ゴッドタン』が始まる前、僕らは結局、『はねるのトびら』とかでずっとそういうテレビバラエティっていうので、あの有名なフジテレビの12時間会議するっていうのを……。
(佐久間宣行)分会をやらないで、台本の1行目から定例会議で決めていくっていう。フジテレビの『めちゃイケ』『はねトび』とかっていう番組は。
(オークラ)『めちゃイケ』とか……元を正せば『ひょうきん族』からそうだと思うんですけれども。お笑いを12時とか延々、ほとんど休みなしでしゃべるんですよね。で、そういう時って要は「この企画ってちゃんと成立してるのかどうか?」っていうのすごくしゃべって。これで昔のバラエティ番組を「持ってこい!」っつって見て。「ああ、この時こいつはこういう立場だから。だとしたら、こっちがこういうリアクターで……」とか。そうやって全部、やるですよ。で、それってそうやりながら「成立」を勉強してるわけじゃないですか。
でも、だんだんやってくうちに「ってことは、そこを勉強すればみんな同じようなレベルのバラエティ番組を作れるんじゃないか? 演者の個性はあれど、作れるじゃないか? ある程度の平均点の笑いが作れるんじゃないかな?」と思っていた時期があったんですけど。「そうなってくると、オリジナリティーって何なのかな?」ってずっと思っていた時期があったんですよ。で、佐久間さんと一緒に「キス我慢」をやったじゃないですか。もう本当、『ゴッドタン』っていうのが始まってすぐに。3ヶ月目ぐらいに。
(佐久間宣行)お試しレギュラーぐらいの時のラスト、最終回にやったんですよ。
(オークラ)で、あれはすごいかわいいみひろっていう女の子がキスを迫って。みんながキスを我慢しなきゃいけないっていう企画じゃないですか。だから色仕掛けをいろいろして、それをみんなが我慢するっていうのが企画の成立じゃないですか。でも劇団ひとりが……もう天才劇団ひとりがその企画成立をしないで、「いかにいいキスをするか?」っていう方向に持っていったじゃないですか。
(佐久間宣行)持っていった。もうジャズみたいにアドリブにしていったんですよね。
(オークラ)で、その時に俺と佐久間さんがそうする方向にブワーッと持っていったじゃないですか。この時に俺、気づいたんですけども。「ああ、成立してないものが個性なんだ」と思ったんですよ。
(佐久間宣行)ああ、なるほど。しっかり成立してるともう似た番組になっていくけども、ぶっ壊れたところをそのままにすることが個性だということね?
成立してないものが個性
(オークラ)そう。そのいわゆる成立と不成立のちょうどいい中間。ぶっ壊れすぎてもよくないし。そこから、劇団ひとりのためにいかにいいキスをさせるか?っていうこっち側の作戦になってきたじゃないですか。で、最終的には劇団ひとりにキスをさせないようにするみたいな、そういう風になったりとかもして。素晴らしいドラマみたいなのを作ったじゃないですか。その時に「ああ、これが個性なんだな」って思ってきて。で、それは番組のノリだと思うんですよ。「この人とだったらノリが共有できるな」と思って。「ああ、もうチームとしてやっていけるな」と思ったんですよ。
(佐久間宣行)いや、俺もね、あのキス我慢という企画が最後にやれたのにはいろんな奇跡があって。1個は、やっぱり劇団ひとりがやればやるほど……なんか現場がぶっ壊れたり、現場が違う方に行ったり、負荷をかけた時の方が見たこともない天才性を発揮するなっていう。で、「これ、なんとかなんないのかな?」っていう風に思っていて。それが1個と、あとはそこまで1個、見つかってたのは、オークラさんが俺に教えてくれたんだけど。バナナマンの、特に日村さんと設楽さん。設楽さんは企画の説明を完璧にしてくれるから、乱暴な企画でも設楽・矢作がウォッチングしてたら何とかなるっていう。
それと、トップバッターの日村さんは、なんでもトップバッターをやらせておけばどんな形でも企画をある程度、80点ぐらいまでには絶対に持っていってくれるっていうのがあるから。だから「乱暴な企画ができる出演者が揃ったな」って思ったの。矢作・設楽がウォッチングにいたら……1人ずつでもできるじゃない? 足りないことを言えるのは。それが2人いたら、だいたい画面に映っているものの全部の面白いところを言ってくれる。で、「もしかしたら日村さん、こっちに行きたいんだな」っていうのを設楽さんが振っておいてくれる。
そうすると、日村さんが変な顔をするだけで笑いになるみたいな。「あれ? これ、日村さん、もう我慢出来ないよ」とか設楽さんが言ってくれるから。という構造がなんとなく、仕事をしていく中でわかってきていて。で、乱暴な企画も入れられる。あと、キス我慢なんて成立するかどうかわからない。いきなり劇団ひとりでやるとわけがわからなくなるって思った時に日村さんを……日村さん、受けの天才だから。
(オークラ)やりながら日村さんが企画の説明をしてくれるんですよね。「これがこの企画の正しい形なんですよ」っていうのを日村さんが見せた後、それを最終的に劇団ひとりで壊す。
(佐久間宣行)壊すっていう。その構図が見えたから、「これは乱暴な企画だけど、できるな」と思って。そしたら、やっぱりオープニングトークで設楽さんが全部、「こんなの、我慢できないよ!」っていう振りを……「AVを見て、その子が出てくるんでしょう? 最高じゃん。こんなの、我慢できないよ!」っていう俺が一番ほしい企画趣旨をオープニングトークの始まって5秒ぐらいでバコーン!って投げつけてくれたから。「これはもう、楽だな!」と思ったんだよね。
(オークラ)いわゆる企画成立させ屋(笑)。
(佐久間宣行)その頃ってまだバナナマンっていろんな番組に出始めたぐらいで。
企画成立させ屋・バナナマン
(オークラ)でも、そういう共有するノリが作れる。要するに、ノリっていうのは僕は「企画の不成立さ」だと思うんですけど。それが生み出せる番組は個性的な番組になるんじゃないかなという風にその時に感じたんですよね。だからコントとかでもそうだと思うんですけど。コントも正しいルールを作っていくと、やっぱりみんな似たようなコント番組になっちゃう。「この振りに対してはだいたいこんなオチだろう」ってなっちゃう。「モテる話をしてたら、最終的にはこいつは振られた方が面白い」とか、だいたい似たようなコントになる中で、ちょっと不成立の部分が生まれた瞬間に……それは、ノリじゃないですか。要するにコントキャラと本来の自分が相まったところでアドリブとかが出始めた時にノリが生まれて。そのノリを共有できる番組ができたら、たぶんすごい人気番組になるんじゃないかなって。
(佐久間宣行)そうですね。まあ、とにかく僕らの世代は変な話ですけど。ダウンタウンさんの呪縛。ダウンタウンさんがもうとにかくいろんなものを作っちゃったから、何をやってもある程度似てしまうっていう中で、ちょっと違うものを作るって言った時に、たぶんたとえば『エンタ』とか、わかりやすさの方でメジャー感を狙うっていうものとかはあったけど。それでその『めちゃイケ』とかロケコントとか、コント番組をベースに作った……ただ、あれはフジテレビしか作れないから。で、『やりすぎコージー』っていう関西のノリをそのまま……でも、あれはダウンタウンさんの直系だから。
要は弟子の皆さんたちが関西のノリをそのまま持ってきて高速キャッチボールをやる番組なんかがあって。当時、東京芸人の、東京ライブ芸人の城がもうないなっていう感じだったんだよね。で、俺とオークラさんはなんとかそれを作りたいっていう気持ちはあって。まあ、声を大にしては言わないけども。それがある……なんでかっていうと、おぎやはぎ、劇団ひとり、アンタッチャブル、スピードワゴン、バナナマン、東京03、バカリズム。めちゃくちゃ面白いんだけど牙城がない。アウェイでやっていくしかないっていう。だから、そういう場を作りたいっていう気持ちがあったんだけども、見つからなかったんだよね。
(オークラ)だから結局、その『ガキの使い』っぽい深夜っぽいノリか、『めちゃイケ』っぽいノリかっていう風になっちゃったんですよ。そんな中で自分たちのノリを見つけるっていうのが、あのチームだから生まれたんだろうなっていうのがあって。だから本当に『ゴッドタン』は僕の青春なんですよね。そこを見つけられたっていうのは。
(佐久間宣行)でも、それはたしかに。劇団ひとりが「この番組は青春で、これが終わったら俺の青春は終わります」って番組始まって1年目の打ち上げで言って。最終的に打ち上げで泣くっていう(笑)。
(オークラ)フフフ(笑)。
(佐久間宣行)そうだった。そこから始まったんですね。オークラさん、やっと俺たちの話が始まりましたね!(笑)。3回かかったっていう(笑)。
(中略)
(佐久間宣行)で、『ゴッドタン』がついに……東京芸人の番組を作ってみたい。それで俺とオークラさんも新しいお笑いやってみたいっていうので、やっと1個見つかったのがキス我慢的な予定調和を壊す。壊して、それがどこまで行くのかわからないっていうのと、あとはマジ歌ですかね?
(オークラ)マジ歌。そうですね。マジ歌は覚えてますけども。3回目ですよ。『ゴッドタン』のレギュラーが始まって。テレ東の喫煙所で俺、この企画を手書きで書いて。
(佐久間宣行)そう。あのね、キス我慢は俺が考えて持ってきて。マジ歌はオークラさんが考えて持ってきたんですよ。それが、何だったら「キス我慢の2回目をやろう」とかっていう話をした時にオークラさんが……俺が「キス我慢ってそんな連発できる企画じゃないから、もう1個、柱がほしいな」みたいなことを思っていた時にオークラさんが東京03の角ちゃんが離婚して、いろんなことがあって。それをフォークさんをみたいに歌う。それはマジだから面白いっていう。それをオークラさんが持ってきて。その時になんか「そのままで面白い!」ってなったんですよね。
(オークラ)「そのままやろう」っていう感じになって。で、結構走らせたんですね。で、佐久間さんはやっぱり音楽が好きだから。そのマジ歌も、ただのお笑い企画でなくて今、こういう曲が流行ってるから、そういう取り入れ方をしようっていう話になって。
(佐久間宣行)そうだ。音楽でやるんだったら、歌ネタにするんじゃなくて、音楽にした方がいいっていう。それは、たまたま僕が演出したからっていうのもあるけど。オークラさんは、ねえ。もう『バナナムーン』とかでもわかる通り、とにかくずっと音楽が好きな人で。
(オークラ)僕、音楽好きです(笑)。
(佐久間宣行)だからそれで……あれはだから、『ゴッドタン』のチームだからですよね。もう1個、ちゃんとした理由があって。技術がね、風間カメラマンとかいるけど。みんな、テレ東の音楽番組も撮っているチームだったのよ。だから、ただの歌ネタの撮り方じゃなくて、音楽番組の撮り方ができるチームが技術にいたんだよね。だからその3つが合わさって、より音楽方面に行くっていうことになったんですよね。
(オークラ)だからすごい、なんとなくお笑いのただの替え歌とか、そういうことじゃなくて。音楽として楽しむ要素がすごいあのマジ歌にはあるなって思って。これもやっぱりちょっと、うちの番組の個性だなって思って。
(佐久間宣行)そうそう。だから、でも結局、勝負の企画っていうのは構造が一緒で。おぎやはぎが司会で。司会なんだけど、ボケなのよ。で、全部を支配するツッコミは実は設楽さんがやっているの。で、設楽さんがやってくれているから、まあ大丈夫だろうと。牛乳をふくんでいるけど、ゲラだから笑ってくれるけど。設楽統が結局、笑いどころを全部整理してくれている。企画をわかってくれている。「マジだから。ふざけるんじゃない!」って言ってくれるから成立するだろう。そうなると、トップバッターは日村さんがいるから大丈夫だなって(笑)。
(オークラ)日村さんが雛形を作って、設楽さんがツッコミながらルールを説明するっていう(笑)。
トップバッターの日村&企画説明の設楽
(佐久間宣行)それをやってくれれば、どんな企画でも成立する。はいはい、大丈夫。困った時にはおぎやはぎが補足のボケを乗っけてくれるから大丈夫っていう万全の状態を作って。企画を説明した後でオークラさんの秘蔵っ子というか。角ちゃんがデビューするっていう(笑)。平場だとガチガチの角ちゃんが一番得意なものでデビューするっていうね。
(オークラ)そうなんですよね。今、考えればバナナマンにそれをやらせているってすごいですよね(笑)。
(佐久間宣行)もう今さ、日本一の司会にトップバッターと企画の説明をやらせて……しかも、バナナマンって『ゴッドタン』のレギュラー芸人じゃないんですよね(笑)。
(オークラ)そうなんですよ(笑)。本当に申し訳ないというか。ありがたいですけどね。
(佐久間宣行)あの番組っていびつなのがさ、おぎやはぎと劇団ひとりがトップバッターとか全くできない人たちで。本当に言うと、純粋な意味で言うと司会ですらないから。
(オークラ)ただボケてるんですよね。それで、他の人たちがそこの企画をちゃんと回してくれてるっていう。
(佐久間宣行)回してくれるから。毎回毎回、ゲストツッコミがちゃんとやってるっていう構造なのよ。その時、だからバナナマンがそうね。それで角ちゃんがね。角ちゃんがウケた時のオークラさんって、尋常じゃなく嬉しがりますよね。
<書き起こしおわり>